2014.02.04
道路交通法違反被告事件に係る略式命令に対する非常上告事件
LEX/DB25446153/最高裁判所第一小法廷 平成26年 1月20日 判決 (第一審)/平成25年(さ)第4号
公訴提起当時、少年であった被告人が、道路標識により右折方向への車両の通行を禁止されている交差点において、同標識を確認しこれに従うべき注意義務があるのに、同標識を確認しなかった過失により、通行禁止場所であることに気付かないで、普通乗用自動車を運転して右折通行した事実は、罰金以下の刑に当たる罪の事件であり、少年法20条1項の趣旨に照らし、検察官が家庭裁判所から送致を受けた故意による通行禁止違反の事実と同一性が認められるからといって、公訴を提起することは許されなかったものと解するほかはなく、略式命令の請求を受けた簡易裁判所は、前記事実につき刑事訴訟法463条1項、338条4号により公訴棄却の判決をすべきであったが、これをしなかった原略式命令は、法令に違反し、かつ、被告人のために不利益であることが明らかであり、本件非常上告は理由があるから、刑事訴訟法458条1号により原略式命令を破棄し、原略式命令の罪となるべき事実中、被告人が普通乗用自動車を運転して過失により通行禁止場所を通行したとの事実につき、刑事訴訟法338条4号により公訴を棄却し、罰金20万円に処し、被告人は原略式命令当時少年であったから、少年法54条により労役場留置の言渡しをしないこととした事例。