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2014.08.12
各損害賠償請求控訴事件(西武鉄道事件)
LEX/DB25504317/東京高等裁判所 平成26年6月25日 判決 (差戻控訴審)/平成24年(ネ)第1055号
一審原告ら(上告人)が、一審被告(被上告人)S社がその有価証券報告書等に虚偽記載をし、また、S社株式を所有していたK社においてその虚偽記載に積極的に関与したため、S社株を取得した一審原告らにおいてS社株の上場廃止に伴って損害が生じたと主張して、S社、K社を吸収合併した一審被告P社、S社及びK社の代表取締役であった一審被告Tに対して、損害賠償を請求した事案の差戻控訴審において、虚偽記載と相当因果関係のある損害の額は、取得価額と処分価額の差額を基礎とし、経済情勢、市場動向、当該会社の業績等当該虚偽記載に起因しない市場価格の下落分を上記差額から控除して算定すべきであるとした上で、民事訴訟法248条を適用して相当な損害額を認定した事例。
2014.08.12
独占禁止法第24条に基づく差止請求事件(ソフトバンクBB・ソフトバンクテレコム VS NTT東西)
LEX/DB25504287/東京地方裁判所 平成26年6月19日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第32660号
戸建て向けFTTHサービス(光ファイバーよる家庭向けのデータ通信サービス)を提供するために被告らの設置する設備に接続しようとする原告らが、被告らに対し、接続の単位を1分岐単位としOSU等を原告らと被告らが共用する方式での接続を被告らが拒否したことは、電気通信事業法に基づく接続義務に違反し、独占禁止法19条に違反するなどとして、主位的に、上記単位での接続の申込を拒否しないこと等を、予備的に、被告らが原告らに対し上記単位での接続の申込を拒否しない義務等があることの確認を求めた事案で、被告らは、電気通信事業法33条2項の接続約款の認可又は同条10項の接続に関する協定の認可を受けていない以上、本件請求に係る接続に関する協定を締結するなどして、このような接続をさせることはできないなどとして、主位的請求を棄却し、予備的請求は確認の利益がないとして訴えを却下した事例。
2014.08.12
損害賠償請求事件(NHK外国語乱用訴訟)
LEX/DB25504252/名古屋地方裁判所 平成26年6月12日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第2733号
原告が、被告(日本放送協会)に対し、被告が放送で使用する言語について、外国語ないし外来語を濫用し、事実上その視聴を強制されていることから、憲法13条によって保障された人格権、憲法21条によって保障された表現の自由(情報受領権)、憲法13条によって保障された母国語による情報を自由に享受できるいわゆる言語権をそれぞれ侵害し、放送法81条1項3号に違反し、加えて、被告が原告からの質問に回答しないことが放送法27条に違反していると主張し、不法行為に基づき、慰謝料141万円の損害賠償を求めた事案において、原告は放送受信契約の締結を義務付けられているものの、その受信料の支払は放送受信の対価ではないし、原告は被告が放送する番組の視聴を事実上強制されているものともいえないとし、また、被告に課された放送番組の編集等に係る放送法81条等の規定は、被告に対する倫理的規定ないし公法上の義務を定めた規定にすぎず、原告等の受信契約者との間の私法上の権利義務関係を規定したものと解することはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2014.08.12
間接強制申立事件
LEX/DB25504250/長崎地方裁判所 平成26年6月4日 決定 (第一審)/平成26年(ヲ)第2001号
申立人(債権者・干拓地農業者、漁業者)らと被申立人(債務者・国)との間の諫早湾干拓地潮受堤防北部及び南部各排水門開放差止仮処分事件の保全命令の正本により、債権者らが、(1)債務者は、別紙4(開門方法)記載1ないし3の方法による各排水門の開門をしてはならない(ただし、調整池から諫早湾海域への排水を行う場合を除く。)、(2)間接強制の決定送達の日以降、債務者が(1)の義務に違反したときは、債務者は債権者らに対し、金2500億円を支払えとの間接強制を申し立てた事案において、債務者が、今後、本件開放義務を履行するために、本件対策工事の一部や仮設的な対策工事を行うなどして、別紙4(開門方法)記載1ないし3の方法による本件各排水門の開門をし、本件開放禁止義務に違反するおそれがあり、また、別件各確定判決に基づく本件開放義務の存在は、本件開放禁止義務を履行する上での、事実上の障害に当たるということはできないとした上で、債務者が本件開放禁止義務に違反して、別紙4(開門方法)記載1ないし3の開門(ケース1、ケース3-1、ケース3-2)のいずれかをした場合、債務者に対し、各開門方法に対応する主文掲記の各債権者らに対する1日当たり合計49万円の間接強制金の支払をあらかじめ命じるのが相当であるとした事例。
2014.08.05
傷害致死被告事件(寝屋川市女児虐待事件 裁判員裁判の求刑超え判決見直し)
LEX/DB25446523/最高裁判所第一小法廷 平成26年7月24日 判決 (上告審)/平成25年(あ)第689号
被告人両名は、三女にそれぞれ継続的に暴行を加え、かつ、これを相互に認識しつつも制止することなく容認することなどにより共謀を遂げた上、当時の被告人両名の自宅で、被告人Aが、三女(当時1歳8か月)に対し、その顔面を含む頭部分を平手で1回強打して頭部分を床に打ち付けさせるなどの暴行を加えた結果、急性硬膜下血腫などの傷害を負わせ、三女を急性硬膜下血腫に基づく脳腫脹により死亡させた傷害致死の事案の上告審において、裁判員裁判の第一審判決は、児童虐待を防止するための近時の法改正からもうかがえる児童の生命等尊重の要求の高まりを含む社会情勢等の事情を本件の量刑に強く反映させ、これまでの量刑の傾向から踏み出し、公益の代表者である検察官の懲役10年という求刑を大幅に超える懲役15年という量刑をすることについて、具体的、説得的な根拠が示されているとはいい難く、甚だしく不当な量刑判断に至ったものであるとし、また、法定刑の中において選択の余地のある範囲内に収まっているというのみで合理的な理由なく第一審判決の量刑を是認した原判決は、甚だしく不当であって、これを破棄しなければ著しく正義に反すると認められるとして、原判決及び第一審判決を破棄し、第一審判決の認定した罪となるべき事実に法令を適用すると、被告人両名の各行為は、いずれも刑法60条、刑法205条に該当するので、各所定刑期の範囲内で、被告人Aは、原判決が是認する第一審判決の量刑事情の評価に基づき検討を行って懲役10年に処し、被告人Bは、実行行為に及んでいないことを踏まえ、犯罪行為にふさわしい刑を科すという観点から懲役8年に処した事例(補足意見がある)。
2014.08.05
不当利得返還請求事件
LEX/DB25446524/最高裁判所第一小法廷 平成26年7月24日 判決 (上告審)/平成24年(受)第2832号
被上告人が、貸金業者であるA株式会社及び同社を吸収合併した上告人との間で、指定された回数に応じて元本及び利息の合計支払額が毎月同額となるよう分割して返済する方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約を締結したところ、各弁済金のうち利息制限法1条1項(平成18年法律第115号による改正前のもの)所定の制限を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生しているなどと主張して、上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、過払金の返還を求めたところ、原審は、被上告人の請求を一部認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において、借主から約定分割返済額を超過する額の支払がされたときには、当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事情のない限り、当該超過額は、その支払時点での残債務に充当され、将来発生する債務に充当されることはないと解するのが相当であるとし、また、借主から利息制限法1条1項の制限を超えて利息として支払われた部分は,当然にその支払時点での残債務に充当されるとするが、原審は、上記特段の事情の有無について審理判断しないまま、被上告人の支払のうち約定分割返済額を超過する部分や利息制限法1条1項の制限を超えて利息として支払われた部分について、将来発生する債務、すなわち本件各期日における元本だけでなく利息にも充当される旨判断したもので、この原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな違法があるとし、原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れないとして、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻しを命じた事例。
2014.08.05
業務上過失致死被告事件(明石市人工砂浜陥没事故)
LEX/DB25446525/最高裁判所第一小法廷 平成26年7月22日 決定 (第二次上告審)/平成24年(あ)第1391号
兵庫県明石市の大蔵海岸東地区に位置し、東側及び南側をコンクリート製ケーソンを並べて築造されたかぎ形突堤に接していた砂浜において、東側突堤のケーソン目地部に取り付けられたゴム製防砂板が破損し、その破損部から同目地部付近の砂層の砂が海中に吸い出されて砂層内に大規模な空洞が形成され、同空洞上部を小走りで移動していた被害者(当時4歳)が、その重みのため同空洞が突如崩壊して生じた陥没孔に落ち込んで生き埋めとなり、約5か月後に死亡した事故につき、第二次第一審判決は、被告人に本件事故発生の予見可能性があったとした上、国土交通省による抜本的な砂の吸出防止工事が終了するまでの間、工務第一課自ら、本件砂浜に人が立ち入ることができないよう、本件かぎ形突堤が階段護岸に接合する地点からその西方の水面を結ぶ線上にバリケード等を設置し、本件砂浜陥没の事実及びその危険性を表示するなどの安全措置を講じ、あるいは明石市又は東播海岸出張所に要請して前記安全措置を講じさせ、もって陥没等の発生により本件砂浜利用者等が死傷に至る事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があったにもかかわらず、その注意義務を怠り、南側突堤沿いの砂浜及び東側突堤沿い南端付近の砂浜に現出した陥没の周囲のみにバリケード等を設置する措置を講ずることで事足りると軽信し、漫然と前記安全措置を講ずることなく放置した過失により、本件事故を発生させて被害者を死亡するに至らしめた旨認定し、第二次控訴審判決はこれを是認したため、被告人が上告した事案において、被告人に本件砂浜に関する安全措置を講ずべき業務上の注意義務があるとした原判決は相当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2014.08.05
威力業務妨害被告事件(JR大阪駅構内でのビラ配布事件)
LEX/DB25504286/大阪地方裁判所 平成26年7月4日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第6191号等
いわゆる震災がれきの受入に反対する被告人が、駅構内において、被告人らによるビラ配布などの行為を制止するなどの業務に従事していた同駅の副駅長に対し、顔を近づけ、大声を出して威圧しながら執拗につきまとうなどし、もって威力を用いて人の業務を妨害したという公訴事実につき、被告人の行為が行われた状況を前提として、ビラ配布の制止業務の統率者の立場にある副駅長の業務の性質も考えると、被告人1人から顔を近づけられて大声を出され、短時間言い争いをしたからといって、その立場にある普通の人が心理的な圧迫感を覚え、円滑な業務の遂行が困難になるとまではいえないなど、副駅長の同業務に対する被告人の行為は、威力を用いて業務を妨害する行為とはいえないなどとして、同公訴事実については被告人を無罪とした事例。
2014.08.05
生活保護変更決定取消等請求控訴事件
LEX/DB25504279/仙台高等裁判所秋田支部 平成26年6月30日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第1号
生活保護を受給している控訴人(原告)らが、平成16年3月までは老齢加算により加算された生活保護費の給付を受けていたところ、同年4月以降、厚生労働大臣が老齢加算を段階的に廃止する内容に生活保護基準を改定し、同月から生活保護費が減額されたことによって生存権が侵害されたなどとして、被控訴人(被告。秋田市・能代市)らに対し、居住地の各福祉事務所長が行った減額変更処分の取消しを求め、加えて、減額された老齢加算相当額の支払いの義務付けを求め、原審が、義務付請求は却下し、その余の請求を棄却した事案において、死亡した控訴人の請求に関する部分は終了したものとし、その余の控訴を棄却した事例。
2014.08.05
三井金属神岡鉱山じん肺損害賠償請求事件
LEX/DB25504278/岐阜地方裁判所 平成26年6月27日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第585号等
被告らの所有管理する鉱山において、被告ら又はその下請会社との間の雇用契約に基づき稼働していた従業員又はその遺族が、被告らの安全配慮義務違反によってじん肺に罹患したなどと主張し、被告らに対し、債務不履行に基づく損害賠償金の連帯支払いを求めた事案において、原告らの一部に生じた損害が被告らの安全配慮義務違反のいずれか又はこれが競合して発生したことは明らかであるものの、現実に発生した損害の一部又は全部がそのいずれによってもたらされたかを特定することができない場合に当たるので、民法719条1項後段の類推適用に基づき、原告らの一部の被った損害と、被告らの各安全配慮義務違反との間の因果関係が推定されるところ、被告らは、事故の寄与度の主張及び立証をしていないので、連帯して賠償責任を負うとして、一部の原告らについて、請求を一部認容した事例。
2014.08.05
政務調査費不当利得返還請求控訴事件
LEX/DB25504218/東京高等裁判所 平成26年6月18日 判決 (控訴審)/平成23年(ネ)第7301号
一審原告(前橋市)が、市議会内の会派である一審被告らにおいて、一審原告から政務調査費の交付を受けて支出をしたところ、本件支出について領収書がないことなどを理由に、政務調査活動に必要な経費とは認められない違法な支出である旨主張して、一審被告らに対し、政務調査費の返還を求めたところ、請求が一部認容され、一審原告並びに一審被告Yクラブ等が双方控訴した事案において、整理番号2、一審被告Yクラブ1万8000円の支出は、議員が新年会に参加した際の費用、整理番号4、一審被告Yクラブ5000円の支出は、議員が消防団の歓送迎会に参加した際の費用であることが認められ、主として飲食代金であり、いずれも使途基準に違反することが明らかで違法というべきであるとし、一審原告の控訴に基づき、原判決を一部変更し、一審被告Yクラブ等の控訴を棄却した事例。
2014.08.05
背任被告事件
LEX/DB25504151/大阪高等裁判所 平成26年6月13日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第1553号
背任被告事件の控訴審において、被告人について、学校法人S学園を実質的に支配しており、同学園理事長であるTと共に、同学園の業務全般を統括し、同学園の資産を適切に管理運用すべき任務を有していたとして、被告人に背任の主体性を認めた上、被告人は、被告人がTに指示して、Tが被告人に指示されてこれに応じた同学園から被告人への3億8000万円にのぼる不正な貸付け(本件融資)が同学園に損害を与える危険性が高いことを認識しつつ、自らの利益を図る目的の下にこれを行ったとして、背任の故意及び図利加害目的を肯認して、背任罪の成立を認めて被告人を懲役3年、執行猶予5年を言い渡した原判決の判断を正当として是認し、所論の事実誤認、量刑不当の主張をそれぞれ斥けて、被告人の控訴を棄却した事例。
2014.08.05
個人データ抹消等請求控訴事件(秋葉原の職務質問は「適法」逆転敗訴)
LEX/DB25504214/東京高等裁判所 平成26年6月12日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第3817号
一審原告が、警察官から職務質問を受け、軽犯罪法1条2号違反の被疑者として取調べを受け、指紋採取等をされた上、検察官に送致され、不起訴処分とされたこと等につき、一審被告(東京都)に対し、一審原告の指紋データの抹消を、一審被告(国)に対し、損害賠償等を求めたところ、請求が一部認容されたため、一審原告及び一審被告ら(東京都・国)が双方控訴した事案において、本件マルチツールは、軽犯罪法1条2項所定の「刃物(中略)その他人の生命を害し、又は人の身体に重要な害を加えるのに使用されるような器具」に当たるから、職務上又は業務上の必要のために携帯する場合等に正当な理由があると解するのが相当であり、警察官が本件マルチツールの携帯に正当な理由がないと判断したことが合理性を欠くものとはいえないとし、原判決中、一審被告東京都の敗訴部分を取り消し、一審原告の請求を棄却した事例。
2014.08.05
詐欺、収賄、犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件(元農林水産省職員 補助金贈収賄事件)
LEX/DB25504216/東京高等裁判所 平成26年6月12日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第160号
詐欺、収賄、犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件の控訴審において、収賄の成否について、利益が供与される対象となる公務員の職務関係行為が正当なものであっても、公務員の職務の公正を疑わせるものであるから、収賄罪が成立することはいうまでもなく、また、賄賂と公務員の職務関係行為とが対価的関係に立つことを要するとしても、その対価的関係は個別の職務関係行為に対して存在する必要はなく、当該公務員の職務に関するものであれば包括的なものであっても成立するとし、懲役2年6月、執行猶予4年を言い渡した原判決を維持し、被告人の控訴を棄却した事例。
2014.08.05
危険運転致傷、道路交通法違反被告事件
LEX/DB25504232/広島高等裁判所 平成26年6月10日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第22号
被告人が、普通乗用自動車を運転して信号機による交通整理の行われている本件交差点を直進するに当たり、対面赤色信号を殊更に無視して指定最高速度を約20ないし30キロメートル上回る速度で本件交差点に進入した過失により、右方から進行してきたタクシーに自車を衝突させ、タクシー運転手に傷害を負わせた上、救護義務、報告義務を果たさなかったことにつき、原判決が、危険運転致傷罪の成立を認め、被告人を懲役8年に処したため、被告人が控訴した事案において、原判決が指摘する被告人のために酌むべき事情を踏まえ、この種事案に関する量刑の傾向等についても勘案すると、被告人を懲役8年に処した原判決の量刑は、本件犯情の悪質さ等を考え合わせてもなお、重過ぎて不当であり、これを維持することは相当ではないとして、原判決を破棄し、被告人を懲役6年に処した事例。
2014.08.05
損害賠償請求事件
LEX/DB25504208/金沢地方裁判所 平成26年6月3日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第183号
原告が、子宮外妊娠等の手術を受けた際に、フィブリノゲン製剤が使用され、それによって慢性C型肝炎にり患したとして、被告国及び被告製薬会社に対し、損害賠償を求めた事案において、本件手術前に原告に対し、フィブリノゲン製剤の投与を行うだけの時間的余裕があったとは認め難く、その他、本件手術前に原告に対し、同製剤が投与されたことを裏付ける的確な証拠はないというべきであり、C型肝炎ウイルスの感染原因として多種多様な感染経路が指摘されているほか、感染原因が不明である場合もあることからすると、本件手術前に原告に対してフィブリノゲン製剤が投与された事実を認めるに足りないとし、請求を棄却した事例。
2014.08.05
辺野古環境影響評価手続やり直し義務確認等請求、損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25504223/福岡高等裁判所那覇支部 平成26年5月27日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第11号
原告(控訴人)らが、沖縄防衛局長のした普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価法又は沖縄県環境影響評価条例に基づく環境影響評価及びその関連手続に不備等があると主張して、前記事業の主体である同防衛局長が所属する被告(被控訴人)国に対し、(1)公法上の確認の訴えとして、主位的に、(ア)同防衛局長が、環境影響評価方法書及び環境影響評価準備書面を作成し直す義務を負うことの確認、(イ)環境影響評価手続等を改めて実施する義務を負うことの確認をそれぞれ求め、前記(ア)について予備的に、作成済みの前記両書面が違法であることの確認を求めるとともに、(2)原告らの環境影響評価法及び沖縄県環境影響評価条例によって保障されている「意見陳述権」が侵害され、それにより精神的苦痛を被ったと主張して、国家賠償法1条1項又は民法709条、民法715条1項に基づく損害賠償として、慰謝料の支払を求めたところ、原審は、原告らの各確認の訴えをいずれも却下し、損害賠償請求をいずれも棄却したため、原告が控訴した事案において、控訴を棄却した事例。
2014.08.05
佐賀県警電子申請システム廃止住民訴訟
LEX/DB25504235/最高裁判所第三小法廷 平成26年5月13日 決定 (上告審)/平成26年(行ツ)第145号等
佐賀県の住民である上告人兼申立人(原告・控訴人)らが、運用開始後1件の利用もないまま廃止された同県警察行政手続電子申請システムにつき、本件電子申請システムの開発、維持等のために公金が支出されたのは、県警が費用対効果を全く検討せずに同システムを導入したことによるもので、違法であるなどとして、被上告人兼相手方(被告・被控訴人)に対し、本件電子申請システムに係る各財務会計行為に関与した各県警本部長ら及び各会計課長らに、地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき、損害賠償を請求することを求めるとともに、同号ただし書に基づき、本件各会計課長らに損害賠償を請求することを求めた事案の上告及び上告受理申立事件において、上告を棄却し、不受理決定をした事例。
2014.08.05
損害賠償等請求事件
LEX/DB25504141/東京地方裁判所 平成26年5月12日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第45286号
医学研究者である原告及び原告のがん遺伝子に関わる成果を基にしたがん治療薬・治療法の研究開発等を目的とする原告会社が、被告新聞社が掲載したがんペプチドワクチン療法の臨床試験をめぐる本件各記事により名誉を毀損されたとして、被告新聞社及び論説委員等であった被告らに対し、損害賠償を求めた事案において、本件各記事における摘示事実又は論評によって原告らの社会的評価が低下したものと認めることはできないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2014.07.29
貸金業者登録拒否処分取消等請求事件
LEX/DB25446516/最高裁判所第二小法廷 平成26年7月18日 判決 (上告審)/平成24年(行ヒ)第459号
貸金業法3条所定の登録を受けた貸金業者である被上告人が、大阪府知事に対し貸金業登録の更新の申請をしたところ、大阪府知事から、被上告人の監査役が執行猶予付き禁錮刑の判決を受けており、被上告人は法人の役員に貸金業法6条1項4号に該当する者のあることを貸金業登録の拒否事由及び取消事由とする旨を定める同項9号及び貸金業法24条の6の5第1項1号に該当するとして、上記申請を拒否する旨の処分及び貸金業登録を取り消す旨の処分を受けたため、監査役は貸金業法6条1項9号の役員に含まれず、被上告人は同号及び同法24条の6の5第1項1号のいずれにも該当しないなどと主張して、本件拒否処分及び本件取消処分の取消し等を求めた事案の上告審において、貸金業法6条1項9号の「役員」に監査役は含まれないから、被上告人の監査役が同号の「役員」に該当するものとしてされた本件拒否処分及び本件取消処分は、いずれも違法というべきであるとし、上記各処分の取消請求を認容した原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。