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2015.02.10
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事件(川崎重工に賠償命令)
LEX/DB25505364/最高裁判所第二小法廷 平成26年10月29日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第1024号等
陸上自衛隊第四対戦車ヘリコプター隊所属の本件事故機が、整備確認飛行を終え、帰投するために、空中静止状態から前進飛行を開始しようとした際、突然、急激に全エンジンが出力を失って落着し、これにより本件事故機の機体下部等が損壊し、搭乗者2名が重傷を負うという本件事故が発生したところ、本件事故の原因は本件エンジン内のコンピュータアセンブリに組み込まれたサーボ・バルブに装着されたアセンブリが脱落したことにある等として、被上告人兼相手方(国。原告・被控訴人)が、上記エンジンの製造者である上告人兼申立人(被告・控訴人)に対し、製造物責任法3条に基づき、本件事故について発生した損害の賠償を求めた事案の上告において、本件上告を棄却し、本件を上告審として受理しないとした事例。
2015.02.03
国家賠償請求控訴事件(兵庫県テニス部熱中症事故(逆転判決))
LEX/DB25505525/大阪高等裁判所 平成27年 1月22日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第668号
被告(兵庫県。被控訴人)の設置・運営する高校の2年生に在籍し、テニス部に所属していた原告(控訴人)X1が、テニス部の練習中に突然倒れて心停止に至り、低酸素脳症を発症して重度の障害が残ったのは、同高校のテニス部顧問の教諭や校長の義務違反によるものであるとして、(1)原告X1が、被告に対し、国家賠償法1条1項又は在学契約に付随する安全配慮義務違反による損害賠償請求権に基づき、原告X1の逸失利益等の支払いを求め、(2)原告X1の両親である原告X2及び原告X3が、子である原告X1が事故に遭ったことにより生命侵害に比肩する精神的苦痛を被り、また、事故後の学校長の不誠実な対応により名誉、人格が毀損され、精神的苦痛を被ったなどとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金の支払いを求めたところ、第一審は原告らの請求をいずれも棄却したため、これを不服として原告らが控訴した事案において、本件事故当時、テニス部顧問教諭の前記義務違反があり、原告X1は熱中症に罹患し、重度の心筋障害が生じたものとして、原告らの請求のうち一部認容し、原判決を変更した事例。
2015.02.03
(婚外子の相続格差規定合憲-00年5月時点)
LEX/DB25505524/最高裁判所第三小法廷 平成26年12月 2日 判決 (上告審)/平成26年(オ)第994号
亡αの相続人の1人である原告(控訴人・上告人)が、他の相続人被告(被控訴人・被上告人)Yが代表を務める被告会社(被控訴人会社・被上告人会社)に対し、亡αと被告会社との間の土地賃貸借契約に基づく未払賃料及び確定遅延損害金につき未払賃料、確定遅延損害金、不当利得返還請求権に基づき、被告会社において受領した固定資産税等の還付金及び還付加算金の支払を求め、また、被告Yに対し、不当利得返還請求権に基づき、亡αの預貯金から払い戻しを受けた金員の支払を求め、さらに被告会社に対し、不当利得返還請求権に基づき、被告会社において亡αの預貯金から払い戻しを受けて預かっている金員及び亡αの立て替えた被告会社に係る経費、亡αと被告会社との間の金銭消費貸借契約に基づく貸金の支払を求めたところ、第一審は原告の請求を一部認容したが、原告は敗訴部分を不服として控訴し、被告Yは、前記預貯金払戻金の不当利得返還請求に関する部分を不服として附帯控訴した控訴審では、原告の控訴を棄却し、当審における原告の請求の減縮により、被告Yの原告に対する請求額を変更し、当審における原告の拡張請求を棄却し、被告の附帯控訴を棄却したところ、原告が上告した事案において、平成12年5月当時、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分の2分の1と定めた平成25年法律第94号による改正前の民法900条4号ただし書前段の規定が憲法14条1項に違反するものではいとし、本件上告を棄却した事例。
2015.02.03
間接強制決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件(国営諫早湾干拓事業問題)
LEX/DB25447006/最高裁判所第二小法廷 平成27年 1月22日 決定 (許可抗告審)/平成26年(許)第26号
諫早湾の干拓地で農業を営み、又は同湾内で漁業を営む者等である相手方らが、抗告人に対し、諫早湾干拓地潮受堤防の北部及び南部各排水門を開放してはならない旨を抗告人に命ずる仮処分決定に基づき、間接強制の申立てをしたところ、原審は、本件仮処分決定に基づく債務は債務者である抗告人が自己の意思のみで履行することができる債務であるとして、抗告人に対し、本件各排水門を開放してはならない旨を命ずるとともに、その義務を履行しないときは、相手方らに対し、1日につき49万円の割合による金員を支払うよう命ずる間接強制決定をすべきものとしたため、抗告人が許可抗告した事案において、抗告人が別件確定判決により本件各排水門を開放すべき義務を負っているという事情があっても、執行裁判所は本件仮処分決定に基づき抗告人に対し間接強制決定をすることができ、抗告人主張のその余の事情も間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではないとし、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2015.02.03
間接強制決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件(国営諫早湾干拓事業問題)
LEX/DB25447007/最高裁判所第二小法廷 平成27年 1月22日 決定 (許可抗告審)/平成26年(許)第17号
諫早湾及びその近傍において漁業を営む相手方らが、抗告人に対し、諫早湾干拓地潮受堤防の北部及び南部各排水門の開放を抗告人に命ずる確定判決に基づき、間接強制の申立てをしたところ、原審は、本件確定判決に基づく債務は債務者である抗告人が自己の意思のみで履行することができる債務であるとし、抗告人に対し、原々決定の送達を受けた日の翌日から2箇月以内に、防災上やむを得ない場合を除き、本件各排水門を開放し、以後5年間にわたってその開放を継続することを命ずるとともに、上記2箇月の期間内にその義務を履行しないときは、相手方ら各自に対し、上記期間経過の翌日から履行済みまで、1日につきそれぞれ1万円の割合による金員を支払うよう命ずる間接強制決定をすべきものとしたため、抗告人が許可抗告した事案において、抗告人が別件仮処分決定により本件各排水門を開放してはならない旨の義務を負ったという事情があっても、執行裁判所は本件確定判決に基づき抗告人に対し間接強制決定をすることができるとし、抗告人主張のその余の事情も間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではないとし、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2015.02.03
損害賠償請求控訴事件 (セブン―イレブン・ジャパン値下げ妨害事件(控訴審))
LEX/DB25505337/福岡高等裁判所 平成26年11月 7日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第460号
コンビニエンスストアのフランチャイズ・チェーンを運営する一審被告(セブンーイレブン・ジャパン)との間で、その加盟店となる契約をそれぞれ締結しコンビニエンスストアを経営してきた一審原告らが、一審被告が、一審原告らが一審被告に支払うべきロイヤリティにあたる「セブン-イレブンチャージ」の算定方法等の説明を怠り、また、一審原告らが販売する米飯・チルド等の短期の販売期限(一審被告が独自に定める商品を販売することができる期限であり、商品のメーカーが設定する消費期限ないし賞味期限とは異なるものをいう。)が設定された商品(デイリー商品)の値下げ販売(一審被告が推奨する売価(推奨売価)より値引きした価格で販売することをいう。)を制限・禁止したため、商品を廃棄処分せざるを得ず、これにより損害を被ったとして、不法行為又は債務不履行に基づいて損害賠償金の支払を求め、さらに、一審原告X2及び同X3においては、一審被告が、同一審原告らの近隣地域に競合店を出店させたこと(ドミナント)により売上げが減少する損害を被ったと主張して、これが一審被告の債務不履行ないし不法行為に当たるとして損害賠償金の支払を求めた事案の控訴審において、一審原告X1、同X4及び同X3については、一審被告による価格決定権の侵害行為を認めることはできないとする一方、一審原告X2については、OFC(オペレーション・フイールド・カウンセラー(被告の従業員であり、加盟店契約に基づいてセブンーイレブン店に派遣され、加盟店オーナーに対して経営上のアドバイス等をする者。))の値下げ販売禁止の言動により、価格決定権が侵害されたものと認められ、一審被告は、このことについて、一審原告X2に対し、不法行為に基づく損害賠償義務を負うとして、一審被告の控訴に基づき原判決を一部変更し、一審原告らの控訴をいずれも棄却した事例。
2015.02.03
当選無効請求事件
LEX/DB25505338/福岡高等裁判所 平成26年10月30日 判決 (第一審)/平成26年(行ケ)第2号
原告が、公職選挙法206条2項に基づき、本件選挙(平成26年4月13日執行の吉野ヶ里町議会議員選挙)の当選の効力に関する審査の申立てをしたのに対し、被告(佐賀県選挙管理委員会)が平成26年7月3日に上記申立てを却下する裁決をしたため、同法207条に基づきその取消しを求めるとともに、本件選挙における当選人の当選無効を求めた民衆訴訟において、本件異議の申出は、町委員会(吉野ヶ里町選挙管理委員会)から申出期間徒過により不適法として却下決定を受けているから、このような異議の申出と却下決定を経た本件審査の申立ては、異議手続前置の要件を満たしておらず、不適法な審査の申立てとして却下すべきであるとし、また、本件訴えのうち、当選無効を求める訴えは、公職選挙法207条に基づいて提起されたものであるが、申出期間徒過により不適法な異議の申出及びこれにより不適法な審査の申立てに続けて申し立てられた当選無効を求める訴えは、法所定の手続(適法な異議の申出や審査の申立て等)を経ておらず不適法であるとして、原告の訴えを一部却下し、その余の請求を棄却した事例。
2015.01.27
選挙無効請求事件
LEX/DB25446881/最高裁判所第一小法廷 平成27年1月15日 判決 (上告審)/平成26年(行ツ)第103号等
東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号に基づいて平成25年6月23日に施行された東京都議会議員選挙について、練馬区選挙区の選挙人である上告人(原告)が、本件条例のうち各選挙区において選挙すべき議員の数を定める規定が公職選挙法15条8項に違反するとともに憲法14条1項、憲法15条1項、3項等に違反して無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の練馬区選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟で、原審が原告の請求を棄却したため、原告が上告した事案において、本件選挙当時における本件条例の定数配分規定は、公職選挙法15条8項に違反していたものといえず、適法であるとし、また、本件選挙当時、本件条例による各選挙区に対する定数の配分が東京都議会の合理的裁量の限界を超えているものとはいえず、本件条例の定数配分規定が憲法の規定等に違反していたものといえないとし、本件請求を棄却した原審の判断は、是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2015.01.27
損害賠償請求権行使請求控訴事件
LEX/DB25505267/東京高等裁判所 平成26年11月26日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第269号
原告(控訴人)らが、被告(被控訴人)静岡県に対し、静岡空港の販売促進及び広告宣伝費等空港関連経費の支出が違法であると主張して、当時の静岡県知事に対して損害賠償請求権を行使すること、上記支出の各支出負担行為及び支出命令を専決した各専決権者に対し損害賠償命令をすること、被告が静岡空港建設のために参加人に対して委託した測量業務委託において、参加人の債務不履行又は不法行為により被告が損害を受けたとして、当時の静岡県知事、参加人、委託業務の検査員らに対し、損害賠償請求権を行使することなどを求めたところ、原判決は、請求の一部を却下し、その余の請求を棄却したため、原告らが控訴した事案において、原判決の結論と同旨であるとし、控訴をいずれも棄却した事例。
2015.01.27
出資金返還請求控訴事件(MRIインターナショナル事件(控訴審))
LEX/DB25505266/東京高等裁判所 平成26年11月17日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第623号
被告(被控訴人)と金融商品取引契約書により金融商品を購入する旨の契約を締結して、被告に出資した原告(控訴人)らが、被告に対し、約定の満期が到来したとして、その出資金の返還を求めたところ、原判決が、アメリカ合衆国ネヴァダ州裁判所を専属的合意管轄とする管轄合意の存在を認め、日本の裁判所には本訴えの管轄権はないとして、原告らの訴えを却下したため、原告らが控訴した事案において、被告の本案前の抗弁は理由がなく、これを認めて原告らの訴えを却下した原判決は相当でないとし、原判決を取消し、原審に差し戻した事例。
2015.01.27
九州建設アスベスト損害賠償請求事件
LEX/DB25505227/福岡地方裁判所 平成26年11月7日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第4275号等
原告らが、建築作業従事者であった原告ら又はその被相続人が建築作業に従事した際、石綿含有建材による石綿粉じんに曝露したことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚の石綿関連疾患を発症したとして、被告国に対し、旧労働基準法又は労働安全衛生法に基づき、労働基準法の適用を受ける労働者以外の者も含む建築作業従事者の石綿粉じん曝露による石綿関連疾患の発症を防止するための規制権限等を行使しなかったことなどが違法であると主張し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を求めた等の事案において、被告国が、昭和50年10月1日以降、特化則改正により事業者に対して労働者に呼吸用保護具等を使用させる義務等が定められた平成7年4月1日の前日までに規制権限を行使しなかったことは、その趣旨、目的に照らし、著しく合理性を欠くものであって、国賠法1条1項の適用上違法である等として、一部原告らの請求を認容した事例。
2015.01.27
各強盗致傷、傷害、殺人(認定罪名傷害致死)及び暴行、建造物侵入被告事件(ホームレス暴行殺害事件(控訴審))
LEX/DB25505255/大阪高等裁判所 平成26年10月22日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第585号
被告人A及び被告人Dに対する各強盗致傷、傷害、殺人及び暴行、被告人Bに対する強盗致傷、傷害、殺人、暴行及び建造物侵入、被告人Cに対する殺人、傷害、暴行及び建造物侵入被告事件の事案の控訴審において、原判示の全ての事件に関与し、G死亡事件では頭部付近に飛び乗って踏み付けるという危険で強度の暴行を加えたBと、少年院の仮退院から4か月も経たないうちに建造物侵入を除く全ての事件に関与し、G死亡事件では頭部付近を複数回踏み付けるという強い暴行を加え、強盗致傷でも暴行脅迫を加えるなど主導的役割を果たしたAをいずれも懲役5年以上8年以下に、Dを懲役5年以上7年以下に、Cを懲役3年6月以上5年以下とした原判決の量刑は、いずれの被告人についても、重すぎて不当であるとはいえない等として、本件各控訴を棄却した事例。
2015.01.27
各傷害致死、監禁、傷害、逮捕監禁、死体遺棄被告事件(尼崎事件(控訴審))
LEX/DB25505292/大阪高等裁判所 平成26年10月3日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第1432号
鉄道会社に勤務していた被告人Aが、電車のドアにベビーカーが挟まれたと執拗に苦情を申し立てたGに対応したことに端を発し、Aの元妻である被告人C及びCの姉である被告人BとともにGの指示に盲従して共同生活を営むようになり、被告人らが、Gらと共謀の上、被告人B及び被告人Cの実母である被害者(当時66歳)を居室に監禁し、虐待を継続的に加えて死亡させ、同人の死体をドラム缶に詰めて遺棄するなどし起訴され、原判決は、被告人らいずれについても、本件各犯行当時、責任能力を有していたと認められるとして、被告人Aを懲役3年6月、被告人Bを懲役3年、執行猶予4年、被告人Cを懲役2年、執行猶予3年を言い渡したところ、被告人らがこれを不服として控訴した事案において、原判決には量刑事情の取捨選択や評価に不当な点があるといわざるを得ず、被告人Aに対する実刑判決は、被告人B及び被告人Cに対して執行猶予判決を言い渡していることと甚だ均衡を欠いているとして、原判決中被告人Aに関する原判決を破棄し、懲役3年、執行猶予5年を言い渡し、被告人B及び被告人Cの各控訴を棄却した事例。
2015.01.27
所得税決定処分取消等請求事件(競馬の外れ馬券は経費か争われた事案)
LEX/DB25505247/大阪地方裁判所 平成26年10月2日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第20号
生野税務署長が、競馬法に基づき勝馬投票の的中者として原告が受けた払戻金は一時所得に該当するとした上、その総収入金額から的中した勝馬投票券の購入金額のみを控除して、原告の所得税につき、本件各年度については各決定処分及び各無申告加算税賦課決定処分を行ったのに対し、原告が、主位的に、上記払戻金は雑所得に該当するとした上、その総収入金額から控除される必要経費には、的中した馬券の購入金額だけではなく、外れ馬券を含む馬券の購入金額が含まれる等と主張して、本件各処分の取消しを求めた等の事案において、本件競馬所得が、利子所得、配当所得、不動産所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当しないことは明らかであること、本件競馬所得は事業所得にも該当しないと認められること等からすれば、本件競馬所得は、所得税法上、雑所得に分類されるとして、原告の請求を一部認容した事例。
2015.01.27
納税告知処分等取消請求控訴事件
LEX/DB25505116/広島高等裁判所岡山支部 平成26年1月30日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第9号
原告(被控訴人。組合)が、その理事長の借入金債務の免除をしたところ、倉敷税務署長から、同債務免除に係る経済的利益が理事長に対する賞与に該当するとして、給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を受けたので、同債務免除益には所得税基本通達36-17本文の適用があり、源泉徴収義務はないなどして、被告(控訴人。国)に対し、各処分の取消しを求めたところ、原審が原告の請求を認容したため、被告が控訴した事案において、原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2015.01.20
損害賠償請求控訴事件(アートネイチャー第三者割当増資に係る株主代表訴訟事件(控訴審))
LEX/DB25505193/東京高等裁判所 平成26年11月26日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第4044号
被控訴人(被告)ら補助参加人の株主である控訴人(原告)らが、補助参加人の取締役会は、補助参加人の取締役又は監査役の地位にある被控訴人らに対し、普通株式を発行して割り当てたが、同第三者割当は「特ニ有利ナル発行価格」(旧商法280条ノ2第2項)による発行に当たるにもかかわらず、その理由を開示しなかった法令違反により、補助参加人が損害を負ったとして、被控訴人らに対し、旧商法266条1項5号に基づく損害賠償金の支払い等を求め、原審が請求を棄却した事案において、控訴を棄却した事例。
2015.01.20
発信不許可処分取消請求控訴事件
LEX/DB25505187/大阪高等裁判所 平成26年11月14日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第107号
死刑確定者として大阪拘置所に収容中の被控訴人(原告)が、被控訴人が書いた原稿が同封された信書の発信の申請をしたところ、不許可処分を受けたことから、控訴人(被告、国)に対し、同処分の取消しを求め、原審は、同処分は裁量権の範囲を逸脱したとして、請求を認容し、処分を取り消したとの事案において、控訴審は、同信書について、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条2項所定の「その発受を必要とする事情」があるとは認められないから、同処分には、裁量の範囲を逸脱した違法があるということはできないとして、原判決を取り消し、被控訴人の請求を棄却した事例。
2015.01.20
国家賠償請求事件(接見室内での写真撮影で接見打ち切りは違法)
LEX/DB25505290/東京地方裁判所 平成26年11月 7日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第28903号
弁護人である原告が、東京拘置所にて被告人Aと接見していた際にAの写真撮影を行ったところ、東京拘置所職員により接見及び写真撮影を中断・終了させられたが、当該東京拘置所職員の行為は、原告の接見交通権を侵害する違法なものである、あるいは、東京拘置所職員による接見終了の手続は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(収容法)に違反している等と主張して、被告に対し、国家賠償法(国賠法)に基づく損害賠償請求として、慰謝料1000万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件措置には、収容法117条が準用する113条1項及び2項に反した違法があるところ、これによって憲法の保障に由来する原告の接見交通権が不当に侵害されたのであるから、本件措置は国賠法1条1項にいう違法な行為にあたるとした上で、本件措置がとられたことにより原告に生じた精神的苦痛に対する慰謝料は、10万円をもって相当と認められるとして、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2015.01.20
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25505288/大阪高等裁判所 平成26年11月 6日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第612号
覚せい剤の自己使用と所持各1件から成る事案の控訴審において、被告人の覚せい剤依存性治療への取組や家族・医療機関の協力体勢等といった事情は、本件各犯行後の被告人の反省の情及び更生の意欲並びに更生環境がそれなりに整えられていることの表れとして、一定程度評価する余地があることは否定し難いものの、本件において懲役刑の執行を再度猶予するか否かという判断を左右するほど被告人に有利な事情として重視すべきものではないといわざるを得ず、本件各犯行の犯情等の悪質さに照らすと、他方で、上記の事情を踏まえても、本件の情状に再度の刑執行猶予を許すべきといえるほど特に酌量すべきものがあるとは認められないとして、検察官の控訴を容れて、原判決(懲役1年、再度の刑執行猶予(猶予期間4年間、付保護観察))を破棄し、被告人を懲役1年2月に処した事例。
2015.01.20
損害賠償請求控訴事件(カンガルーケアを巡る裁判(控訴審))
LEX/DB25505185/大阪高等裁判所 平成26年10月31日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第2922号
被控訴人(被告。医療法人)が経営する病院で正期産児として出生した控訴人(原告)甲に対し、出生直後からいわゆるカンガルーケアが行われていたところ、甲が呼吸停止の状態に陥り、その結果、甲に全身麻痺等の重度の後遺障害が残存したことについて、カンガルーケアは一定のリスクを伴うものであることが既に知られていたのであるから、被控訴人病院の医療従事者らが、甲に対してカンガルーケアを行うに当たっては、安全性を確保するための措置を講じるべき注意義務があったのにこれを怠ったなどと主張して、また、甲の両親である控訴人(原告)乙及び同丙が、精神的苦痛を被ったとして、甲が、被控訴人に対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償金の支払いを求め、一審が請求を棄却した事案において、各控訴をいずれも棄却した事例。