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2018.01.16
国家賠償請求控訴事件(面会不許可訴訟 第2審も国が敗訴)
LEX/DB25547531/名古屋高等裁判所 平成29年10月 5日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第480号
岐阜刑務所長が岐阜刑務所に収容中の受刑者である控訴人P1とそれ以外の控訴人ら8名との間の各面会を不許可としたことについて、控訴人らが、これらの処分は、いずれも岐阜刑務所長の裁量権の範囲を逸脱し又は裁量権を濫用した違法なものであると主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償を請求した第1事件と、控訴人P1との信書発受を禁じた処分によって生じた損害について、控訴人P1及び控訴人P4らが国賠法1条1項に基づく損害賠償を求めた第2事件からなる事案の控訴審において、本件面会不許可処分は、1審原告P7との面会を除き、刑事収容施設法111条2項に関する岐阜刑務所長の裁量権の範囲を逸脱又は濫用したものであり、少なくとも1審原告P1との関係では、国家賠償法1条1項の適用上も違法な処分というべきであるなどとして、1審原告P7を除く1審原告らの請求を一部認容した事例。
2018.01.09
殺人未遂幇助被告事件
LEX/DB25449154/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月25日 決定 (上告審)/平成28年(あ)第137号
オウム真理教による平成7年の東京都庁郵便小包爆破事件に関与したとして、元信徒の被告人が、殺人未遂と爆発物取締罰則違反の幇助罪に問われたところ、第1審判決は、爆発物製造及び爆発物使用の罪については幇助の意思が認められないから、その幇助罪は成立せず、殺人未遂罪については、幇助の意思が認められ、同罪の幇助罪が成立するとして、被告人に対し懲役5年に処したが、原判決は、被告人が本件当時、本件殺人未遂幇助の意思を有していたとの原判決の認定は、経験則、論理則に反する不合理な推論に基づくものであり、原判決の認定した幇助行為を被告人が行った際、正犯者らが人を殺傷するテロ行為を行うことを認識してこれを幇助したものと認めるにはなお合理的な疑いが残るといわざるを得ず、第1審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとして、第1審判決を破棄し、被告人に対し無罪を言い渡したため、検察官が上告した事案において、原判決は、間接事実からの推論の過程が説得的でないなどとして、第1審判決が説示する間接事実の積み重ねによって殺人未遂幇助の意思を認定することはできないとしたものであり、第1審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があり、控訴審で破棄を免れないものであったことに照らすと、第1審判決を破棄し,被告人に対し無罪の言渡しをした原判断は、結論において是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2018.01.09
再審請求棄却決定に対する即時抗告の決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25449157/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月25日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第587号
a社の実質経営者A及び友人Bと共謀の上、同社の財産に対する徴収職員からの滞納処分の執行を免れる目的で,真実はBに譲渡した事実はないのに,同社が経営する風俗営業店5店舗の営業をBに譲渡したかのように装って同社の財産を隠蔽することを企て、〔1〕4回にわたり,不動産賃貸借契約に関し同社が返還を受け得る賃借保証金債権をBに仮装譲渡し、〔2〕本件店舗の営業主体が同社からBに変更されたかのように装って、79回にわたり、クレジット会社の係員をして、aに帰属すべきクレジット売上金をB名義の口座に振込入金させ、滞納処分の執行を免れる目的で財産を隠蔽した事件で、第1審で、請求人は、A及びBとの共謀の事実を否認し、A公判廷供述やB捜査段階供述の信用性等を争ったが、神戸地裁は、請求人から財産隠蔽のやり方を教えてもらい仮装譲受人としてBを提案された旨のA公判供述、請求人から仮装譲受人になる話を持ち掛けられ了承した旨のB捜査段階供述の信用性を肯定し、共謀の事実を認定した上、請求人を懲役1年6月,執行猶予3年に処したため、請求人は控訴したが、大阪高裁は、控訴棄却の判決を受け、最高裁でも上告棄却の決定を受け、第1審判決は確定(確定判決)したが、請求人は、無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとして、確定判決に対する再審を請求し、新証拠として、Aの陳述書等を提出したが、無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとは到底認められないとして、再審請求を棄却する旨の決定(原々決定)をしたため、請求人からの即時抗告を受けた原審は、事実の取調べとしてAの証人尋問(新証人尋問)を実施した上で、原々決定を取消し、再審を開始する旨の決定(原決定)をしたため、最高裁に特別抗告した事案において、A新供述は、A公判供述の信用性を動揺させるものではなく、その余の新証拠を考え併せてみても、確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせるに足りるものとはいえず、A新供述等の新証拠が、請求人に対し無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとした原判断には、刑事訴訟法435条6号の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ず、原決定を取り消し、即時抗告を棄却した事例。
2018.01.09
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による医療の終了の申立て及び退院の許可の申立て各棄却決定に対する各抗告棄却決定に対する再抗告事件
LEX/DB25449158/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月25日 決定 (再抗告審)/平成29年(医へ)第20号 等
検察官は、対象者が夫と共に居住していた自宅を焼損したが、その際心神耗弱の状態にあったと認めて公訴を提起しない処分をし、地方裁判所に対し、前記行為を対象行為として対象者について医療観察法33条1項の申立てをし、今後服薬を継続するとともに心理社会的な治療を受けることによりその改善の見込みがあり、対象者に対しては手厚い医療が必要であるなどとし、通院による医療の確保は困難であるとして、対象者に対し、入院による医療を受けさせる旨決定し、その後、原々審に対し、対象者から医療観察法による医療の終了の申立てがされ、翌日には指定入院医療機関の管理者から退院の許可の申立てがあり、各申立てを棄却したが(各原々決定)したため、対象者及び指定入院医療機関の管理者がそれぞれ抗告を申し立てたが、原審は、各原々決定と同旨の判断を示して各抗告を棄却した(各原決定)ため、対象者及び指定入院医療機関の管理者がそれぞれ再抗告を申し立てた事案において、各原々決定には、医療観察法51条1項の解釈適用を誤り、本件意見の合理性・妥当性の審査を尽くすことなくこれを排斥した点で、審理不尽の違法があり、これを維持した各原決定にも同様の違法があるというべきであり、この違法は各原決定に影響を及ぼし、各原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められるとして、医療観察法71条2項により、各原決定及び各原々決定を取消し、現在の対象者の状態や治療可能性等に関する審理を尽くした上で同法による医療の終了等の可否を判断させるため、各事件を原々審である地方裁判所に差し戻した事例。
2018.01.09
居住確認等請求本訴、家屋明渡等請求反訴事件
LEX/DB25449141/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月21日 判決 (上告審)/平成29年(受)第491号
本件本訴は、上告人が、被上告人(京都市)の所有する住宅地区改良法2条6項の改良住宅である本件住宅を使用する権利を上告人の母であるAから承継したなどと主張して、被上告人に対し、本件住宅の使用権及び賃料額の確認等を求めるものであり、本件反訴は、被上告人が、本件住宅を占有する上告人に対し、所有権に基づく本件住宅の明渡し及び賃料相当損害金の支払等を求め、原審は、上告人による本件住宅の使用権の承継を否定したため、上告人が上告した事案において、原審の判断は是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2018.01.09
終局決定の変更決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449155/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月21日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第9号
相手方が、変更前決定が確定した後の事情の変更によりこれを維持することが不当になったと主張して、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律117条1項に基づき、変更前決定を変更し、本件申立てを却下するよう求めた事案の許可抗告審において、変更前決定は、その確定後の事情の変更によってこれを維持することが不当となるに至ったと認めるべきであるから、同法117条1項の規定によりこれを変更し、本件申立てを却下するのが相当であるとし、これと同旨の原審の判断は、結論において是認することができるとして、抗告を棄却した事例(補足意見がある)。
2018.01.09
否認権行使請求事件
LEX/DB25449126/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1797号
被上告人(Aの破産管財人)が、本件支払1及び本件支払2について、破産法162条1項1号イの規定により否認権を行使して、上告人に対し、167万8905円及び法定利息の支払を求めたところ、原審は、本件支払1及び本件支払2は、いずれもAの財産である給料債権からの支払であり、これによりAの上告人に対する貸金債務が消滅するから、破産法162条1項の規定による否認権行使の対象となるなどとして、被上告人の請求を、法定利息の一部を除いて認容したため、上告人が上告した事案において、本件会社は、本件差押命令の送達を受けた後も、Aに対し、その給料債権のうち本件支払1に係る部分を除いた全額の弁済をし、これによりAの給料債権が消滅した後、更に差押債権者である上告人に対して本件支払2をしたものであるから、本件支払2は、破産法162条1項の規定による否認権行使の対象とならないというべきであるとして、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、被上告人の請求のうち本件支払2に係る部分を棄却すべきであるとし、原判決を変更した事例。
2018.01.09
現住建造物等放火被告事件
LEX/DB25449139/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 決定 (上告審)/平成28年(あ)第190号
被告人は,2名が現に住居に使用し、かつ、同人らが現にいる居宅(木造トタン葺平屋建、床面積約115.03平方メートル)に延焼し得ることを認識しながら、上記居宅に隣接した作業場建物の軒下に積み上げられていた段ボールに、ライターで着火して火を放ち、その火を上記居宅に燃え移らせて全焼させ、現住建造物等放火罪で起訴された事案において、第1審判決は、量刑事情として、上記居宅に居住していた2名が逃げ切れず一酸化炭素中毒により死亡したことをも考慮し、被告人を懲役13年に処し、原判決は、第1審判決が、刑の量定に当たり,放火行為から人の死亡結果が生じたことを被告人に不利益に考慮したことは、それ自体不当なところはなく、余罪処罰に当たるようなものでもないなどとして是認したため、被告人が上告した事案において、放火により焼損した居宅内にいた2名が一酸化炭素中毒により死亡しており、これを本件の量刑事情として考慮した第1審判決を是認した原判決に違法はないとして、上告を棄却した事例。
2018.01.09
執行停止決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449147/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 決定 (許可抗告審)/平成29年(行フ)第3号
留寿都村議会が、地方自治法127条1項に基づき、同議会の議員である相手方が地方自治法92条の2の規定に該当する旨の決定をしたため、相手方が、その取消しを求める訴えを提起した上、これを本案として、行政事件訴訟法25条2項に基づき、本件決定の効力の停止を求めた事案において、相手方は、原々決定により、本件補欠選挙の投票及び開票がされる前に留寿都村議会の議員の地位を暫定的に回復していたのであり、同選挙について公職選挙法所定の異議の申出の期間が経過しても、相手方が上記地位を喪失することはず、そして、同議会の議員としての職務の遂行が制限されることによって相手方が受ける不利益は、その性質上、金銭賠償によって容易に回復し得ないものであるから、そのような重大な損害を避けるため本件決定の効力を停止する緊急の必要があるとし、原審は、原々決定に対する抗告人の抗告を棄却したため、抗告した事案において、現時点で、相手方はもはや上記議員の地位を回復することができない以上、本件決定の効力の停止を求める利益はないものといわざるを得ないとし、これと異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原決定を破棄し、本件決定の効力を停止するとした原々決定を取消し、相手方の本件申立てを却下した事例(補足意見、反対意見がある)。
2018.01.09
再生計画認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449148/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第19号
抗告人(税理士)を再生債務者とする小規模個人再生における住宅資金特別条項を定めた再生計画について、民事再生法202条2項4号の不認可事由の有無が争われ、原々審は、本件再生計画案が可決された再生計画につき認可の決定をしたため、相手方が即時抗告し、原審は、抗告人が実際には存在しない本件貸付債権を意図的に債権者一覧表に記載するなどの信義則に反する行為により本件再生計画案を可決させた疑いが存するので、本件貸付債権の存否を含め信義則に反する行為の有無につき調査を尽くす必要があるとして、原々決定を取り消し、本件を原々審に差し戻したため、抗告人が抗告した事案において、本件再生計画を認可した原々審の判断は不当であるとして、原々決定を取消し、更に審理を尽くさせるため本件を原々審に差し戻した原審の判断は是認することができるとして、抗告を棄却した事例(補足意見がある)。
2018.01.09
債権仮差押命令を取り消す決定に対する保全抗告審の債権仮差押命令一部認可決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449149/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第10号
相手方(学校用品、教材の販売等を目的とする会社)が、本件違約金条項に基づく違約金債権のうち1億8550万円を被保全債権として、抗告人(土木建築請負業等を主たる事業とする会社)の第三債務者に対する請負代金債権につき、仮差押命令の申立てをし、抗告人は、吸収分割がされたことを理由に、違約金債権に係る債務を負わないと主張した事案の許可抗告審において、抗告人が相手方に対し、本件吸収分割がされたことを理由に本件違約金債権に係る債務を負わないと主張することは、信義則に反して許されず、相手方は、本件吸収分割の後も、抗告人に対して同債務の履行を請求することができるというべきであるとし、原審の判断は、是認することができるとして、抗告を棄却した事例。
2018.01.09
総会決議無効確認等請求本訴,組合理事地位確認請求反訴事件 
LEX/DB25449123/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月18日 判決 (上告審)/平成29年(受)第84号
被上告人(マンションの区分所有者)が、上告人(マンションの管理組合)に対し、理事会決議、総会決議及びその余の決議の無効確認等を求め、被上告人は、理事会決議の無効事由として、決議の内容及び手続の規約違反を主張し、原審は、本件理事会決議、本件総会決議及びその余の決議の無効確認請求を認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件理事会決議は、理事を組合員のうちから総会で選任し、理事の互選により理事長に選任された被上告人につき、本件マンションの管理規約により出席した理事10名の一致により理事長の職を解き、理事としたものであるから、このような決議の内容が本件管理規約に違反するとはいえないとし、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中被上告人の本訴請求に関する部分を破棄し、本件理事会決議の手続の瑕疵の有無等について更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2018.01.09
被爆者健康手帳交付等請求事件 
LEX/DB25449124/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月18日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第404号の1
長崎市に投下された原子爆弾に被爆したとする本件申請者らが、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(被爆者援護法)に基づき被爆者健康手帳の交付及び健康管理手当の認定の各申請をしたところ、長崎市長又は長崎県知事からこれらを却下する旨の処分を受けたため、本件申請者らは被爆者援護法1条3号所定の被爆者の要件を満たすなどと主張して、本件各処分の取消し、被爆者健康手帳の交付の義務付け等を求め、本件申請者らのうち本件訴訟の原審口頭弁論終結前に死亡した者については、それぞれ相続人が相続により本件訴訟における当該者の地位を承継したと主張して、訴訟承継の申立てをし、原審は、本件被相続人らに係る本件各処分の取消し及び被爆者健康手帳交付義務付けの訴えについて、本件各処分の取消しによって回復すべき法律上の利益及び被爆者健康手帳の交付の義務付けを求める法律上の利益は、本件申請者らが被爆者援護法上の被爆者として同法による援護(健康管理手当の支給を含む。)を受ける地位であるところ、同法による援護を受ける地位は被爆者に固有のものであり、一身専属的なものであると解されるから、本件相続人らが本件被相続人らの相続人としてこれを承継することはできず、本件被相続人らが本件各処分の取消しを求める訴訟及び被爆者健康手帳の交付の義務付けを求める訴訟は、本件被相続人らの死亡により当然に終了する。
2018.01.09
被爆者健康手帳交付等請求事件
LEX/DB25449125/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月18日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第404号の2
長崎市に原子爆弾が投下された日の原子爆弾の爆心地付近に在ったなどとするAが、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(被爆者援護法)に基づき被爆者健康手帳の交付及び健康管理手当の認定の各申請をしたところ、長崎市長からこれらを却下する旨の処分を受けたため、Aは被爆者援護法1条2号又は3号所定の被爆者の要件を満たすなどと主張して、本件各処分の取消し等を求め、Aが本件訴訟の第1審口頭弁論終結前に死亡したことから、第1審で、上告人らが相続により本件訴訟におけるAの地位を承継したと主張して、訴訟承継の申立てをし、原審は、本件各処分の取消しによって回復すべき法律上の利益は、Aが被爆者援護法上の被爆者として同法による援護(健康管理手当の支給を含む。)を受ける地位であるところ、同法による援護を受ける地位は被爆者に固有のものであり、一身専属的なものであると解されるから、上告人らがAの相続人としてこれを承継することはできず、本件各処分の取消しを求める訴えは同人の死亡により当然に終了すると判断し、当該訴えにつき訴訟終了宣言をした第1審判決に対する上告人らの控訴を棄却したため、上告人らが上告した事案において、Aは、生前に被爆者健康手帳の交付及び健康管理手当の認定の各申請をしたものであるところ、これらを却下する旨の本件各処分の取消しを求める訴訟の係属中に死亡したのであるから、その相続人である上告人らにおいて、当該訴訟を承継することができるとし、本件各処分の取消しを求める訴えにつき訴訟終了宣言をした第1審判決及びこれを維持した原判決には、いずれも判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるから、原判決中、当該訴えに関する部分を破棄し、同部分に関する第1審判決を取り消し、地方裁判所に差し戻した事例。
2018.01.09
医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定に対する抗告棄却決定に対する再抗告事件
LEX/DB25449140/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月18日 決定 (再抗告審)/平成29年(医へ)第16号
医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定に対し、抗告したが棄却決定となったため、再抗告した事案において、医療観察法の目的の正当性、同法の規定する処遇及びその要件の必要性、合理性、相当性、手続保障の内容等に鑑みれば、医療観察法による処遇制度は、憲法14条、22条1項に違反するものではなく、憲法31条の法意に反するものということもできないとして、抗告を棄却した事例。
2017.12.26
所得税更正処分等取消請求事件 
LEX/DB25449120/最高裁判所第二小法廷 平成29年12月15日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第303号
長期間にわたり馬券を購入し、当たり馬券の払戻金を得ていた被上告人(原告・控訴人)が、平成17年分から同22年分までの所得税の確定申告をし、その際、当たり馬券の払戻金に係る所得は雑所得に該当し、外れ馬券の購入代金が必要経費に当たるとして、総所得金額及び納付すべき税額を計算したところ、所轄税務署長から、本件所得は一時所得に該当し、外れ馬券の購入代金を一時所得に係る総収入金額から控除することはできないとして、上記各年分の所得税に係る各更正並びに同17年分から同21年分までの所得税に係る無申告加算税及び同22年分の所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定を受けたことから、上告人(被告・被控訴人。国)を相手に、上記各更正のうち確定申告額を超える部分及び上記各賦課決定の取消しを求め、第1審判決は、請求を棄却したため、被上告人が控訴し、控訴審判決は、第1審判決を取消し、被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案において、競馬の当たり馬券の払戻金が所得税法35条1項にいう雑所得に当たるとし、競馬の外れ馬券の購入代金は、雑所得である当たり馬券の払戻金を得るため直接に要した費用として、所得税法37条1項にいう必要経費に当たるとし、原審の判断は、是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2017.12.26
建物明渡等請求事件
LEX/DB25449114/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月14日 判決 (上告審)/平成29年(受)第675号
上告人(生コンクリートの製造会社)が、被上告人(一般貨物自動車運送事業会社)に対し、所有権に基づく本件土地の明渡し等を求め、被上告人は、本件土地について、運送委託料債権を被担保債権とする商法521条の留置権が成立すると主張して、上告人の請求を争っている事案の上告審において、不動産は、商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たるとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認できるとして、上告を棄却した事例。
2017.12.26
審決取消請求事件
LEX/DB25449104/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月12日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第233号
被上告人(被告。公正取引委員会)は、上告人を含む事業者らがテレビ用ブラウン管の販売価格に関して国外で合意をすることにより、独占禁止法2条6項所定の「不当な取引制限」(価格カルテル)をしたとして、上告人に対し,独占禁止法7条の2第1項に基づく課徴金納付命令を発したが、上告人が、当該合意について独禁法を適用することはできないなどとして上記課徴金納付命令の取消しを求める審判請求をしたものの、これを棄却する旨の審決を受けたため、被上告人を相手に、上記審決の取消しを求め、原判決は、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件合意は、日本国外で合意されたものではあるものの、我が国の自由競争経済秩序を侵害するものといえるから、本件合意を行った上告人に対し、我が国の独禁法の課徴金納付命令に関する規定の適用があるものとし、また、本件合意の対象である本件ブラウン管が現地製造子会社等に販売され日本国外で引渡しがされたものであっても、その売上額は、独禁法7条の2第1項にいう当該商品の売上額に当たるとし、原審の判断を正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2017.12.26
仲裁判断取消申立て棄却決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25449115/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月12日 決定 (許可抗告審)/平成28年(許)第43号
申立人らと相手方らとの間の一般社団法人日本商事仲裁協会(JCAA)大阪11-02号仲裁事件において、3人の仲裁人の合議体である仲裁廷がした仲裁判断につき、相手方らが、仲裁法44条1項6号所定の事由があるなどとして、その取消しの申立てをしたところ、原々審は、申立てを棄却したため、申立人らが抗告し、原審は、申立人らの申立てを認容し、これと結論を異にする原々審を取消した上で、本件仲裁判断を取り消すこととしたため、相手方らが許可抗告した事案において、仲裁人が、当事者に対して仲裁法18条4項の事実を開示しなかったことについて、同項所定の開示すべき義務に違反したというためには、仲裁手続が終了するまでの間に、仲裁人が当該事実を認識していたか、仲裁人が合理的な範囲の調査を行うことによって当該事実が通常判明し得たことが必要であるとし、本件事実を開示すべき義務に違反したものとした原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定を破棄し、高等裁判所に差し戻した事例。
2017.12.26
詐欺未遂被告事件
LEX/DB25449113/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月11日 決定 (上告審)/平成29年(あ)第1079号
被告人が、氏名不詳者らと共謀の上、A(当時84歳)をして、違約金を支払えばロト6に必ず当たる特別抽選に参加できる旨誤信させ、現金をだまし取ろうとしたが、警察官に相談したAがうそを見破り、現金が入っていない箱を発送したため、その目的を遂げなかった事案において、第1審判決は、被告人は詐欺未遂罪の共同正犯の罪責を負うとは認められないとして、被告人に対し、無罪を言い渡したため、検察官が控訴し、原判決は、被告人が欺罔行為後の共謀に基づき被害者による財物交付の部分のみに関与したという事実関係を認定し、これを前提として、だまされたふり作戦の開始にかかわらず、被告人については詐欺未遂罪の共同正犯が成立するとし、これを認めなかった第1審判決には、判決に影響を及ぼすことの明らかな事実誤認があるとして、第1審判決を破棄し、被告人を懲役3年、執行猶予5年に処したため、被告人が上告した事案において、被告人が共犯者らと共謀の上被害者から現金をだまし取ろうとしたとして、共犯者による欺罔行為の点も含めて詐欺未遂罪の共同正犯の成立を認めた原判決は正当であるとして、上告を棄却した事例。