2022.08.02
準強制わいせつ被告事件
LEX/DB25592514/津地方裁判所 令和 4年 5月11日 判決 (第二次第一審)/令和3年(わ)第147号
被告人が、当時の被告人方において、実子であるA(当時14歳)が就寝中のため抗拒不能の状態であることに乗じ、そのパンティーの中に手を入れて同人の膣内に手指を挿入し、もって同人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をしたというもので、差戻し前第一審判決は、A証言は十分な信用性があり、弁護人の主張や指摘を踏まえても合理的な疑いはないとして、ほぼ本件公訴事実どおりの事実を認定し、被告人を懲役3年6月に処したため、弁護人が控訴し、控訴審判決は、差戻し前の第一審においては、Aの公判証言の信用性を吟味するために必要な審理が尽くされていなかったと結論付け、差戻しを命じ、差戻し後の第一審の事案で、控訴審判決の指摘に基づいて証拠調べを行ったものの、控訴審が指摘していた、Aの公判証言の信用性に疑いがあることにつながる事情や見方は解消されないままであり、公訴事実記載の行為に関するAの被害供述について、その信用性に看過し得ない疑問が残るといわざるを得ないとし、差戻し前の第一審及び当審において取り調べた証拠を総合しても、被告人によるAに対する公訴事実記載の行為を立証する直接証拠であるAの被害供述の信用性には疑問が残り、他に被告人がAに対して公訴事実記載の行為に及んだことを認めるに足りる証拠はないことから、被告人が公訴事実記載の犯行を行ったと断定するには、なお合理的な疑いが残るというべきであるとして、本件公訴事実について犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法336条により被告人に対し無罪の言渡しをした事例。