2015.12.01
提出命令に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25447600/最高裁判所第三小法廷 平成27年11月19日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第556号
強姦未遂,強姦,強制わいせつ被告事件の被告人によって選任された弁護人らに対し、検察官が、被告人の委託を受けて保管中の犯行状況とされるものを撮影録画したデジタルビデオカセットにつき、公判期日で、没収相当との求刑をし、裁判所の職権により差押えをするよう申し立てたが、弁護人らは、被告人が上記デジタルビデオカセットの所有権放棄、映像データの消去に応じる意向を示していないことを理由に、弁護人らが保管する上記デジタルビデオカセットの任意提出を拒否し、また、差押えの申立てに関して、主任弁護人は、捜査機関によって作成された複製DVDでは判明し得なかった会話が記録されている可能性があるから「秘密」に当たり、押収拒絶権を行使できるなどとして、反対する旨の意見を述べたところ、原々審では上記デジタルビデオカセットを裁判所に提出するよう命じ、弁護人らはこれに対し、抗告を申し立てたが棄却されたため、特別抗告した事案において、デジタルビデオカセットは、主任弁護人により警察官への任意提出や検察官への証拠開示、その一部についての証拠請求がされ、更にその全部の複製DVDが公判期日で被告人及び弁護人らの異議なく取り調べられているから、被告人の意思に基づく訴訟活動の結果、デジタルビデオカセットに記録された情報の全ては、もはや「秘密」でなくなったことが明らかであり、デジタルビデオカセットは、刑事訴訟法105条の「他人の秘密に関するもの」に当たらないとし、弁護人らに、デジタルビデオカセットにつき押収拒絶権がないとした原決定は正当であるとして、抗告を棄却した事例。





















