2014.04.30
建造物侵入、現住建造物等放火、殺人未遂、公務執行妨害被告事件
LEX/DB25503140/神戸地方裁判所 平成26年2月7日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第627号等
固定資産税等を滞納したことにより、市から被告人名義の預金債権の差押えを受けたことに不満を持ち、大量のガソリンを使用し不特定多数の市民らも出入りする市役所の業務時間内に放火に及んだ被告人の行為は、多数の職員や一般来庁者の生命や身体に重大な危害を加える危険性が高く、建造物侵入及び3名の職員に対する殺人未遂とも評価されるものであって、その犯行態様は極めて衝撃的で悪質であるとし、高く大きく燃え広がった炎や大量の黒煙等により、市役所の建物や備品などに合計2億5700万円余りの甚大な財産的被害が発生したほか、課の一時移転や書類の焼失など、市役所や市民に有形無形の損害が生じており、本件は同種の放火事案の中でも特に重い部類に属するというべきであるが、他方、本件で重篤な傷害を負った被害者がいなかったことを考慮すると、公務執行妨害罪の刑をあわせても、現住建造物等放火罪の有期懲役刑の上限である20年をやや下回る程度の刑をもって臨むのが相当であるとして、被告人を懲役18年に処した事例(裁判員裁判)。