2022.02.01
不正指令電磁的記録保管被告事件
LEX/DB25571911/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 1月20日 判決 (上告審)/令和2年(あ)第457号
インターネット上のウェブサイト『X』の運営者である被告人が、Xの収入源としてコインハイブによるマイニングの仕組みを導入するために本件プログラムコードをサーバコンピュータに保管した行為について、不正指令電磁的記録保管罪に問われ(主な争点は、本件プログラムコードが、刑法168条の2第1項(本件規定)にいう「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」に当たるか否か)、第1審判決は無罪を言い渡したが、これに不服の検察官が控訴し、控訴審判決は、第1審判決が刑法168条の2第1項の解釈を誤り、事実誤認をしたものであるとして、第1審判決を破棄し、被告人を罰金10万円に処したため、被告人が上告した事案で、本件プログラムコードは、反意図性は認められるが、不正性は認められないため、不正指令電磁的記録とは認められないとし、原判決は、不正指令電磁的記録の解釈を誤り、その該当性を判断する際に考慮すべき事情を適切に考慮しなかったため、重大な事実誤認をしたものというべきであり、これらが判決に影響を及ぼすことは明らかであって,原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとして、刑事訴訟法411条1号、3号により原判決を破棄することとし、本件プログラムコードの不正指令電磁的記録該当性を否定して被告人を無罪とした第1審判決は是認することができ、本件規定の解釈適用の誤りや事実誤認を主張する検察官の控訴は理由がないことに帰するから、刑事訴訟法413条ただし書、414条、396条によりこれを棄却した事例。