2020.06.16
過失運転致傷被告事件
LEX/DB25565650/東京高等裁判所 令和 2年 5月 8日 判決 (控訴審)/令和1年(う)第1029号
被告人は、夜間、普通乗用自動車(被告人車両)を運転し、越谷市内の信号機により交通整理の行われている交差点をさいたま市方面からα方面に向かい直進するに当たり、同交差点の対面信号機の信号表示に留意し、これに従って進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、同信号表示に留意せず、同信号機が赤色の灯火信号を表示しているのを看過したまま漫然時速約40キロメートルで進行した過失により、折から左方道路から信号に従い進行してきたV運転の中型貨物自動車(V車両)に気付かず、同車前部に自車左前部を衝突させ、同人に加療約15日間を要する頚椎・腰椎捻挫の傷害を負わせたとして、原判決は、赤色信号看過の過失があったと認定し、有罪判決をしたため、被告人が控訴した事案において、目撃者であるW及びVの各原審証言に依拠して本件信号機の信号表示を認定するだけの信用性を認めることはできず、原審証拠によって、被告人の赤色信号看過の過失を認定するには、合理的な疑いが残るというべきであり、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があるとして、原判決を破棄し、本件公訴事実については犯罪の証明がないことになるから、被告人に対し、無罪を言渡した事例。