2014.05.20
殺人,殺人未遂,銃砲刀剣類所持等取締法違反,火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反,放火予備,現住建造物等放火未遂,盗品等有償譲受け,旅券法違反,有印私文書偽造,同行使被告事件(前橋スナック銃乱射殺人等事件)
LEX/DB25446392/最高裁判所第二小法廷 平成26年3月14日 判決 (上告審)/平成21年(あ)第2058号
暴力団の組長である被告人が、配下の組員らと共謀の上、(1)対立する暴力団の組員による被告人が所属する暴力団組織の幹部の射殺事件への報復として、〈1〉対立する暴力団の元幹部宅に火炎びん等を用いて放火することを企て、実行犯の組員らが火炎びん等を準備し、1度目は放火の着手に至らず、2度目は着手したものの、放火は未遂に終わり、現場から逃げる際にけん銃を発射するなどした、〈2〉同暴力団の別の元幹部を殺害することを企て,実行犯の組員らが,同元幹部を公道上で待ち伏せ,同人の運転する車両に向けてけん銃を発射したが,同人に重傷を負わせたにとどまり,殺害の目的を遂げなかった、〈3〉再び同元幹部らを殺害することを企て、実行犯の組員2名が、けん銃等を所持して同元幹部らがいた営業中のスナックに赴き、スナック店外で同元幹部のボディーガード1名を至近距離から射殺した上、スナック店内で同元幹部らに向けて弾丸十数発を発射し、たまたま居合わせた暴力団とは何ら関係のない一般客3名を射殺し、同元幹部ほか1名にも重傷を負わせたが殺害の目的を遂げなかった、〈4〉これらの事件の準備のために組員らにけん銃や盗難自動車を譲り受けさせ、けん銃を試射させるなどした、〈5〉これらの事件の犯跡隠ぺいのために、実行犯を海外逃亡させるべく他人名義の旅券の交付を受けさせ、出国の際に行使させ、組織として保管していたけん銃を山林内に隠匿させるなどした、(2)(1)〈1〉の事件の一部に関与した組員1名が命令に従わなくなったことから、制裁及び口封じのために同組員を殺害することを企て、病院の集中治療室に入院中であった同組員のベッドの位置を探り出した上、実行犯2名が、けん銃等を所持し、他の患者や病院関係者も在室する集中治療室内のベッドで寝ていた同組員に近づき、至近距離から弾丸5発を発射して同組員を射殺した事案において、被告人には懲役前科5犯を含む前科が11犯あることなどを踏まえると、被告人の所属する暴力団組織の幹部が(1)〈3〉の事件の被害者遺族らと和解をして一定額が遺族らに支払われたことなど被告人のために酌むべき情状を十分考慮しても、被告人の刑事責任は極めて重大であり、被告人を死刑に処した第一審判決を維持し、上告を棄却した事例。