2024.10.29
短期売買利益提供請求控訴事件(東京機械製作所からの主要株主に対する短期売買利益提供請求事件控訴審判決)
LEX/DB25620953/東京高等裁判所 令和 6年 7月31日 判決 (控訴審)/令和5年(ネ)第6191号
上場会社である被控訴人(原告)が、被控訴人の主要株主である控訴人(被告)が被控訴人発行の株式を自己の計算において買い付けて、その後6か月以内にこれを売り付けて利益を得たと主張して、控訴人に対し、金融商品取引法164条1項に基づき、当該利益及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたところ、原判決が被控訴人の請求を認容したことから、控訴人が控訴した事案で、証券取引法164条1項は、証券取引市場の公平性、公正性を維持するとともに、これに対する一般投資家の信頼を確保するという目的による規制を定めるところ、その規制目的は正当であり、また、その規制手段は、売買取引自体を制限するものではなく、一定期間内に行われた取引から得た利益の提供を求めることによって当該利益の保持を制限することにとどまるものであって、それ以上の財産上の不利益を課するものではなく、上記の立法目的達成のための手段として必要性又は合理性に欠けるものではないから、同項は公共の福祉に適合する制限を定めたものであって、憲法29条に違反するものではなく、以上の理は、現行の金商法164条1項についても同様に妥当するものと解され、したがって、本件売付けについて同項の適用を認めることにつき、同項の規制目的とは明らかに関連性のない手段・内容の規制が生じているか、またはそれが同項の目的に照らし過剰規制であるという控訴人の主張は、いずれも採用することができず、本件売付けについては、類型的適用除外取引に該当すると認めることはできないなどとして、本件控訴を棄却した事例。