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2017.10.03
求償権行使懈怠違法確認等請求及び共同訴訟参加事件 
「新・判例解説Watch」H29.12月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448912/最高裁判所第二小法廷 平成29年 9月15日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第33号
大分県の住民である上告人らが、被上告人(大分県知事)を相手に、被上告人が教員採用試験で受験者の得点を操作するなどの不正に関与した者に対する求償権を行使しないことが違法に財産の管理を怠るものであると主張し、地方自治法242条の2第1項3号に基づく請求(3号請求)として、本件不正に関与したと上告人らが主張するE、F等に対する求償権行使を怠る事実の違法確認を求めるとともに、同項4号に基づく請求(4号請求)として、本件不正に関与したA、B、C及びD並びにE及びFに対する求償権に基づく金員の支払を請求することを求めた住民訴訟の上告審において、上記求償権のうち本件返納額に相当する部分を行使しないことが違法な怠る事実に当たるとはいえないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人らのAらに関する4号請求並びに上告人X1らのEらに関する3号請求及び4号請求に関する部分を破棄し、県の教員採用試験において不正が行われるに至った経緯や、本件不正に対する県教委の責任の有無及び程度、本件不正に関わった職員の職責、関与の態様、本件不正発覚後の状況等に照らし、県による求償権の行使が制限されるべきであるといえるか否か等について、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻しを命じ、上告人らのその余の上告を棄却した事例(意見がある)。
2017.10.03
配当表に対する異議申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25448911/最高裁判所第三小法廷 平成29年 9月12日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第3号
破産手続開始後に物上保証人から債権の一部の弁済を受けた破産債権者である相手方が、破産手続開始の時における債権の額として確定したものを基礎として計算された配当額のうち実体法上の残債権額を超過する部分を物上保証人に配当すべきものとした抗告人作成の配当表に対する異議申立てをしたところ、原々審は、超過部分は債権の一部を弁済した求償権者に配当すべきであるなどとして、配当表に対する相手方の異議申立てを却下し、これに対し、原審は、超過部分を求償権者に配当することはできないとし、原々決定を取消し、本件を原々審に差し戻しを命じたため、これに不服の抗告人が許可抗告した事案において、破産債権者が破産手続開始後に物上保証人から債権の一部の弁済を受けた場合に、破産手続開始の時における債権の額として確定したものを基礎として計算された配当額が実体法上の残債権額を超過するときは、その超過する部分は当該債権について配当すべきであるとし、これと異なる原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるが、相手方の異議申立てを却下した原々決定は不当であるから、原々決定を取り消して本件を原々審に差し戻した原審の判断は、結論において是認することができるとして、抗告を棄却した事例(補足意見がある)。
2017.09.26
廃止負担金請求事件
LEX/DB25448903/最高裁判所第一小法廷 平成29年 9月14日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1187号
大阪府が営む工業用水道事業に係る条例に基づき、府との間で給水契約を締結して工業用水道を使用していたところ、上記条例の改正により、工業用水道の使用者がその使用を廃止したときは負担金を納付しなければならない旨の規定が設けられたところ、被上告人は工業用水道の使用を廃止したことより、府から上記事業を承継した一部事務組合である上告人が、被上告人に対し、上記給水契約に基づく負担金の支払を求め、原審は、本件廃止負担金が分担金に当たるとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件廃止負担金は、地方自治法224条、228条1項にいう分担金に当たらないというべきであり、条例で定めなければならないものということはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人に本件規定が適用されるか等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2017.09.26
障害補償費不支給決定取消等請求事件
「新・判例解説Watch」H29.12月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448889/最高裁判所第二小法廷 平成29年 9月 8日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第371号
水俣病の認定を受けた被上告人(原告・控訴人)が、公害健康被害の補償等に関する法律(公健法)に基づく障害補償費の支給を請求したところ、熊本県知事から、被上告人の健康被害に係る損害は損害賠償請求訴訟の結果、原因者により全て填補されているとして、障害補償費の不支給処分の決定を受けたため、上告人(被告・被控訴人。熊本県)を相手に、その取消し等を求め、原審が、第1審判決を取り消したため、上告人が上告した事案において、被上告人は、原因者であるチッソに対して、被上告人の水俣病による健康被害に係る損害につき損害賠償請求訴訟を提起したものであるところ、前訴確定判決は同損害の全てについての賠償をチッソに命じたものと解されるから、被上告人がこれに基づく損害賠償金を受領したことにより、熊本県知事は、被上告人に対する公健法に基づく障害補償費の支給義務の全てを免れたものであり、本件不支給処分が公健法13条1項に違反するものということはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼす明らかな法令の違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、公害健康被害認定審査会の意見を聴かないことにより本件不支給処分が違法になる旨の被上告人の主張に理由がないことも明らかであり、被上告人の同処分の取消請求は理由がないから、これを棄却した第1審判決は是認することができ、被上告人の控訴を棄却した事例。
2017.09.26
猶予費用の取立決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448891/最高裁判所第三小法廷 平成29年 9月 5日 決定 (許可抗告審)/平成28年(許)第40号
訴訟上の救助の決定を受けた者(受救助者)との訴訟で、受救助者に生じた訴訟費用の一部を負担することとされた相手方当事者(相手方)である抗告人らに対し、裁判所が、民事訴訟法85条前段の費用の取立てとして受救助者に猶予した費用の一部を国庫に支払うことを求めた事案において、第1審は、抗告人ら及びCに対し、Bの猶予費用のうち一部を連帯して、国庫に支払うことを命ずる旨の決定(原々決定)をしたため、抗告人らは,これに対し、本件取立額は、Bの負担すべき費用との差引計算をしてその額の審理をすべきであるにもかかわらず、これをしていない点が違法である旨を主張して、即時抗告をし、原審は、訴訟費用の負担の額を定める処分(訴訟費用額確定処分)を求める申立てがされる前においては、本件取立額につき、Bの負担すべき費用との差引計算を考慮する必要はないとして、本件取立額の算定をしたため、抗告人が許可抗告した事案において、抗告人らに対しBの負担すべき費用との差引計算を求める範囲を明らかにするよう求めることのないまま、本件取立額につき認定した原審の判断には、本件事案に係る事情を踏まえた裁判所の合理的な裁量の範囲を逸脱した違法があるとし、原決定を破棄し、抗告人らに対しBの負担すべき費用との差引計算を求める範囲を明らかにするように求めた上で、Bの抗告人らに対する訴訟費用請求権の額を判断する上で考慮されるBの負担すべき費用の有無及び額について審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2017.09.19
慰謝料請求控訴事件
(平成29年3月13日仙台地方裁判所(平成28年(ワ)第351号)の控訴審)
LEX/DB25546535/仙台高等裁判所 平成29年 8月10日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第139号
妻である原告(控訴人)が、夫である被告(被控訴人)に対し、被告が、〔1〕cと不貞行為をした、〔2〕その後原告に対して不貞行為を一旦は止めると約束しながら原告に隠れてこれを続け、原告がそれを指摘するとcと示し合わせて不貞行為に及んだことを否定し、更に原告から不貞行為を指摘されてこれを止めるよう注意されたことに立腹して自宅を出て所在を隠した、〔3〕被告が代表者を務めるI社(訴外会社)が新事務所に移転した際、同社で経理等の事務に従事していた原告に対し、罵詈雑言を浴びせるなどした、〔4〕原告に対し、平成23年6月まで生活費として月額40万円を支払っていたが、その後、原告に無断で減額した額の生活費しか支払わなかった、〔5〕原告に対し、東日本大震災で損傷した自宅建物を補修すると約束し、また国からの補助金等が交付されたにもかかわらず、上記補修工事をせずに放置したことがそれぞれ不法行為に当たるとして、損害賠償金等の支払を求めたところ、原審は、原告の主張のうち、慰謝料請求を150万円の限度で一部認容したため、原告が、原判決中控訴人敗訴部分を不服として控訴した事案において、原判決を変更し、原告の請求を慰謝料200万円の限度で一部認容した事例。
2017.09.19
慰謝料請求事件
(平成29年8月10日仙台高等裁判所(平成29年(ネ)第139号)の原審) 
LEX/DB25546534/仙台地方裁判所 平成29年 3月13日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第351号
妻である原告が、夫である被告に対し、被告が不貞行為をしたことなどが不法行為に当たるとして、慰謝料の支払等を求めた事案において、被告がcと不貞行為を行ったことは、原告に対する不法行為に当たるものと認め、原告の請求を一部認容した事例。
2017.09.12
売渡株式等の売買価格決定申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448880/最高裁判所第二小法廷 平成29年 8月30日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第7号
会社法179条の4第1項1号の通知又は同号及び社債、株式等の振替に関する法律161条2項の公告後に会社法179条の2第1項2号に規定する売渡株式を譲り受けた抗告人が、売渡株式等の売買価格決定申立てをしたが、これに対して出された却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告をした事案において、抗告人は、本件公告後に本件株式を譲り受けた者であるから、売買価格決定の申立てをすることができないとし、原審の判断は、正当として是認することができるとして、抗告を棄却した事例。
2017.09.12
固定資産税等賦課処分取消請求控訴事件 
LEX/DB25546537/東京高等裁判所 平成29年 8月24日 判決 (控訴審)/平成29年(行コ)第6号
被控訴人(原審原告)が、東京都練馬都税事務所長から、被控訴人が所有する本件各土地のうち駐車場として使用されている各部分については地方税法349条の3の2及び702条の3に規定する固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例の適用を受ける住宅用地に該当せず、その余の部分に限り上記の住宅用地に該当するものとして、東京都都税条例118条1項、188条の26第1項、同附則20条により、平成26年度分の固定資産税及び都市計画税の各賦課決定を受け、本件各駐車場も住宅用地に該当する旨を主張して、本件各処分の一部の取消しを求めたところ、原審が被控訴人の請求をいずれも認容したため、控訴人(被告。東京都)が控訴した事案において、被控訴人の請求をいずれも認容した原判決は相当であるとし、控訴を棄却した事例。
2017.09.12
鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求控訴事件 
LEX/DB25546426/高松高等裁判所 平成29年 8月 3日 判決 (差戻控訴審)/平成28年(行コ)第27号
鳴門市の住民である原告ら(控訴人)が、鳴門競艇従事員共済会から鳴門競艇臨時従事員に支給される離職せん別金に充てるため、市が共済会に対して離職せん別金補助金を交付したことが、給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為に当たるなどとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づく請求をした住民訴訟の差戻控訴審において、当時の市長の職にあって本件各補助金に関する予算を調製したDに対し、被告(被控訴人)市長が損害賠償金の支払を請求することを命じ、当時の市公営企業管理者(職名は企業局長)の職にあって本件各補助金の交付決定をしたE、及び、競艇従事員共済会に対し、被告(被控訴人)市公営企業管理者が損害賠償金の支払を請求することを命じる内容で差戻し前の第1審判決中、差戻しに係る部分を変更した事例。
2017.09.12
鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求控訴事件 
LEX/DB25546571/高松高等裁判所 平成29年 8月 3日 判決 (差戻控訴審審)/平成28年(行コ)第26号
鳴門市の住民である原告ら(控訴人)が、鳴門競艇従事員共済会から鳴門競艇臨時従事員に支給される離職せん別金に充てるため、市が共済会に対して離職せん別金補助金を交付したことが、給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為に当たるなどとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づく請求をする住民訴訟の差戻控訴審の事案において、当時の市長の職にあって本件補助金に関する予算を調製したDに対し、被告(被控訴人)市長が損害賠償金の支払を請求することを命じ、及び、当時の市公営企業管理者(職名は企業局長)の職にあって本件補助金の交付決定をしたF、当時の競艇事業担当の企業局次長の職にあって本件補助金の交付決定の決裁に関与したG、及び、市競艇従事員共済会に対し、被告(被控訴人)市公営企業管理者が各損害賠償金の支払を請求することを命じる内容で、差戻し前の第1審判決中、差戻しに係る部分を変更した事例。
2017.09.12
診療報酬請求控訴事件 
LEX/DB25546501/東京高等裁判所 平成29年 7月20日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第266号
交通事故により受傷した1審相被告Eの治療を行った病院を経営する控訴人(原審原告)が、損害保険会社である被控訴人(原審被告)に対し、〔1〕主位的に、債務弁済契約又は一括払契約に基づく直接払の合意に基づき、診療報酬の支払等を求めるとともに、〔2〕予備的に、被告が原告に対し事前に告知しないまま1審被告Eへの保険金の支払をし、控訴人の診療報酬の回収の機会を喪失させたことが不法行為を構成すると主張して、診療報酬相当額の損害賠償金の支払等を求めたところ、原審は、控訴人が主位的請求として主張する本件債務弁済契約又は本件一括払合意の成立は認められず、また、予備的請求として主張する不法行為の成立も認められないとして、控訴人の被控訴人に対する請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案において、控訴人の主張する不法行為の成立を認めることはできず、控訴人の予備的請求は理由がないとし、原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2017.09.12
慰謝料請求事件 
LEX/DB25546464/名古屋地方裁判所 平成29年 3月31日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第4413号
原告が、被告に対し、被告が原告の夫cと不貞行為を繰り返してきたとして、不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料等の支払を求めた事案において、少なくとも原告とcとの婚姻関係が破綻していると被告が認識したことについての過失があるとし、また、被告は、約5年間、cと継続的に不貞関係を持っていたことが認められ、原告がこれによって精神的苦痛を被ったとして、原告の請求を一部認容した事例。
2017.09.05
 
LEX/DB25546212/最高裁判所第三小法廷 平成29年 6月 6日 決定 (上告審)/平成28年(受)第1272号
申立人(原告、被控訴人)は、相手方(被告、控訴人。航空会社)に勤務する客室乗務員であったところ、相手方は、会社更生手続中、申立人を含む客室乗務員に対し整理解雇を行ったが、同整理解雇は無効であるとして、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、未払賃金、また、不法行為に基づく損害賠償金の支払いを求め、一審が請求を一部認容し、控訴審が一審判決を変更して申立人の請求を棄却したことより、申立人が上告受理申立をした事案において、上告として受理しないことを決定した事例。
2017.08.29
地位確認等請求事件 
LEX/DB25546332/仙台地方裁判所 平成29年 7月28日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第1517号
被告との間で労働契約を締結していた原告が、被告に対し、被告による懲戒解雇は無効であると主張して、労働契約上の地位の確認、未払賃金等の支払を求めた事案において、本件解雇は社会通念上の相当性を欠き、権利を濫用したものとして無効であり、原告は労働契約上の権利を有する地位にあることを確認すべきであるとした上で、解雇月の未払い賃金の日割り計算について請求額より減額して一部認容し、そのほかの月の未払賃金は請求額と同額にて認容した事例。
2017.08.29
傷害致死、監禁、傷害被告事件 
LEX/DB25546331/大阪地方裁判所堺支部 平成29年 7月19日 判決 (第一審)/平成28年(わ)第519号 等
A(当時3歳)の実母である被告人が、被告人方にて、Aに対し、何らかの熱源をその右頬、左肘付近に接触させるなどし、全治約10日間の右頬部熱傷、全治3~4週間の左肘部熱傷の傷害を負わせた後、夫と共謀の上、Aを浴室出入口ドアの内鍵つまみ部分が取り外された浴室内に入れ、外側から施錠して同外鍵にテープを貼って固定した上、棒を同ドアの外側にテープで貼り付け、その内側から解錠すること及び同ドアを開けることが著しく困難な状態にするなどし、同浴室から脱出することを著しく困難ならしめ、同人を不法に監禁したとして起訴された傷害致死、監禁、傷害被告事件において、夫の供述に被告人の供述を排斥するほどの信用性を肯認するのは躊躇せざるを得ないとし、検察官が指摘する重要事実を認めることはできないのであるから、被告人と夫との共謀は認められず、被告人に対する傷害致死の点については、その証明が不十分であり、犯罪の証明がないとし、刑事訴訟法336条により無罪を言い渡し、被告人に対する監禁の点については、被告人が、実母として本来守るべき立場にありながら、抵抗できない3歳の幼児を虐待したのであるから、幼少期における逆境的環境での体験が犯行に影響を及ぼしていることを踏まえても、なお厳しい非難に値し、やけどの程度は重篤なものではなく、監禁の態様も悪質性の高いものとまでは言えないことを考慮すれば、当然に実刑に処するべき犯情とまでは言えないとし、懲役2年6月、執行猶予5年(保護観察付き)を言い渡した事例。
2017.08.29
損害賠償請求控訴同附帯控訴事件
LEX/DB25546389/名古屋高等裁判所 平成29年 6月 1日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第983号 等
被告会社(被控訴人兼附帯控訴人)が所有し、一審相被告cが運転する普通貨物自動車が、原告(控訴人兼附帯被控訴人)が同乗し、dが運転する普通乗用自動車に追突した交通事故について、原告が、被告会社及びcに対し、本件事故により高次脳機能障害、脳脊髄液減少症、胸郭出口症候群に罹患し後遺障害が残存した等と主張して、一審相被告cに対し民法709条、被告会社に対し民法715条及び自動車損害賠償保障法3条に基づき、連帯して、損害賠償金の支払等を求め、原判決は、原告の請求につき、一部認容、一部棄却したため、原告が控訴し(当審において請求を拡張し、また、cに対しては、その後控訴を取り下げた。)、被告会社が附帯控訴した事案において、原告の控訴に基づき、原判決の認容額を増額した形で変更し、その余の請求(当審における請求拡張部分を含む)を棄却し、被告の附帯控訴を棄却した事例。
2017.08.22
損害賠償請求控訴事件(アイドルのライブ オタ芸が迷惑 観客敗訴)
LEX/DB25546104/大阪高等裁判所 平成29年 4月27日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第2617号
原告(控訴人)が、被告ら(被控訴人)に対し、アイドルグループgの一員である被告dらの生演奏の途中で大きな掛け声があり、演奏が聞き取れなかったことにつき、被告らは、gによる生演奏及びダンスを鑑賞するのに最適な環境を整える契約上の債務に違反するなどと主張して、損害賠償を求めたところ、一審で請求が棄却されたため、控訴した事案において、本件コンサートは、観客によるかけ声を全く許さないという前提で行われたものではないから、かけ声の程度を考慮しても、被告会社らは、本件コンサートにおいて、観客である原告に対し、演奏を鑑賞させるという本件コンサート契約所定の債務を履行したものと認めるのが相当であるとし、控訴を棄却した事例。
2017.08.15
保全異議申立事件(平成29年7月21日高松高等裁判所(平成29年(ラ)第11号)の原審)
LEX/DB25546305/徳島地方裁判所 平成29年 1月13日 決定 (第一審)/平成28年(モ)第61号
基本事件(投稿記事削除仮処分命令申立事件)は、債権者が、債務者が管理・運営するインターネット上の検索エンジンサービスにおいて債権者の氏名等を入力して検索をすると、債権者の犯罪歴に関する情報が検索結果として表示され、このままでは債権者が重大な損害を受けるおそれがあると主張して、人格権に基づく妨害排除請求権を被保全権利として、債務者に対し、原決定の検索結果表示目録1から17までに記載の本件検索結果表示の仮の削除を求め、原決定は、本件検索結果表示を仮に削除することを債務者に命じたところ、債務者が保全異議を申し立てた事案において、債権者が本件有罪判決後現在に至るまで罪を犯すことなく生活していることその他の債権者の主張を考慮してもなお、債権者が本件犯罪に係る情報を実名で公表されない利益がその余の利益に優越するものとはいうことはできず、債権者が本件検索結果表示の削除請求権を有するものとは認められないとして、投稿記事削除仮処分命令申立事件について、地方裁判所が平成28年6月23日にした仮処分決定を取り消し、債権者の仮処分命令の申立てを却下した事例。
2017.08.15
保全異議申立決定に対する保全抗告事件(平成29年1月13日徳島地方裁判所(平成28年(モ)第61号)の抗告審)
LEX/DB25546306/高松高等裁判所 平成29年 7月21日 決定 (抗告審)/平成29年(ラ)第11号
抗告人(原審債権者)が、相手方(原審債務者)が管理・運営するインターネット上の検索エンジンサービスにおいて抗告人の氏名等を入力して検索をすると、URL並びにウェブサイトの表題及び抜粋から成る検索結果において、抗告人の犯罪歴に関する情報が表示されると主張して、人格権ないし人格的利益に基づく妨害排除請求権を被保全権利として、相手方に対し、基本事件の仮処分決定(原々決定)添付の本件検索結果表示について仮の削除を命じる仮処分を申し立て、原々決定は、本件検索結果表示について仮の削除を命じたが、これに対して相手方が保全異議を申し立て、原々決定の取消し及び同取消しに係る申立ての却下を求めたところ、原審(異議審)は、原々決定を取り消して、同取消しに係る申立てを却下する旨の原決定をしたため、これを不服とする抗告人が、本件抗告をし、当審で、著作権法47条の6に基づく権利を被保全権利として追加する旨主張した事案において、当抗告審も原々決定を取消し、同取消しに係る申立てを却下するのが相当であると判断し、抗告を棄却した事例。