2021.07.06
売却不許可決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25571597/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 6月21日 決定 (許可抗告審)/令和3年(許)第7号
横浜地方裁判所は、平成25年12月27日、Aが所有する本件土地建物につき、Aを債務者とする根抵当権の実行としての競売の開始決定(本件競売事件)をし、Aは、平成26年6月18日、破産手続開始の決定を受け、同年9月18日、破産手続廃止の決定を受けた。Aは、同日、免責許可の決定を受け、同決定はその後確定した。上記根抵当権の被担保債権は、上記免責許可の決定の効力を受けるものである。その後、Aは、平成27年2月23日に死亡し、その子である抗告人等がAを相続した。執行官は、令和2年12月1日午前9時に開かれた本件競売事件の開札期日において、抗告人を最高価買受申出人と定めた。そして、執行裁判所は、令和2年12月21日、本件競売事件の債務者であったAの相続人である抗告人は上記土地建物を買い受ける資格を有せず、民事執行法188条において準用する同法71条2号に掲げる売却不許可事由があるとして、抗告人に対する売却不許可決定をしたため、抗告人が執行抗告をしたところ、原審は、抗告人の執行抗告を棄却したため、抗告人が許可抗告をした事案で、担保不動産競売の債務者が免責許可の決定を受け、同競売の基礎となった担保権の被担保債権が上記決定の効力を受ける場合には、当該債務者の相続人は被担保債権を弁済する責任を負わず、債権者がその強制的実現を図ることもできなくなるから、上記相続人に対して目的不動産の買受けよりも被担保債権の弁済を優先すべきであるとはいえないし、上記相続人に買受けを認めたとしても同一の債権の債権者の申立てにより更に強制競売が行われることはなく、上記相続人に買受けの申出を認める必要性に乏しいとはいえず、また、上記相続人については、代金不納付により競売手続の進行を阻害するおそれが類型的に高いとも考えられず、上記の場合、上記債務者の相続人は、民事執行法188条において準用する同法68条にいう「債務者」に当たらないと判示し、これと異なる見解の原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定を破棄し、原々決定を取消した上、その他の売却不許可事由の有無につき審理を尽くさせるため,本件を原々審に差し戻すこととした事例。