2022.06.07
国家賠償請求事件
★「新・判例解説Watch」憲法分野 令和4年8月上旬頃解説記事の掲載を予定しております★
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LEX/DB25592297/東京地方裁判所 令和 4年 5月16日 判決 (第一審)/令和3年(ワ)第7039号
東京都知事は、新型コロナウイルス感染症のまん延防止対策としての緊急事態宣言期間中であった令和3年3月18日、都内で経営する飲食店において、被告が行った営業時間短縮の要請に応じなかった原告に対し、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)45条3項に基づき、原告の施設(店舗)を午後8時から翌日午前5時までの間の営業のために使用することを停止する旨の命令を発出したことに対し、原告が、上記要請に応じない正当な理由があったこと、上記命令の発出は特に必要があったと認められないことなどの理由で、同命令は違法であり、また、特措法及び同命令は営業の自由、表現の自由等の基本的人権を侵害するなどの理由で違憲であるところ、同命令に従い営業時間を短縮したために売上高が減少し、営業損害を被ったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、被告に対し、上記損害の一部である104円の支払を求めた事案で、特措法45条3項の原告に対する命令(本件命令)は、特措法45条3項の「特に必要があると認めるとき」の要件に該当せず違法であるが、都知事が本件命令を発出するに当たり過失があるとまではいえず、職務上の注意義務に違反したとは認められないとし、特措法及び本件命令の違憲性については、特措法45条2項及び3項所定の規制は、同法の目的に照らして不合理な手段であるとはいえないから、これら各条項が原告の営業の自由を侵害し、法令違憲であるとは認められず、また、本件命令は原告の表現の自由に対する過度な干渉として憲法21条1項に違反すると認めることはできないとして、原告の請求を棄却した事例。