2020.11.04
地位確認等請求事件
LEX/DB25571116/最高裁判所第一小法廷 令和 2年10月15日 判決 (上告審)/令和1年(受)第777号 等
第1審被告と有期労働契約を締結して勤務している時給制契約社員である第1審原告らが、無期労働契約を締結している労働者(正社員)と第1審原告らとの間で、年末年始勤務手当、病気休暇、夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったと主張して、第1審被告に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る損害賠償を求めるなどの請求をし、原審は、第1審原告らの労働契約上の地位確認請求及び主位的請求はいずれも理由がないとして第1審の判断を維持したうえで、予備的請求につき、第1審の支払額を増加した内容で変更したため、双方が上告した事案において、私傷病による病気休暇として、郵便の業務を担当する正社員に対して有給休暇を与えるものとする一方で、同業務を担当する時給制契約社員に対して無給の休暇のみを与えるものとするという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当であり、原審の判断は正当として是認することができるとし、また、郵便の業務を担当する時給制契約社員である第1審原告らについて、無給の休暇を取得したなどの事実の主張立証がないとして、夏期冬期休暇を与えられないことによる損害が生じたとはいえないとした原審の判断には、不法行為に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決のうち第1審原告らの夏期冬期休暇に係る損害賠償請求に関する部分を破棄し、損害額について更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻すとともに、第1審被告の上告及び第1審原告らのその余の上告を棄却した事例。