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2017.12.19
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25548250/大阪高等裁判所 平成29年12月 1日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第477号
いわゆる和歌山カレー毒物混入事件で、死刑判決を言い渡され、死刑確定者として大阪拘置所に収容されている控訴人(原告)P1並びにその再審請求のために選任された再審請求弁護人である控訴人(原告)P2、同P3、同P4及び同P5が、大阪拘置所長に対し、控訴人P2らが大阪拘置所で控訴人P1と面会する際に、120分の面会を認めること、同拘置所職員の立会いのない面会を認めること,パソコンの使用を認めることを要請したにもかかわらず、同拘置所長が面会時間を60分に制限したこと、職員の立会いのない面会を許さなかったこと、パソコンの使用を認めなかったことが違法であると主張し、被控訴人(被告。国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償金200万円の支払等を求め、原審は、職員の立会いのない面会を許さなかった点についてのみ違法と認め、控訴人P1の請求について、損害賠償金11万円の支払等を求める限度で、控訴人P2らの各請求について、各損害賠償金5万5000円の支払等を求める限度でそれぞれ認容し、その余の請求をいずれも棄却したため、控訴人らは、原判決中、それぞれその敗訴部分を不服として控訴した事案において、被控訴人は、〔1〕控訴人P2に対し、損害賠償金31万7540円を支払う義務を負い、〔2〕控訴人P1、同P3、同P4及び同P5に対し、それぞれ18万円の支払う義務を負うというべきであるとして、原判決を一部変更し、控訴人らのその余の請求をいずれも棄却した事例。
2017.12.19
協定遵守請求事件
「新・判例解説Watch」H30.2月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25449049/名古屋地方裁判所 平成29年10月27日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第3609号
漁業協同組合である原告が、電気事業を営む株式会社であり、火力発電所を保有、運転している被告に対し、火力発電所の運転による水温の上昇等の影響で、原告の漁獲量が減少し、損害が発生しているなどとし、原告と被告との間で締結された協定書に基づき、主位的に、原告と別紙協議目録記載の事項について協議することを求め、予備的に、被告が原告に対し同協議に応ずる義務を負うことの確認を求めた事案において、本件協定書に基づく協議対象は、本件協定書締結当時に建設が予定されていたA火力発電所5号機及びB火力発電所4・5号機の建設及び操業に関する事項に限られると解されるところ、次期石炭灰処分場建設計画は、B火力発電所4・5号機の操業に関する事項に当たり、本件協定書に基づく協議の対象に当たると解するのが相当であるとし、予備的請求を一部認容した事例。
2017.12.12
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件
LEX/DB25449066/最高裁判所大法廷 平成29年11月29日 判決 (上告審)/平成28年(あ)第1731号
被告人が、被害者が13歳未満の女子であることを知りながら、被害者に対し、被告人の陰茎を触らせ、口にくわえさせ、被害者の陰部を触るなどのわいせつな行為をしたとして起訴され、第1審判決は懲役3年6月を言い渡し、原判決は、被告人に性的意図があったと認定するには合理的な疑いが残るとした第1審判決の事実認定を是認した上で、客観的に被害者の性的自由を侵害する行為がなされ、行為者がその旨認識していれば、強制わいせつ罪が成立し、行為者の性的意図の有無は同罪の成立に影響を及ぼすものではないとして、昭和45年判例(最高裁昭和43年(あ)第95号同45年1月29日第一小法廷判決)を現時点において維持するのは相当でないとし、第1審判決を是認したため、被告人が上告した事案において、刑法176条にいう、わいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには、行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で、事案によっては、当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し、社会通念に照らし、その行為に性的な意味があるといえるか否かや、その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになり、そのような個別具体的な事情の一つとして、行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難いとし、そのような場合があるとしても、故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく、昭和45年判例の解釈は変更されるべきであるとの見解を示し、刑事訴訟法410条2項により、昭和45年判例を当裁判所の上記見解に反する限度で変更し、原判決を維持するのを相当と認め、同判例違反をいう所論は、原判決破棄の理由にならないとして、上告を棄却した事例。
2017.12.12
相続財産の分離に関する処分及び相続財産管理人選任審判に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449076/最高裁判所第三小法廷 平成29年11月28日  決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第14号
相続人がその固有財産について債務超過の状態にあり又はそのような状態に陥るおそれがあることなどから、相続財産と相続人の固有財産とが混合することによって相続債権者等がその債権の全部又は一部の弁済を受けることが困難となるおそれがあると認められる場合、民法941条1項の規定に基づき、家庭裁判所は、財産分離を命ずることができるものと解するのが相当であるとして、原審の判断を是認し、本件抗告を棄却した事例。
2017.12.12
地位確認等請求控訴事件
(平成29年 4月 6日さいたま地方裁判所(平成26年(ワ)第2332号)の控訴審)
LEX/DB25548079/東京高等裁判所 平成29年10月18日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第2108号
私立の女子中学校及び女子高等学校等を運営する学校法人たる一審被告に雇用されていた一審原告が、平成25年7月31日付けで通知された解雇につき、主位的に解雇権濫用による解雇無効を主張して、(1)雇用契約上の地位の確認及び(2)解雇通知後本判決確定までの間の毎月の賃金と遅延損害金の支払を求めると共に、(3)平成23年7月1日から平成25年7月末日までを稼働期間とする残業代等、(4)前記残業代の一部に相当する付加金等、さらに(5)一審被告被用者(学校長ら)による不法行為を理由とする慰謝料等の各支払を請求し、予備的に解雇が有効だった場合の前記残業代請求についてはその遅延損害金率を退職日翌日以降年14.6%としてその支払を求めた請求をし、一審原告の上記主張に対し、一審被告は、解雇権行使の有効性を主張すると共に、中間収入の存在を主張して解雇通告後の賃金請求権の一部を争い、また基礎賃金額や具体的残業時間を一部否認して残業代の額を争うと共に、発生した残業代については弁済供託の抗弁を主張し、さらに一審原告主張の不法行為成立を否認して、その請求を争い、原審は、一審原告の主位的請求の一部を認容し、その余の請求を棄却したところ、双方が敗訴部分を不服として控訴した事案において、一審原告の一審被告に対する請求は、いずれも理由がないから全部棄却すべきところ、これと異なり、雇用契約上の地位の確認及び解雇通知後本判決確定までの間の毎月の賃金と遅延損害金の支払を認容し、その余を棄却した原判決は、一部失当であり、一審被告の本件控訴は理由があるから、原判決中一審被告敗訴部分を取消して、一審原告の請求を棄却し、一審原告の控訴は理由がなく棄却した事例。
2017.12.12
地位確認等請求事件
(平成29年10月18日東京高等裁判所(平成29年(ネ)第2108号)の原審)
LEX/DB25548078/さいたま地方裁判所 平成29年 4月 6日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第2332号
私立の女子中学校及び女子高等学校等を運営する学校法人たる被告に、数学教師として雇用されたものの、1年間の有期雇用期間を経て無期雇用された後、被告から解雇通知を受けた原告が、主位的に解雇権濫用による解雇無効を主張して、(1)雇用契約上の地位の確認、(2)解雇通知後本判決確定までの間の毎月の賃金等の支払を求めると共に、(3)平成23年7月1日から平成25年7月末日までを稼働期間とする残業代等、(4)前記残業代の一部に相当する付加金等(5)被告被用者(学校長ら)による不法行為を理由とする慰謝料の各支払等を請求し、予備的に解雇が有効だった場合の前記残業代請求についてはその遅延損害金率を退職日翌日以降年14.6%としてその支払を求めた請求をしたのに対し、被告が、解雇権行使の有効性を主張すると共に、中間収入の存在を主張して解雇通告後の賃金請求権の一部を争い、また基礎賃金額や具体的残業時間を一部否認して残業代の額を争うと共に、発生した残業代については弁済供託の抗弁を主張し、さらに原告主張の不法行為成立を否定して、その請求を全面的に争った事案において、原告らの請求は、被告による解雇の無効を前提に、本件雇用契約上の地位あることの確認をすると共に、本件解雇後本件判決が確定するまでの間、未払賃金の支払を求める限度で一部認容し、その余の主位的請求を棄却した事例。
2017.12.12
住居侵入、殺人被告事件
LEX/DB25548075/那覇地方裁判所 平成28年11月22日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第209号
被告人が、深夜、面識のない被害者宅に2階ベランダの施錠されていない扉から侵入した上、ベッドで横になっていた被害者に対し、その左後頸部付近をナイフ(刃体の長さ約18.5センチメートル)で複数回突き刺して殺害したという事案において、被告人は、本件犯行当時、飲酒による酩酊状態のため心神耗弱状態にあったとし、とりわけ無差別的な住居侵入・殺人の犯行であり、犯行態様が残忍な手口によるものである点で本件は被害者1名に対する殺人の事案の中でもかなり重い部類に位置付けられ、処断刑としては無期懲役刑を選択した上で酌量減軽し、懲役14年に処した事例(裁判員裁判)。
2017.12.05
殺人被告事件(妻殺害 夫に無罪判決 那覇地裁)
LEX/DB25547596/那覇地方裁判所 平成29年10月27日 判決 (第一審)/平成28年(わ)第437号
被告人が、深夜、自宅で、妻であるb(当時73歳)に対し、殺意をもって、頸部圧迫による窒息により死亡させたとして起訴され、被告人が犯人であると認められるかが争点となった事案において、検察官の主張を踏まえて、証拠上認定できる事実関係を総合しても、被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは、少なくとも説明が極めて困難である)事実関係が含まれているとはいえず、被告人が犯人であることが合理的疑いを入れない程度に証明されたとは認められないとして、被告人に無罪を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2017.11.28
再生債権査定異議事件
LEX/DB25449050/最高裁判所第一小法廷 平成29年11月16日 判決 (上告審)/平成29年(受)第761号
Y社は、上告人との間で、G社の上告人に対する7億円の借入金債務を連帯保証する旨の契約を締結したが、再生手続開始の申立てをし、その後の再生手続で、上告人が再生債権として届出をした本件連帯保証契約に基づく連帯保証債務履行請求権につき、その額を0円と査定する旨の決定がされたことから、これを不服とする上告人がその変更を求める異議の訴えであり、再生管財人である被上告人が本件連帯保証契約の締結に対し民事再生法127条3項に基づく否認権の行使をすることの可否が争われている事案の上告審において、再生債務者が無償行為等の時に債務超過であること又はその無償行為等により債務超過になることは、民事再生法127条3項に基づく否認権行使の要件ではないと解するのが相当であるとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2017.11.28
殺人未遂(認定罪名傷害)被告事件
(平成29年 5月15日さいたま地方裁判所(平成28年(わ)第1666号)の控訴審)
LEX/DB25547489/東京高等裁判所 平成29年 9月28日 判決 (控訴審)/平成29年(う)第1131号
被告人が、深夜、自宅で、妻(当時78歳)の右肩部、右側腹部及び背部をペティナイフ(刃体の長さ約12.2cm)で各1回突き刺し、全治まで約2か月間を要する右側腹部・背部・右肩部刺創等の傷害を負わせたことにつき、原判決は被告人に傷害の故意があったと認め、被告人を懲役2年6月に処したため、被告人が控訴した事案において、本件行為を「社会的相当行為」であると誤信していた可能性はなく、被告人に対し、傷害罪の成立を認め、被告人に懲役2年6月を言い渡した原判決の量刑が、その刑の執行を猶予しなかった点を含め、重すぎて不当であるとはいえないとして、控訴を棄却した事例。
2017.11.28
殺人未遂被告事件
(平成29年 9月28日東京高等裁判所(平成29年(う)第1131号)の原審)
LEX/DB25547490/さいたま地方裁判所 平成29年 5月15日 判決 (第一審)/平成28年(わ)第1666号
被告人が、深夜、自宅で、妻B(当時78歳)に対し、その右肩部、右側腹部及び背部をペティナイフ(刃体の長さ約12.2センチメートル)で各1回突き刺し、全治まで約2か月間を要する右側腹部・背部・右肩部刺創等の傷害を負わせたとした事案において、被告人は、本件犯行当時、飲酒と睡眠導入剤服用の副作用の影響により自己の行為の危険性を正確に認識する能力が低下し、その結果、本件行為により、被害者の死ぬ危険性が高いことを認識できていなかった可能性が否定できないというべきであり、被告人に殺意があったとは認定できないとしたうえで、刃物による傷害の事案としては、相応に悪質であるとし、被告人を懲役2年6月に処した事例(裁判員裁判)。
2017.11.28
自己情報開示等請求控訴事件
(平成29年 4月19日東京地方裁判所(平成28年(ワ)第40585号)の控訴審)
LEX/DB25547493/東京高等裁判所 平成29年 8月31日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第2516号
被控訴人(被告)が運営する病院で診療を受けたことがある控訴人(原告)が、被控訴人に対し、個人情報の保護に関する法律25条1項に基づき、被控訴人が保有する控訴人に関する診療情報のうち、P4が持参した資料の開示を求め、原判決は、控訴人の開示請求には個人情報保護法25条1項1号の開示しないことができる事由があると認められ、被控訴人はP4が持参した資料を開示しないことができるとし、控訴人の請求を棄却したため、これに不服の控訴人が控訴した事案において、控訴人の本件請求は理由がなく、これを棄却した原判決は相当であるとし、控訴を棄却した事例。
2017.11.28
自己情報開示等請求事件
(平成29年 8月31日東京高等裁判所(平成29年(ネ)第2516号)の原審)
LEX/DB25547492/東京地方裁判所 平成29年 4月19日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第40585号
被告が運営する病院で診療を受けたことがある原告が、被告に対し、個人情報の保護に関する法律25条1項に基づき、被告が保有する原告に関する診療情報のうち、P4が持参した資料の開示を求めた事案において、原告の開示請求には個人情報保護法25条1項1号の開示しないことができる事由があると認められ、被告はP4が持参した資料を開示しないことができるとし、請求を棄却した事例。
2017.11.28
(平成29年 3月29日東京高等裁判所(平成29年(行ス)第1号)の特別抗告審)
LEX/DB25547457/最高裁判所第三小法廷 平成29年 6月30日 決定 (特別抗告審)/平成29年(行卜)第52号
死刑確定者として東京拘置所に収容されている申立人が、相手方(国)に対し、東京拘置所長で、a弁護士(本案第1事件代理人弁護士)又はb弁護士(本案第1事件・第2事件代理人弁護士)による、申立人に対して有罪の言渡しをした確定判決に対する再審の請求の打合せを目的とする、申立人との、東京拘置所の職員の立会いのない約1時間の面会をしたい旨の申出について、東京拘置所の職員を立ち会わせた上での30分の面会しか認めなかった制限は違法であるとして、主位的に、東京拘置所長で、上記目的の面会で、東京拘置所の職員を立ち会わせる措置を執る旨の処分及び面会の時間について制限をする旨の処分をすることの差止めを求めるとともに、東京拘置所長のこれらの行為に処分性が認められない場合に備えて、予備的に、東京拘置所の職員を立ち会わせ、面会の時間について制限を付して面会を許可する処分をすることの差止めを求めた本案事件の各訴えを提起した申立人が、相手方に対し、上記本案の各訴えにおいて差止めを求める各処分の仮の差止めを求め、第1審は、本件再審請求の打合せを目的とした申立人とa弁護士及びb弁護士との面会につき、本案事件の第1審判決の言渡しまで、仮に、東京拘置所の職員を立ち会わせる措置を執る旨の処分をしてはならないことを求める部分の限度で理由があるとし、その限度で認容することとし、その余の主位的申立ては理由がなく、予備的申立ては不適法であるとして却下したため、双方が抗告し、抗告審は双方の各抗告を棄却したことで、申立人が特別抗告した事案において、抗告を棄却した事例。
2017.11.28
各仮の差止めの申立一部却下決定に対する各抗告事件
(平成29年 6月30日最高裁判所第三小法廷(平成29年(行卜)第52号)の原審) 
LEX/DB25547458/東京高等裁判所 平成29年 3月29日 決定 (抗告審)/平成29年(行ス)第1号
死刑確定者として東京拘置所に収容されている原審申立人が、原審相手方(国)に対し、東京拘置所長で、a弁護士(本案第1事件代理人弁護士)又はb弁護士(本案第1事件・第2事件代理人弁護士)による、原審申立人に対して有罪の言渡しをした確定判決に対する再審の請求の打合せを目的とする、原審申立人との、東京拘置所の職員の立会いのない約1時間の面会をしたい旨の申出について、東京拘置所の職員を立ち会わせた上での30分の面会しか認めなかった制限は違法であるとして、主位的に、東京拘置所長で、上記目的の面会で、東京拘置所の職員を立ち会わせる措置を執る旨の処分及び面会の時間について制限をする旨の処分をすることの差止めを求めるとともに、東京拘置所長のこれらの行為に処分性が認められない場合に備えて、予備的に、東京拘置所の職員を立ち会わせ、面会の時間について制限を付して面会を許可する処分をすることの差止めを求めた本案事件の各訴えを提起した申立人が、相手方に対し、上記本案の各訴えにおいて差止めを求める各処分の仮の差止めを求め、第1審は、本件再審請求の打合せを目的とした申立人とa弁護士及びb弁護士との面会につき、本案事件の第1審判決の言渡しまで、仮に、東京拘置所の職員を立ち会わせる措置を執る旨の処分をしてはならないことを求める部分の限度で理由があるとし、その限度で認容することとし、その余の主位的申立ては理由がなく、予備的申立ては不適法であるとして却下したため、双方が抗告した事案において、原決定は相当であるとし、双方の各抗告を棄却した事例。
2017.11.21
九条俳句不掲載損害賠償等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.12月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25547455/さいたま地方裁判所 平成29年10月13日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第1378号
原告が被告(さいたま市)に対し、〔1〕かたばみ三橋俳句会と三橋公民館は、本件句会が三橋公民館に提出した俳句を同公民館が発行する公民館だより(本件たより)に掲載する合意をしたと主張し、同合意に基づき、原告が詠んだ俳句を本件たよりに掲載することを求めるとともに、〔2〕三橋公民館(その職員ら)が、本件俳句を本件たよりに掲載しなかったことにより精神的苦痛を受けたと主張し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払等を求めた事案において、三橋公民館及び桜木公民館の職員らが、原告の思想や信条を理由として、本件俳句を本件たよりに掲載しないという不公正な取扱いをしたことにより、法律上保護される利益である本件俳句が掲載されるとの原告の期待が侵害されたということができるから、三橋公民館が、本件俳句を本件たよりに掲載しなかったことは、国家賠償法上、違法であるとして、原告の請求を一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2017.11.21
損害賠償請求控訴事件 
「新・判例解説Watch」H30.1月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25547456/名古屋高等裁判所 平成29年 9月14日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第796号
名張市議会議員で教育民生委員会に所属する控訴人(原告)が、同委員会で計画された視察旅行の必要性に疑問を感じてその実施に反対意見を述べ、欠席願いを提出した上、同視察旅行を欠席したところ、名張市議会運営委員会が控訴人に対して同欠席について厳重注意処分を決定し、D議長が多数の新聞記者のいる議長室で上記処分の事実を公表するという名誉棄損行為によって精神的苦痛を被ったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、被控訴人(被告。名張市)に対し、慰謝料の支払等を求め、原審は、議会運営委員会が厳重注意処分を決定し、D議長が同処分を公表したことは、控訴人に対する名誉棄損行為に該当するものの、上記処分は地方議会の自律権の範囲内で決定されたものであって、その適否については司法審査が及ばないとして、控訴人の請求を棄却したため、控訴人が控訴した事案において、被控訴人には国家賠償法1条1項による損害賠償責任があるというべきであるとし、控訴人に認められるべき慰謝料の額を50万円の限度としたうえで一部認容とし、その余の請求を棄却すべきところ、これと異なり、控訴人の請求を全部棄却した原判決は失当であるとして、原判決を取り消した事例。
2017.11.21
不当利得返還等請求事件 
LEX/DB25547429/東京地方裁判所 平成29年 9月13日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第17843号
被告から建物を賃貸している原告が、被告に対し、その建物の電気料金として原告が被告に支払った電気料金に過払があったと主張して、不当利得返還請求権に基づき、過払金の返還の支払等を求めた事案において、被告は、原告が被告に支払った電気料金と本件実費の差額分を法律上の原因なく利得し、原告は同額の損失を被ったものというべきであるとし、原告の請求を認容した事例。
2017.11.14
選挙無効請求事件 
LEX/DB25449008/最高裁判所第三小法廷 平成29年10月31日 判決 (上告審)/平成29年(行ツ)第67号
公職選挙法204条の選挙無効訴訟は、選挙人らによる公職の候補者に対する投票の結果としての選挙の効力について、選挙人又は公職の候補者が上記のような無効原因の存在を主張して争う争訟方法であり、同法の規定で一定の年齢に達しない者につき被選挙権を制限していることの憲法適合性については、当該者が自己の被選挙権の侵害を理由にその救済を求めて提起する訴訟においてこれを争うことの可否はおくとしても、同条の選挙無効訴訟において選挙人らが被選挙権の制限に係る当該規定の違憲を主張してこれを争うことは法律上予定されていないというべきであるとし、選挙人が同条の選挙無効訴訟において公職選挙法205条1項所定の選挙無効の原因として本件規定の違憲を主張し得るものとはいえないから、この点に関する論旨は採用することができないとして、本件上告を棄却した事例(意見がある)。
2017.11.14
損害賠償請求事件 
LEX/DB25449009/東京地方裁判所 平成29年10月17日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第19708号
被告の設置運営する警視庁四谷警察署の留置施設に勾留されていた被疑者である原告A及びその弁護人である原告Bが、被告に対し、原告Aが原告B宛ての信書として発信を申し出た信書について、上記留置施設の職員がその内容を検査した上で一部をマスキングしてこれを発信したことが原告らの間の接見交通権を違法に侵害するものであるとして、国家賠償法1条1項に基づき、原告らが賠償金の支払等を求めた事案において、上記マスキングは刑事訴訟法39条1項及び刑事訴訟法224条2項に反する違法なものであるとし、四谷警察署長及びその指示を受けた留置施設職員は、刑事訴訟法225条1項の文言及び趣旨から、弁護人等に対して発する信書であるか否かはあくまで形式的かつ客観的に判断されるべきであることを容易に了解可能であったといえ、職務上尽くすべき注意義務を怠ったというべきであるとして、請求を一部認容した事例。