2014.10.14
法人税更正処分等取消請求事件(本田技研工業(株)VS国)
LEX/DB25504716/東京地方裁判所 平成26年8月28日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第164号
原告(自動二輪車、四輪車の製造及び販売を主たる事業とする内国法人)が、その間接子会社であり、ブラジル連邦共和国アマゾナス州に設置されたマナウス自由貿易地域で自動二輪車の製造及び販売事業を行っている外国法人H社及びその子会社との間で、自動二輪車の部品等の販売及び技術支援の役務提供取引を行い、それにより支払を受けた対価の額を収益の額に算入して、平成10年3月期、平成11年3月期、平成13年3月期、平成14年3月期及び平成15年3月期の法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁から、前記の支払を受けた対価の額が租税特別措置法66条の4第2項1号ニ及び2号ロ、租税特別措置法施行令39条の12第8項に定める利益分割法により算定した独立企業間価格に満たないことを理由に、租税特別措置法66条の4第1項の国外関連者との取引に係る課税の特例の規定により、本件国外関連取引が本件独立企業間価格で行われたものとみなし、本件各事業年度の所得金額に本件独立企業間価格と本件国外関連取引の対価の額との差額を加算すべきであるとして、本件各更正等を受けたため、被告国に対し、本件各更正等の一部又は全部の取消しを求めた事案において、ブラジル側比較対象企業は、マナウス税恩典利益を享受していない点でH社等との比較可能性を有するのではないから、処分行政庁が、上記の差異につき何らの調整も行わずにブラジル側基本的利益を算定した上、本件独立企業間価格を算定したことには誤りがあるというべきであり、上記の差異は、市場の特殊性という営業利益に大きく関わる基本的な差異であるため、そもそも、適切な差異調整を行うことができるか否かは不明であり、本件の証拠関係の下では、原告が本件国外関連取引により支払を受けた対価の額が独立企業間価格に満たないものであることにつき立証があったとは認められないから、本件国外関連取引に租税特別措置法66条の4第1項を適用して移転価格税制の課税を行うことはできないとして、原告の請求を認容した事例。