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2015.01.13
わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管被告事件
LEX/DB25446840/最高裁判所第三小法廷 平成26年11月25日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第574号
日本在住の被告人は、日本及びアメリカ合衆国在住の共犯者らとともに、日本国内で作成したわいせつな動画等のデータファイルをアメリカ合衆国在住の共犯者らの下に送り、同人らにおいて同国内に設置されたサーバコンピュータに同データファイルを記録、保存し、日本人を中心とした不特定かつ多数の顧客にインターネットを介した操作をさせて同データファイルをダウンロードさせる方法によって有料配信する日本語のウェブサイトを運営していたところ、平成23年7月及び同年12月、日本国内の顧客が同配信サイトを利用してわいせつな動画等のデータファイルをダウンロードして同国内に設置されたパーソナルコンピュータに記録、保存し、平成24年5月、被告人らは、前記有料配信に備えてのバックアップ等のために、東京都内の事務所において、DVDやハードディスクにわいせつな動画等のデータファイルを保管した事実につき、刑法175条1項後段にいう「頒布」とは、不特定又は多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをいうと解され、被告人らが運営する前記配信サイトには、インターネットを介したダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能が備付けられていたのであって、顧客による操作は被告人らが意図していた送信の契機となるものにすぎず、被告人らは、これに応じてサーバコンピュータから顧客のパーソナルコンピュータへデータを送信したというべきであり、不特定の者である顧客によるダウンロード操作を契機とするものであっても、その操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用して送信する方法によってわいせつな動画等のデータファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータ等の記録媒体上に記録、保存させることは、刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たるとし、また、被告人らが、同項後段の罪を日本国内において犯した者に当たることも、同条2項所定の目的を有していたことも明らかであるとして、被告人に対しわいせつ電磁的記録等送信頒布罪及びわいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪の成立を認めた原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2015.01.13
関税法違反被告事件
LEX/DB25446834/最高裁判所第二小法廷 平成26年11月7日 判決 (上告審)/平成25年(あ)第1334号
被告人は、D、B、E、A、C及び氏名不詳者と共謀の上、税関長の許可を受けないで、うなぎの稚魚を中華人民共和国に不正に輸出しようと考え、成田国際空港第2旅客ターミナルにおいて、航空機の搭乗手続を行うに当たり、税関長に何ら申告しないまま、うなぎの稚魚合計約59.22kg在中のスーツケース6個を機内持込手荷物である旨偽って同所に設置されたエックス線装置による検査を受けずに国際線チェックインカウンターエリア内に持ち込み、あらかじめ入手した保安検査済シールを各スーツケースに貼付するなどした上、同カウンター係員に本件スーツケース6個を機内預託手荷物として運送委託することにより、税関長の許可を受けないでうなぎの稚魚を輸出しようとしたが、税関職員の検査により本件スーツケース内のうなぎの稚魚を発見された無許可輸出の未遂罪の事実につき、第一審判決は、被告人らが運送委託を企図したということを示したものと理解するのが相当であるとして、被告人を罰金88万円に処したところ、被告人は、第一審判決に対して量刑不当を理由に控訴し、原判決は、無許可輸出罪の実行の着手時期に関し、「検査済みシールを本件スーツケース6個に貼付するなどした」までの事実をもって、無許可輸出の未遂罪が成立するとはいえず、単に無許可輸出の予備罪が成立するにとどまるというべきであり、第一審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるとして、第一審判決を破棄し、被告人を罰金50万円に処したところ、双方が上告した事案において、本件スーツケース6個を、機内預託手荷物として搭乗予約済みの航空機に積載させる意図の下、機内持込手荷物と偽って保安検査を回避して同エリア内に持ち込み、不正に入手した検査済みシールを貼付した時点では、既に航空機に積載するに至る客観的な危険性が明らかに認められるから、関税法111条3項、1項1号の無許可輸出罪の実行の着手があったものと解するのが相当であるとし、無許可輸出の予備罪にとどまるとして第一審判決を破棄した原判決には法令の解釈適用を誤った違法があるとして、原判決を破棄し、第一審判決は、被告人に対し罰金88万円に処した量刑判断を含め、これを維持するのが相当であるとした事例(補足意見がある)。
2015.01.06
賠償金請求事件
LEX/DB25446831/最高裁判所第二小法廷 平成26年12月19日 判決 (上告審)/平成25年(受)第1833号
共同企業体との間で一般競争入札の方法により請負契約を締結した普通地方公共団体である被上告人が、後に当該共同企業体の構成員のうち1社につき公正取引委員会の排除措置命令及び課徴金納付命令が確定したことを理由に、当該請負契約の約款に基づき、他の構成員である上告人に対し、約定の賠償金及び遅延損害金の支払を求めたところ、原審は、被上告人の請求を認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件賠償金条項において排除措置命令等が確定したことを要する「乙」とは、本件共同企業体又は「A建設及び上告人」をいうものとする点で合意が成立していると解するのが相当であり、後に上告人に対する排除措置命令等が確定すれば、被上告人としては改めて上告人に対して賠償金の支払を求めることができるから、本件賠償金条項の目的が不当に害されることにもならないとして、これと異なる原審の判断には法令の違反があるとし、原判決を破棄し、第一審判決を取消し、被上告人の請求を棄却した事例(補足意見がある)。
2015.01.06
延滞税納付債務不存在確認等請求事件
LEX/DB25446819/最高裁判所第二小法廷 平成26年12月12日 判決 (上告審)/平成25年(行ヒ)第449号
亡Aの相続人である上告人らが、Aの相続について、それぞれ、法定申告期限内に相続税の申告及び納付をした後、その申告に係る相続税額が過大であるとして更正の請求をしたところ、所轄税務署長において、相続財産の評価の誤りを理由に減額更正をするとともに還付加算金を加算して過納金を還付した後、再び相続財産の評価の誤りを理由に増額更正をし、これにより新たに納付すべきこととなった本税額につき、国税通則法60条1項2号、2項及び国税通則法61条1項1号に基づき、法定納期限の翌日から完納の日までの期間(ただし、法定申告期限から1年を経過する日の翌日から上記の増額更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間を除く。)に係る延滞税の納付の催告をしたことから、上告人らが、被上告人を相手に、上記の延滞税は発生していないとして、その納付義務がないことの確認を求めた事案の上告審において、本件各相続税のうち本件各増差本税額に相当する部分は、本件各相続税の法定納期限の翌日から本件各増額更正に係る増差本税額の納期限までの期間については、国税通則法60条1項2号において延滞税の発生が予定されている延滞と評価すべき納付の不履行による未納付の国税に当たるものではないというべきであるから、本件各相続税のうち本件各増差本税額に相当する部分について本件期間に係る延滞税が発生しないと解するのが相当であるとし、異なる見解の原審の判断には、明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第一審判決を取消し、上告人らの請求をいずれも認容すべきであるとした事例(補足意見及び意見がある)。
2015.01.06
相続預り金請求事件
「新・判例解説Watch」H27.2月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25446820/最高裁判所第二小法廷 平成26年12月12日 判決 (上告審)/平成24年(受)第2675号
販売会社のB証券から購入した複数の投資信託に係る受益権を有していた亡A(平成8年10月死亡)の子である上告人(亡Aの法定相続人は、上告人を含めて3名で、その法定相続分は各3分の1)が、被上告人に対し、平成8年11月から平成10年9月までの間に発生した本件投資信託の収益分配金及び平成16年に発生した本件投資信託の元本償還金は,B証券又は同社を吸収合併した被上告人の亡A名義の口座に本件預り金の3分の1に当たる金員及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたところ、原審は、本件預り金債権は当然に相続分に応じて分割されるものではないなどとして、上告人の請求を棄却すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、共同相続人の1人である上告人は、被上告人に対し、自己の相続分に相当する金員の支払を請求することができないとし、原審の判断は是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2015.01.06
MBO株主代表訴訟事件(シャルレMBOに係る株主代表訴訟事件)
LEX/DB25505137/神戸地方裁判所 平成26年10月16日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第3484号
株式会社シャルレの株主である原告が、同社の取締役である被告らに対し、同社の二段階買収たるマネジメント・バイアウト(MBO)を行うに際し、被告らが利益相反等の善管注意義務違反及び忠実義務違反並びに情報開示義務違反にあたる行為をし、そのために本件MBOが頓挫したことから、同社が無駄な費用を支出し、その信用が失墜したと主張して、会社法432条1項、会社法430条及び会社法847条3項に基づき、連帯して、被告らに対し、同社に損害賠償を支払うことを求めて提起した株主代表訴訟において、本件MBOの実施に当たり被告ら取締役が同社に対して負っている善管注意義務のうち、被告Y1らはMBOの手続的公正さ確保に向けての配慮義務と情報開示義務に違反し、また、被告Y2らは情報開示義務に違反する等と示し、それら義務違反と相当因果関係のある損害額を算出して、原告の請求を一部認容した事例。
2014.12.22
岐阜県瑞浪市いじめ事件
LEX/DB25505136/最高裁判所第二小法廷 平成26年10月15日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第470号等
当時中学2年生であった娘が自殺したのは、同学年の生徒らのいじめが原因であるとして、娘の父母である上告人兼申立人らが、生徒ら及びその父母を被上告人兼相手方として、生徒らに対しては共同不法行為に基づき、父母らに対しては教育及び監督監護義務違反による不法行為に基づき、損害賠償を請求した事案の上告審及び上告受理審において、生徒らのいじめ行為の存在を認めることはできないとして、上告人兼申立人らの請求をいずれも棄却した原審の判断を支持して、本件上告理由は、違憲及び理由の食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに民事訴訟法312条1項又は2項に規定する事由に該当せず、また、上告受理申立てについて、本件申立ての理由によれば、本件は民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとした事例。
2014.12.22
セブン―イレブン・ジャパン 「見切り販売」制限事件
LEX/DB25505135/最高裁判所第三小法廷 平成26年10月14日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第2159号等
被上告人(コンビニエンス・ストアのフランチャイザー)と加盟店契約を締結してコンビニエンス・ストアを営業している上告人らが、被上告人による見切り販売の妨害行為によって損害を被ったとして、被告に対し、独占禁止法25条に基づき、損害賠償を請求した事案の上告審及び上告受理申立審において、被上告人の行為は、正常な商慣習に照らして不当に取引の実施について原告らに不利益を与えたものであり、一般指定14条4号に該当するものとして、独占禁止法19条に違反する違法な行為であると認めて上告人らの請求を一部認容した原審の判断を支持して、本件上告理由は理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに民事訴訟法312条1項又は2項所定の事由に該当しないとして、本件上告を棄却し、また、本件を上告審としては受理しないものとした事例。
2014.12.22
セイロガン事件
LEX/DB25505134/最高裁判所第一小法廷 平成26年10月9日 決定 (上告審)/平成25年(受)第2642号
医薬品を販売する申立人が、同業者である相手方に対し、不正競争防止法3条に基づき、相手方各表示の使用差止め並びに相手方表示1の表示を付した包装及び相手方表示2の包装の廃棄を求めるとともに、不正競争防止法4条本文に基づき、損害賠償を求めた事案の上告受理申立審において、称呼については、確かに「セイロガントーイエー」と「セイロガントーイエス」とでは最後の1文字が異なるだけである等とは認めつつ、相手方が相手方表示1を使用しているとは認められないし、相手方表示2が申立人各表示と同一又は類似の商品表示であるとは認めることはできないとして、申立人の控訴並びに控訴審における請求をいずれも棄却した原審の判断を支持して、本件を上告審としては受理しないとした事例。
2014.12.22
各私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反被告事件(北陸新幹線 談合事件)
LEX/DB25505129/東京地方裁判所 平成26年10月6日 判決 (第一審)/平成26年(特わ)第247号
被告人Y1を含む被告会社等11社の従業者らが、独立行政法人鉄道建設・運輸整備支援機構が条件付一般競争入札の方法により発注する北陸新幹線融雪基地機械設備工事及び消雪基地機械設備工事について、入札談合を行って、一連の工事の受注に係る取引分野における競争を実質的に制限したという独占禁止法違反の事案において、入札談合の規模及び影響は大きいとして、被告人Y2社を罰金1億2000万円に、Y1を懲役1年2月、執行猶予3年に処した事例。
2014.12.22
「陸山会」 政治資金規正法違反事件
「新・判例解説Watch」H27.2月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25504933/最高裁判所第三小法廷 平成26年9月30日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第712号
被告人Aは、衆議院議員Dの資金管理団体であるE会の会計責任者であり、被告人B及び被告人CはE会の会計責任者の職務を補佐をしていたものであるが、F建設会社が、E会に政治活動に関する寄附をすることができないので、寄附の事実を発覚しないようにするために、他の団体の名義を使って政治活動に関する寄附を行ったのに、E会の収支報告書に他の団体から寄附があった旨の虚偽の記載を記入した上、E会がDから借りた4億円をE会の収支報告書に記載せず、かつ、かかる4億円を原資として支払った土地代金等をE会の収支報告書に記載しないよう画策したことを端緒として行われたE会の収支報告書における虚偽記入や必要事項を記載しなかったとして、政治資金規正法違反に問われた事案において、原々判決は、被告人Aに対し禁錮3年、執行猶予5年、被告人Bに対し禁錮2年、執行猶予3年、被告人Cに対し、禁固1年、執行猶予3年を言い渡し、被告人らがこれを不服として控訴したが、原判決が控訴を棄却したため、被告人Bが上告した事案において、上告趣意は上告理由に当たらないとして上告を棄却した事例。
2014.12.22
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25504930/札幌高等裁判所 平成26年9月25日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第226号
原告(控訴人)が、約5年にわたって叔父である被告(被控訴人)から、複数回にわたって、わいせつ行為ないし姦淫を受け、このことにより、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、離人症性障害及びうつ病などの精神障害を発症し、損害を被ったと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償の支払を求めたところ、原判決は、不法行為に基づく損害賠償請求権は、民法724条後段所定の除斥期間の経過により消滅したと判断し、請求を棄却したため、原告が控訴した事案において、原告の請求を全部棄却した原判決は失当であるとして、原判決を変更し、請求を一部認容した事例。
2014.12.22
詐欺被告事件(無罪)
LEX/DB25504929/東京地方裁判所 平成26年9月4日 判決 (第一審)/平成25年(刑わ)第1717号
被告人らが、共謀の上、ゴルフ場が暴力団員の利用を禁止しているにもかかわらず、被告人らが暴力団員であることを秘して当該ゴルフ場の施設利用を申し込み、従業員をして被告人らがいずれも暴力団員ではないと誤信させ、2回にわたり当該ゴルフ場の施設を利用する利便の提供を受けて、財産上不法の利益を得た事案において、本件公訴事実については、詐欺罪にいう「人を欺く行為」には当たらないという点で、犯罪の証明がないから、刑事訴訟法336条により、被告人3名に対し、いずれも無罪を言い渡した事例。
2014.12.16
勾留取消し請求却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25446798/最高裁判所第二小法廷 平成26年11月28日 決定 (特別抗告審)/平成26年(し)第538号
刑事訴訟法367条が準用する刑事訴訟法366条1項は、刑事施設にいる被告人が上訴取下書等の書面を裁判所に提出する場合には、刑事施設の内部手続に時間を要し、被告人が意図した効果の発生時期が予想外のものになって法的安定性が害されることを防ぐため、書面による訴訟行為の効力発生時期について到達主義の例外を定めたものであるとし、刑事施設にいる被告人が、被収容者からの書面の受領を担当する刑事施設職員に対し、上訴取下書を交付し、同職員がこれを受領したときは、同項にいう「刑事施設の長又はその代理者に差し出したとき」に当たると解するのが相当であるとし、本件においては、神戸拘置所収容中の被告人は、平成26年10月14日午前8時55分、被収容者からの書面の受領を担当する刑事施設職員である看守部長に本件取下書を交付し、同看守部長がこれを受領しているから、この時点で本件取下書を刑事施設の長又はその代理者に差し出したものと認められ、原決定謄本が被告人に送達されるに先立ち、本件準抗告取下げの効力が生じたといえ、本件準抗告申立て事件の手続は、平成26年10月14日取下げによって終了し、これにより本件勾留取消し請求却下の裁判が確定したから、本件抗告の申立ては、その実益がなく、不適法であるとし、本件抗告を棄却した事例(補足意見あり)。
2014.12.16
訴訟費用額確定処分異議申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25446797/最高裁判所第一小法廷 平成26年11月27日 決定 (許可抗告審)/平成26年(許)第19号
抗告人の相手方に対する立替金請求訴訟について裁判所書記官が行った訴訟費用の負担の額を定める処分について、抗告人が異議の申立てをし、抗告人が準備書面の直送をするために支出した郵便料金が、訴訟費用に含まれるかが争われた事案において、抗告人が支出した本件郵便料金は、民事訴訟費用等に関する法律2条2号の類推適用により費用に当たると解することはできず、訴訟費用には含まれないことになるとして、本件抗告を棄却した事例。
2014.12.16
わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管被告事件
LEX/DB25446785/最高裁判所第三小法廷 平成26年11月25日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第510号
被告人らが運営する配信サイトには、インターネットを介したダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能が備付けられていたのであって、顧客による操作は被告人らが意図していた送信の契機となるものにすぎず、被告人らは、これに応じてサーバコンピュータから顧客のパーソナルコンピュータへデータを送信したというべきであり、不特定の者である顧客によるダウンロード操作を契機とするものであっても、その操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用して送信する方法によって、わいせつな動画等のデータファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータ等の記録媒体上に記録、保存させることは、刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たり、被告人に対しわいせつ電磁的記録等送信頒布罪及びわいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪の成立を認めた原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2014.12.16
国家賠償請求控訴事件
LEX/DB25505056/東京高等裁判所 平成26年10月20日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第2201号
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に基づく指定を受けた暴力団から脱退しようとしていた控訴人が、甲府市内で自分名義の車両を運転していた際に同暴力団の組員が運転する車両に衝突されるなど、脱退に対する妨害を受けたため、被控訴人の公務員である甲府警察署の警察官に保護を求めたにもかかわらず、必要な保護を得られなかったこと等により、損害を被ったと主張して、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審において、N警部及びU巡査長が控訴人の意思に反して本件面会2を強要したものとは認められず、本件面会2の実施に関する同人らの職務行為に国家賠償法上の違法性があるとは認めることができない等として、控訴人の本訴請求を25万円及びこれに対する附帯請求を認める限度で認容し、その余の請求を棄却した原判決を相当として、本件控訴を棄却した事例。
2014.12.16
各特定商品等の預託等取引契約に関する法律違反被告事件(安愚楽牧場事件)
LEX/DB25505061/東京高等裁判所 平成26年10月16日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第223号
特定商品等の預託等取引契約に関する法律に定める特定商品に該当する黒毛和種牛の繁殖牛に関する預託等取引業を行う本件会社の代表取締役として同社の業務全般を統括していた被告人A及び同被告人を保佐していた被告人Bが、黒毛和種牛売買・飼養委託契約の締結について顧客を勧誘するに当たり、約定通り顧客に割り当てる繁殖牛が存在しないにもかかわらず、オーナー契約申込みを希望する顧客に対し、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要な特定商品の保有の状況につき不実のことを告げたという事案の控訴審において、原判決後、被告人両名がそれぞれ反省の弁を述べ、被告人両名が被害者192名中162名に対し、不実の告知を受けて締結した契約に基づき本件会社に払い込んだ額を連帯して返還する旨を約し、現実に一部を支払って示談が成立していること等の事情から、原判決を破棄し、被告人Aを懲役2年6月に、被告人Bを懲役2年に処するとした事例。
2014.12.16
災害弔慰金不支給決定取消請求事件
LEX/DB25505078/仙台地方裁判所 平成26年10月16日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第28号
東日本大震災により死亡したAの母である原告が、処分行政庁(石巻市長)から災害弔慰金不支給決定を受けたため、被告(石巻市)に対し、同決定の取消しを求めた事案において、石巻市災害弔慰金の支給等に関する条例4条3項に基づき、Aに係る災害弔慰金をB(Aの祖母)に支給することとし、原告にはこれを支給しないことを決定した処分行政庁の判断に、法や本件条例の解釈を誤った違法は認められないとし、また、本件においてのみ特別の調査ないし検討が行われて不平等な条例の適用がされたというべき事情は見当たらないから、原告の主張(適用違憲)は前提を欠くとして、原告の請求を棄却した事例。
2014.12.16
自動車運転過失傷害(変更後の訴因危険運転致傷)被告事件
LEX/DB25505063/京都地方裁判所 平成26年10月14日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1335号
被告人が、左折先の歩道上に小学生らがいるのを見ていながら、公道上で無謀にもドリフト運転を試み、これに失敗して自車左後部をガードレールに衝突させた上、折から歩道上を登校のため歩行中の小学生Aほか4名に衝突させるなどし、よって、同人らに本件各傷害を負わせた等の本件事故を起こしたとされた自動車運転過失傷害(変更後の訴因危険運転致傷)被告事件の事案において、被告人車両が高速度、すなわち、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって自車を進路から逸脱させて自己を発生させることになると認められるような速度で走行したが故に、本件事故が生じたと認めるには、なお合理的疑いが残るといわざるを得ないとして、被告人の行為は、危険運転致傷罪の構成要件には該当しないと示し、犯行当時、少年であった被告人を懲役1年6月以上2年6月以下に処した事例。