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2015.04.07
損害賠償等(本訴)・損害賠償(反訴)請求控訴、同附帯控訴事件
(東北大学論文疑惑問題 控訴審)
LEX/DB25505912/仙台高等裁判所 平成27年2月17日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第349号等
本訴事件は、金属材料科学分野の研究者であって、国立大学法人東北大学の総長であった被控訴人(附帯控訴人、第1審本訴原告・反訴被告)が、控訴人(附帯被控訴人、第1審本訴被告・反訴原告)Aを代表者とするフォーラムのホームページ上において、被控訴人が過去に発表した金属材料科学分野に関する論文にねつ造ないしは改ざんがあるとして東北大学に対し被控訴人を告発する旨の控訴人ら作成の文書が掲載された結果、被控訴人の名誉が毀損されたと主張し、控訴人らに対し、不法行為に基づく損害賠償として、連帯して1100万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めるとともに、名誉回復処分(民法723条)として、前記ホームページ上における上記文書記載の記事の削除及び謝罪文の掲載を求め、反訴事件は、控訴人らが、〔1〕被控訴人による本訴提起が控訴人らからの研究不正疑惑の追及を阻止するために行われた不当提訴に当たるとともに、〔2〕本訴提起の理由等をマスコミに公表した被控訴人の行為が控訴人らに対する名誉毀損に当たると主張し、被控訴人に対し、不法行為に基づく損害賠償として、それぞれ622万0562円(控訴人ら4名分合計2488万2248円)並びに遅延損害金の支払を求めたところ、原審は、被控訴人の本訴請求を一部認容し、控訴人らの反訴請求を全部棄却し、これに不服の控訴人らが控訴し、被控訴人が附帯控訴した事案において、被控訴人の本訴請求を原判決主文第1項の限度で認容し、控訴人らの反訴請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴及び本件附帯控訴はいずれも理由がないとして、控訴及び附帯控訴をいずれも棄却した事例。
2015.04.07
慰謝料請求事件(花粉症の治療を受けられず 国家賠償事件)
LEX/DB25505855/広島地方裁判所 平成27年2月17日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第444号
原告が、広島刑務所に収容中、同刑務所の職員に対し複数回にわたり花粉症の症状を訴えたにもかかわらず、医師による診察も薬の投与もされないまま35日間放置されたため、症状が悪化し苦痛を受けたと主張して、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払いを求めた事案において、広島刑務所長の判断には、合理性が認められず、その裁量権の範囲を逸脱したものとして、国家賠償法上違法の評価を免れないとして、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2015.03.31
損害賠償請求控訴事件(愛知県弁護士会 VS 日本郵便株式会社 (控訴審))
LEX/DB25505905/名古屋高等裁判所 平成27年2月26日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第957号
原告(控訴人)Xらが、被告(被控訴人。日本郵便)において、被告に提出された第三者からの転居届(転送届)の有無及び転送先の住所等について、原告弁護士会から弁護士法23条の2第2項所定の照会に対する報告を求められながら、その回答をしなかったことは、原告弁護士会及び同弁護士会に照会申出をした弁護士への依頼者である原告Xに対する不法行為を構成する旨主張し、その損害賠償として、被告に対し、原告Xが1万5250円及び遅延損害金の支払を、原告弁護士会が30万0380円及び遅延損害金の支払を求めたところ、原審は原告らの本訴請求を棄却したため、原告らがこれを不服として控訴した事案において、原判決は、一部失当であり、原告弁護士会の控訴の一部は理由があるとし、原判決中、原告弁護士会に係る部分を変更し、被告は、原告弁護士会に対し、1万円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じ、原告弁護士会のその余の請求は棄却し、原告Xの控訴については棄却した事例。
2015.03.31
国家賠償請求事件(接見時の撮影規制 賠償請求を棄却)
LEX/DB25505942/福岡地方裁判所小倉支部 平成27年2月26日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第729号
弁護士である原告が、国選弁護人を務める被告人と拘置所の建物内において面会を行った際、デジタルカメラ機能付き携帯電話を用いて被告人の容ぼうの写真撮影を行ったところ、拘置所の職員から当該撮影に係る画像の消去を強要されるなどして接見交通権を侵害されたなどと主張して、被告国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害金合計330万円及び遅延損害金の支払を求めた事案において、小倉拘置支所の職員による行為の違法性についての原告の主張には理由がないとして、請求を棄却した事例。
2015.03.31
住居侵入、殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
(東京 三鷹ストーカー 女子高生殺害 (控訴審))
LEX/DB25505813/東京高等裁判所 平成27年2月6日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第1440号
東京都三鷹市で、女子高校生(当時18歳)を刃物で刺して殺害したとして、元交際相手の被告人が、殺人や銃砲刀剣類所持等取締法違反などの罪に問われた事案(リベンジポルノに関するストーカー殺人事件)の控訴審において、本件投稿行為(被告人が被害者の裸体の画像データをインターネット上に公開したこと)に関して、起訴された各罪の審理に必要な範囲を超えた主張・立証がされている上、原判決の説示内容を検討すると、本件各罪の犯情及び一般情状として考慮できる範囲を超え、実質的にはこれ(名誉棄損罪)をも併せて処罰するかのような考慮をして被告人に対する刑を量定した疑いがあり、原審の訴訟手続には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとして、原判決を破棄し、事件を原審に差し戻した事例。
2015.03.31
行政処分取消等請求控訴事件(小平市住民投票 控訴棄却)
LEX/DB25505814/東京高等裁判所 平成27年2月4日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第353号
被控訴人(被告・小平市)においては、東京都が施行者となって施行するものとされる道路(小平都市計画道路3・2・8号府中所沢線)の整備に関する都市計画事業に係る東京都の都市計画について、「住民参加により計画を見直すべきか、又は計画の見直しは必要ないかについて、市民の意向を確認すること」を目的として、被控訴人の条例(東京都の小平都市計画道路3・2・8号府中所沢線計画について住民の意思を問う住民投票条例、平成25年小平市条例第13号)の規定に基づき、住民投票が行われたところ、被控訴人の住民である控訴人(原告)らが、小平市情報公開条例(平成13年小平市条例第29号)の規定に基づき、小平市選挙管理委員会に対し、当該住民投票における投票済投票用紙(本件各文書)の公開の請求をしたのに対して、本件各文書には情報公開条例が定める非公開情報に該当する情報が記録されているとして、本件各文書を公開しない旨の決定(本件非公開決定)がされたことから、本件非公開決定の取消し及び本件各文書を公開する旨の決定をすることの義務付けを求めた事案の控訴審において、本件訴えのうち、義務付けを求める部分をいずれも却下し、本件訴えのその余の部分に係る控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がないから、これを棄却するとした事例。
2015.03.31
不正競争防止法違反被告事件(ODA贈賄 コンサル前社長ら有罪)
LEX/DB25505904/東京地方裁判所 平成27年2月4日 判決 (第一審)/平成26年(特わ)第970号等
被告会社(内外鉄道の設計・施工の監督等に関する事項等を目的とする会社)が、ベトナム、インドネシア及びウズベキスタンの各国において、鉄道関連事業に関するコンサルタント契約の締結、履行等について、当該事務の管理するなどの権限を有していた外国公務員らに対し、被告会社に有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨の下、ベトナムにおいては約4年2か月間で合計6990万円を、インドネシアにおいては約3年3か月間で合計約2000万円相当を、ウズベキスタンにおいては約1年間で合計約5477万円相当の賄賂をそれぞれ供与した事案において、被告会社には、当該各犯行における責任は重く、特に国税調査後にも賄賂の供与を継続したことは、強く非難されるべきであるなどとして罰金9000万円を、被告人B(被告会社の代表取締役)には、国税局の税務調査を契機として海外における賄賂供与の実態を知った後も、賄賂供与を継続する旨の最終決定をし、推し進めたものでその責任は軽いものではないが、最終的に自首を決め、その後の捜査に全面的に協力していることなどから、懲役2年(執行猶予3年)を、被告人Cには、被告会社の海外事業の枢要な地位にあった者をして、相手方から賄賂要求を了承し、当該各犯行を全体にわたって指揮したものでその果たした役割は大きいなどとして、懲役3年(執行猶予4年)を、被告人Dには、被告会社の経理責任者の地位にあり、国際部が約束した外国公務員等への賄賂供与につき協力を求められるや、金銭を拠出したもので、その役割は小さいものではないなどとして、懲役2年6月(執行猶予3年)を言い渡した事例。
2015.03.24
再審請求事件(大阪 強姦事件 再審決定)
LEX/DB25505846/大阪地方裁判所 平成27年2月27日 決定 (再審請求審)/平成26年(た)第22号
強制わいせつ、強姦で起訴され、有罪判決(懲役12年)の確定判決を言い渡された請求人が再審請求をした事案において、これまでの供述が全て虚偽であり、強姦及び強制わいせつを受けた事実はなかったことを弁護人に告白した被害者の新供述、並びに、犯罪事実を目撃したとする供述は全て虚偽であるとする目撃者の新供述についての各信用性を検討したところ、本件再審請求審において検察官が提出した当時の病院診療録の写しによると、「処女膜は破れていない」と診断された旨の記載があることが認められ、請求人から強姦被害を受けていないとする被害者の新供述を強く裏付けるものといえ、両名の新供述は、いずれも信用することができるとし、被害者及び目撃者の新供述は、確定判決が認定の根拠とした被害者及び目撃者の各尋問調書及び各検察官調書の内容を全面的に否定する内容であり、その信用性を突き崩すものであるとし、本件判決確定後、請求人に対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠があらたに発見されたものであるから、本件について再審を開始し、請求人に対する刑の執行を停止することを決定した事例。
2015.03.24
(富士ハウス訴訟)
LEX/DB25505819/最高裁判所第三小法廷 平成27年1月20日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第1473号等
F社との間で建物建築請負契約を締結した被上告人兼相手方(被控訴人・原告)らが、F社の役員らはF社が多額の債務超過に陥っており工事を完成させることが不可能な状態であったにもかかわらず、これを粉飾経理により隠蔽して被上告人兼相手方らから請負代金の前払金を受領した後に破産するに至った結果、被上告人兼相手方らに既払金から出来高等を控除した金額の損害を被らせたと主張して、F社の代表取締役であった上告人兼申立人(控訴人・被告)Y1については会社法429条1項及び民法709条、民法719条に基づき、過去にF社の取締役であった一審被告Y2及び一審被告Y3については会社法429条1項の類推適用及び民法709条、719条に基づき、損害賠償金等の支払を求めたところ、第一審は、被上告人兼相手方らの請求のうち、上告人兼申立人に対する請求を全部認容したが、一審被告Y2及び一審被告Y3に対する請求を棄却したため、上告人兼申立人が、第一審判決を不服として控訴し、顧客に不必要な損害が拡大が生じないようにするため、速やかに、前払いの働きかけを中止させるべき義務があったにもかかわらず、これを怠った上告人兼申立人には、顧客に生じた損害賠償責任があるとしたうえで、第一審は原告127人全員に計約4億8千万円を支払を命じたが、上告人兼申立人が倒産を予測できた時期を第一審より遅くとらえ、賠償の対象を33人に減らすものとし、第一審判決を一部変更したため、上告人兼申立人から上告及び上告受理の申立てをした事案において、上告棄却及び上告不受理の決定をした事例。
2015.03.24
損害賠償等請求事件(駒沢大学 VS BNPパリバ証券(株))
LEX/DB25505787/東京地方裁判所 平成27年1月30日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第10951号
原告(学校法人)が、資金運用のために、被告甲社(香港法に基づいて設立された有価証券の売買等を目的とする会社)との間で締結した通貨スワップ取引は、公序良俗に反するとともにその勧誘が適合性原則及び説明義務に違反し、被告乙社(有価証券の売買等を目的とする株式会社)は被告甲社から事業譲渡を受けて被告甲社の原告に対する損害賠償債務を重畳的に債務引受したと主張して、被告らに対し、不当利得返還請求権又は債務不履行若しくは不法行為による損害賠償請求権に基づき、被告らに対し、解約清算金等の支払いを求めた事案において、適合性原則及び説明義務に違反するとは認めず、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2015.03.24
損害賠償等請求事件(モデル事務所引き抜き訴訟)
LEX/DB25447064/東京地方裁判所 平成27年2月6日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第10797号
原告が、原告の従業員であった被告Y1らが、原告を退職し新たにモデル事務所を運営する被告会社を設立して、原告モデル事業部に所属するモデルらを違法な方法で引き抜いたなどと主張して、損害賠償を求めた事案において、被告Y1らが、原告に在職中、原告の役員らに対して秘密裏に、原告モデル事業部に所属する大半のモデルに本件契約を解除させて、被告モデル事務所を開設し、上記モデルらを新たに開設した被告モデル事務所に移籍させ、その結果、原告モデル事業部は事業の継続が不可能な事態に陥ったことが認められるから、被告Y1らの上記行為は、社会通念上、自由競争の範囲を逸脱した違法なモデルの引き抜き行為であるというべきであり、原告に対する不法行為を構成すると認めるのが相当であるとし、原告の請求を一部認容した事例。
2015.03.24
損害賠償等請求事件(元法相記事 文春に賠償命令)
LEX/DB25505786/東京地方裁判所 平成27年1月29日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第27548号
弁護士である参議院議員であり、当時法務大臣の職にあった原告が、被告(雑誌、書籍の発行、販売等をする会社)が発行する週刊誌において、原告が破産会社と共謀して同社の破産手続で配当金をだまし取るなどのために虚偽の弁護士報酬債権を届け出る違法請求をしたとの事実を摘示する記事を掲載し、また、主要日刊紙に同事実を記載する広告を掲載し、原告の名誉を毀損したと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料及び遅延損害金の支払い並びに民法723条に基づく謝罪広告を求めた事案において、原告に対する名誉棄損を認め、慰謝料請求を一部認容し、その余の請求は棄却した事例。
2015.03.17
国籍確認請求事件
「新・判例解説Watch」H27.5月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447122/最高裁判所第三小法廷 平成27年 3月10日 判決 (上告審)/平成25年(行ツ)第230号
日本国籍を有する父とフィリピン共和国籍を有する母との間に嫡出子として同国で出生し同国籍を取得した原告(控訴人・上告人)らが、出生後3か月以内に父母等により日本国籍を留保する意思表示がされず、国籍法12条の規定によりその出生の時から日本国籍を有しないこととなったため、出生により日本国籍との重国籍となるべき子で国外で出生したものにつき上記の国籍留保の要件等を定める同条の規定が上記子のうち日本で出生した者等との区別において憲法14条1項等に違反し無効であると主張して、被告(被控訴人・被上告人。国)に対し、日本国籍を有することの確認を求めた事案の上告審において、国籍法12条は憲法14条1項に違反するものではないとした同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2015.03.17
所得税法違反被告事件
LEX/DB25447123/最高裁判所第三小法廷 平成27年 3月10日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第948号
馬券を自動的に購入できるソフトを使用してインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を上げていた被告人が、その所得につき正当な理由なく確定申告書を期限までに提出しなかったという所得税法違反の事案の上告審において、被告人が馬券を自動的に購入するソフトを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するといえるなどの本件事実関係の下では、払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たるとし、また、外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金という費用が当たり馬券の払戻金という収入に対応するなどの本件事実関係の下では、外れ馬券の購入代金について当たり馬券の払戻金から所得税法上の必要経費として控除することができるとした原判断は正当であるとして、上告を棄却した事例(意見がある)。
2015.03.17
営利誘拐幇助,逮捕監禁幇助,強盗殺人幇助,殺人被告事件
LEX/DB25447124/最高裁判所第三小法廷 平成27年 3月10日 判決 (上告審)/平成25年(あ)第755号
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律71条以下が定める区分審理制度は、区分事件審判及び併合事件審判の全体として公平な裁判所による法と証拠に基づく適正な裁判が行われることが制度的に十分保障されているとして、憲法37条1項に違反しないとし、上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2015.03.17
損害賠償請求事件
LEX/DB25447108/最高裁判所第一小法廷 平成27年 3月 5日 判決 (上告審)/平成25年(受)第1436号
産業廃棄物の最終処分場の周辺地域に居住する被上告人らは、同最終処分場を管理する会社の実質的経営者、産業廃棄物の処分を委託した業者その他関係者を被申請人として、公害紛争処理法26条1項に基づく公害調停の申請をし、被上告人らが、同申請を受けて設けられた徳島県公害紛争調停委員会がその裁量権の範囲を逸脱して違法に、被申請人の呼出手続を行った上、調停を打ち切るなどの措置をしたと主張して、上告人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を求めたところ、原審は、被上告人らの請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、本件委員会が、被申請人らに対し本件記載のある期日通知書を送付し、第1回調停期日において本件調停を打ち切った措置は、その裁量権の範囲を逸脱したものとはいえず、国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできないとし、被上告人らの請求を一部認容した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決のうち上告人敗訴部分は破棄し、被上告人らの請求は理由がなく、これを棄却した第一審判決は正当であるとし、上記部分につき、被上告人らの控訴を棄却した事例。
2015.03.17
損害賠償請求控訴事件(HIV休職訴訟 控訴審 慰謝料減額)
LEX/DB25505686/福岡高等裁判所 平成27年 1月29日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第692号
被告(控訴人。医療法人)が経営するA病院の看護師であり、B病院で受けた血液検査の結果によりHIV陽性と診断された原告(被控訴人)が、B病院から前記情報を取得したA病院の医師及び職員が原告の同意なくA病院の職員らと情報を共有したことが、個人情報の保護に関する法律23条1項及び16条1項に反し、プライバシーを侵害する不法行為であり、また、A病院が行った原告との面談において、HIV感染を理由に就労を制限したことが原告の働く権利を侵害する不法行為であるとして、民法715条に基づいて、損害賠償の支払を求めたところ、原判決は、請求を一部認容したため、被告が控訴した事案において、原判決は一部相当でないとして、原判決で認容した請求を減額して一部認容した事例。
2015.03.10
営業停止処分取消請求事件(最高裁初判断 加重処分は取り消し請求可)
LEX/DB25447098/最高裁判所第三小法廷 平成27年 3月 3日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第225号
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条1項7号のぱちんこ屋の営業に該当する風俗営業を営む上告人が、北海道函館方面公安委員会から風営法26条1項に基づく営業停止処分を受けたため、同委員会の所属する被上告人を相手に、同処分は違法であると主張して、その取消しを求めたところ、原審では、上告人が、処分の効果が期間の経過によりなくなった後においてもなお処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者(行政事件訴訟法9条1項)には当たらないとし、本件訴えを却下したため、上告人が上告した事案で、行政手続法12条1項の規定により定められ公にされている処分基準において、先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の不利益な取扱いの定めがある場合には、上記先行の処分に当たる処分を受けた者は、将来において上記後行の処分に当たる処分の対象となり得るときは、上記先行の処分に当たる処分の効果が期間の経過によりなくなった後においても、当該処分基準の定めにより上記の不利益な取扱いを受けるべき期間内はなお当該処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものと解するのが相当であるとし、上告人は、行政手続法12条1項の規定により定められ公にされている処分基準である本件規程の定めにより将来の営業停止命令における停止期間の量定が加重されるべき本件処分後3年の期間内は、なお本件処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものというべきであり、これと異なる見解の下に、本件訴えを却下すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第一審判決を取消し、本件処分の違法事由の有無につき審理させるため、本件を第一審に差し戻すべきであるとした事例。
2015.03.10
懲戒処分無効確認等請求事件(セクハラ発言、降格の処分は妥当)
LEX/DB25447084/最高裁判所第一小法廷 平成27年 2月26日 判決 (上告審)/平成26年(受)第1310号
被告(被控訴人・上告人)の男性従業員である原告(控訴人・被上告人)らが、それぞれ複数の女性従業員に対して性的な発言等のセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)等をしたことを懲戒事由として上告人から出勤停止の懲戒処分を受けるとともに、これらを受けたことを理由に下位の等級に降格されたことから、被告に対し、前記各出勤停止処分は懲戒事由の事実を欠き又は懲戒権を濫用したものとして無効であり、前記各降格もまた無効であるなどと主張して、前記各出勤停止処分の無効確認や前記各降格前の等級を有する地位にあることの確認等を求めていた事案において、第一審判決では、原告らの請求を棄却したため、原告らが控訴し、控訴審判決では、第一審判決を変更し、原告らの請求をそれぞれ一部認容したため、被告が上告した事案において、被告が原告らに対してした前記各出勤停止処分を理由とする各降格は、被告において人事権を濫用したものとはいえず、有効なものというべきであるとして、これと異なる控訴審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中被告敗訴部分は破棄し、原告らの各請求は理由がなく、これらをいずれも棄却した第一審判決は正当であるとし、上記の部分につき、原告らの控訴を棄却した事例。
2015.03.10
保険金請求控訴事件
LEX/DB25505804/東京高等裁判所 平成27年 2月25日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第5431号
亡甲の相続人である原告(控訴人)らが、被告(被控訴人。独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構)に対し、亡甲と被告との間の終身保険契約に基づく生命保険金及び遅延損害金の支払いを求めたところ、原告らの請求をいずれも棄却したため、これを不服とする原告らが控訴を提起し、原告らの保険金及び遅延損害金支払請求を認容するよう求めるとともに、選択的併合にかかる請求として、説明義務違反に基づく損害賠償請求及び遅延損害金請求を追加した事案において、原告らの請求を棄却した原判決は正当であるとして、本件控訴をいずれも棄却し、原告らの控訴審における追加請求も棄却した事例。