2022.09.13
損害賠償請求事件、共同訴訟参加事件
LEX/DB25593168/東京地方裁判所 令和 4年 7月13日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第6274号 等
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う津波によって、東京電力が設置、運転する福島第一原子力発電所が破壊され、炉心損傷ないし炉心溶融に至ったこと等により、原子炉から放射性物質を大量に放出する事故が発生したことについて、東京電力の株主である原告らが、東京電力の取締役であった被告らにおいて、福島県沖で大規模地震が発生し、福島第一原発に津波が遡上して過酷事故(原子炉から放射性物質を大量に放出する事故)が発生することを予見し得たから、そのような過酷事故の防止に必要な対策を福島第一原発に速やかに講ずべきであったのに、これを怠った取締役としての善管注意義務違反等の任務懈怠があり、これにより、本件事故が発生し、東京電力に巨額の損害賠償責任や大幅に増加した廃炉費用の負担を余儀なくさせるなどの損害を被らせ、その損害額は22兆円を下らないなどと主張し、会社法847条3項に基づき、同法423条1項の損害賠償請求として、被告らに対し、連帯して、損害金22兆円及び遅延損害金を東京電力に支払うよう求めた株主代表訴訟の事案で、被告W4、被告W3、被告W1及び被告W2が、それぞれの任務懈怠の時点(被告W4は平成20年7月31日以降、被告W3は平成20年8月上旬頃以降、被告W1及び被告W2は平成21年2月11日以降)において、東京電力の取締役としての善管注意義務に従い、W4決定を前提とし、福島第一原発1号機~4号機に明治三陸試計算結果と同様の津波が襲来することを想定して、これにより全交流電源喪失(SBO)及び主な直流電源喪失となることを防止する対策を速やかに講ずるよう指示等を行っていたならば、本件事故を回避し得たであろうことを是認し得る高度の蓋然性が認められるから、上記被告らの任務懈怠と本件事故発生との間には因果関係が存在するとして、被告W4、被告W3、被告W1及び被告W2は、いずれも本件事故により東京電力に生じた損害を賠償する責任を負うとして、原告らの請求は、被告W1、被告W2、被告W3及び被告W4に対し、13兆3210億円及びこれに対する平成29年6月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を連帯して東京電力に支払うよう求める限度で一部認容することとし、被告W1、被告W2、被告W3及び被告W4に対するその余の請求並びに被告W5に対する請求はいずれも棄却した事例。