2019.03.26
損害賠償請求事件
LEX/DB25570097/最高裁判所第三小法廷 平成31年 3月12日 判決 (上告審)/平成30年(受)第269号
統合失調症により精神科の医師である上告人の診療を受けていた患者が、中国の実家に帰省中に自殺したことについて、本件患者の相続人である被上告人らが、上告人には本件患者の自殺を防止するために必要な措置を講ずべき義務を怠った過失があるなどと主張して、上告人に対し、債務不履行又は不法行為に基づき損害賠償を求め、原審は、被上告人らの不法行為に基づく損害賠償請求を一部認容したため、これに不服の上告人が上告した事案で、上告人が、抗精神病薬の服薬量の減量を治療方針として本件患者の診療を継続し、これにより本件患者の症状が悪化する可能性があることを認識していたことを考慮したとしても、被上告人X1からの本件電子メールの内容を認識したことをもって、本件患者の自殺を具体的に予見することができず、上告人に、本件患者の自殺を防止するために必要な措置を講ずべき義務があったとはいえないとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人らの請求を棄却した第1審判決は結論において是認することができるとし、上記部分に関する被上告人らの控訴を棄却した事例。