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2014.07.15
政務調査費返還請求事件(住民訴訟)
LEX/DB25503813/大阪地方裁判所 平成26年3月26日 判決 (第一審)/平成22年(行ウ)第27号等
大阪市の住民である第1事件及び第2事件の原告らが、大阪市の会派である補助参加人の各政党の市議団は、平成20年度の政務調査費(第1事件に係るもの)及び平成21年度の政務調査費(第2事件に係るもの)の一部を大阪市が定めている政務調査費の使途基準に違反する支出に充当しており、かつ、そのことについて悪意であるから、大阪市は上記補助参加人に対する不当利得返還請求権又は不法行為に基づく損害賠償請求権を有するにかかわらず、大阪市の執行機関である被告はその行使を怠っていると主張して、上記各補助参加人を相手方として、不当利得金及び損害金等の支払を求めた住民訴訟の事案において、原告らの請求のうち、別紙3の1の番号76~87記載の各支出に関する部分は監査請求を経ていないから不適法な訴えとして一部却下し、原告らの各請求権の求める限度で理由があるとして一部認容し、その余の請求は一部棄却した事例。
2014.07.15
現住建造物等放火、電汽車往来危険、非現住建造物等放火被告事件
LEX/DB25503818/福岡高等裁判所 平成26年3月20日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第486号
判示第1の犯行(現住建造物等放火)は、苛立つ気持ちを鎮めたいなどという自分勝手な動機で、人が寝静まった深夜に他人の住居に放火して居住者や周辺住民の生命、身体等に重大な脅威を与えたというもので、大変危険な犯行であり、4棟の建物を全焼させた上、居住者1名を焼死させ、もう1名には重傷を負わせたという結果はあまりに重大であって、同種の事案の中でも相当に悪質な部類に属するとし、そのほか、被告人は、判示第1の犯行に続いて判示第2、第3の犯行(非現住建造物等放火、電汽車往来危険)に及び、重大な公共の危険や財産的被害を発生させているとして、被告人を懲役17年に処した原判決につき、被告人が控訴した事案において、被告人が軽度精神遅滞の障害を有していること、被告人が事実を認めて反省していることなど、被告人のために酌むべき事情を考慮し、その他、所論が指摘する諸点を逐一検討しても、被告人を懲役17年に処した原判決の量刑は、やむを得ないものであって、これが重過ぎて不当であるとはいえないとして、控訴を棄却した事例。
2014.07.15
文書非開示処分取消等請求事件
LEX/DB25503817/福岡地方裁判所 平成26年3月18日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第54号
芦屋町所在の特定非営利活動法人である原告が、芦屋町情報公開条例(昭和61年芦屋町条例第38号)に基づき、実施機関である芦屋町長に対し、「平成22年度高齢者福祉施設整備について(協議)」と題する芦屋町長が福岡県知事に出した鑑文書(本件文書1)及び「平成22年度高齢者福祉施設整備について(協議)」と題する法人が芦屋町長宛てに出した鑑文書(本件文書2)の公開を請求したところ、一部を非公開とする処分を受けたことから、被告を相手方として、本件処分のうち、本件文書1のうち記「2(5)設置予定地」を非公開とした部分、及び本件文書2のうち記「5 設定予定地」を非公開とした部分の取消しを求めるとともに、本件設置予定地部分について公開の義務付けを求めた事案において、本件設置予定地部分が公開されることによって、本件事業者の信用や社会的評価が傷つけられたり、競争上の利益が害されたりするなど、本件事業者の競争上の地位その他正当な利益が害されることが客観的に明らかであるとはいえず、本件設置予定地部分は、芦屋町情報公開条例6条1項2号本文の非公開情報に該当するとはいえないとして、原告の請求を認容した事例。
2014.07.08
土地収用法に基づく事業認定処分取消請求事件(事業認定取消(辰巳ダム)訴訟判決)
LEX/DB25504106/金沢地方裁判所 平成26年5月26日 判決 (第一審)/平成20年(行ウ)第2号
犀川辰巳治水ダム建設事業を施行する土地のうち収用部分の土地を所有する原告らが、処分行政庁(国土交通省北陸地方整備局)が平成19年11月28日付で土地収用法に基づいてした本件事業認定に関し、治水目的や利水目的などの得られる利益は存在せず、他方、地すべりの危険が増大することに加え、本件起業地周辺の自然環境や辰巳用水などの文化遺産が失われるなどの理由により、土地収用法20条3号及び同条第4号に違反すると主張して、処分行政庁の属する被告(国)に対し、本件事業認定認定の取消しを求めた事案において、本件事業は土地収用法20条3号及び第4号にも適合しているから、本件事業認定は、適法な認定処分であると認められるとして、原告らの請求を棄却した事例。
2014.07.08
発信不許可処分取消請求事件
LEX/DB25504117/大阪地方裁判所 平成26年5月22日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第96号
死刑確定者として大阪拘置所に収容中の原告が、平成25年4月1日付けで、原告が書いた原稿が同封されたα宛の信書の発信を申請したところ、処分行政庁(大阪拘置所)が同月5日付けで同申請を不許可としたことから、被告(国)に対し、本件不許可処分の取消しを求めた事案において、本件信書は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条2項により発信が許されるべき信書で、本件信書の発信を制限することは、必要性及び合理性を欠くものであることは明らかであるとし、本件不許可処分は、裁量権の範囲を逸脱したものとして違法であるとして、原告の請求を認容した事例。
2014.07.08
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25504017/東京高等裁判所 平成26年5月21日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第419号
控訴人(被告、千葉県)が設置するがんセンターの手術管理部に勤務する麻酔科の医師であった被控訴人(原告)が、同部の部長を通すことなく、同センターのセンター長に直接上申したところ、同部長から、一切の手術の麻酔担当から外すなどの報復を受け、退職を余儀なくされたとして、国家賠償法1条1項又は民法715条1項に基づく損害賠償として賠償金の支払いを求め、原審は、慰謝料として50万円の限度で被控訴人の請求を認容し、控訴人が控訴をしたとの事案において、原判決を変更し、控訴人の支払うべき金額を30万円に減額した事例。
2014.07.08
地位保全等仮処分申立事件
LEX/DB25503988/京都地方裁判所 平成26年5月13日 決定 (第一審)/平成25年(ヨ)第443号
債務者が設置する大学院の教授として勤務していた債権者が、定年が延長されなかったことは債務者による債権者の解雇処分又は解雇に準ずる処分であり、当該処分には合理的な理由がないとして、仮の地位保全及び賃金の仮払を求めた事案において、債権者は賃金の仮払を求めるところ、債権者に対しては、既に多額の賃金が支払われており、定年延長がされないとすれば退職金が支給される予定であると認められるから、債権者につき賃金の仮払を必要とする事情があるものとは認められないと示し、また、債権者は、仮の地位保全を求めるところ、これを必要とする事情として、債権者の指導を受ける大学院及び大学学部の学生らが、以後、債権者からの指導を受け得ないことによる不都合を主張するが、同学生らに生じる不都合が、債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためとの保全の必要性に当たらないことは明らかであるとして、本件申立てを却下した事例。
2014.07.08
被爆者健康手帳交付等請求控訴事件
LEX/DB25503899/福岡高等裁判所 平成26年4月25日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第52号
長崎市に投下された原子爆弾に被爆したと主張する被控訴人らが、被爆者健康手帳申請却下処分の取消、同手帳の交付の義務付け等を求めた事案の控訴審において、被爆者健康手帳の審査・交付と被爆者援護の適切かつ円滑な実施を行うためには、居住地の都道府県知事等においてこれらを実施することが利便性や効率性の面で優れていることは明らかであり、国内に居住する者について申請先を居住地の都道府県知事等に限定したことは、法の目的に照らし十分に合理性をもつなどとして、控訴を棄却した事例。
2014.07.08
損失補てん金支払請求事件
LEX/DB25503976/宮崎地方裁判所 平成26年4月23日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第7号
口蹄疫対策特別措置法に基づく殺処分を受けた6頭の種雄牛の所有者である原告(牧場)に対し、宮崎県知事は同法及び同法施行令に基づいて、原告に対し、家畜の殺処分による補償として、補てん金交付決定をし、これを供託の方法により交付する旨の決定をしたが、原告は、殺処分を受けた家畜の適正な評価額は前記決定よりも高額であることを主張して、口蹄疫対策特別措置法6条9項に基づく損失補てん金請求として、損失補てん金の支払等を求めた事案において、本件各決定処分は、行政事件訴訟法3条2項にいう取消訴訟の対象となる行政処分に当たらず、本件家畜の評価額については相当であり、損失補てん金請求権の全額が本件供託金の受領により消滅しているとして、原告の請求を棄却した事例。
2014.07.08
損害賠償請求事件
LEX/DB25503982/東京地方裁判所 平成26年4月18日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第29907号
元プロ野球選手及び監督として著名な父を持ち、自身もプロ野球選手としての経験を有し、現在はスポーツキャスター等として活動する原告が、被告の出版した週刊誌に掲載された記事において、原告が父の仕事に関して不当に干渉したり、父の商標権等を自己の利益のために管理したりしたために、原告と原告の父、妹等との間で争いが生じている等と報道されて原告の名誉が毀損されたなどと主張して、被告に対し、不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案において、本件における名誉毀損に係る記載のうち、一部については、いずれも原告の社会的評価を低下させるものであり、公共の利害に関する事実に該当せず、公益を図る目的で行われたとは評価できない上、その摘示した事実の重要な部分は真実ではなく、被告が真実であると信じたことについて相当の理由も認められないから、被告は、名誉毀損による不法行為責任を負う等として、原告の請求を一部認容した事例。
2014.07.08
杉並区立和田中夜スペ裁判
LEX/DB25503915/最高裁判所第一小法廷 平成26年4月17日 決定 (上告審)/平成24年(行ツ)第246号等
東京都杉並区の住民である上告人兼申立人(原告)らが、地方自治法242条の2第1項所定の住民訴訟として、同区教育委員会が平成20年1月24日にした同区教育財産である同区立和田中学校の学校施設(4教室)の目的外使用に係る使用許可処分及び使用料免除処分に関し、これらが公益性・公共性のない和田中学校地域本部に対する要件を欠く処分であって違法・無効であること等を理由に、かつ、上記許可処分がされたことが財産の管理を怠る事実に当たることを前提に、被上告人兼相手方(被告)らに対し、上記免除処分につき、同処分の無効確認の請求(同項2号)をし、上記許可処分につき、同処分の無効確認の請求(同号)並びに被上告人兼相手方(被告)杉並区長、区教育委員会教育長、和田中学校長及び区教育委員会事務局職員による当該怠る事実の違法確認の請求(同条1項3号)をするとともに、被上告人兼相手方杉並区長に対し、A(同区長)、区教育長B、和田中学校前校長C及び区教育委員会事務局職員に対する当該怠る事実に係る損害賠償の請求をすることを求める請求(同条1項4号)をした事案の上告審において、民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民事訴訟法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、違憲、判決裁判所の構成の法律違反及び理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しないとし、また、本件申立ての理由によれば、本件は、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとして、上告棄却及び上告不受理の決定をした事例。
2014.07.08
株主総会決議取消請求事件(第1事件、第2事件)(アムスク株主総会決議取消請求事件)
LEX/DB25503895/東京地方裁判所 平成26年4月17日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第19050号等
原告Aが、被告の本件定時株主総会及び本件種類株主総会における決議について、本件定時株主総会の1号議案に係る配当が会社法120条に違反するなどとして、会社法831条1項に基づき、本件定時株主総会の第2号議案に係る決議のうちHを取締役に選任する旨の決議、両総会における本件全部取得決議を可決する旨の決議の取消を求め(第1事件)、原告BないしGが、主位的に会社法831条3項に基づき、1号議案及び2号議案を可決する旨の決議、本件全部取得決議を可決する旨の決議の取消を求め、予備的に会社法830条1項又は2項に基づき、決議の不存在又は無効確認を求めた(第2事件)事案において、本件種類株式総会の開催前において、被告の定款には、種類株主総会にこえる議決権行使に係る基準日の定めはなかったというのであるから、本件種類株主総会の議決権行使については、会社法124条3項ただし書は適用されないといわざるを得ず、そうすると、被告は、同種類株主総会の議決権行使に係る基準日を定めるためには、その2週間前までに当該基準日を設定する旨の公告をする必要があったにもかかわらず、その旨の公告をしていなかったというのであるから、同種類株主総会の議決権行使に係る基準日の公告は会社法124条3項に違反するとして、本件全部取得決議を取り消し、その余の請求は棄却した事例。
2014.07.08
間接強制の申立事件
LEX/DB25503902/佐賀地方裁判所 平成26年4月11日 判決 (第一審)/平成25年(ヲ)第20号
「防災上やむを得ない場合を除き、国営諫早湾土地改良事業としての土地干拓事業において設置された、諫早湾干拓地潮受堤防の北部及び南部の各排水門を開放し、以後5年間にわたって同各排水門の開放を継続せよ」との確定判決を得た債権者らが、同判決を債務名義として、債務者に対し、間接強制の申立をした事案において、関係自治体及び地元関係者が各排水門の開放自体に反対しており協力又は同意が得られないため、対策工事を実施することができず、また、各排水門の開放の際に必要な管理規定の作成及び管理等が行えないこと、及び、別件仮処分決定により、債務者は各排水門を開放してはならない旨の義務を負ったことをもって、債務者の意思では排除することができない事実上の障害があるとは言い難く、また、債権者らの上記確定判決に基づく権利行使が権利の濫用又は信義則違反となるとは認められないとして、申立てを認容した事例。
2014.07.08
ほっかほっか亭VSほっともっと事件
LEX/DB25503916/最高裁判所第三小法廷 平成26年3月31日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第306号等
上告人兼申立人(原告・サブフランチャイザー)は、被上告人兼相手方(被告・マスターフランチャイザー)との間で、持ち帰り弁当販売事業に関するフランチャイズ契約を締結し、「ほっかほっか亭」の名称を用いて上記事業を行っていたところ、やむを得ない事由があるとはいえないにもかかわらず、被上告人兼相手方から上記契約の更新を拒絶されたため、新たに別の名称(ほっともっと)で持ち帰り弁当販売事業を立ち上げなければならなくなったと主張して、被上告人兼相手方に対し、債務不履行又は不法行為に基づき、損害の一部の賠償として、20億1493万0968円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案の上告審において、民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民事訴訟法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しないとし、また、本件申立ての理由によれば、本件は、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとして、上告棄却及び上告不受理の決定をした事例。
2014.07.08
国家賠償等請求事件
LEX/DB25503907/熊本地方裁判所 平成26年3月31日 判決 (第一審)/平成19年(ワ)第1355号
水俣湾周辺を含む不知火海沿岸地域に居住し又はかつて居住していた原告らが、同地域の魚介類を摂取したことにより、水俣病(メチル水銀中毒症)に罹患した、いわゆる小児性又は胎児性水俣病患者であると主張して、(1)(ア)被告会社に対しては、同被告がメチル水銀化合物を含む廃水を排出したとして、不法行為に基づき、(イ)被告国及び(ウ)同熊本県に対しては。同被告らが各種規制権限を行使して水俣病の発生及び拡大を防止すべき義務があったのにこれを怠ったなどとして、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償の支払を求めるとともに、(2)被告らに対し、原告らが水俣病患者であることを認め、これまで原告らの水俣病を否定し続けて来たことを謝罪する旨の謝罪広告をすることを求めた事案において、原告3人について水俣病と独自に認定し、それぞれ1億500万円~220万円の賠償を命じ、原告5人については、症状と水銀汚染の関連はないとして請求を棄却した事例。
2014.07.08
 
LEX/DB25503911/最高裁判所第三小法廷 平成26年3月25日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第1271号等
大阪地方検察庁の職員が報道機関に対して捜査情報を提供し、報道機関が当該捜査情報を報道した結果、上告人兼申立人(原告、控訴人)の社会的評価が低下し、精神的損害が生じた旨主張し、被上告人兼相手方(被告、被控訴人)国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、上記慰謝料と弁護士費用の合計である330万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案の上告審において、民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民事訴訟法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、違憲及び理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しないとし、また、本件申立ての理由によれば、本件は、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとして、上告棄却及び上告不受理の決定をした事例。
2014.07.01
所得税法違反各被告事件
LEX/DB25504079/東京地方裁判所 平成26年5月21日 判決 (第一審)/平成22年(特わ)第550号
被告人Y1(弁護士)と被告人Y2(公認会計士)が共謀して、被告人Y1の平成16年分及び平成17年分の所得税の確定申告において、被告人Y1が個人事業として行った不動産取引を法人が行った取引と装うなどの方法で所得を秘匿し、税務署長に虚偽の内容を記載した確定申告書を提出して、所得税合計8億4482万円余りを、ほ脱したという事案において、被告人両名の関与する多数の関係会社の名義でなされた25の不動産物件の賃貸、売却による収益が、被告人Y1に帰属するとは認められないとして、被告人両名に対し、無罪を言い渡した事例。
2014.07.01
損害賠償等請求住民訴訟控訴事件
LEX/DB25446469/名古屋高等裁判所 平成26年5月15日 判決 (差戻控訴審)/平成25年(行コ)第38号
三重県志摩市の住民である一審原告が、同市等で構成する本件広域連合が訴外Aから賃借し、し尿中継層を設置している本件土地の賃料が高額に過ぎ、本件賃料のうち適正賃料を超える部分の支出が違法であるとして、地方自治法242条の2第1項1号、4号に基づき、本件広域連合の連合長である一審被告に対し、連合長として本件賃料を支出したBらに対して一審原告主張の適正賃料との差額について損害賠償請求するよう命じること等を求めた事案の差戻控訴審において、本件土地を賃借する目的やその必要性、前記認定の本件賃貸借契約の締結に至る経過、契約の内容に影響を及ぼす社会的、経済的要因としての当該施設の性質に伴う用地確保の緊急性や困難性等の事情を考慮すると、本件賃料の額が本件土地の適正賃料の額よりも2倍余り高額であったことを踏まえても、本件賃貸借契約を締結した本件広域連合の長の判断がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものであったということはできず、本件各契約を無効としなければ地方自治法2条14項、地方財政法4条1項の趣旨を没却する結果となる特段の事情は認められず、本件各契約が私法上無効であるとはいえないとして、原判決中、一審被告の敗訴部分を取り消し、差戻しに係る一審原告の請求をいずれも棄却した事例。
2014.07.01
公金支出差止等請求住民訴訟控訴事件
LEX/DB25503854/東京高等裁判所 平成26年5月14日 判決 (控訴審)/平成21年(行コ)第261号
群馬県の住民である控訴人(原告)らが、特定多目的ダム法4条の規定により、国(国土交通省)を事業主体として利根川水系吾妻川に設置される多目的ダムである八ッ場ダムにつき、同ダムは利水上及び治水上の必要性がなく、設置が予定されているダムサイト周辺の岩盤・地質がダム建設地として適格性を欠き、ダム湖周辺の基礎地盤が地すべり等の危険性を孕んだ欠陥ダムであるなどとして、その建設は不必要で違法であるから、群馬県の各種負担金等に係る財務会計行為は、財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるなどとして、地方自治法242条の2第1項に基づき、被控訴人(被告)群馬県企業管理者に対し、負担金の支出負担行為及び支出命令の差止め、ダム使用権設定申請を取り下げる権利の行使を怠ることの違法確認等を求め、原審が違法確認請求を却下し、その余の請求を棄却した事案において、差止め請求の一部を却下し、その余の請求を棄却した事例。
2014.07.01
所得税法違反被告事件
LEX/DB25503853/大阪高等裁判所 平成26年5月9日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第858号
インターネットで勝馬投票券を購入しPAT口座で決済するサービスと競馬予想ソフトや競馬情報配信サービスを利用して馬券購入を多数回反復し、当たり馬券の払戻しによって多額の収入を得ていた被告人が、馬券払戻しによる収入を所得とする確定所得申告書を提出しなかったとして、所得税法違反に問われ、原判決は、外れ馬券を含めた全馬券の購入費用や競馬予想ソフト等利用料も所得計算上控除されると解釈して、公訴事実から縮小した額を認定した事案において、原判決の結論を正当であるとして、検察官の控訴を棄却した事例。