2021.02.24
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25568621/東京高等裁判所 令和 3年 1月21日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第2298号
故Gは、被控訴人会社の従業員であり、平成23年当時、被控訴人会社のH支社に勤務していたところ、同年8月6日に脳幹部出血である本件脳出血を発症して同月7日に死亡した。控訴人Aは故Gの妻、控訴人B及び同Cはその間の子であり、被控訴人E、同D及び同Fは、故Gの死亡当時、いずれも被控訴人会社の取締役であった。本件は、控訴人らが、故Gが本件脳出血を発症して死亡したのは被控訴人会社から長時間にわたる時間外労働を強いられたことによるものであって、被控訴人会社には債務不履行(安全配慮義務違反)が、被控訴人E、同D及び同Fの悪意又は重過失による任務懈怠がそれぞれあったと主張して、被控訴人会社に対しては債務不履行を理由とする損害賠償請求権に基づき、被控訴人E、同D及び同Fに対しては会社法429条1項に基づき、総損害額合計7695万7326円から控訴人らの自認する損益相殺をした後の残額(控訴人Aにつき2634万9030円、控訴人B及び同Cにつき各1923万9331円)及びこれらに対する遅延損害金の連帯支払を求め、原審は、故Gの死亡は被控訴人会社での長時間の時間外労働によるものであったと認定して被控訴人会社の債務不履行責任を肯定する一方、その余の被控訴人らについては、H支社の工場長であり、故Gの直属の上司でもあった被控訴人Fにつき軽過失があったにとどまり、いずれも悪意又は重過失があったとは認められないと判断して会社法429条1項所定の取締役の責任を否定した上、弁護士費用以外の総損害額について、故Gの身体的素因等を理由とする過失相殺の類推適用により7割を減じた額を控訴人らが法定相続分割合により相続し、損益相殺(遺族基礎年金及び遺族厚生年金の合計1120万7066円)をした後の残額に弁護士費用を加算した額(控訴人Aにつき495万円、控訴人B及び同Cにつき各509万9201円)及びこれらに対する遅延損害金の支払を求める限度で控訴人らの被控訴人会社に対する請求を一部認容し、控訴人らのその余の請求をいずれも棄却したところ、これを不服とする控訴人らが本件控訴をした事案で、原判決中、被控訴人会社及び同Fに関する部分は不当であるとし、原判決の認容額を増額した内容で変更し、原判決中、控訴人らの被控訴人E及び同Dに対する請求をいずれも棄却した部分は正当であり、控訴人らのその余の控訴を棄却した事例。