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2014.09.16
放送受信料請求事件
LEX/DB25446598/最高裁判所第二小法廷 平成26年9月5日 判決 (上告審)/平成25年(受)第2024号
上告人(日本放送協会)の放送の受信契約における受信料は、月額又は6箇月若しくは12箇月前払額で定められ、その支払方法は、1年を2箇月ごとの期に区切り各期に当該期分の受信料を一括して支払う方法又は6箇月分若しくは12箇月分の受信料を一括して前払する方法によるものとされており、上告人の前記契約に基づく受信料債権は、年又はこれより短い時期によって定めた金銭の給付を目的とする債権に当たり、その消滅時効期間は、民法169条により5年と解すべきであるとして、本件上告を棄却した事例。
2014.09.16
法人税更正処分取消等請求控訴事件(日産自動車税務訴訟)
LEX/DB25504422/東京高等裁判所 平成26年6月12日 判決 (控訴審)/平成24年(行コ)第480号
控訴人(原告)が、控訴人と同人の本件各子会社との間で会社の分割、新株の発行、減資及び減準備金並びに会社の合併という一連のいわゆる本件事業再編をしたところ、処分行政庁から、減資及び減準備金に伴い、平成17年改正前の旧商法213条1項の規定に基づいて本件各子会社が発行した株式の一部が消却されて、それらを保有していた控訴人に一定の金額が払い戻されたことに関し、控訴人に払い戻された払戻額が、消却された本件各子会社株式の譲渡に係る適正な対価の額に比して低いから、控訴人は法人税の確定申告において有価証券の譲渡に係る譲渡損失額を過大に計上したなどとして、本件各更正処分等を受けたことから、それらの各取消を求めた事案の控訴審において、上記払戻超過額は、法人税法22条2項所定の「収益」として計上することができ、また、本件における適正な「譲渡対価の額」と払戻額との差額は、対価のない経済的利益であり、法人税法37条7項所定の「寄附金」に該当し、さらに、上記株式消却における「譲渡対価の額」を、合併比率算定書における本件各子会社株式の価額に基づき算定したことは相当であるなどとして、控訴を棄却した事例。
2014.09.16
文書一部不開示決定処分取消等請求控訴事件、同附帯控訴事件(日韓国交正常化交渉文書の開示請求事件)
LEX/DB25504452/東京高等裁判所 平成26年7月25日 判決 (控訴審)/平成24年(行コ)第412号等
一審原告らが、外務大臣に対し、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づき、日本と大韓民国との間で、昭和26年に開始し昭和40年に「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」の締結に至るまで約14年間にわたって実施された日韓国交正常化交渉に係る行政文書の開示を請求したところ、外務大臣から当該各行政文書中の全部又は一部につき同法5条3号、4号等所定の不開示情報に該当するとして開示しない旨の決定を受けたため、一審被告に対し、上記各処分の取消しと不開示部分を開示することの義務付けを求めた事案の控訴審において、(1)一審被告の控訴に基づき、原判決中一審被告敗訴部分のうち、一部を取り消し、上記取消しに係る部分につき一審原告らの請求をいずれも棄却する、一審原告らの義務付けの訴えをいずれも却下するとし、(2)一審原告らの附帯控訴に基づき、原判決中一審原告ら敗訴部分のうち、一部を取り消し、原決定中上記各部分に係る部分を取り消し、上記各部分につき一審被告に一審原告らに対して開示すべきことを命ずる、一審原告らのその余の附帯控訴をいずれも棄却するとした事例。
2014.09.16
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件(三鷹市路線バス痴漢冤罪事件)
LEX/DB25504420/東京高等裁判所 平成26年7月15日 判決 (第一審)/平成25年(う)第1069号
被告人が、バス内において、当時17歳のAに対して痴漢行為に及んだという公訴事実につき、原判決が被告人を有罪としたことから、車載カメラの映像からすれば、両手が塞がっている被告人がAの供述するような痴漢行為に及ぶことは物理的に不可能であり、原判決の認定判断は論理則及び経験則に違反しているとして、控訴した事案において、被害者とされるAの供述の信用性を全面的に肯定して被告人を有罪とした原判決の認定判断は、論理則、経験則等に照らして不合理であって、是認できないとして、原判決を破棄し、被告人を無罪とした事例。
2014.09.16
強盗殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、窃盗未遂被告事件(吉祥寺通り魔控訴事件)
LEX/DB25504424/東京高等裁判所 平成26年7月10日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第543号
当時18歳6か月であった被告人が、Aと共謀の上、強盗殺人に及んだという公訴事実につき、原判決が被告人を無期懲役に処したため、被告人が控訴した事案において、被告人とAとの一連の言動とそれを踏まえた刺突行為の態様に照らせば、少なくとも、Aが「俺が先に刺すからお前も刺せよ」と言って被害者に近づいていった時点には、被告人とAとの間において、ペティナイフで被害者の身体を刺突することによって被害者に致命傷を与える可能性があることを認識するとともに、そうなってもかまわないという意思を共有して、その旨の共謀が成立したと認められ、他方、本件について、少年院送致などの保護処分を選択することは考え難く、無期懲役刑を減じて有期懲役刑を科するのが相当といえるほどの事情もないとして、控訴を棄却した事例。
2014.09.16
公金支出等差止請求事件(安曇野市 住民訴訟)
LEX/DB25504427/長野地方裁判所 平成26年7月18日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第3号
安曇野市の住民である原告らが、同市市役所新庁舎建設事業に関し、安曇野市の財政状況からすると行政が正常に行えないおそれがある上、既存施設の利用が可能であり、投下費用に比して効果が期待できないとして、被告(安曇野市長)に対し、地方自治法242条の2第1項1号に基づき、上記事業に係る公金の支出等を差し止めるように求めた事案において、本件訴訟のうち死亡した各原告の部分は当然に終了したとして、その宣言をし、他方、上記事業に係る公金の支出は適法と認められるとして、その余の原告らの請求を棄却した事例。
2014.09.16
業務上横領、有印私文書偽造、同行使被告事件
LEX/DB25504425/名古屋高等裁判所 平成26年7月23日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第50号
A社の参与として、同社の預金の管理及び小切手の振出等の業務を統括していた被告人が、原審分離前の相被告人B(A社の常務取締役)と共謀の上、A社の当座預金を業務上預かり保管中、A社においてC社に対する金融支援を行わない旨の方針が確認され、重要な財産の処分に当たる場合には取締役会の決議を経る必要があったにもかかわらず、C社に対する従前の不正な手形保証の事実を隠蔽するために、上記方針に反し、かつ、重要な財産処分に当たる融資に関する正規の手順、方式を履践しないまま、被告人において、A社の取締役社長名義で振り出した手形を銀行に呈示し、その額面金額をC社の口座に入金させて融資したほか、かかる不正融資を隠蔽するため、有印私文書を偽造し、これを行使したという公訴事実につき、原判決が被告人を有罪としたことから、控訴した事案において、原判決の認定については、上記融資が権限なくされたと認めた点を含め、論理則、経験則等に照らして不合理で、是認し難い誤りがあるとは認められないとして、控訴を棄却した事例。
2014.09.16
強盗致傷被告事件
LEX/DB25504428/津地方裁判所 平成26年7月18日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第26号
さい銭箱から現金を盗もうとした原告が、見回り中の被害者α(当時66歳)から声をかけられて逃走する際、逮捕を免れるため、αに暴行を加えて全治約3か月間を要する傷害を負わせた事案において、金品窃取に至らずに逮捕を免れるために傷害を負わせた事案全体の中で悪質な部類に属するとし、被害者の処罰感情が激しいのも当然であるなどとして、被告人を懲役5年の実刑に処した事例(裁判員裁判)。
2014.09.16
政務調査費返還履行請求事件
LEX/DB25504426/札幌地方裁判所 平成26年7月11日 判決 (第一審)/平成22年(行ウ)第42号
原告(市民オンブズマン)が、北海道議会の会派である被告補助参加人らにおいて、政務調査費の一部を、平成21年改正前の北海道議会の会派及び議員の政務調査費に関する条例並びに北海道議会の会派及び議員の政務調査費に関する規程により定められた本件使途基準所定に反して支出したとして、被告に対し、地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき、参加人らに対してその返還を請求するよう求めた事案において、本件使途基準が調査研究費の内容として定める「会派が行う道の事務及び地方行財政に関する調査研究並びに調査委託に要する経費」とは、会派の議会活動の基礎となる調査研究及び調査の委託に要する経費をいうものであり、会派としての議会活動を離れた活動に関する経費又は当該行為の客観的な目的や性質に照らして会派の議会活動となる調査研究活動との間に合理的な関連性が認められない行為に関する経費は、これに該当しないものというべきであるところ、この見地からすれば、政党の地方機関である参加人らが道内にある政党の支部の連合体である支部との間で締結した政務調査業務委託契約に基づいて支出した費用の2分の1等は、本件使途基準に反するものと認められるなどととして、請求の一部を認容した事例。
2014.09.16
損害賠償請求行為等請求控訴事件
LEX/DB25504489/大阪高等裁判所 平成26年7月15日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第201号
京都市の住民である一審原告らが、京都市が、京都市市医70名に対する謝礼(市医謝礼)として、京都市市医会に対し、平成23年4月、5月、10月及び11月に市医1名当たり月額1万4200円の合計397万6000円(源泉徴収前のもの)を支払ったことについて、市医謝礼には、対価性がない、給与条例主義に反するなどの違法があり、これによって京都市が損害又は損失を被ったと主張して、一審被告(京都市長)に対し、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、専決権者である者に対しては地方自治法243条の2第3項に基づく損害賠償命令をすることを、専決権限なき専決者である者及び本来的権限者である京都市長であるAに対しては民法709条に基づく損害賠償を請求することを、市医会から会費残金の保管及び必要な残務処理に係る権利義務を承継した市医会残務処理委員会に対しては不当利得の返還請求をすることを、それぞれ請求した事案の控訴審において、本件市医謝礼の支出が違法であるとは認められず、一審原告らの本件各請求は、理由がないからいずれもこれを棄却すべきであるとし、これと異なる原判決は失当であるから、一審被告の控訴に基づき原判決中一審被告敗訴部分を取消して同取消部分に係る一審原告らの各請求をいずれも棄却し、一審原告ら補助参加人の本件控訴を棄却するとした事例。
2014.09.16
 
LEX/DB25504534/最高裁判所第一小法廷 平成26年6月26日 決定 (上告審)/平成26年(オ)第303号等
被上告人兼相手方(原告・被控訴人)X1が、上告人兼申立人(被告・控訴人)との間で締結した建物の賃貸借契約について、上告人兼申立人の賃料、共益費、水道代の不払を理由に解除したと主張して、賃貸借契約終了による目的物返還請求権に基づき、上記建物の明渡しを求め、被上告人兼相手方(原告・被控訴人)X2が、上告人兼申立人との間で締結した保証委託契約に基づき、被上告人兼相手方X1に対し、上告人兼申立人の賃料等39万円(月額7万8000円の5ヶ月分)を代位弁済したと主張して、保証委託契約による求償債務の履行請求権及び保証事務費用請求権に基づき、上記39万円及び保証事務手数料5000円の支払を求めた事案の上告審において、上告棄却(被上告人X1に対する上告について)、上告却下(被上告人X2に対する上告について)及び上告不受理の決定をした事例。
2014.09.16
所得税更正処分取消請求控訴事件
LEX/DB25504423/東京高等裁判所 平成26年5月19日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第391号
JASDAQ市場に上場されているA社本件株式を保有する原告(控訴人)が、本件株式を、B社に対し、本件取引単価(1株当たり550円)で市場外における相対取引により売却し、かかる本件譲渡価額全額を譲渡所得として所得税の確定申告をしたところ、処分行政庁から、上記譲渡に係る収入金額と上記譲渡がされた日の本件株式の終値を基に算出した評価額との差額がB社からの贈与に当たるとして、本件更正処分等を受けたことから、それらの各取消を求めた事案の控訴審において、本件株式の市場価格、本件譲渡の動機・目的、本件譲渡における価格決定の経緯、当該価格の合理性などに照らせば、上記譲渡における本件株式の譲渡の対価たる性格を有するのは、上記取引単価のうち市場単価の部分に限られるから、市場単価と上記取引単価との差額部分は、本件株式の譲渡の対価たる性格を有するとはいえず、B社から贈与された金員としての性格を有するものと解されるなどとして、控訴を棄却した事例。
2014.09.09
傷害被告事件
LEX/DB25504506/大津地方裁判所 平成26年7月24日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第449号
英会話学校講師の被告人が、英会話学校内及び同校西側路上において、被害者(当時52歳)に対し、その頭部、顔面、頚部等を所携のカッターナイフ(刃体の長さ約2センチメートル)で多数回切り付ける暴行を加えて、被害者に20日間を要する後頭部、顔面、頚部等多発切創の傷害を負わせた事案において、被告人の行為は、被害者が教室に入っていきなり被告人の顔面を多数回殴り始めた点や、授業中に被害者の侵害を待ち受けていたわけではなかったこと、それ以前に、被害者からの攻撃がある可能性について警察に助けを何度も求めていたことを照らせば、護身用も兼ねてカッターナイフをポケット内に入れていたということを考慮しても、被害者を校内でカッターを切りつけた際には、被害者による急迫不正の侵害があったと認めることができ、被告人の被害者に対する反撃行為については正当防衛が成立し、また、校外に逃げた違法行為をした被害者を、被告人が現行犯人として逮捕して警察に引き渡そうとしたためと評価することができ、正当行為として違法性が阻却されるとし、被告人は傷害罪(ないし暴行罪)の責任を負わないとするのが相当であるとして、無罪を言い渡した事例。
2014.09.09
損害賠償請求控訴事件(原判決変更)
LEX/DB25504460/大阪高等裁判所 平成26年7月18日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第3095号
被控訴人(医療法人。被告)が開設する病院において看護師として勤務していた控訴人(原告)が、育児休業をしたところ、控訴人が、3か月以上の育児休業をした者は翌年度の職能給を昇給させない旨の就業規則の定めがあるとして、職能給を昇給させず、また、昇格試験の受験資格を認めず、受験の機会を与えなかったことについて、育児介護休業法10条によって禁止される不利益取扱いに該当し、公序良俗に反する違法行為であると主張して、被控訴人に対し、不法行為に基づき、昇給、昇格していれば得られたはずの給与、賞与及び退職金の額と実際の支給額との差額並びに慰謝料の支払いを求め、原審は、慰謝料の一部を認容した事案において、昇給分の給与及び賞与との差額並びに慰謝料の一部の請求を認め、その余の請求は棄却した事例。
2014.09.09
処分取消請求事件(小坂城址の土地購入疑惑事件)
LEX/DB25504415/水戸地方裁判所 平成26年7月18日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第21号
茨城県牛久市の住民である原告が、訴外国際自動車が平成18年法律第46号による改正(平成18年8月30日施行)前の公有地の拡大の推進に関する法律4条1項に基づき、牛久市長を経由して茨城県知事に提出した、訴外国際自動車が所有する11筆の土地の所在や訴外サンヨーホームへの譲渡予定価格等を記載した届出書について、茨城県情報公開条例5条に基づき開示請求を行ったところ、茨城県知事が、上記届出書のうち法人の代表者の印影の部分及び譲渡予定価格が記載された部分を除くその余の部分を開示する旨の行政文書部分開示決定処分をしたため、原告が、当該情報は茨城県情報公開条例7条3号アに該当せず、仮に該当するとしても同条例7条3号ただし書に該当するため、当該情報を不開示とする上記処分は違法であるとして、被告に対し、上記処分の取消しを求めた事案において、本件情報が条例7条3号アに該当することを理由とする本件処分は適法であり、原告の請求は理由がないからこれを棄却するとした事例。
2014.09.09
殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
LEX/DB25504482/大阪地方裁判所堺支部 平成26年7月18日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第798号
被告人が、A社で働いていたところ、仕事のミスなどを指摘されるなどし、A社専務である被害者との間で激しい口論となり、A社を解雇されるに至ったため、被害者に対する恨みを強めていき、A社事務所において、銃弾4発の入った回転弾倉式拳銃の銃口を被害者の右側頭部に接着させた状態で弾丸1発を発射し、頭蓋内損傷により死亡させて殺害した事案において、本件はけん銃を使用した中でもとりわけ凶悪かつ冷酷な犯行である上、被害者に落ち度がないことなどから、量刑分布の中でも重い部類に属するとし、検察官の求刑には十分な根拠があると認め、懲役30年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.09.09
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25504459/大阪高等裁判所 平成26年7月17日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第1133号
農林漁業金融公庫の職員であった亡甲が、公庫において担当していた業務が過重であったために精神疾患を発症し、これによる希死念慮によって自殺したと主張して、亡甲の相続人である一審原告らが、公庫に対し(一審係属中に公庫は解散し、一審被告が訴訟を承継した)、損害賠償金を請求し、一審は、請求を一部認容、一部棄却をし、双方が控訴をした事案において、亡甲の発症した疾病と亡甲が公庫で担当した業務との間に相当因果関係があるとはいえないとして、一審被告の控訴を認容して、原判決を取り消し、一審被告の敗訴部分を取り消し、一審原告らの各請求を棄却した事例。
2014.09.09
窃盗、強盗殺人、器物損壊被告事件
LEX/DB25504433/京都地方裁判所 平成26年7月14日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1569号等
強盗殺人罪の成否について、被告人(少年)には、遅くとも被害者殺害に着手する前、被害者宅に財布及び持出携帯等があることを認識した時点では、これらを持ち出す意思、すなわち財物奪取の意思があったと認められるとした上で、被告人は、被害者に対する強い殺害意思を抱いて被害者宅に赴いたと考えられるが、その段階で財布等を持ち出す意思を有していたとまでは認められないし、借用携帯の返還を免れるためだけに長年世話になった被害者を殺害することを決意したというのも疑問といわざるを得ないから、主な殺害動機として何らかの怨恨等が別にあった可能性が高いが、怨恨による殺意と財物奪取等の意思とは併存し得るものであり、仮に殺害の主たる動機が怨恨であったとしても、殺害時までに財物奪取等の意思が生じたのであれば、強盗殺人罪の成立は妨げられないとして、被告人を無期懲役に処した事例(裁判員裁判)。
2014.09.09
行政処分取消等請求事件(電動車いす、購入費支給認められず)
LEX/DB25504436/和歌山地方裁判所 平成26年7月11日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第9号
原告は、補装具費として、リクライニング機能付き簡易型電動車いすの購入費の支給を、被告(橋本市)に対して申請し、処分行政庁である橋本市長が、同購入費の支給決定をしたが、同支給決定を取り消し、原告の上記申請を却下する決定をしたことから、被告に対し、当該取消決定と当該却下決定の取消しを求めた事案において、本件支給決定のように授益的な行政処分がされ、後にこれが違法であったとして取り消す場合には、取消しにより処分の相手方に不測の不利益を与える可能性があるから、処分の相手方が受ける不利益と処分に基づいて生じた効果を維持することの公益上の不利益とを比較考量し、公益上の不利益が上回るときには、処分行政庁が当該処分を職権で取り消すことが許されると解するのが相当であるとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2014.09.09
覚せい剤取締法違反(変更後の訴因 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反、覚せい剤取締法違反)被告事件
LEX/DB25504485/佐賀地方裁判所 平成26年7月11日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第253号等
被告人が、営利目的で約3.558グラムを所持していた上、覚せい剤等約0.8グラムを合計5人に譲渡し、1万5000円の利益を得て、自らにおいても覚せい剤を使用していた事案において、量刑判断の中核となる刑の重い麻薬特例法違反の罪において、被告人は、経済的な利益を得るため、危険な覚せい剤を社会に拡散し、また、拡散の危険性を生じさせたとし、被告人の責任を軽視することはできないが、被告人が積極的に販路を拡大したものではないこと等を踏まえ、また、被告人が覚せい剤の自己使用の罪に及んだことを併せて考慮し、懲役5年6月を言い渡した事例(裁判員裁判)。