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2017.08.15
要指導医薬品指定差止請求事件(薬のインターネット販売 一部規制は合憲)
LEX/DB25546307/東京地方裁判所 平成29年 7月18日 判決 (第一審)/平成26年(行ウ)第29号
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)で、店舗販売業者に対し、要指導医薬品の販売又は授与を行う場合には薬剤師に対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を行わせなければならないものとし、上記の情報提供又は指導ができないときは要指導医薬品の販売又は授与をしてはならないものとする各規定が設けられ、医薬品が要指導医薬品として指定されたことについて、インターネットを通じて店舗以外の場所にいる者に対する郵便その他の方法による医薬品の販売を行う事業者である原告が、本件対面販売規制は必要性及び合理性に欠ける規制であって憲法22条1項に違反するなどと主張して、〔1〕厚生労働大臣が行った製剤に係る要指導医薬品の指定の取消しを求めるとともに、〔2〕要指導医薬品である製剤につき、本件各規定にかかわらず郵便等販売をすることができる権利ないし地位を有することの確認を求めた事案において、本件訴えのうち、厚生労働大臣が行った本件製剤に係る要指導医薬品の指定の取消しを求める部分を却下し、本件対面販売規制を定める本件各規定は、立法府の合理的裁量の範囲を逸脱するものと断じることはできず、憲法22条1項に違反するものということはできないとし、また、本件各指定は、その指定の要件に欠けるものではなく、適法であるとして、原告のその余の請求を棄却した事例。
2017.08.08
損害賠償請求控訴事件 
「新・判例解説Watch」H29.9月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25546145/大阪高等裁判所 平成29年 7月14日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第3239号
被控訴人(原審原告)が、控訴人(原審被告。松原市)の設置管理する公園につき使用許可申請をしたところ、控訴人の市長がこれを不許可と決定したため、本件不許可決定は集会の自由を定める憲法21条1項に違反し、かつ、市長の裁量権を逸脱濫用したもので違法であると主張して、控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、財産的損害及び非財産的損害の賠償等を求め、原判決は、被控訴人の請求を一部認容し、その余の請求を棄却したところ、敗訴部分を不服として控訴人が控訴した事案において、被控訴人の請求は原判決が認容した限度で理由があり、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.08.08
遺族補償給付等不支給処分取消請求控訴事件 
LEX/DB25546140/東京高等裁判所 平成29年 7月11日 判決 (控訴審)/平成28年(行コ)第77号
主に観光バスの運転手の業務に従事していた亡P4が、業務上の事由により脳出血を発症したとして、療養補償給付及び休業補償給付の支給を請求し、亡P4の死亡後に、同人の妻である被控訴人(原審原告)が、遺族補償年金、葬祭料及び労災就学援護費の支給を請求したところ、処分行政庁(労働基準監督署)が、〔1〕平成22年3月31日付けで療養補償給付及び休業補償給付を支給しない旨の決定を、〔2〕同年10月13日付けで遺族補償年金、葬祭料及び労災就学援護費を支給しない旨の決定をそれぞれしたことから、被控訴人が、これらの決定は違法であるとして、控訴人(原審被告。国)に対し、その取消しを求めたのに対し、原審は、本件訴えのうち本件労災就学援護費不支給決定の取消しを求める部分を却下し、その余の本件各処分の取消しを求める請求を認容したところ、控訴人が敗訴部分について控訴した事案において、本件疾病について業務起因性は認められないから、本件各処分は、いずれも適法であると認められ、被控訴人の本件各請求を棄却すべきところ,これらを認容した原判決は相当でないとし、原判決を取消し、被控訴人の各請求をいずれも棄却した事例。
2017.08.08
未払時間外手当金等請求事件 
LEX/DB25546139/佐賀地方裁判所 平成29年 6月30日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第261号
被告会社(日本郵便株式会社)との間で、期間雇用社員(有期契約労働者)として労働契約を締結し、同社の運営する郵便局で郵便の集配業務等に従事していた原告が、被告会社に対し、時間外割増賃金の支払や年次有給休暇使用分の各賃金等の支払、並びに、被告会社に対し、使用者責任又は安全配慮義務違反に基づく、年賀はがき等の販売未達成の自費商品買取り強要行為に関する損害や暴言及び暴行に関する慰謝料等の支払を求めた事案において、原告の主張のうち、昼の休憩時間中の時間外労働に関する部分は、一部理由があり、原告の服の襟を掴むなどの行為が被告会社の職務に際して被用者の不法行為と認められ、被告会社は使用者責任を負うなどとして、一部認容した事例。
2017.08.08
窃盗被告事件 
LEX/DB25546108/奈良地方裁判所葛城支部 平成29年 6月19日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第4号
被告人が2度にわたりトラクターを窃取した事案において、捜査機関がGPS端末等を利用した捜査を実施しており、この捜査には令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、上記捜査によって直接得られた証拠及びこれと密接な関連性を有する証拠は違法収集証拠として証拠排除されるべきであるから、その結果として被告人を犯人とする証拠がないことに帰するとし、被告人は無罪とする弁護人の主張に対し、各証拠がGPS捜査により直接得られた証拠と同視することはできず、この捜査と密接に関連するものとはいえず、その証拠能力を認めるのが相当であるとしたうえで、転売して換金する目的でトラクターという特殊な物品を狙った職業的犯行であり,あらかじめ運搬用のトラックを借り受け、人目につかない深夜の農村地帯で厳重な保管がなされていない被害品を窃取するという犯行態様は、計画的で手慣れていて悪質であるなどとして、懲役3年を言い渡した事例。
2017.08.01
過払金返還請求事件
「新・判例解説Watch」H29.11月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448802/最高裁判所第一小法廷 平成29年 7月24日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1463号
Aの破産管財人である被上告人(一審原告・控訴人)が、貸金業者である上告人(一審被告・被上告人)に対し、Aと上告人との間の継続的な金銭消費貸借取引に係る各弁済金のうち利息制限法所定の制限利率により計算した金額を超えて支払った部分を元本に充当すると過払金が発生していると主張して、不当利得返還請求権に基づき、過払金の返還等を求め、一審が被上告人の請求を棄却し、控訴審が被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案において、本件では上記の過払金等について、司法書士法3条2項各号のいずれにも該当する司法書士である上告補助参加人がAを代理して上告人との間で従前締結した裁判外の和解契約の効力が争われているところ、認定司法書士が委任者を代理して裁判外の和解契約を締結することが弁護士法72条に違反する場合であっても、当該和解契約は、その内容及び締結に至る経緯等に照らし、公序良俗違反の性質を帯びるに至るような特段の事情がない限り、無効とはならないとした上で、本件和解契約の内容、その締結に至る経緯をみても、補助参加人は、Aに対し、本件取引に係る過払金の額を説明し、Aの理解を得た上で、Aの意向に沿った内容の本件和解契約を締結したというのであって、特段の事情はうかがわれず、本件和解契約を無効ということはできないとし、被上告人の請求を認容した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決を破棄し、被上告人の控訴を棄却した事例。
2017.08.01
執行費用額負担決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25448801/最高裁判所第一小法廷 平成29年 7月20日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第1号
既にした執行処分の取消し等により強制執行が目的を達せずに終了した場合における執行費用の負担は、執行裁判所が、民事執行法20条において準用する民事訴訟法73条の規定に基づいて定めるべきものと解するのが相当であるとした上で、相手方から民事執行法20条において準用する民事訴訟法73条1項の裁判の申立てを受けた執行裁判所は、上記強制競売が終了するに至った事情を考慮して、同条2項において準用する同法62条の規定に基づき、同強制競売の執行費用を抗告人の負担とする旨の裁判をすることができるとし、上記強制競売の執行費用を抗告人の負担とすべきものとした原審の判断は、是認することができるとして、抗告を棄却した事例。
2017.07.25
再審請求事件(大崎事件第3次再審請求開始決定) 
LEX/DB25545985/鹿児島地方裁判所 平成29年 6月28日 決定 (再審請求審)/平成27年(た)第1号
請求人が、殺人、死体遺棄被告事件(いわゆる大崎事件)で懲役10年に処せられた確定判決について、第三次再審請求をした事案において、当請求審における新証拠である鑑定及び新鑑定は、確定審、第1次再審請求及び第2次再審請求において提出された全証拠と併せて総合評価すれば、請求人の本件犯行への関与を認定した確定判決の事実認定には合理的な疑いがあるとし、再審開始を決定した事例。
2017.07.25
 「新・判例解説Watch」H29.9月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448736/東京高等裁判所 平成29年 5月31日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第5233号
被控訴人(原審原告)が、家具家電付き賃貸物件に入居し、控訴人(原審被告。NHK)との間で放送の受信契約を締結して受信料を支払ったものの、被控訴人は放送法64条1項の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に当たらないから、本件受信契約は公序に反して無効であると主張して、1か月分の受信料1310円を請求したところ、請求が一部認容されたため、控訴人が控訴した事案において、放送法64条1項の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」とは、受信設備を物理的に設置した者だけでなく、その者から権利の譲渡を受けたり承諾を得たりして、受信設備を占有使用して放送を受信することができる状態にある者も含まれると解されるとし、原判決中控訴人敗訴部分を取り消し、被控訴人の請求を棄却した事例。
2017.07.18
特許権侵害差止等請求事件 
LEX/DB25448774/最高裁判所第二小法廷 平成29年 7月10日 判決 (上告審)/平成28年(受)第632号
発明の名称を「シートカッター」とする特許権を有する上告人(一審原告・被控訴人)が、被上告人(一審被告・控訴人)製品の製造・譲渡等が特許権の侵害に当たるとして、被上告人製品等の廃棄並びに損害賠償等を求めたところ、第一審は、上告人の請求を一部認容したため、これに不服の被上告人が控訴し、控訴審は、本件特許は、特許法29条1項3号に違反してされたものであるとして、本件無効の抗弁を容れて、第1審判決中、被上告人敗訴部分を取消し、上告人の請求をいずれも棄却したため、上告人が上告した事案において、特許権者が、事実審の口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず、その後に訂正審決等が確定したことを理由に事実審の判断を争うことは、訂正の再抗弁を主張しなかったことについてやむを得ないといえるだけの特段の事情がない限り、特許権の侵害に係る紛争の解決を不当に遅延させるものとして、特許法104条の3及び104条の4の各規定の趣旨に照らして許されないものというべきであるとしたうえで、本件は、上告人が原審において本件無効の抗弁に対する訂正の再抗弁を主張することができなかったとはいえず、その他上告人において訂正の再抗弁を主張しなかったことについてやむを得ないといえるだけの特段の事情はうかがわれないとし、上告を棄却した事例。
2017.07.18
地位確認等請求事件  
LEX/DB25448773/最高裁判所第二小法廷 平成29年 7月 7日 判決 (上告審)/平成28年(受)第222号
医療法人である被上告人(一審被告・被控訴人兼附帯控訴人)に雇用されていた医師である上告人(一審原告・控訴人兼附帯被控訴人)が、被上告人に対し、上告人の解雇は無効であるとして、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めるとともに、時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金並びにこれに係る付加金の支払等を求め、第一審は、地位確認請求及び未払給与等の支払請求と斥け、未払割増賃金等に係る請求を一部認容したため、双方が控訴し、控訴審は、上告人の控訴を棄却し、被上告人の附帯控訴に基づき、第一審判決中被上告人敗訴部分を取り消したため、上告人が上告した事案において、上告人と被上告人の雇用契約で時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意がされていても、年俸の支払により上告人の時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金が支払われたということはできないとして、原判決中、割増賃金及び付加金の請求に関する部分を破棄し、被上告人が、上告人に対し、通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金を全て支払ったか否か、付加金の支払を命ずることの適否及びその額等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻して、その余の請求を棄却した事例。
2017.07.18
玄海原子力発電所3号機再稼働差止仮処分申立事件(第1事件)、玄海原子力発電所4号機再稼働差止仮処分申立事件(第2事件)
LEX/DB25448731/佐賀地方裁判所 平成29年 6月13日 決定 (第一審)/ 平成23年(ヨ)第21号 等
第1事件債権者らが、人格権又は環境権に基づき、債務者(電気事業会社)が設置している玄海原子力発電所3号機の運転の差止めを命ずる仮処分命令を申し立てた事案(第1事件)、第2事件債権者らが、人格権又は環境権に基づき、債務者(電気事業会社)が設置している玄海原子力発電所4号機の運転の差止めを命ずる仮処分命令を申し立てた事案(第2事件)において、債務者が、基準地震動の合理性及び配管の安全性について相当の根拠、資料に基づき疎明したということができ、債権者らの疎明を検討しても、本件各原子炉施設の安全性に欠けるところがあるとは認められないから、債務者が本件各原子炉施設を運転することにより、債権者らの人格権を侵害するおそれがあるとは認められず、本件各申立てに係る被保全権利の疎明があるということはできないなどとして、第1事件及び第2事件の本件各申立てをいずれも却下した事例。
2017.07.11
業務上過失致死被告事件 
LEX/DB25545945/佐賀地方裁判所 平成29年 5月29日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第3号
夏休みイベント企画の川遊び中に8歳の児童が川の深みで溺れ、死亡した事故に関し、イベントa倶楽部の代表として同倶楽部の会務を統括する業務に従事していた被告人Aと、同倶楽部の監査役であり、実質的に同倶楽部の代表を補佐し、会務を掌理する業務に従事していた被告人Bが起訴された、業務上過失致死被告事件において、本件溺水事故が発生した原因は、従前に採られていた監視態勢すら採られず、成人スタッフが児童らを引率して集団行動すべきであるのにこれを分散させた結果、監視する成人スタッフが誰1人としていない状況下で児童らに川遊びをさせたことにほぼ尽きると考えるのが相当であり、高度な結果回避義務を被告人A、Bの両名に負担させることは相当とはいえないとした上で、被告人Aについては、被告人Bを補佐する立場にとどまっていたと考えるのが相当であるとして、無罪を言い渡し、被告人Bについては、上記注意義務に反して監視・救助態勢を採らないまま川遊びプログラムを開始し、その結果、被害児童が溺水したため、被告人Bが責任を負うことは明らかであるとし、本件事案の性質・内容などに照らし、罰金70万円に処した事例。
2017.07.11
業務上過失致死被告事件 
LEX/DB25545946/佐賀地方裁判所 平成29年 5月29日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第3号
夏休みイベント企画の川遊び中に8歳の児童が川の深みで溺れ、死亡した事故に関し、α市産業部観光課課長であり、同課に設置され、住民参加型の各種体験イベントを開催するなどの業務を行うαグリーン・ツーリズム推進協議会事務局の事務局長である被告人Aと、同課副課長兼グリーン・ツーリズム推進係長である被告人Bと、同課グリーン・ツーリズム推進係員であり、同協議会に関する業務の主査兼同協議会の事務局員として、同協議会の事務を処理する業務に従事していた被告人Cが起訴された、業務上過失致死被告事件において、従前に採られていた監視態勢すら採られず、成人スタッフが児童らを引率して集団行動すべきであるのにこれを分散させた結果、監視する成人スタッフが誰1人としていない状況下で児童らに川遊びをさせたことにほぼ尽きると考えるのが相当であり、高度な結果回避義務を被告人A、B、Cに負担させることは相当とはいえないとした上で、被告人Cは、市役所の職員として、川遊びという危険性を伴う本件キャンプに継続して関わっていたものであるから、業務性が認められることは明らかであるとし、被告人Cについては、罰金40万円に処し、被告人A、及び被告人Bについては、ともに過失責任を問うことはできないとし、無罪を言い渡した事例。
2017.07.11
不当利得返還請求控訴事件(共通錯誤に基づく無効を認める判例) 
「新・判例解説Watch」H29.8月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545767/大阪高等裁判所 平成29年 4月27日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第57号
原告(控訴人)が、被告(被控訴人)から購入したゴルフ会員権の退会手続をとったところ、同ゴルフ場運営者から被告に同会員権の預託金が送金され、被告がこれを不当に利得したと主張して、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき金員の返還を求めたところ、原審が請求を棄却したため、原告が控訴した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.07.11
不当利得返還請求事件
(平成29年4月27日大阪高等裁判所(平成29年(ネ)第57号)の原審) 
LEX/DB25545766/大阪地方裁判所 平成28年11月29日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第7286号
原告が、被告から購入したゴルフ会員権の退会手続をとったところ、同ゴルフ場運営者から被告に同会員権の預託金が送金され、被告がこれを不当に利得したと主張して、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき金員の返還を求めた事案において、請求を棄却した事例。
2017.07.04
伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立事件(第1事件、第2事件)
LEX/DB25545650/広島地方裁判所 平成29年 3月30日 決定 (第一審)/平成28年(ヨ)第38号 等
伊方原発3号機の運転差止仮処分命令を申立てた第1事件及び第2事件の各債権者らにおいて、債務者が設置、運転している発電用原子炉施設である伊方発電所3号炉及びその附属施設は、地震、火山の噴火、津波等に対する安全性が十分でないために、これらに起因する過酷事故を生じる可能性が高く、そのような事故が起これば外部に大量の放射性物質が放出されて債権者らの生命、身体、精神及び生活の平穏等に重大かつ深刻な被害が発生するおそれがあるとして、債務者に対し、人格権に基づく妨害予防請求権に基づき、本件原子炉の運転の差止めを命じる仮処分を申し立てた事案において、基準地震動の策定、耐震設計における重要度分類、使用済燃料ピット等の安全対策、地すべりと液状化現象による危険性の評価、制御棒挿入に係る危険性の評価、基準津波の策定、火山事象の影響による危険性の評価、テロリズム対策、シビアアクシデント対策のそれぞれにつき、新規制基準の定めが不合理であるということはできないし、本件原子炉施設が上記の各点につき新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断が不合理であるともいえないなどとし、第1事件及び第2事件の各債権者らの申立てをいずれも却下した事例。
2017.07.04
仮処分命令認可決定に対する保全抗告事件
LEX/DB25545751/大阪高等裁判所 平成29年 3月28日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第677号
滋賀県内に居住する相手方(債権者)らが、原子力発電所を設置している抗告人(債務者。電力会社)に対し、各原発が耐震性能に欠け、津波による電源喪失等を原因として周囲に放射性物質汚染を惹起する危険性を有する旨主張して、人格権に基づく妨害(予防)排除請求権に基づき、各原発を仮に運転してはならないとの仮処分を申し立て、これを認容する原決定をがなされたため、抗告人が保全異議の申立てをし、原審が原決定を認可したのに対し抗告人が保全抗告をした事案において、各原発の安全性が欠如していることの疎明があるとはいえないとして、原決定を取り消し、相手方らの仮処分申立てを却下した事例。
2017.06.27
業務上過失致死傷被告事件 
LEX/DB25448725/最高裁判所第二小法廷 平成29年 6月12日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第741号
乗客が多数死亡したJR福知山線の脱線事故について、神戸地方検察庁が不起訴とした後、神戸第一検察審査会による2度の「起訴相当」判決を受けて業務上過失致死傷罪で強制起訴された、JR西日本の歴代社長3人に対する裁判で、第1審は被告人らに対し無罪を言い渡し、原判決も検察官の職務を行う指定弁護士の控訴を棄却したため、上告した事案において、JR西日本の歴代社長である被告人らが、鉄道本部長に対しATSを曲線に整備するよう指示すべき業務上の注意義務があったということはできないとし、被告人らに無罪を言い渡した第1審判決を是認した原判断は相当であるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2017.06.27
損害賠償請求事件 
LEX/DB25545810/さいたま地方裁判所 平成29年 5月24日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第2274号
原告らが,原告A(被告が管理運営する拘置所に収容されている死刑確定者)と原告弁護士23名らとの再審請求ないし国家賠償請求訴訟等の準備を目的とする別紙面会状況表記載の253回の各面会について、拘置所の職員の立会いのない秘密面会を許さず、また、面会時間を30分に制限した拘置所長の措置が違法であると主張して、被告国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めた事案において、拘置所長が、上記各面会の一部を除き、秘密面会を許さなかったことにつき、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったものとして、過失があったことは明らかであるとし、本件再審請求等に向けた打合せを目的とする面会につき、面会時間を一律に30分に制限した拘置所長の措置は、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して上記各面会をした原告A及び原告弁護士らの面会の利益をいずれも侵害したものとして、国家賠償法1条1項の適用上違法となるなどとして、原告Aの請求については認容し、原告弁護士20名らの請求については、請求額を減額したうえで一部認容し、その余の請求を棄却した事例。