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2015.04.28
損害賠償等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(飼い犬 チワワのショック死 大型犬シェパードの飼い主に賠償命令(控訴審))
LEX/DB25506065/大阪地方裁判所 平成27年2月6日 判決 (控訴審)/平成26年(レ)第476号等
被控訴人(原告)らが、小型犬(チワワ)の散歩中、控訴人(被告)が経営する店舗前において、控訴人の不十分な管理により逃げ出した大型犬(シェパード)が同小型犬に突進して接触したため、同小型犬が死亡したとして、民法718条に基づく損害賠償請求をし、原審は、請求を一部認容したため、控訴人が控訴をし、被控訴人が附帯控訴をした事案において、控訴を棄却し、附帯控訴に基づき、原判決を変更し、被控訴人の請求を一部認容した事例。
2015.04.21
大飯原発3,4号機及び高浜原発3,4号機運転差止仮処分命令申立事件
LEX/DB25447198/福井地方裁判所 平成27年4月14日 決定 (第一審)/平成26年(ヨ)第31号
高浜発電所(高浜原発)から250キロメートル圏内に居住する債権者らが、債務者(電力会社)に対し、人格権の妨害予防請求権に基づいて、債務者が高浜原発の3号機及び4号機の運転差止めの仮処分を求めた事案において、(1)冷却機能の維持については、各地の原発敷地外に幾たびか到来した激しい地震や各地の原発敷地に5回にわたり到来した基準地震動を超える地震が高浜原発には到来しないというのは根拠に乏しい楽観的見通しにしかすぎないといえ、さらに、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できるとし、(2)閉じ込めるという構造(使用済み核燃料の危険性)については、使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え、国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく、深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ないとし、(3)高浜原発の現在の安全性(被保全債権の存在)については、原発の運転によって直接的にその人格権が侵害される具体的な危険があることが疎明されているといえるとし、高浜原発の事故によって債権者らは取り返しのつかない損害を被るおそれが生じることになり、本案訴訟の結論を待つ余裕がなく、また、原子力規制委員会の許可がなされた現時点においては、保全の必要性は肯定できるとして、債務者に対し、高浜原発3号機及び4号機の原子炉の運転中止を認めた事例。
2015.04.21
損害賠償請求事件(サッカーボール事故訴訟 )
「新・判例解説Watch」H27.6中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447192/最高裁判所第一小法廷 平成27年4月9日 判決 (上告審)/平成24年(受)第1948号
自動二輪車を運転して小学校の校庭横の道路を進行していたB(当時85歳)が、その校庭から転がり出てきたサッカーボールを避けようとして転倒して負傷し、その後死亡したことにつき、同人の権利義務を承継した被上告人(原告、被控訴人・附帯控訴人)らが、前記サッカーボールを蹴ったC(当時11歳)の父母である上告人(被告、控訴人・附帯被控訴人)らに対し、民法709条又は民法714条1項に基づく損害賠償を請求した事案の上告審において、ゴールに向けてサッカーボールを蹴らないよう指導する監督義務があり、上告人らはこれを怠ったなどとして、被上告人らの民法714条1項(監督義務)に基づく損害賠償請求を一部認容した原審の判断を否定し、上告人らは、監督義務者としての義務を怠らなかったというべきであるとし、上告人らの敗訴部分には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、被上告人らの民法714条1項に基づく損害賠償請求は理由がなく、被上告人らの民法709条に基づく損害賠償請求も理由がないこととなるから、原判決中上告人らの敗訴部分をいずれも破棄し、第一審判決中上告人らの敗訴部分をいずれも取消した上、前記取消部分に関する被上告人らの請求をいずれも棄却し、かつ、前記破棄部分に関する承継前被上告人Aの請求に係る被上告人X2及び同X3の附帯控訴を棄却した事例。
2015.04.21
損害賠償請求事件(ファウルボールが顔面に直撃)
「新・判例解説Watch」H27.6中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447181/札幌地方裁判所 平成27年3月26日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1570号
原告が、札幌ドームの1塁側内野席において、平成22年8月に行われたプロ野球の試合を観戦中、打者の打ったファウルボールが原告の顔面に直撃して右眼球破裂等の傷害を負った事故について、被告らがファウルボールから観客を保護する安全設備の設置等を怠ったことが原因であるなどと主張し、〔1〕本件試合を主催し、本件ドームを占有していた被告株式会社北海道日本ハムファイターズに対し、工作物責任(民法717条1項)、不法行為(民法709条)、債務不履行(野球観戦契約上の安全配慮義務違反)に基づき、〔2〕指定管理者として本件ドームを占有していた被告株式会社札幌ドームに対し、工作物責任(民法717条1項)、不法行為(民法709条)に基づき、〔3〕本件ドームを所有していた被告札幌市に対し、営造物責任(国家賠償法2条1項)、不法行為(民法709条)に基づき、連帯して、本件事故による4659万5884円の損害の賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件事故当時、札幌ドームに設けられていた安全設備等の内容は、本件座席付近で観戦している観客に対するものとしては通常有すべき安全性を欠いていたものであって、工作物責任ないし営造物責任上の瑕疵があったものと認められるとし、原告の請求を一部認容(被告らに連帯して、4195万6527円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じた)した事例。
2015.04.21
受託収賄、事前収賄、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律違反被告事件(岐阜県美濃加茂市長 無罪)
LEX/DB25505958/名古屋地方裁判所 平成27年3月5日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第1494号
被告人が、αから、浄水プラントを市立の学校に設置する契約が締結できるように有利かつ便宜な取り計らいをしてほしい旨の請託を受け、これを承諾し、αから、報酬並びに今後も同様の取り計らいをすることの報酬として供与されるものであることを知りながら、現金の供与を受け、もって自己の職務に関し、請託を受けて賄賂を収受するなどしたとして起訴された事案において、当該各現金授受の事実を認めることはできないとして、無罪を言い渡した事例。
2015.04.21
逮捕監禁、爆発物取締罰則違反、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反被告事件
(オウム事件 控訴棄却)
LEX/DB25505965/東京高等裁判所 平成27年3月4日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第797号
教団の信者であった被告人が、教団信者の所在を聞き出すため、その兄である被害者Aを拉致することを企て、共犯者と共謀の上、Aを自動車の後部座席に押し込んで同車を発車させ、教団施設内において、同人に全身麻酔薬を投与して意識喪失状態を継続させるなどして同人を脱出不可能な状態において逮捕監禁し、また、教団が宗教弾圧や攻撃を受けているかのように装おうなどと考え、当時教団を擁護する立場であると考えていた人物が居住していたマンションの玄関に手製爆弾を設置し、爆発させるなどした事案の控訴審において、被告人を懲役9年に処した原判決の量刑が重すぎて不当であるとはいえないなどとして、本件控訴を棄却した事例。
2015.04.21
殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(散弾銃で父殺害)
LEX/DB25505952/横浜地方裁判所 平成27年3月4日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第333号等
幼少期から長年にわたり、実父の暴力さらされ、恐怖心により逆らうこともできす、人生の芽を摘まれたと何度も感じてきた生育歴のある被告人が、実父(当時55歳)に対し、殺意をもって、至近距離から散弾銃で散弾1発を発射して実父の腹部に命中させ、同人を失血により死亡させて殺害するなどした事案において、特筆すべきは、被告人が、確実に殺害を遂げることができるように、ブレーカーを落として暗くした室内で待ち伏せをした上、猟銃を使用して、実父を至近距離から射殺したという態様であり、危険性の高さが際立っており、しかも、被告人は、実父の殺害を考え始めてから、殺害後に遺体を速やかに火葬して犯行を隠ぺいするための棺桶を用意するなど、時間をかけて周到な準備をしており、いわゆる完全犯罪をも目論んだ、非常に計画性の高い、巧妙な犯行であるとし、懲役15年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.04.21
殺人、非現住建造物等放火被告事件(埼玉 両親殺害・放火 無罪)
LEX/DB25505963/さいたま地方裁判所 平成27年3月3日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第832号
被告人が、被害者2名を殺害した上、同人らが居住していた建物に放火して全焼させたとして、殺人及び非現住建造物等放火の罪で起訴された事案において、認定できた事実を総合しても、被告人が殺人及び放火の犯人でないとしたならば説明が困難であるとはいえないというべきであり、被告人が各事件の犯人であると認定するにはなお合理的な疑いが残るとして、被告人に無罪を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.04.21
収賄被告事件(京都大学元教授 収賄罪 二審も有罪)
LEX/DB25505966/東京高等裁判所 平成27年2月26日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第527号
京都大学大学院教授である被告人が、研究機器等の納入業者の代表取締役であるA(原審相被告人)から、その職務に関し、賄賂の趣旨で、クレジットカードの利用の利益及びその使用分を含む合計943万円余相当の財産的利益の供与を受けたという事案の控訴審において、原判決後の被告人の反省状況等を考慮すると、被告人を懲役2年に処した原判決の量刑は、現時点においては、刑期の点で重すぎる結果になったというべきであるとして、原判決中被告人に関する部分を破棄し、被告人を懲役1年8月に処した事例。
2015.04.14
各損害賠償請求事件(株主VS株式会社IHI)
LEX/DB25505951/東京地方裁判所 平成26年11月27日 判決 (第一審)/平成20年(ワ)第27292号等
被告会社(東京証券取引所一部上場会社)が関東財務局長に対して(1)平成18年9月中間期半期報告書及び(2)平成19年3月期有価証券報告書中に、重要な事項について虚偽の記載があり、原告らが流通市場又は発行市場において、虚偽の記載に係る情報を信用して被告会社株式を取得したことにより損害を被ったなどと主張して、被告会社に対し、流通市場で取得した原告ら、及び、発行市場で取得した原告らに対し、それぞれ損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めた事案において、企業会計準則の裁量を逸脱するものであったということができるから、前記各報告書には、金融商品取引法18条1項、金融商品取引法21条の2第1項にいう「虚偽の記載」があったと認めるのが相当であるとして、被告会社は、株主の原告ら146人に対し、約4800万円の支払を命じた事例。
2015.04.14
窃盗被告事件(京都地検 二重起訴認める チェック不足が原因)
LEX/DB25505978/京都地方裁判所 平成27年3月23日 決定 (第一審)/平成27年(わ)第68号
京都地方検察庁検察官が、被告人に対し計50回の窃盗罪を4回に分けて起訴したところ、平成27年1月30日の公訴事実の一部に、平成26年11月7日付け起訴状記載の公訴事実中の事実と重複(二重起訴)していることを理由として、京都地方検察庁が公訴の取り消しを請求し、裁判所がこれを認める決定をした事例。
2015.04.14
入れ墨調査問題
「新・判例解説Watch」H27.6上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447157/大阪地方裁判所 平成27年2月16日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第295号
被告の設置する病院の職員であった原告が、入れ墨の有無等を尋ねる調査に回答しなかったことが職務命令違反に当たるとして、戒告処分がされたことにつき、上記調査は憲法13条等に違反する違憲・違法な調査であるから、上記調査に回答するよう命じた職務命令及び本件処分も違法であるとして、本件処分の取消し等を求めた事案において、本件調査により特定の職員が入れ墨をしていることの情報を含む本件入れ墨情報を収集することは、社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事項に関する個人情報の収集を原則的に禁止する大阪市個人情報保護条例6条2項に違反し違法であり、本件調査に回答することを命じる本件職務命令も、同項1号及び2号に該当しないにもかかわらず差別情報を収集することを目的とするものであるから、同項に反し違法であるとし、原告の請求を一部認容した事例。
2015.04.14
偽計業務妨害、航空機の強取等の処罰に関する法律違反、威力業務妨害、脅迫、不正指令電磁的記録供用被告事件(パソコン遠隔操作事件)
LEX/DB25505940/東京地方裁判所 平成27年2月4日 判決 (第一審)/平成25年(合わ)第48号等
被告人が、自ら作成した他人のパソコンを遠隔操作するためのコンピュータプログラムを用いるなどして、見ず知らずの第三者のパソコンに指令を送り、その第三者が知らない間にそのパソコンを遠隔操作するなどして、犯罪予告文を送信させるという方法により、約2か月半の間に合計9件にわたり行った偽計業務妨害、航空機の強取等の処罰に関する法律違反、威力業務妨害、脅迫、不正指令電磁的記録供用罪の事案において、一連の犯行の全体の犯情、個々の事件の犯情に照らせば、経緯・動機、態様、経過等の点において悪質であり、そのような事件を9件も繰り返した被告人については、相応に重い刑を科すのが相当であるとして、被告人を懲役8年に処した事例。
2015.04.14
柔道部員死亡事故(上告審)
LEX/DB25505883/最高裁判所第一小法廷 平成27年2月5日 決定 (上告審)/平成26年(オ)第696号等
上告人兼申立人(原告・控訴人)が、一審被告町の設置する中学校の柔道部に所属していた長男が、練習中に頭部を負傷し死亡したことについて、同部の顧問であった被上告人兼相手方(被告・被控訴人)には安全配慮義務を怠った過失があると主張して、不法行為に基づく損害賠償を請求し、一審及び二審が、被上告人兼相手方個人に対する請求を棄却した事案において、上告を棄却し、また、上告審として受理しない旨を決定した事例。
2015.04.14
冠婚葬祭の積み立て契約 解約手数料は「無効」確定(上告審)
LEX/DB25505828/最高裁判所第三小法廷 平成27年1月20日 決定 (上告審)/平成25年(受)第1041号等
甲事件は、消費者契約法13条に基づき内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体である甲事件原告(申立人・附帯相手方)が、甲事件被告(相手方・附帯申立人)らが消費者との間で締結している互助契約又は積立契約において、それぞれ契約解約時に払戻金から所定の手数料が差し引かれるとの条項(解約金条項)を使用していることに関して、同条項は、同法9条1号に定める平均的な損害の額を超える違約金を定めるものであり、また、同法10条に定める信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるとして、同法12条3項本文に基づき、主位的に、解約金を差し引くことを内容とする意思表示等の差止めを求め、予備的に、現実に使用している約款等に基づく意思表示等の差止めを求め、乙・丙・丁事件は、同事件原告(申立人・附帯相手方)らが同事件被告(相手方・附帯申立人)に対し、上記解約金条項が消費者契約法9条1号及び10条に反し無効であるとして、不当利得返還請求権に基づく同被告により差し引かれた解約手数料相当額の返還及び同額に対する遅延損害金の支払を求めた事案の上告審において、本件上告受理申立ての理由によれば、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められない(なお、本決定により、本件附帯上告受理の申立ては、その効力を失う。)として、上告不受理の決定をした事例。
2015.04.07
建物明渡等請求事件
「新・判例解説Watch」H27.6上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447166/最高裁判所第二小法廷 平成27年3月27日 判決 (上告審)/平成25年(オ)第1655号
被上告人(兵庫県西宮市)が、上告人Y1が暴力団員であることを理由に、上告人Y1に対しては、西宮市営住宅条例46条1項柱書き及び同項6号の暴力団排除規定に基づく当該市営住宅の明渡し等を求め、上告人Y2及び同Y3に対しては所有権に基づく当該市営住宅の明渡し等を求めるとともに、上告人Y2に対して西宮市営住宅条例64条2項に基づく当該駐車場の明渡し等を求めた事案において、当該市営住宅及び当該駐車場の使用の終了に西宮市営住宅条例の暴力団排除規定を定める部分を適用することが、憲法14条1項又は憲法22条1項に違反しないとして、上告を棄却した事例。
2015.04.07
株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25447178/最高裁判所第一小法廷 平成27年3月26日 決定 (許可抗告審)/平成26年(許)第39号
相手方を吸収合併存続株式会社、A社を吸収合併消滅株式会社とする吸収合併に反対したA社の株主である抗告人が、A社に対し、抗告人の有する株式を公正な価格で買い取るよう請求したが、その価格の決定につき協議が調わないため、抗告人が、会社法786条2項に基づき、価格の決定の申立てをした事案の許可抗告審において、非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ、裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に、非流動性ディスカウントを行うことはできないと解し、これと反対の原審の判断には裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとし、原決定を破棄し、A社において将来期待される純利益の現在価値の合計は約3億6158万3000円で、発行済株式の総数は338万7000株であるから、株式の買取価格は抗告人の主張するとおり1株につき106円となるものというべきであるとして、原々決定を取消し、抗告人が有していたA社の株式の買取価格を1株につき106円とし、鑑定人に支払った鑑定料120万円については当事者の合意に照らして鑑定結果と各当事者の主張金額とのかい離額に応じて分担させることを命じた事例。
2015.04.07
再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25447164/最高裁判所第二小法廷 平成27年3月24日 決定 (特別抗告審)/平成26年(し)第567号
別件で刑事施設に収容されていた申立人は、自ら再審請求をしたにもかかわらず、住居変更の届出書を提出した後、原々決定謄本について本件付郵便送達がなされるまで、裁判所に対して住居等の変更届出や連絡をしてこなかった一方で、原々審は、申立人の所在を把握できず、他に申立人が別件で刑事施設に収容されていることを知る端緒もなかった状況下では、本件付郵便送達は、刑事訴訟規則62条1項の住居、送達受取人等の届出を申立人が怠ったことを理由に刑事訴訟規則63条1項により申立人本人を受送達者として当該届出住居に宛てて行ったものと理解することができ、再審請求をしている申立人が実際には別件で刑事施設に収容されていたとしても、有効と解するのが相当であるとして、本件抗告を棄却決定した事例。
2015.04.07
傷害、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(アイドルグループ握手会 切りつけ事件)
LEX/DB25505909/盛岡地方裁判所 平成27年2月10日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第94号
女性人気アイドルグループのメンバーがCDを購入したファンと握手をするイベントにおいて、被告人がイベント参加者に紛れてメンバーに近づき、隠し持っていた凶器(折り畳み式のこぎり)で、突然同グループのメンバー二人に続けざまに切りつけて傷害を負わせ、それを見て止めに入った男性スタッフにも傷害を負わせたという事案において、被告人の責任は重大であり、複数被害者に対する凶器を用いた無差別的な傷害事案という類型の中でも、非常に重いものと位置づけられるとして、被告人を懲役6年に処した事例。
2015.04.07
損害賠償請求事件
LEX/DB25505941/大阪地方裁判所 平成27年3月16日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第7427号
原告X1が、捜索差押許可状の請求、捜索差押え及びA検事が本件押収品を精査し、かつ還付しなかった行為、並びに裁判官らの捜索差押許可状の各発付は、いずれも故意又は過失により被告人の秘密交通権、秘匿権、防御権を侵害して違法であるとして、また原告X2は前記各行為が故意又は過失により弁護人の弁護権を侵害して適法であるとして、それぞれ被告国に対し、国家賠償法1条1項に基づき各1650万円の損害賠償及び遅延損害金を求めた事案において、捜索差押許可状の請求は違法で、違法な捜索差押許可状に基づく捜索差押えは違法であり、A検事が本件押収物を精査し、かつ刑事事件が終結するまで還付しなかった行為は違法であるとし、原告X1、原告X2に各々50万円と弁護士費用5万円の限度で認容したが、裁判官らの捜索差押許可状の各発付は、違法であると認めることはできないとして、原告らの請求を棄却した事例。