「LEX/DBインターネット」の「新着判例」コーナー
から、実務・研究上重要と思われる「注目の判例」を
ピックアップしてご紹介します。

その他の最新収録判例は、「LEX/DBインターネット」
ログイン後のデータベース選択画面にあります
「新着判例」コーナーでご確認いただけます。

「LEX/DBインターネット」の詳細は、こちらからご確認いただけます。

2013.10.29
 
LEX/DB25501723 / 最高裁判所第三小法廷 平成25年 9月 3日 決定 (上告審) / 平成23年(あ)第2144号
 一審判決が有罪の根拠とした間接事実の一部に事実誤認があり、かつ、関係証拠から認められる間接事実によっては、被告人が放火犯人であると合理的な疑いを超えて立証されたとは認め難いことから、被告人を放火の犯人であると認定した一審判決の事実認定は、論理則、経験則等に照らして不合理であるとして、一審判決中有罪部分を破棄し、公訴事実中現住建造物等放火の点について、被告人に無罪の言渡しをした原判決に対する検察官上告につき、検察官の上告趣意は、判例違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとして、上告を棄却した事例。
2013.10.29
公文書変造・同行使(変更後の予備的訴因有印公文書偽造・同行使)、有印私文書偽造・同行使、業務上横領被告事件
LEX/DB25501697 / 岡山地方裁判所 平成25年 8月28日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第736号等
 岡山弁護士会所属の弁護士であった被告人が、受任した事件の依頼者やその相手方等から、当面の生活費の支払や本来は後に支払われるべき賠償金の内払いなどを求められ、安易にこれに応じて立替金の名目で金銭を支払ったことに端を発して、次第に経済的に逼迫し、その結果、犯したとされた、公文書変造・同行使、有印私文書偽造・同行使、業務上横領被告事件の事案において、本件における各犯行は、交通事故等によって、大きな痛手を負った被害者らの今後の生活を支えるために不可欠な賠償金や保険金等を、被害者等が置かれた状況を十分に承知しながら繰り返し横領し、被害者等をさらなる窮状に陥れたものであり、このような犯行は、依頼者の権利利益を実現すべき弁護士の職責に真っ向から反するものである等として、その態様は悪質であり、強い非難に値するなどとして、被告人を懲役14年に処した事例。
2013.10.29
地位確認等請求事件
LEX/DB25501644 / 札幌地方裁判所 平成25年 7月30日 判決 (第一審) / 平成23年(ワ)第3390号
 被告(郵便事業株式会社を承継した会社)に期間雇用社員として雇用され、雇用期間を概ね6か月として契約更新を繰り返してきた原告が、同社の経営改善の必要上、人件費削減のために、雇用期間満了をもって雇止めとされたことは許されないとして、被告に対し、雇用契約上の権利を有する地位の確認並びに雇止め後から判決確定日までの月額賃金、賞与の支払い及び遅延損害金の支払いを求めた事案において、原告の雇止めは、雇止め回避のための努力を十分に尽くさなかったものであり、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、許されないとして、原告の請求を全部認容した事例。
2013.10.29
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25501642 / 広島高等裁判所 平成25年 7月18日 判決 (控訴審) / 平成23年(ネ)第251号
 事務系の女性従業員として被控訴人(一審被告、電力会社)に雇用され、営業所に勤務している控訴人(一審原告)が、職能等級の昇格、職位の昇進において、女性であることを理由に不当な差別的取扱いを受けて、本来あるべきものより低い職能等級及び職位にされているなどとして、被控訴人に対し、不法行為に基づく損害賠償等の支払い、過去の一定の時期から現在まで一定の職能等級にあること及び主任の職位にあることの確認を求め、原審は、確認を求める訴えは不適法であるとして却下し、その余の請求を棄却したとの事案において、原判決を変更し、確認を求める訴えについて期間を特定した上で却下し、その余の請求を棄却した事例。
2013.10.29
愛知県青少年保護育成条例違反被告事件
LEX/DB25501722 / 名古屋高等裁判所 平成25年 7月 9日 判決 (控訴審) / 平成25年(う)第88号
 被告人が経営していた塾の冬期講習に通っていた少女Aが、進学した高校の授業についていけなかったことから、個人的に指導を依頼し、勉強を教えてもらい、1学期の期末テストの結果報告のため、塾を訪れた際、被告人が、Aの乳房をもんだり、乳首をなめたり、陰部に手の指を挿入するなどし、青少年に対して、わいせつ行為をしたという事案の控訴審において、原判決が、原判示の事実に沿うAの供述に信用性を認め、原判示の事実を認定したことは正当であり、(事実認定の補足説明)で認定説示するところも、論理則及び経験則に反した不合理な点はなく、概ね正当として是認することができるとして、被告人の控訴を棄却した事例。
2013.10.29
各爆発物取締罰則違反被告事件
LEX/DB25501728 / 東京高等裁判所 平成25年 6月27日 判決 (第二次控訴審) / 平成22年(う)第2280号
 中核派の構成員である被告人3名が、同派の構成員らと共謀の上、昭和61年4月15日及び同年5月4日、在日米軍横田基地と東京サミットの行事開催中の迎賓館に向けて、各5発の金属製砲弾を順次発射し、うち1個を同基地内に、5個を迎賓館周辺の道路等に着弾させて爆発させ、爆発物を使用したという爆発物取締罰則違反2件の事案の第二次控訴審において、事実誤認の論旨は理由がないとして、被告人らの各控訴を棄却した事例。
2013.10.29
住居侵入、強盗殺人被告事件
LEX/DB25501724 / 東京高等裁判所 平成25年 6月20日 判決 (控訴審) / 平成23年(う)第773号
 被告人が、金品を強奪する目的で、被害者方へ侵入し、室内で寝ていた被害者の首を包丁で突き刺して殺害した、という住居侵入、強盗殺人の事案の控訴審において、本件が重大かつ冷酷非情な犯行であり、被告人には二人の生命を奪った前科があることを十分に考慮しても、なお、死刑を選択することが真にやむを得ないものとはいえないとして、原判決(死刑)を破棄し、被告人を無期懲役に処した事例。
2013.10.29
甲州市における工場からの騒音・低周波音による健康被害責任裁定申請事件
LEX/DB25501741 / 公害等調整委員会 平成25年 5月28日 / 平成23年(セ)第13号
 申請人が、自宅に隣接する被申請人のミネラルウォーター製造工場から発せられる騒音・低周波音により、頭痛、耳鳴り等の健康被害を被ったと主張して、被申請人に対し、不法行為に基づき、慰謝料等の損害賠償を求めた事案において、本件工場の操業によって申請人が受けた騒音被害が社会生活上受忍すべき程度を超えるものということはできず、被申請人が一定の騒音を発生させていることが違法であるということもできないとして、申請人の裁定申請を棄却した事例。
2013.10.29
生活保護申請却下処分取消等請求事件、損害賠償請求事件(枚方生活保護自動車保有訴訟事件)
LEX/DB25501597 / 大阪地方裁判所 平成25年 4月19日 判決 (第一審) / 平成22年(行ウ)第35号等
 生活保護を廃止する処分を受けた原告が、再度生活保護の申請を行ったところ、本件第二次申請を却下する処分を受けたことから、被告に対し、本件却下処分が違法であるとして、その取消しを求めるとともに、損害賠償を求めた事案において、原告は、本件指示及び本件廃止処分当時、「障害の状況により利用し得る公共交通機関が全くないか又は公共交通機関を利用することが著しく困難であり、自動車による以外に通院等を行うことが極めて困難であることが明らかに認められる」場合に該当していたと認められ、自動車保有要件をいずれも充足していたものであり、原告に対して本件自動車の処分を指示した本件指示は、生活保護法4条1項の解釈適用を誤った違法なものであり、原告が本件指示に従わないことを理由としてされた本件廃止処分も違法であるとし、請求を一部認容した事例。
2013.10.29
北海道石狩市花川東地先内の砂利採取計画不認可処分に対する取消裁定申請事件
LEX/DB25500965 / 公害等調整委員会 平成25年 3月11日 / 平成24年(フ)第1号
 申請人が、砂利採取法16条に基づき砂利採取計画の認可申請をしたところ、不認可処分を受けたことから、同処分を取り消すとの裁定を求めた事案において、砂利採取跡地の埋戻しの履行を担保する保証措置を具体的に裏付ける書面を提出することを砂利採取認可の要件とする条例の条項は、当該地方公共団体の砂利採取の実情に適合した有効かつ合理的なものであり、かつ、確実な埋戻しを図るための必要最小限度の規制方法で、それによって砂利採取業者に過大な負担や不当な義務を負わせるものではないときは、砂利採取法及び砂利の採取計画等に関する規則との間に矛盾抵触はなく、適法であるとして、申立人の本件裁定申請を棄却した事例。
2013.10.29
愛知県青少年保護育成条例違反被告事件
LEX/DB25501721 / 名古屋地方裁判所 平成25年 2月18日 判決 (第一審) / 平成23年(わ)第2603号
 被告人は、A(当時15歳)が18歳に満たない青少年であることを知りながら、愛知県において、単に自己の性的欲望を満たすだけの目的で、Aの乳房をもんだり、乳首をなめたり、陰部に手の指を挿入するなどし、もって青少年に対して、わいせつな行為をしたとして、被告人を懲役6か月(執行猶予3年)に処した事例。
2013.10.22
著作権侵害差止等請求事件
LEX/DB25445900 / 東京地方裁判所 平成25年 9月30日 判決 (第一審) / 平成24年(ワ)第33525号
 小説家・漫画家・漫画原作者である原告らが、法人被告らは、権利者の許諾を受けることなくスキャナーで書籍を読み取って電子ファイルを作成し、依頼者に納品しているから、注文を受けた書籍には、原告作品が多数含まれている蓋然性が高いなどとして、第三者から委託を受けて原告作品が印刷された書籍を電子的方法により複製することの禁止等を求めた事案において、本件における複製は、書籍を電子ファイル化するという点に特色があり、電子ファイル化の作業が複製における枢要な行為というべきであるところ、その枢要な行為をしているのは、法人被告らであって利用者でなく、法人被告らを複製の主体と認めるのが相当であるとし、請求を一部認容した事例。
2013.10.22
住民票記載義務付け等請求事件
LEX/DB25445893 / 最高裁判所第一小法廷 平成25年 9月26日 判決 (上告審) / 平成24年(行ツ)第399号
 原告(控訴人、上告人)父が、原告母との間の子である原告子に係る出生の届出をしたが、戸籍法49条2項1号所定の届書の記載事項を記載しなかったため受理されなかったところ、原告らが、同号の規定のうち届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載すべきものと定める部分(本件規定)は憲法14条1項に違反するなどと主張して、被告ら(控訴人、被上告人)に対し慰謝料を求めたところ、原判決が、訴えを却下した第一審判決を維持し、控訴を棄却したため、原告らが上告した事案において、本件規定は、法律婚主義の制度の下における身分関係及び戸籍処理上の差異を踏まえ、戸籍事務を管掌する市長村長の事務処理の便宜に資するものとして、出生の届出に係る届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載すべきことを定めているにとどまり、本件規定それ自体によって、嫡出でない子について嫡出子との間で子又はその父母の法的地位に差異がもたらされるものとはいえず、憲法14条1項に違反するものではないとし、上告を棄却した事例(補足意見あり)。
2013.10.22
審決取消請求事件(発明等名称:グラム)
LEX/DB25445919 / 知的財産高等裁判所 平成25年 9月25日 判決 (第一審) / 平成25年(行ケ)第10031号
 本件商標の商標権者である原告が、商標法50条1項に基づき商標登録を取り消した審決の取消しを求めた事案において、本件商標の通常使用権者は、本件審判請求登録前3年以内に、本件商標と社会通念上同一の商標である本件使用商標を表示した本件下げ札を付した本件商品を日本国内所在の製造委託者に譲渡し、さらに製造委託者が本件商品を小売業者に販売したもので、本件商標の指定商品中「被服」に本件商標を使用したものと認められるとして、上記審決を取り消した事例。
2013.10.22
 
LEX/DB25501693 / 最高裁判所第一小法廷 平成25年 7月22日 決定 (上告審) / 平成25年(あ)第495号
 被告人が、アスペルガー障害を有し、長期間引きこもりの生活をしていたところ、その精神障害の影響で姉である被害者の言動が自分に対する嫌がらせであるなどと受け止め、いわれない憎しみを募らせた末に殺害を決意し、あらかじめ包丁を準備して、被害者が自宅を訪れるのを待ち受けた上で、何ら落ち度のない被害者に対し、執ように包丁で切りつけて殺害したとされた事案の上告審において、弁護人の上告趣意は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、量刑不当の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとして、本件上告を棄却した事例。
2013.10.22
殺人被告事件
LEX/DB25501736 / 横浜地方裁判所 平成25年 7月10日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第298号
 被告人が、77歳の妻の認知症の症状を悲観して、無理心中を企て、睡眠薬で入眠させた妻を両手で絞殺したという事案において、とりわけ本件犯行の経緯に関する酌むべき事情を考慮しても、罪質や結果の重大性、犯行態様の悪質性等を踏まえると、本件について刑の執行を猶予することは相当でないとして、被告人を懲役2年6か月に処した事例。
2013.10.22
公務外認定取消請求事件
LEX/DB25501699 / 神戸地方裁判所 平成25年 6月25日 判決 (第一審) / 平成22年(行ウ)第71号
 原告が、豊岡市職員であった亡夫の自殺は、公務に伴う心理的負荷によって罹患したうつ病の自殺念慮の発作から引き起こされたものであるとして、地方公務員災害補償法に基づく公務上災害認定請求をしたところ、処分行政庁は、同人の自殺を公務外の災害と認定する処分をしたため、被告(地方公務員災害補償基金)に対して同処分の取消しを求めた事案において、同人は、うつ病によって正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、又は自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態で自殺が行われたものと推定され、公務起因性を認めることができるとして、原告の請求を全部認容した事例。
2013.10.22
損害賠償請求事件
LEX/DB25501616 / 広島地方裁判所 平成25年 5月 8日 判決 (第一審) / 平成23年(ワ)第1371号等
 株式会社Tとの間で金銭消費貸借取引を継続して行ってきた者やその相続人が原告となって、同取引においてT社の取締役らであった被告らが利息制限法違反となるような利息請求を継続し、同取引に基づいて発生する過払金の額を増大させたことは、会社法429条所定の悪意・重過失による任務懈怠に当たるとして、被告らに対し、その損害の賠償を求めた事案において、過払金返還請求を行っていない顧客との取引についてまで、あらかじめ被告らに引き直し計算をすべき義務があると解することは、不可能ないし著しい困難を強いる結果となるものであるし、前提条件の定め方如何によっては、引き直し計算を行うこと自体がT社の利益を損なう行為として任務懈怠責任を問われかねないものであるから、被告らに引き直し計算を行うべき法的義務があったとは認めることはできないなどとして、原告等の請求をいずれも棄却した事例。
2013.10.22
業務上過失致死被告事件
LEX/DB25501614 / 東京地方裁判所 平成25年 3月 4日 判決 (第一審) / 平成23年(刑わ)第2213号
 歯科医師である被告人が、インプラント手術の際、業務上の注意義務に違反して、ドリルで被害者の口腔底内の血管を損傷し、被害者を死亡させたという事案において、被告人には、手術に当たり、オトガイ下動脈等の血管を損傷する危険性を認識した上で、これらの血管を損傷することのないよう、ドリルを挿入する角度及び深度を適切に調整して埋入窩を形成すべき業務上の注意義務があるのに、これを怠り、ドリルを挿入する角度及び深度を適切に調整せず、右下顎骨の舌側近心方向にドリルを挿入し、右下顎第1小臼歯根尖下方の舌側皮質骨を穿孔してドリルを口腔底の軟組織に突出させた過失があるというべきであるとして、業務上過失致死罪の成立を認めて、被告人を禁錮1年6月に処し、執行猶予3年を言い渡した事例。
2013.10.15
各損害賠償等請求事件(発明等名称:洗濯機)
LEX/DB25445891 / 東京地方裁判所 平成25年 9月12日 判決 (第一審) / 平成23年(ワ)第8085号等
 洗濯機等に関する6の特許権を共有する原告らが、被告らによる洗濯機の製造、譲渡又は譲渡等の申出がその特許権を侵害するとして、不法行為による損害賠償請求権又は不当利得による利得金返還請求権に基づき、(1)被告三菱電機株式会社、同株式会社三菱電機ライフネットワーク及び同日本建鐵株式会社に対し、損害金及び利得金並びに遅延損害金の連帯支払、を求めた事案において、被告三菱電機は、被告製品4及び5に係る被告日本建鐵、同ライフネットワーク及び同住環境システムズのそれぞれの譲渡を幇助したものということができ、被告三菱電機は、被告日本建鐵と共に、被告製品4及び5を開発したのであるから、先行技術を調査するなどして上記各譲渡を幇助すべきでなかったのに、漫然と幇助した過失も認められるとし、被告らは、民法719条の共同不法行為として、連帯して損害賠償責任を負うものとして、原告らの請求を一部認容した事例。