2018.07.24
強盗殺人被告事件
LEX/DB25449578/最高裁判所第二小法廷 平成30年 7月13日 判決 (上告審)/平成29年(あ)第837号
被告人は、本件ホテル新館2階事務所で、金品を物色するなどしていたところ、同ホテル支配人(当時54歳)に発見されたことから、金品を強取しようと考え、同人に対し、殺意をもって、その頭部を壁面に衝突させ、頸部をひも様のもので絞め付けるなどしてその反抗を抑圧し、同所にあった同人管理の現金約43万2910円を強取し、その際、前記暴行により、同人に遷延性意識障害を伴う右側頭骨骨折、脳挫傷、硬膜下血腫等の傷害を負わせ、前記遷延性意識障害による敗血症に起因する多臓器不全により、入院中の病院で死亡させて殺害したとする事件で、第1審判決は、被告人を本件の犯人と認定した上で、強盗の故意を否定して殺人罪及び現金約26万8000円の窃盗罪を認定し、被告人を懲役18年に処したところ、被告人と検察官の双方が控訴し、第2審判決は、被告人が犯人であることを示す事情は、被告人に犯行の機会があったということしかなく、犯罪の証明が十分ではないとして、第1審判決を事実誤認により破棄し、被告人を無罪とした。これに不服の検察官が上告した事案において、原判決は、全体として、第1審判決の説示を分断して個別に検討するのみで、情況証拠によって認められる一定の推認力を有する間接事実の総合評価という観点からの検討を欠いており、第1審判決の事実認定が論理則、経験則等に照らして不合理であることを十分に示したものと評価することはできないとし、第1審判決に事実誤認があるとした原判断には刑事訴訟法382条の解釈適用を誤った違法があるとして、原判決を破棄し、本件を高等裁判所に差し戻した事例。





















