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2014.06.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25503659/静岡地方裁判所沼津支部 平成26年4月16日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第1081号
被告(富士宮市)が設置・運営している被告病院において出生したが、くも膜下出血に起因して約1か月後に死亡した子の両親である原告らが、被告病院の医師等には、原告母の遷延分娩又は分娩停止の原因究明を怠った過失、要件を満たさないまま不適切な手技の吸引分娩を試みクリステレル胎児圧出法を併用した過失、粗暴なクリステレル圧出を行った過失、帝王切開術実施が遅れた過失等があり、これらの過失により、くも膜下出血が発症又は増悪したため子が死亡するに至ったなどと主張して、被告に対し、診療契約の債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償金の支払いを求めた事案において、原告らの主張を一部認容した事例。
2014.06.24
強盗殺人、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
LEX/DB25503663/さいたま地方裁判所 平成26年3月28日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1153号等
被告人は、被害者が所有していた多額の現金を強取するために、親密な交際をしていた被害者に対し、その腹部等を2回にわたり刃物で突き刺して殺害した上、1400万円相当の現金を強取したとの強盗殺人と、強取した現金の一部を両替させたとの犯罪収益等の処分を仮装した事案において、強盗殺人の犯行態様は強固な殺意に基づく残忍で非道なものであること、被害者は何の落ち度もなく突然絶命したこと、財産的損害も多額であること、遺族が厳しい処罰感情を有していること、公判廷で不自然な弁解に終始しており自責の念は無いことなどを考慮し、被告人に対し、無期懲役を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.06.24
損害賠償等請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25503661/名古屋高等裁判所 平成26年3月27日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第915号等
被控訴人(原告)が、控訴人(被告。出版社)に対し、控訴人が発行した週刊誌に掲載した記事により、被控訴人の名誉が毀損されたと主張して、不法行為に基づき、慰謝料の支払い及び謝罪広告の掲載を求め、原審が、慰謝料請求の一部を認容した事案において、控訴人が意見ないし論評の前提としている事実と、その意見ないし論評との間に合理的な関連性は認められないから、違法性ないし責任が阻却されるということはできないとして、控訴を棄却した事例。
2014.06.17
損害賠償等請求及び独立当事者参加事件
LEX/DB25446460/最高裁判所第一小法廷 平成26年6月5日 判決 (上告審)/平成24年(受)第908号
本件訴訟のうち上告人の第2次的請求は、再生債務者である上告人が、支払の停止の前に、A銀行から購入し、A銀行にその管理を委託していた投資信託受益権につき、支払の停止の後、再生手続開始の申立て前に本件受益権に係る信託契約の一部解約がされたとして、原判決言渡し後にA銀行を吸収合併し、その権利義務を承継した被上告人Yに対し、上記の管理委託契約に基づき、その解約金の支払を求めたもので、再生債権者であった被上告銀行は、上告人に対する上記解約金の支払債務の負担が民事再生法93条2項2号にいう「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たるので相殺が許されるとして、上記解約金の支払請求権を受働債権とする相殺を主張しているところ、原審は、本件債務の負担は,民事再生法93条1項3号本文にいう「支払の停止があった後に再生債務者に対して債務を負担した場合」に当たるものの、同条2項2号にいう「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たるから、本件相殺は許されるとし、上告人の第2次的請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、原審の上記判断のうち本件債務の負担が民事再生法93条2項2号にいう「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たるとはいえず、本件相殺は許されないと解するのが相当であるとし、原判決中、上告人の第2次的請求に関する部分を破棄し、これを認容した第1審判決は正当であるから、上記部分につき被上告人Yの控訴を棄却した事例。
2014.06.17
配当異議事件
LEX/DB25446461/最高裁判所第一小法廷 平成26年6月5日 判決 (上告審)/平成24年(受)第880号等
再生手続終結の決定後に破産手続開始の決定を受けたA株式会社の破産管財人である被上告人が、同社の工場等の本件各不動産を目的とする担保不動産競売事件において作成された配当表の取消しを求める配当異議訴訟で、被上告人は、Aが、上記再生手続において、当時別除権者であった上告人Y1、B及び株式会社Cとの間で別除権の行使等に関する協定をそれぞれ締結し、これにより、別除権の目的である本件各不動産の受戻しの価格が定められ、各担保権の被担保債権の額が本件各受戻価格に減額されたから、上告人Y1、Bから被担保債権及び担保権を譲り受けた上告人Y2並びにCから被担保債権及び担保権を譲り受けた会社の承継人である上告人Y3は、本件各受戻価格から既払金を控除した額を超える部分につき、配当を受け得る地位にないと主張し、これに対し、上告人らは、本件各別除権協定は破産手続開始の決定がされたことにより失効したと主張して争い、原審は、本件解除条件条項は、再生計画認可の決定の効力が生じないことが確定すること、再生計画不認可の決定が確定すること又は再生手続廃止の決定がされることを本件各別除権協定の解除条件とするものであるところ、本件破産手続開始決定はそのいずれにも該当しないから、本件各別除権協定は失効していないとして、被上告人の請求を認容したため、上告人らが上告した事案において、本件解除条件条項に係る合意は、契約当事者の意思を合理的に解釈すれば、Aがその再生計画の履行完了前に再生手続廃止の決定を経ずに破産手続開始の決定を受けた時から本件各別除権協定はその効力を失う旨の内容をも含むものと解するのが相当であるとして、原判決を破棄し、これを棄却した第1審判決は正当であるから、被上告人の控訴を棄却した事例。
2014.06.17
各損害賠償等請求事件
LEX/DB25446434/横浜地方裁判所 平成26年5月21日 判決 (第一審)/平成19年(ワ)第4917号等
原告らが、本件基地に離着陸する航空機の発する騒音により身体的被害及び精神的被害を受けているとして、被告に対し、居住期間中に生じた損害及び将来生ずべき損害の賠償を求め、一部の原告らが、航空機の離着陸等の差止め及び音量規制を求めた事案において、差止原告らの自衛隊機の差止請求に係る訴えを却下し、米軍機の差止請求を棄却した一方で、原告らを含めた周辺住民が受けている過去の損害の賠償請求に係る被害は、健康又は生活環境に関わる重大な利益の侵害であり、生命、身体に直接危険をもたらすとまではいえないものの、当然に受忍しなければならないような軽度の被害であるとは到底いえず、被告による飛行場の使用及び供用は、少なくとも周辺の75W以上の地域に居住する住民に社会生活上受忍すべき限度を超える被害を生じさせるものとして違法な権利侵害ないし法益侵害であると判断することができるとし、一部原告らの請求を一部認容した事例。
2014.06.17
各航空機運航差止等請求事件
LEX/DB25446437/横浜地方裁判所 平成26年5月21日 判決 (第一審)/平成19年(行ウ)第100号等
原告らが、本件基地に離着陸する航空機の発する騒音により身体的被害及び精神的被害を受けていると主張して、被告に対し、主位的に、本件基地における自衛隊機の一定の態様による運行の差止め等を求め、予備的に、音量規制等を求めた事案において、米軍機差止めの訴えは却下し、米軍機に関する予備的請求のうち給付請求は棄却し、確認請求に係る訴えはいずれも却下し、転居原告の自衛隊機差止めの訴えはいずれも却下した一方で、本件飛行場周辺における75W以上の地域のかなりの部分において、夜間、健康に対する悪影響が心配される程度に強度な航空機騒音が発生しているといえ、原告ら周辺住民の多くが受けている睡眠妨害の被害の程度は相当深刻であるというべきであり、本件飛行場における自衛隊機の運航のうち夜間に行われるものは、これを差し止める必要性が相当高いとし、転居原告を除く原告らの自衛隊機差止請求を一部認容した事例。
2014.06.17
法人税更正処分取消等請求事件(第1事件、第2事件)、通知処分取消請求事件(第3事件)
LEX/DB25503893/東京地方裁判所 平成26年5月9日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第407号等
外国法人である米国WTを唯一の社員とする同族会社であった原告(内国法人)が、平成14年2月に海外の親会社である米国WTから日本IBMの発行済株式の全部の取得(本件株式購入)をし、その後、平成17年12月までに3回にわたり同株式の一部を発行した法人である日本IBMに譲渡をして、当該株式の譲渡に係る対価の額(利益の配当とみなされる金額に相当する金額を控除した金額)と当該株式の譲渡に係る原価の額との差額である有価証券(日本IBMの株式)の譲渡に係る譲渡損失額を本件各譲渡事業年度の所得の金額の計算上損金の額にそれぞれ算入し、このようにして本件各譲渡事業年度において生じた欠損金額に相当する金額を、平成20年1月1日に連結納税の承認があったものとみなされた連結所得の金額の計算上損金の額に算入して平成20年12月連結期の法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁が、法人税132条1項の規定を適用して、本件各譲渡に係る上記の譲渡損失額を本件各譲渡事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することを否認する旨の本件各譲渡事業年度更正処分等をそれぞれしたため、原告が、本件各譲渡事業年度更正処分は、同項の規定を適用する要件を満たさずにされた違法なものであるとして、各更正処分等の取消しを求めた事案において、本件各譲渡を容認して法人税の負担を減少させることが法人税法132条1項にいう「不当」なものと評価されるべきであると認めるには足りないというべきであるとして、原告の請求をいずれも認容した事例。
2014.06.17
審決取消請求上告事件及び審決取消請求上告受理事件(古河電気工業(株)による審決取消請求上告事件及び審決取消請求上告受理事件)
LEX/DB25503767/最高裁判所第二小法廷 平成26年4月23日 決定 (上告審)/平成25年(行ツ)第107号等
原告(上告人兼申立人)が独占禁止法2条6項所定の不当な取引制限を行い、独占禁止法3条に違反したとして、公正取引委員会である被告(被上告人兼相手方)が原告に対し排除措置を命ずるとともに、課徴金の納付を命じたところ、原告が、本件納付命令の一部の取消しを求めたが、請求を棄却する審決がなされたため、被告に対し、その取消しを求めたところ、課徴金額の算定に当たっては、単一の業種を認定した上で、単一の算定率を適用することが予定されていると解するのが相当であり、本件違反行為に係る原告の事業活動は、小売業又は卸売業以外の業種に当たると判断するのが相当であり、売上額の全額に対して10パーセントの算定率を基本とするとし、請求を棄却したため、原告が上告及び上告受理の申立てをした事案において、最高裁が、原告の上告理由は、実質は単なる法令違反を主張するものであるとして、上告を棄却し、上告審として受理しないとした事例。
2014.06.17
保証金没取申立てに対する特別抗告事件((株)高光建設による保証金没取申立てに対する特別抗告事件)
LEX/DB25503768/最高裁判所第二小法廷 平成26年4月23日 決定 (特別抗告審)/平成26年(行ト)第17号
公正取引委員会である原審申立人(相手方)が、原審相手方(抗告人)に対し、排除措置を命ずる審決を不服として相手方が提起した審決取消訴訟に際して相手方が前記審決の執行を免れるために供託した保証金を全部没取するよう求めて申立てをしたところ、原審は相手方が執行を免れるために供託した保証金全部を没取を命じたため、原審相手方が抗告した事案において、特別抗告の事由に該当しないとして、抗告を棄却した事例。
2014.06.17
生活保護変更決定取消等(甲事件)、同参加事件(乙事件)控訴事件
LEX/DB25503699/広島高等裁判所 平成26年3月26日 判決 (控訴審)/平成21年(行コ)第2号
平成16年ないし平成17年に生活保護法に基づく各処分庁から保護決定を受けた一審原告32名が、生活保護を廃止する本件各決定は違法であると主張して、その取消しと、これに基づいて減額された生活保護費と従前の保護費との差額の支払を求めたところ、原審は、一審係属中に死亡した5名は、その死亡により訴訟終了を宣言し、その余の一審原告らの請求のうち原審口頭弁論終結後の保護期間に対応する本件金銭請求は将来請求の要件を欠くもので不適法であるとして却下し、その余の請求は、本件各決定は違法とは認められず理由がないとして棄却したため、原判決を不服として、控訴人らが控訴した事案において、生活保護給付を求める権利は、当該被保護者の死亡によって当然消滅し、相続の対象となり得ないと解され、また、本件各決定が違法とは認められないとし、死亡により終了した控訴人5名を除く控訴人らの控訴を棄却した事例。
2014.06.10
嘱託殺人被告事件
LEX/DB25446413/函館地方裁判所 平成26年4月30日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第145号
被告人が、妻である被害者の真意に基づく依頼がないのに、それがあるものと思い込み、その首を両手で絞め、更に電気コードをその首に巻いて締め付けて、同人を頸部圧迫により窒息死させて殺害したという嘱託殺人の事案において、被告人の本件犯行が、重症うつ病という精神障害に起因する思考狭窄の影響を受けた心神耗弱の状態で行われたものであることを考慮しても、本件は、嘱託殺人の事案の中でも重い部類に位置づけられる事案というべきであるから、心神耗弱による減軽をした刑期の中では上限に近い刑が相当であるとして、被告人を懲役3年に処した事例。
2014.06.10
大飯原発3、4号機運転差止請求事件
LEX/DB25503810/福井地方裁判所 平成26年5月21日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第394号等
全国各地に居住している原告らが、電力供給会社である被告に対し、人格権ないし環境権に基づいて選択的に、被告が福井県大飯郡おおい町に設置した原子力発電所である大飯発電所(大飯原発)の3号機及び4号機の運転差止めを求めた事案において、原告らのうち、大飯原発から250キロメートル圏内に居住する者は、大飯原発の運転によって直接的にその人格権が侵害される具体的な危険があると認められるから、原告らの請求を認容すべきであるとして、大飯原発の3号機及び4号機の原子炉の運転差止めを命じた事例。
2014.06.10
給与等請求事件
LEX/DB25503761/名古屋地方裁判所 平成26年4月23日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第2624号
被告が設置する大学の准教授である原告が、被告に対し、被告の業務命令に従った労務を原告が提供できなかったのは、被告の責めに帰すべき事由によるものであると主張して、給与及び賞与の支払等を求めた事案において、被告は、自宅待機命令以降、原告からの労務の提供を受けることを拒否し続ける一方で、自宅待機を名目的に解除するために実質に欠ける資格支援講座担当命令を、原告の体調に対する配慮をも欠いたまま発しているものと認められるから、本件各命令は、業務上の必要性に乏しく、かつ、使用者の安全配慮義務を尽くそうとすることなく発せられたものとして違法との評価を免れず、実施的には原告の労務提供の受領を拒絶する状態が継続しているものと解するのが相当であり、原告には、本件各命令に従う義務はなく、原告が被告に対して労務を提供できないのは、被告の責めに帰すべき事由による履行不能と認められるとし、請求を認容した事例。
2014.06.10
千葉市における地盤沈下被害原因裁定申請事件
LEX/DB25503770/公害等調整委員会 平成26年3月25日/平成24年(ゲ)第7号
公有水面埋立地上に建設された建物を所有する申請人らが、東北地方太平洋沖地震による通常の液状化とは異なる住宅被害(宅盤陥没・傾斜及び宅盤と一体となった住家の陥没・傾斜)を受けたのは、被申請人の企業庁が実施した公有水面埋立て後の後養生不備が原因であるとの原因査定を求めた事案において、本件道路下の埋立土に切断されたやぐら杭の存在を認めることはできず、企業庁の下水管敷設工事の際にやぐら杭が切断されたことによって人為的に軟弱部分が発生したとの事実を認めることもできないとして、申請を棄却した事例。
2014.06.10
覚せい剤取締法違反、関税法違反被告事件
LEX/DB25503359/東京高等裁判所 平成26年3月24日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第443号
被告人が、氏名不詳者と共謀の上、営利の目的で、カナダ所在の空港において、覚せい剤を隠し入れたスーツケースを航空機に積み込ませ、覚せい剤の本邦への輸入を行うとともに、覚せい剤を携帯しているにもかかわらず、その事実を申告しないまま旅具検査場を通過して輸入しようとしたが、税関職員に発見されたため、これを遂げることができなかったとして起訴され、無罪が言い渡されたため、検察官が控訴した事案において、原審で取り調べた証拠によっても、被告人の弁解を不自然不合理であるとして排斥できないとした原判決の判断は、論理則、経験則等に照らし不合理なものであり、その判断を是認することはできず、被告人に覚せい剤を含む違法薬物ではないかとの認識があったものと認めることができるとし、原判決を破棄し、懲役11年及び罰金600万円を言い渡した事例。
2014.06.10
建築確認通知処分取消請求事件
LEX/DB25503263/さいたま地方裁判所 平成26年3月19日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第24号
本件建築物の周辺住民である原告らが、被告(処分行政庁)が訴外会社代表取締役に対してした本件建築物の建築計画に関する建築確認処分について、建築基準法56条の2第1項、第3項及び建築基準法施行令135条の12第1項の解釈を誤った違法があると主張して、同処分の取消しを求めた事案において、原告のうち1名については、処分の取消しを求める法律上の利益を有しないとして請求を却下したが、その余の原告らについては原告適格を認め、処分は建築基準関係規定に適合しない建築計画について確認したもので、違法であるとして、請求を認容した事例。
2014.06.10
暴行被告事件
LEX/DB25503384/佐賀地方裁判所 平成26年3月13日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第227号等
介護施設の職員であった被告人が、同施設において、3度にわたり、同施設に入所中のAに対し、スプーンに盛った塩を口に押し込む暴行を加えたという公訴事実につき、第1暴行については、それを目撃したと述べる証人の供述を信用することができず、第2暴行及び第3暴行については、証拠上認定できるその前後の状況等の間接事実を総合考慮しても、公訴事実にある暴行の存在を認めるには合理的な疑いを差し挟む余地があるとして、被告人を無罪とした事例。
2014.06.10
 
LEX/DB25503713/最高裁判所第一小法廷 平成26年3月6日 判決 (上告審)/平成24年(受)第133号
強制わいせつ致傷事件において無罪判決を受けた被上告人(控訴人・原告)が、検察官による公訴の提起は有罪判決を得る合理的な根拠がないにもかかわらずなされた違法なものであるとして、国家賠償を請求したところ、控訴審が請求を一部認容したことから、上告人(被控訴人・被告)国が上告した事案において、被害者及び目撃者の供述に基づき被上告人を犯人であるとした担当検察官の判断が合理性を欠くものということはできないとして、原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の控訴を棄却した事例。
2014.06.03
損害賠償請求事件
LEX/DB25446438/最高裁判所第三小法廷 平成26年5月27日 判決 (上告審)/平成24年(オ)第888号
上告人(広島県府中市。被控訴人・被告)の市議会議員であった被上告人(控訴人・原告)が、府中市議会議員政治倫理条例4条3項(平成20年府中市条例第26号)に違反したとして、議員らによる審査請求、市議会による警告等をすべき旨の決議、議長による警告等を受けたため、同条1項及び3項の規定のうち、議員の2親等以内の親族が経営する企業は上告人の工事等の請負契約等を辞退しなければならず、当該議員は当該企業の辞退届を徴して提出するよう努めなければならない旨を定める部分(本件規定)は、議員の議員活動の自由や企業の経済活動の自由を侵害するものであって違憲無効であり、当該条例4条3項違反を理由としてされた上記審査請求等の一連の手続は違法であるなどと主張して、上告人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めたところ、原審は、本件審査請求等及び上記審査結果の公表が違法であるとしてされた慰謝料等の請求を一部認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、2親等規制を定める本件規定が違憲無効であるとした原審の判断は、憲法21条1項並びに憲法22条1項及び憲法29条の解釈適用を誤ったものというべきで、原判決中、上告人敗訴の部分は破棄し、被上告人が主張するその他の違法事由の有無等について更に審理を尽くさせるため,上記破棄部分につき本件を原審に差し戻した事例。