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2015.02.17
損害賠償請求事件(甲事件)、損害賠償請求事件(乙事件)(大阪市の労組活動アンケート、違憲「団結権侵害」)
「新・判例解説Watch」H27.4月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25505564/大阪地方裁判所 平成27年 1月21日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第4348号等
被告大阪市の職員X1ら28名並びに被告大阪市の職員により組織された労働組合、職員団体又はこれらの連合団体である原告組合ら5団体が、当該アンケートは原告らの思想・良心の自由、プライバシー権、政治活動の事由及び団結権を侵害するなどとして違憲・違法なものであるところ、市長等は、当該アンケートに回答することを命じる違法な職務命令を発出し、被告大阪市の担当者は、当該アンケートの実施を決定するなどして、いずれも故意又は過失により、原告X2に精神的損害を生じさせるとともに、原告組合らに無形的損害を生じさせたものであり、また、被告大阪市の職員としての身分を有しない被告Y1は、故意又は過失により、当該アンケートを作成し実施させ、前記原告らに前記各損害を生じさせたものであり、被告大阪市の公務員による行為は共同不法行為を構成すると主張して、被告大阪市及び被告Y1に対し、損害賠償金等を求めた事案(甲事件)、被告大阪市の職員として交通局に所属する原告X2が、当該アンケートは違憲・違法なものであるところ、交通局長は、当該アンケートに回答することを命じる違法な職務命令を発出して、故意又は過失により、原告X2に精神的損害及び弁護士費用相当額の損害を生じさせたと主張して、被告大阪市に対し、損害賠償金等の支払を求めた事案(乙事件)において、被告大阪市は、当該アンケートの実施によって原告らが被った国家賠償責任を負うとし、被告Y1は、当該アンケートの実施により甲事件原告らが被った損害賠償責任を負うとし、また、市長・総務局長等の違法行為及び被告Y1の不法行為は、客観的関連共同性を有するものということができるとして、被告大阪市と被告Y1は、連帯して甲事件原告らに生じた損害賠償責任を負うとし、原告らの請求を一部認容した事例。
2015.02.17
住居侵入,強盗強姦未遂,強盗致傷,強盗強姦,監禁,窃盗,窃盗未遂,強盗殺人,建造物侵入,現住建造物等放火,死体損壊被告事件(裁判員の「死刑」破棄 無期懲役確定へ 1)
LEX/DB25447048/最高裁判所第二小法廷 平成27年 2月 3日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第1729号
被告人が、約2か月の間に、強盗殺人や現住建造物等放火の各犯行に加え、強盗致傷や強盗強姦、同未遂等の各犯行を次々と敢行したという事件で、裁判員裁判の第一審では、死刑を言い渡したため、被告人がこれを不服として控訴し、控訴審では、第一審には無期懲役と死刑という質的に異なる刑の選択に誤りがあるとして、第一審(死刑)を破棄し、被告人を無期懲役に処したところ、検察官及び被告人の双方が上告した事案において、本件では、被告人を死刑に処すべき具体的、説得的な根拠を見いだし難いと判断したものと解し無期懲役に処した控訴審判決の結論は、当審も是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2015.02.17
住居侵入,強盗殺人被告事件(裁判員の「死刑」破棄 無期懲役確定へ 2)
LEX/DB25447049/最高裁判所第二小法廷 平成27年 2月 3日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第1127号
金品を強奪する目的で、マンションの被害男性方居室に無施錠の玄関ドアから侵入し、室内にいた当時74歳の被害男性を発見し、同人を殺害して金品を強奪しようと決意し、殺意をもって、その頸部をステンレス製三徳包丁で突き刺し、同人を頸部刺創に基づく左右総頸動脈損傷による失血により死亡させた事件で、裁判員裁判の第一審では、被告人を死刑に処したため、被告人がこれを不服として控訴し、控訴審では、前科を重視して死刑を選択することには疑問があり、第一審は人の生命を奪った前科があることを過度に重視した結果、死刑を選択した誤りがあるとして、無期懲役に処したところ、検察官及び被告人の双方が上告した事案において、本件では、被告人を死刑に処すべき具体的、説得的な根拠を見いだし難いと判断したものと解し無期懲役に処した控訴審判決の結論は、当審も是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2015.02.17
覚せい剤取締法違反被告事件(原判決(無罪判決)破棄(控訴審))
LEX/DB25505415/東京高等裁判所 平成26年12月11日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第786号
覚せい剤の自己使用の事案の控訴審において、被告人の尿から覚せい剤の成分が検出されていることからすると、特段の事情がない限り、被告人が自らの意思で覚せい剤を摂取したものと推認されるとした上で、A供述及び被告人供述の信用性を肯定し、上記推認を妨げる特段の事情があるとした原判決は、経験則等に照らして不合理なものであり、本件において特段の事情は認められないのであって、Aの当審公判供述にも照らすと、被告人が自らの意思で覚せい剤を摂取したものと推認されるべきであるとして、検察官の控訴を容れて、原判決(無罪判決)を破棄し、被告人を懲役2年6月に処した事例。
2015.02.17
国家賠償等請求事件、請負代金請求事件(宅地開発事業をめぐる訴訟 東神楽町)
LEX/DB25505408/旭川地方裁判所 平成26年12月 9日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第177号等
原告(甲事件原告兼乙事件原告)が、上川郡東神楽町の宅地を対象とする開発分譲事業に関して、被告公社(乙事件被告)との間で事業計画書の作成を目的とする請負契約を締結したと主張して、被告公社に対し、報酬315万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事件(乙事件)と、原告が、同事業に関連する防災調節池設置管理事業のための用地買収に際して、被告町(甲事件被告・東神楽町)との間で土地購入代金の立替払の合意をし、これに基づき地権者に立替払をしたと主張して、被告町に対し、立替金等合計184万8831円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事件(甲事件)とが併合審理された事案において、被告公社は、平成21年2月2日、原告との間で、本件請負契約を締結したと認めるのが相当であるとした上で、本件事業計画書の対価は300万円を下らないというべきであって、本件請負契約における相当報酬額は315万円(消費税5パーセント相当分を含む。)と認めるのが相当であるとし、また、原告と被告町との間で、平成21年6月16日、本件立替払合意が成立したと認めるのが相当であるとした上で、弁護士費用及び振込手数料についての原告の請求には理由がないとして、甲事件原告の請求を一部認容(134万7991円)、一部棄却(弁護士費用50万円及び立替払時に生じた振込手数料840円)し、乙事件原告の請求を全部認容した事例。
2015.02.17
覚せい剤取締法違反被告事件 (無罪)
LEX/DB25505410/福岡地方裁判所小倉支部 平成26年12月 9日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第525号
「被告人は、みだりに、平成26年7月11日、北九州市(以下略)所在の被告人方で、覚せい剤約0.978グラムを所持した」という公訴事実について、本件覚せい剤があることを知らなかったという被告人の弁解は、その行動等に裏付けられており、基本的に信用できる、又は、少なくともそれを信用できないとして排斥することは困難であるとし、また、本件覚せい剤が、被告人とは関係なく、本件ジャンパーのポケットに入れられ、捜索により発見された可能性も否定できないとして、被告人に対し無罪の言い渡しをした事例。
2015.02.17
損害賠償請求事件(子宮頸がんワクチン注射 注射位置ミス事件)
LEX/DB25505411/福岡地方裁判所小倉支部 平成26年12月 9日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第429号
被告(北九州市)が地方公営企業として設置・運営している北九州市立八幡病院において、子宮頸がん予防ワクチンの接種を受けた原告が、同病院の医師は、原告の左腕の肩峰から三横指(手指の幅)下部に注射すべき義務があったのに、左肩峰から一横指下部辺りの適正位置より高い位置に注射した過失により、注射針を原告の左肩峰下滑液包に到達させて同滑液包内に薬液を注入したため、原告は、左肩関節炎を発症し、疼痛及び可動域制限の後遺障害を残したとして、被告に対し、不法行為(使用者責任)又は診療契約上の債務不履行に基づき、1559万0279円の損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、A医師は、上腕部の三角筋内に注射されるよう肩峰三横指下の位置付近に行うべきサーバリックスの接種を、それより高い位置(肩峰一横指下の位置)に打ったことが認められ、これが注意義務違反を構成するところ、本件注射後3時間程度のうち左肩に強い痛みが生じたこと、本件注射の6日後に滑液包内に炎症所見が見られたこと、可動域制限の状況が出るなどしたことが認められ、原告について、本件注射により左肩関節炎を発症したものと認めることができるとして、原告の請求を一部認容(762万8614円)、一部棄却した事例。
2015.02.10
クロレラチラシ配布差止等請求事件
LEX/DB25505573/京都地方裁判所 平成27年1月21日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第116号
原告(京都市の消費者団体)が、健康食品「クロレラ」を紹介する広告に、医薬品のような薬効があるかのように表示するのは不当景品類及び不当表示防止法(景表法)などに違反するとして、被告会社(健康食品販売会社)に対し、表示と広告配布の差し止めを求めた事案において、被告会社は、新聞折込チラシを配布することにより、被告商品の内容について優良誤認表示を行ったと認められ、今後も、被告会社は、自己又は第三者をして、被告商品の内容について優良誤認表示を行うおそれがあると認められるとして、原告の請求を認容した事例。
2015.02.10
金融商品取引法違反被告事件(経済産業省幹部のインサイダー取引事件)
LEX/DB25505354/東京高等裁判所 平成26年12月15日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第1374号
経済産業省大臣官房審議官として、経済産業大臣の命を受けて、同省商務情報政策局情報通信機器課が所掌する半導体素子、集積回路その他情報通信機器等の部品等に関する事業の発達、改善及び調整等の事務の企画及び立案に参画し、関係事務を総括整理するなどの職務に従事していた被告人が、職務上知り得た情報を利用して、被告人の妻名義で、株券合計8000株を代金合計795万6900円で買い付けたとする金融商品取引法違反被告事件において、原判決は、懲役1年6月(執行猶予3年)、罰金100万円を言い渡したところ、被告人が、原判決には事実誤認、量刑不当があると主張して控訴した事案において、控訴を棄却した事例。
2015.02.10
道路交通法違反、暴行(変更後の訴因暴力行為等処罰に関する法律違反)、恐喝未遂、傷害致死被告事件(富山市少年集団暴行死亡事件(控訴審))
LEX/DB25505357/名古屋高等裁判所金沢支部 平成26年12月 9日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第46号
少年の被告人が、共犯者の保有する自動車を被害者が運転中に接触事故を起こしたことから、修理代金名目で金銭を脅し取ろうと企て、被害者の頭部を複数回殴打したり、足で多数回蹴ったり踏み付けたりする等の暴行を約17時間にわたり複数人で断続的に加えて、右急性硬膜下血腫等の傷害を負わせて死亡させた等の事案の控訴審において、本件各犯行のうち最も重大な事件である第4の犯行について、その犯行態様は、被害者に重篤なけがを負わせたり、死亡させたりするおそれの大きい危険なものを含む暴行を、約17時間もの長時間にわたり複数人で断続的に加えたものであり、執拗かつ残酷で甚だ悪質なものであること、被害者の意識等がないと認識した後も約1時間半もの間、自己保身を優先して救急への通報をしなかったという犯行後の事情も悪質であること等を指摘した原判決の判断を支持して、被告人からの控訴を棄却した事例。
2015.02.10
携帯電話基地局操業差止請求控訴事件(携帯基地局の電磁波で健康被害問題(控訴審))
LEX/DB25505371/福岡高等裁判所宮崎支部 平成26年12月 5日 判決 (控訴審)/平成24年(ネ)第320号
被控訴人(被告)が本件土地に設置した本件携帯電話基地局の周辺住民である控訴人(原告)らが、被控訴人に対し、本件基地局から放射される電磁波により実際に健康被害が出ていること等を理由として、人格権に基づき、本件基地局の操業の差止めを求めたところ、原審で、控訴人らの請求が棄却されたため、控訴人らがを控訴した事案において、本件基地局の電磁波と控訴人らの健康被害との因果関係についての医学的及び化学的観点からの控訴人らの立証は不十分といわざるを得ないとし、本件基地局から発せられた電磁波が控訴人らの健康被害を生じさせているという事実について、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうる程度の高度の蓋然性をもって証明されたと認めることはできない等として、本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2015.02.10
岩手県漁業調整規則違反被告事件 (控訴審)
LEX/DB25505360/仙台高等裁判所 平成26年11月25日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第107号
被告人が、αと共謀の上、法定の除外事由がないのに、βらが岩手県漁業調整規則によって定められたあわびの採捕期間禁止内に、岩手県内の海域において採捕し、本件空地に積み重ねた状態で置かれたかご25個に在中のあわび約1655個を、その情を知りながら所持したとされた岩手県漁業調整規則違反の事案の控訴審において、被告人は、本件あわびを所持するには至っておらず、また、本件アワビが採捕禁止期間内に岩手県内の海域で採捕されたものであることを認識して居なかったのであって故意がない、したがって被告人は無罪であるから、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとの被告人の主張に対して、本件においては、被告人が本件あわびを実力的に支配する関係に至っていた、すなわち、被告人が本件あわびを所持するに至っていたことは、原判決が適切に説示するとおりであるとしてこれを斥け、控訴を棄却した事例。
2015.02.10
損害賠償(第1事件、第2事件)請求控訴事件(府中市議会議員政治倫理条例事件(差戻控訴審))
LEX/DB25505353/広島高等裁判所 平成26年11月12日 判決 (差戻控訴審)/平成26年(ネ)第193号
府中市議会の議員であった原告(控訴人・被上告人)が、被告府中市(被控訴人・上告人)に対し、違憲無効である府中市議会議員政治倫理条例違反を理由として市議会が辞職勧告決議を行ったことは違法であり、原告はこれによって精神的苦痛を被ったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金等の支払を求め(第1事件)、本件条例に基づく審査請求並びにこれに続く府中市議会議員政治倫理審査会の設置、審査結果の報告、警告等をすべき旨の決議及び警告の措置及び審査結果の公表は違法であり、原告はこれにより精神的苦痛を被ったなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金等の支払を求めた(第2事件)ところ、第一審は、原告の請求がいずれも棄却されたため、原告は、第1、2事件につきいずれも110万円及びその付帯請求を棄却した部分を不服として控訴し、差戻し前の控訴審は、本件条例のうち、議員の2親等以内の親族が経営する企業は被告の工事等の請負契約等を辞退しなければならず、当該議員は当該企業の辞退届を徴して提出するよう努めなければならない旨を定める部分は、憲法21条1項によって保障される議員活動の自由並びに憲法22条1項及び憲法29条によって保障される経済活動の自由を制限する合理性や必要性が認められないから違憲無効であるとし、本件審査請求等は違法であり、かつ、これら一連の手続に関与した議員には過失があると判断して、一審判決が第2事件請求のうち33万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める部分を棄却した部分を取消して同部分の請求を認容し、その余の請求を棄却した旨一審判決を変更したため、被告は、上記敗訴部分を不服として上告し、上告審は、2親等規制を定める本件規定は憲法21条1項、22条1項及び29条に違反するものではないと解するのが相当であるとして、差戻し前の控訴審判決中の被告敗訴部分を破棄し、本件審査請求等につき、原告が主張するその他の違法事由の有無等について更に審理を尽くさせるため、差し戻しを命じた差戻し後控訴審の事案において、本件条例を違法ということはできないから、これが違法であることを前提として、本件審査請求及び審査会の設置の違法をいう原告の主張は理由がなく、また、本件報告を違法ということはできないから、これが違法であることを前提として,本件警告決議及び警告の措置の違法をいう原告の主張も理由がないとし、本件審査請求等の違法をいう原告の主張はすべて理由がないとし、被告の第2事件に基づく請求は、その余の点について判断するまでもなく,上告審が当審に差し戻した部分を含めて理由がないから棄却すべきところ、これと同旨の一審判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2015.02.10
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事件(川崎重工に賠償命令)
LEX/DB25505364/最高裁判所第二小法廷 平成26年10月29日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第1024号等
陸上自衛隊第四対戦車ヘリコプター隊所属の本件事故機が、整備確認飛行を終え、帰投するために、空中静止状態から前進飛行を開始しようとした際、突然、急激に全エンジンが出力を失って落着し、これにより本件事故機の機体下部等が損壊し、搭乗者2名が重傷を負うという本件事故が発生したところ、本件事故の原因は本件エンジン内のコンピュータアセンブリに組み込まれたサーボ・バルブに装着されたアセンブリが脱落したことにある等として、被上告人兼相手方(国。原告・被控訴人)が、上記エンジンの製造者である上告人兼申立人(被告・控訴人)に対し、製造物責任法3条に基づき、本件事故について発生した損害の賠償を求めた事案の上告において、本件上告を棄却し、本件を上告審として受理しないとした事例。
2015.02.03
国家賠償請求控訴事件(兵庫県テニス部熱中症事故(逆転判決))
LEX/DB25505525/大阪高等裁判所 平成27年 1月22日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第668号
被告(兵庫県。被控訴人)の設置・運営する高校の2年生に在籍し、テニス部に所属していた原告(控訴人)X1が、テニス部の練習中に突然倒れて心停止に至り、低酸素脳症を発症して重度の障害が残ったのは、同高校のテニス部顧問の教諭や校長の義務違反によるものであるとして、(1)原告X1が、被告に対し、国家賠償法1条1項又は在学契約に付随する安全配慮義務違反による損害賠償請求権に基づき、原告X1の逸失利益等の支払いを求め、(2)原告X1の両親である原告X2及び原告X3が、子である原告X1が事故に遭ったことにより生命侵害に比肩する精神的苦痛を被り、また、事故後の学校長の不誠実な対応により名誉、人格が毀損され、精神的苦痛を被ったなどとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金の支払いを求めたところ、第一審は原告らの請求をいずれも棄却したため、これを不服として原告らが控訴した事案において、本件事故当時、テニス部顧問教諭の前記義務違反があり、原告X1は熱中症に罹患し、重度の心筋障害が生じたものとして、原告らの請求のうち一部認容し、原判決を変更した事例。
2015.02.03
(婚外子の相続格差規定合憲-00年5月時点)
LEX/DB25505524/最高裁判所第三小法廷 平成26年12月 2日 判決 (上告審)/平成26年(オ)第994号
亡αの相続人の1人である原告(控訴人・上告人)が、他の相続人被告(被控訴人・被上告人)Yが代表を務める被告会社(被控訴人会社・被上告人会社)に対し、亡αと被告会社との間の土地賃貸借契約に基づく未払賃料及び確定遅延損害金につき未払賃料、確定遅延損害金、不当利得返還請求権に基づき、被告会社において受領した固定資産税等の還付金及び還付加算金の支払を求め、また、被告Yに対し、不当利得返還請求権に基づき、亡αの預貯金から払い戻しを受けた金員の支払を求め、さらに被告会社に対し、不当利得返還請求権に基づき、被告会社において亡αの預貯金から払い戻しを受けて預かっている金員及び亡αの立て替えた被告会社に係る経費、亡αと被告会社との間の金銭消費貸借契約に基づく貸金の支払を求めたところ、第一審は原告の請求を一部認容したが、原告は敗訴部分を不服として控訴し、被告Yは、前記預貯金払戻金の不当利得返還請求に関する部分を不服として附帯控訴した控訴審では、原告の控訴を棄却し、当審における原告の請求の減縮により、被告Yの原告に対する請求額を変更し、当審における原告の拡張請求を棄却し、被告の附帯控訴を棄却したところ、原告が上告した事案において、平成12年5月当時、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分の2分の1と定めた平成25年法律第94号による改正前の民法900条4号ただし書前段の規定が憲法14条1項に違反するものではいとし、本件上告を棄却した事例。
2015.02.03
間接強制決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件(国営諫早湾干拓事業問題)
LEX/DB25447006/最高裁判所第二小法廷 平成27年 1月22日 決定 (許可抗告審)/平成26年(許)第26号
諫早湾の干拓地で農業を営み、又は同湾内で漁業を営む者等である相手方らが、抗告人に対し、諫早湾干拓地潮受堤防の北部及び南部各排水門を開放してはならない旨を抗告人に命ずる仮処分決定に基づき、間接強制の申立てをしたところ、原審は、本件仮処分決定に基づく債務は債務者である抗告人が自己の意思のみで履行することができる債務であるとして、抗告人に対し、本件各排水門を開放してはならない旨を命ずるとともに、その義務を履行しないときは、相手方らに対し、1日につき49万円の割合による金員を支払うよう命ずる間接強制決定をすべきものとしたため、抗告人が許可抗告した事案において、抗告人が別件確定判決により本件各排水門を開放すべき義務を負っているという事情があっても、執行裁判所は本件仮処分決定に基づき抗告人に対し間接強制決定をすることができ、抗告人主張のその余の事情も間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではないとし、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2015.02.03
間接強制決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件(国営諫早湾干拓事業問題)
LEX/DB25447007/最高裁判所第二小法廷 平成27年 1月22日 決定 (許可抗告審)/平成26年(許)第17号
諫早湾及びその近傍において漁業を営む相手方らが、抗告人に対し、諫早湾干拓地潮受堤防の北部及び南部各排水門の開放を抗告人に命ずる確定判決に基づき、間接強制の申立てをしたところ、原審は、本件確定判決に基づく債務は債務者である抗告人が自己の意思のみで履行することができる債務であるとし、抗告人に対し、原々決定の送達を受けた日の翌日から2箇月以内に、防災上やむを得ない場合を除き、本件各排水門を開放し、以後5年間にわたってその開放を継続することを命ずるとともに、上記2箇月の期間内にその義務を履行しないときは、相手方ら各自に対し、上記期間経過の翌日から履行済みまで、1日につきそれぞれ1万円の割合による金員を支払うよう命ずる間接強制決定をすべきものとしたため、抗告人が許可抗告した事案において、抗告人が別件仮処分決定により本件各排水門を開放してはならない旨の義務を負ったという事情があっても、執行裁判所は本件確定判決に基づき抗告人に対し間接強制決定をすることができるとし、抗告人主張のその余の事情も間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではないとし、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2015.02.03
損害賠償請求控訴事件 (セブン―イレブン・ジャパン値下げ妨害事件(控訴審))
LEX/DB25505337/福岡高等裁判所 平成26年11月 7日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第460号
コンビニエンスストアのフランチャイズ・チェーンを運営する一審被告(セブンーイレブン・ジャパン)との間で、その加盟店となる契約をそれぞれ締結しコンビニエンスストアを経営してきた一審原告らが、一審被告が、一審原告らが一審被告に支払うべきロイヤリティにあたる「セブン-イレブンチャージ」の算定方法等の説明を怠り、また、一審原告らが販売する米飯・チルド等の短期の販売期限(一審被告が独自に定める商品を販売することができる期限であり、商品のメーカーが設定する消費期限ないし賞味期限とは異なるものをいう。)が設定された商品(デイリー商品)の値下げ販売(一審被告が推奨する売価(推奨売価)より値引きした価格で販売することをいう。)を制限・禁止したため、商品を廃棄処分せざるを得ず、これにより損害を被ったとして、不法行為又は債務不履行に基づいて損害賠償金の支払を求め、さらに、一審原告X2及び同X3においては、一審被告が、同一審原告らの近隣地域に競合店を出店させたこと(ドミナント)により売上げが減少する損害を被ったと主張して、これが一審被告の債務不履行ないし不法行為に当たるとして損害賠償金の支払を求めた事案の控訴審において、一審原告X1、同X4及び同X3については、一審被告による価格決定権の侵害行為を認めることはできないとする一方、一審原告X2については、OFC(オペレーション・フイールド・カウンセラー(被告の従業員であり、加盟店契約に基づいてセブンーイレブン店に派遣され、加盟店オーナーに対して経営上のアドバイス等をする者。))の値下げ販売禁止の言動により、価格決定権が侵害されたものと認められ、一審被告は、このことについて、一審原告X2に対し、不法行為に基づく損害賠償義務を負うとして、一審被告の控訴に基づき原判決を一部変更し、一審原告らの控訴をいずれも棄却した事例。
2015.02.03
当選無効請求事件
LEX/DB25505338/福岡高等裁判所 平成26年10月30日 判決 (第一審)/平成26年(行ケ)第2号
原告が、公職選挙法206条2項に基づき、本件選挙(平成26年4月13日執行の吉野ヶ里町議会議員選挙)の当選の効力に関する審査の申立てをしたのに対し、被告(佐賀県選挙管理委員会)が平成26年7月3日に上記申立てを却下する裁決をしたため、同法207条に基づきその取消しを求めるとともに、本件選挙における当選人の当選無効を求めた民衆訴訟において、本件異議の申出は、町委員会(吉野ヶ里町選挙管理委員会)から申出期間徒過により不適法として却下決定を受けているから、このような異議の申出と却下決定を経た本件審査の申立ては、異議手続前置の要件を満たしておらず、不適法な審査の申立てとして却下すべきであるとし、また、本件訴えのうち、当選無効を求める訴えは、公職選挙法207条に基づいて提起されたものであるが、申出期間徒過により不適法な異議の申出及びこれにより不適法な審査の申立てに続けて申し立てられた当選無効を求める訴えは、法所定の手続(適法な異議の申出や審査の申立て等)を経ておらず不適法であるとして、原告の訴えを一部却下し、その余の請求を棄却した事例。