2020.04.07
損害賠償請求事件
LEX/DB25570799/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月24日 判決 (上告審)/平成30年(受)第388号
本件家屋を所有し、その固定資産税及び都市計画税を納付してきた上告人が、本件家屋の建築当初である昭和58年に行われた本件家屋の評価等に誤りがあったことから、その後の各年度において過大な固定資産税等が課されたなどと主張して、被上告人に対し、固定資産税等の過納金及び弁護士費用相当額等の損害賠償を求め、原審が、除斥期間の起算点である「不法行為の時」は、昭和58年の建築当初の評価行為及び価格決定時であり、遅くとも同年6月30日の価格決定時としたため、上告人が上告した事案で、家屋の評価の誤りに基づき、ある年度の固定資産税等の税額が過大に決定されたことによる損害賠償請求権の除斥期間は、当該年度の固定資産税等に係る賦課決定がされ所有者に納税通知書が交付された時から進行するものであるとし、本件家屋の新築部分の評価の誤りに基づき本件各年度の固定資産税等の税額が過大に決定されたことを理由とする上告人の被上告人に対する損害賠償請求権については、年度ごとに、当該年度の納税通知書が上告人に交付された時から除斥期間が進行することとなるところ、本件各年度における納税通知書の交付の具体的な時点はいずれも明らかでないが、本件訴訟が提起された平成25年1月27日の時点で20年を経過していなかったものがあると考えられる。よって、これと異なる見解の下に、本件各年度の固定資産税等の過納金及び弁護士費用相当額に係る上告人の損害賠償請求をいずれも棄却すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中これに関する部分を破棄し、損害賠償請求権に関し、それぞれ除斥期間が経過したか否か、除斥期間が経過していない場合における当該年度の上告人の損害額等について更に審理を尽くさせるため、平成4年度から同20年度までの各年度の部分につき本件を原審に差し戻した事例。