2025.08.19
死体遺棄幇助、死体損壊幇助被告事件
★「新・判例解説Watch」刑法分野 令和7年10月中旬頃解説記事の掲載を予定しております★
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LEX/DB25574350/札幌地方裁判所 令和 7年 5月 7日 判決(第一審)/令和6年(わ)第156号
被告人は、夫である分離前の相被告人A方において、娘である分離前の相被告人Bと同居して生活していたものであるが、(1)Bが、前記A方において、かねて殺害したCの死体の胴体から切断し同所に持ち込んでいた同人の頭部を継続して隠匿し、もって死体を遺棄した際、その情を知りながら、同所において、Bの前記隠匿を容認し、もって同人の死体遺棄の犯行を容易にさせて幇助し、(2)Bが、同所において、多機能ナイフ等を使用するなどして、前記Cの頭部から右眼球を摘出し、もって死体を損壊した際、これに先立つ同日、A方浴室においてビデオ撮影しながら前記死体損壊をすることを計画していたBから、同ビデオ撮影をするよう求められ、その情を認識しながら、Aに対し、Bの前記求めを伝えて同ビデオ撮影を依頼し、これを承諾したAに、Bの前記死体損壊の場面をビデオ撮影させ、もって同人の死体損壊の犯行を容易にさせて幇助したとして、死体遺棄幇助、死体損壊幇助の罪で懲役1年6か月を求刑された事案で、被告人の行為や態度は、Bの前記死体遺棄の犯行を容易にさせ、また、死体損壊の犯意を増強させてこれを心理的に幇助したものと認定評価でき、被告人の幇助の故意に欠けるところもないから、被告人には死体遺棄幇助罪及び死体損壊幇助罪が成立するとしたうえで、被告人が幇助したBの犯行は常軌を逸する犯行であり、刑法190条に係る犯行の中で犯情は非常に悪く、被告人の幇助行為をみると、Bの犯意を促進した程度も小さくなかったとみるべきである一方、死体損壊幇助の点は、物理的に幇助したとはいえないし、Aに比べれば、Bの死体損壊を促進した程度は小さく、Bの犯行を止めなかったことについて後悔を述べているなど、更生可能性に関する事情も加味するとして、被告人を懲役1年2か月に処し、3年間その刑の執行を猶予した事例。