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2014.11.04
保険金請求控訴事件
LEX/DB25504480/大阪高等裁判所 平成25年7月30日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第3707号
自動車を運転中に他車に衝突されて受傷した原告(控訴人)が、原告運転の自動車を被保険自動車とする自動車保険契約の保険者である被告(被控訴人)に対し、同保険契約に基づき弁護士費用等補償保険金、医療保険金及び後遺障害保険金の支払を求めたところ、原判決は請求を一部認容し、その余を棄却したため、原告が控訴した事案において、控訴を棄却した事例。
2014.10.28
「新・判例解説Watch」H26.12月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25504782/最高裁判所第一小法廷 平成26年10月6日 判決 (差戻上告審)/平成26年(行ツ)第214号等
北九州市内に居住して生活保護法に基づく生活扶助の支給を受けていた上告人らが、同法の委任に基づいて厚生労働大臣が定めた「生活保護法による保護の基準」の数次の改定により、原則として70歳以上の者を対象とする生活扶助の加算が段階的に減額されて廃止されたことに基づいて所轄の福祉事務所長らからそれぞれ生活扶助の支給額を減額する旨の保護変更決定を受けたため、保護基準の上記決定は憲法25条1項、生活保護法3条、8条、9条等に反する違憲、違法なものであるとして、被上告人に対し、上記各保護変更決定の取消しを求めた事案の上告審において、本件改定については、厚生労働大臣による裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるということはできず、したがって、本件改定は、生活保護法3条又は8条2項の規定に違反するものではなく、本件改定に基づいてされた本件各決定にもこれらを違法と解すべき事情はない等として、本件上告を棄却した事例。
2014.10.28
「新・判例解説Watch」H26.12月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25504783/最高裁判所第一小法廷 平成26年10月6日 判決 (上告審)/平成24年(行ツ)第302号等
京都市内に居住して生活保護法に基づく生活扶助の支給を受けていた上告人らが、同法の委任に基づいて厚生労働大臣が定めた「生活保護法による保護の基準」の数次の改定により、原則として70歳以上の者を対象とする生活扶助の加算が段階的に減額されて廃止されたことに基づいて所轄の福祉事務所長らからそれぞれ生活扶助の支給額を減額する旨の保護変更決定を受けたため、保護基準の上記決定は憲法25条1項、生活保護法3条、8条、9条等に反する違憲、違法なものであるとして、被上告人に対し、上記各保護変更決定の取消しを求めた事案の上告審において、本件改定については、厚生労働大臣による裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるということはできず、したがって、本件改定は、生活保護法3条又は8条2項の規定に違反するものではなく、本件改定に基づいてされた本件各決定にもこれらを違法と解すべき事情はない等として、本件上告を棄却した事例。
2014.10.28
保険金請求事件
LEX/DB25504728/東京地方裁判所 平成26年9月26日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第9622号等
亡甲の相続人である原告らが、被告(独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構)に対し、亡甲と被告との間の終身保険契約に基づく生命保険金及び遅延損害金の支払いを求めた事案において、原告らは各保険契約の死亡保険金受取人に当たるものと認めることはできないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2014.10.28
損害賠償請求控訴事件(TFK株式会社(旧武富士)VSメリルリンチ日本証券)
LEX/DB25504720/東京高等裁判所 平成26年8月27日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第4770号
控訴人(原告)は、被控訴人(被告)甲社から提案され、スワップ・カウンターパーティーを被控訴人甲社の親会社である被控訴人(被告)乙社とする格付きインデックス連動リミティッド・リコース・担保付固定利付クレジット・リンク債券を300億円で購入したところ、期日前償還事由が発生し、償還され、期日前償還金額は3億円余りとなったことから、控訴人は債券の組成に関し注意義務違反や説明義務違反などがあり、これらにより、控訴人は損害を被ったとして、被控訴人らに対し、共同不法行為又は債務不履行に基づき、損害賠償を請求し、原審が請求を棄却した事案において、原判決を取り消し、控訴人らの請求を一部認容した事例。
2014.10.28
損害賠償請求控訴事件(西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載問題)
LEX/DB25504722/東京高等裁判所 平成26年8月28日 判決 (差戻控訴審)/平成23年(ネ)第6338号
控訴人鉄道会社(被告)の株式を取引市場において取得した者らである被控訴人(原告)らが、控訴人鉄道会社が有価証券報告書等に虚偽記載をして上場廃止事由に該当する事実を隠蔽し、損害を被ったなどと主張して、控訴人ら(控訴人鉄道会社、株を保有していた会社、代表取締役)に対し、不法行為等に基づく損害賠償を請求し、第一審は請求を一部認容し、差戻前の控訴審は、損害額を一部減額して認めたため、被控訴人が上告をし、上告受理申立ては受理され、上告人らの敗訴部分について差し戻された事案において、原判決を変更し、被控訴人の請求を一部認容した事例。
2014.10.28
被爆者健康手帳交付等請求事件
LEX/DB25504731/長崎地方裁判所 平成26年8月26日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第11号
原告らが、長崎県西彼杵郡焼香村(昭和20年当時)において、投下された原子爆弾の放射能の影響を受けて被爆したとして、長崎市長(処分行政庁)に対し、被爆者援護法1条3号又は④号に基づきそれぞれ被爆者健康手帳の交付申請をしたところ、処分行政庁が、各申請を却下したことから、原告らが、被告(長崎市)に対し、各却下処分の取消しを求めるとともに、処分行政庁に対し、各原告に対する被爆者健康手帳の交付の義務付けを求めた事案において、訴訟要件を欠くとして、義務付けを求める訴えを却下し、各却下処分に違法はないとして、その余の請求を棄却した事例。
2014.10.28
執行停止申立却下決定に対する抗告事件(裁判所ウェブサイト掲載判例の原審)
LEX/DB25504754/東京高等裁判所 平成26年8月14日 決定 (抗告審)/平成26年(行ス)第38号
逃亡犯罪人引渡法8条により東京高等検察庁の検察官がした審査の請求に対して東京高等裁判所が審査をし、逃亡犯罪人引渡法10条1項3号により、逃亡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当する旨の決定を受け、処分行政庁が逃亡犯罪人引渡法14条1項により東京高等検察庁検事長に対して抗告人(申立人、本案原告)を逃亡犯罪人として韓国に引き渡すことを命じたのに対し、抗告人が、その取消しの訴えを提起した上、これを本案として、同命令の執行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると主張し、被抗告人(相手方、本案被告。国)に対し、本案事件の判決確定までの間、同命令の執行停止を申し立て、原審が申立てを却下した事案において、原審の判断を維持し、抗告を棄却した事例。
2014.10.28
法人事業税更正処分取消等請求控訴事件
LEX/DB25504721/東京高等裁判所 平成26年7月18日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第130号
控訴人(原告)が、東京都千代田区都税事務所長から、2事業年度の各法人事業税について、更正処分及び過少申告加算金の決定処分を受けたことに関し、各処分は、法人事業税の資本割の持株会社特例に係る法令の解釈、適用を誤った違法な処分であると主張して、被控訴人(被告。東京都)に対し、各処分の取消しを求め、原審が請求を棄却した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2014.10.28
動産引渡等請求控訴事件
LEX/DB25504742/横浜地方裁判所 平成26年6月27日 判決 (控訴審)/平成26年(レ)第18号
被控訴人(原告)は、控訴人(被告、引越会社)との間で、鏡を含む家財道具等の動産の運送を内容とする契約を締結し、搬送のため、これらを被告に引き渡したところ、控訴人の責めに帰すべき事由で同鏡を落下させ、ガラス製の鏡部分を破損し、被控訴人への引渡しが履行不能となったとして、同鏡の価額相当額の支払いを、また、不法行為に基づき慰謝料及び弁護士費用相当額の支払いを請求し、原審が請求を一部認容、一部棄却した事案において、原判決を変更し、損害額を減少して認定し、被控訴人の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2014.10.28
損害賠償請求事件
LEX/DB25504743/札幌地方裁判所 平成25年9月25日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第2385号
モンゴル人である原告が、被告の過失により交通事故に遭い損害を被ったと主張して、不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案において、損害額を認定し、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2014.10.21
損害賠償請求事件
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LEX/DB25446687/最高裁判所第一小法廷 平成26年10月9日 判決 (上告審)/平成26年(受)第771号
大阪府泉南地域に存在した石綿(アスベスト)製品の製造、加工等を行う工場又は作業場において、石綿製品の製造作業等又は運搬作業に従事したことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患にり患したと主張する者又はその承継人である被上告人(原告)らが、上告人(被告)国に対し、上告人が石綿関連疾患の発生又はその増悪を防止するために労働基準法(昭和47年法律第57号による改正前)及び労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めたところ、第一審では原告の請求を一部認容・一部棄却したため、双方が控訴し、原審では、上告人は石綿関連疾患にり患した本件元従業員らにつき、各損害の2分の1を限度として、損害賠償責任を負うと判断したため、上告人が上告した事案において、原判決中、被上告人X1に関する上告人敗訴部分は破棄を免れず、同部分につき、同被上告人の請求を棄却した第一審判決は正当であるとして同被上告人の控訴を棄却し、上告人のその余の上告は棄却した事例。
2014.10.21
損害賠償請求事件
LEX/DB25446688/最高裁判所第一小法廷 平成26年10月9日 判決 (上告審)/平成23年(受)第2455号
大阪府泉南地域に存在した石綿(アスベスト)製品の製造、加工等を行う工場又は作業場において、石綿製品の製造作業等に従事したことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患にり患したと主張する者又はその承継人である上告人(原告)らが、被上告人(被告)国に対し、被上告人が石綿関連疾患の発生又はその増悪を防止するために労働基準法(昭和47年法律第57号による改正前)及び労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めたところ、一部認容・一部棄却されたため、一審判決を不服としてそれぞれ双方が控訴し、上告人らの請求を一部認容した一審判決は相当でないから、被上告人の本件控訴に基づき、原判決中の被上告人の敗訴部分を取消した上、上告人らの請求のうち、取消しに係る部分についての請求をいずれも棄却するとともに、上告人らの控訴審における拡張請求をいずれも棄却することとし、上告人らの本件各控訴をいずれも棄却したため、上告人が上告した事案において、原判決中、上告人X1ら及び同X7以外のその余の上告人らに関する部分並びに同X7の請求のうち固有の損害の賠償請求に関する部分を除く部分は破棄を免れず、上記破棄部分については、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すべきであるが、上告人X1らの上告は棄却した事例。なお、上告人X7の固有の損害の賠償請求に関する上告については、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却した事例。
2014.10.21
暴力団題材漫画の撤去要請訴訟
LEX/DB25504708/最高裁判所第三小法廷 平成26年7月22日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第1082号等
上告人が、福岡県警による福岡県コンビニエンスストア等防犯協議会を構成するコンビニエンスストア事業を営む9社の撤去要請によって控訴人の著書を原作とする本件コミックが各コンビニ店舗から撤去されたことは憲法21条、31条等に違反するものであり、これにより上告人は著しい精神的苦痛を被ったとして、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めた事案の上告審において、コンビニ各社が採った本件コミックを含む暴力団関係書籍等を各コンビニ店舗から撤去するという措置、コンビニ各社が福岡県警から事実上強制されて行ったものとは認められず、本件要請がされたのを機に自主的に行ったものと認められるから、福岡県警が本件要請及び本件リストの作成、交付を行ったことに国家賠償法1条1項の違法があるということはできないとした控訴審の判断を支持して、本件の上告を棄却し、本件を上告審としては受理しないとした事例。
2014.10.21
損害賠償請求事件
LEX/DB25504686/福岡地方裁判所 平成26年9月4日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第3043号
被告(久留米市)が設置運営する久留米市立南筑高等学校に在学し、同校柔道部に所属していた原告が、同じく同校に在学し、同校柔道部に所属していた分離前相被告らから暴行を受けたものであるところ、被告及び同校の職員である柔道部の顧問(監督)は、上記暴行を事前に防止するための適切な措置を講じるべき安全配慮義務(事前措置義務)を怠ったなどと主張し、被告に対し債務不履行又は国家賠償法1条1項に基づき、1100万円(慰謝料1000万円、弁護士費用100万円)の支払を求めるとともに、被告及び同校の教師らは、上記暴行の発覚後も十分な調査、再発防止のための教育的指導、被害回復等を行うべき義務(事後措置義務)を怠ったなどと主張し、被告に対して債務不履行又は国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料300万円の支払を求めた事案において、被告は、原告に対し、債務不履行責任又は国家賠償法1条1項に基づく責任を負わないとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2014.10.21
療養補償給付不支給処分取消請求控訴事件
LEX/DB25504684/東京高等裁判所 平成26年8月29日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第192号
財団法人静岡県生活科学検査センターにおいて業務に従事していた控訴人(原告)が、業務に起因して、心肺停止、蘇生後低酸素脳症になったと主張して、処分行政庁(労働基準監督署長)に対し療養補償給付の支給を請求したところ、処分行政庁は不支給決定をしたため、被控訴人(被告・国)に対して、当該処分の取消しを求めた事案の控訴審において、本件疾病は、労働者災害補償保険法7条1項1号にいう業務上の疾病に当たるというべきであるとして、原判決を取り消した上、控訴人の請求を認容した事例。
2014.10.21
青少年愛護条例(兵庫県昭和38年条例第17号)違反被告事件
LEX/DB25504703/大阪高等裁判所 平成26年8月28日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第456号
柔道クラブのコーチをしていた被告人が、柔道の教え子であり、自宅に下宿させていた当時14歳のAに対し、わいせつな行為をしたという兵庫県青少年愛護条例違反被告事件の事案の控訴審において、Aが被告人をコーチとして信頼していることや、ある程度の性的な知識はあるものの、これについての善悪の判断が十分でないことに乗じて犯行に及んでいること、Aが本件被害を認知した後に感じた精神的苦痛は大きく、Aの健全な成長に対する悪影響が懸念されること、Aに対する慰謝の措置が何ら講じられていない上、犯行を否認しており、反省の態度が見られないことに照らすと、被告人の刑責を軽視することはできないとして、原判決を破棄し、被告人を懲役1年に処し、執行猶予3年を言い渡した事例。
2014.10.21
損害賠償、求償金請求控訴事件(加害元少年に賠償命令 両親の責任は認めず)
LEX/DB25504705/大阪高等裁判所 平成26年8月28日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第814号
亡Aが被控訴人Eに殺害された事件について、亡Aの両親である控訴人B及び控訴人CとAの兄である控訴人が、本件事件の加害者である被控訴人Eに対し、不法行為に基づく損害賠償を求め、被控訴人Eの親権者である被控訴人両親に対し、被控訴人Eを監督すべき義務があったのに、これを怠ったために本件事件が発生したなどと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた等の事案の控訴審において、被控訴人両親は、被控訴人Eが広汎性発達障害であることを認識していなかったのであるから、同被控訴人に対する監督義務の内容として、同被控訴人の傷害に配慮した対応をとるべき注意義務があったということはできない等として、本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2014.10.21
島根県条例第36号無効確認等請求控訴事件(『竹島の日を定める条例』無効確認訴訟)
LEX/DB25504701/広島高等裁判所松江支部 平成26年7月7日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第5号
島根県議会が「竹島の日を定める条例」を制定したことについて、控訴人が本件条例を公布した被控訴人に対し、本件条例は、韓国領である独島を日本国の領土として竹島と命名し、島根県に編入したことを根拠とするもので違法無効であると主張し、主位的に本件条例が無効であることの確認を求め、予備的に本件条例の取消しを求めた事案の控訴審において、抗告訴訟の対象となる行政処分とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいうものであるところ、本件条例の制定行為は、限られた特定の者に対してのみ適用されるものでも、その者の権利義務、法的地位に直接影響を及ぼす内容でもないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないことは明らかであるとして、本件各訴えをいずれも却下した原審の判断を支持して、本件控訴を棄却した事例。
2014.10.14
法人税更正処分等取消請求事件(本田技研工業(株)VS国)
LEX/DB25504716/東京地方裁判所 平成26年8月28日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第164号
原告(自動二輪車、四輪車の製造及び販売を主たる事業とする内国法人)が、その間接子会社であり、ブラジル連邦共和国アマゾナス州に設置されたマナウス自由貿易地域で自動二輪車の製造及び販売事業を行っている外国法人H社及びその子会社との間で、自動二輪車の部品等の販売及び技術支援の役務提供取引を行い、それにより支払を受けた対価の額を収益の額に算入して、平成10年3月期、平成11年3月期、平成13年3月期、平成14年3月期及び平成15年3月期の法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁から、前記の支払を受けた対価の額が租税特別措置法66条の4第2項1号ニ及び2号ロ、租税特別措置法施行令39条の12第8項に定める利益分割法により算定した独立企業間価格に満たないことを理由に、租税特別措置法66条の4第1項の国外関連者との取引に係る課税の特例の規定により、本件国外関連取引が本件独立企業間価格で行われたものとみなし、本件各事業年度の所得金額に本件独立企業間価格と本件国外関連取引の対価の額との差額を加算すべきであるとして、本件各更正等を受けたため、被告国に対し、本件各更正等の一部又は全部の取消しを求めた事案において、ブラジル側比較対象企業は、マナウス税恩典利益を享受していない点でH社等との比較可能性を有するのではないから、処分行政庁が、上記の差異につき何らの調整も行わずにブラジル側基本的利益を算定した上、本件独立企業間価格を算定したことには誤りがあるというべきであり、上記の差異は、市場の特殊性という営業利益に大きく関わる基本的な差異であるため、そもそも、適切な差異調整を行うことができるか否かは不明であり、本件の証拠関係の下では、原告が本件国外関連取引により支払を受けた対価の額が独立企業間価格に満たないものであることにつき立証があったとは認められないから、本件国外関連取引に租税特別措置法66条の4第1項を適用して移転価格税制の課税を行うことはできないとして、原告の請求を認容した事例。