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2015.08.18
損害賠償請求事件 (株主 VS オリンパス株式会社)
LEX/DB25540718/大阪地方裁判所 平成27年 7月21日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第3287号等
被告会社の株式を取得した原告らが、被告会社において提出し、公衆の縦覧に供された平成13年3月期~平成24年3月期第1四半期に係る各有価証券報告書及び四半期報告書に、連結純資産額について約500億円~約1200億円を嵩上げする等の虚偽記載があったことにより損害を被ったと主張して、民法709条又は原告Z3及び原告Z11が平成23年5月以降に取得した株式については金融商品取引法21条の2による損害賠償請求権に基づき、各金員及び各金員に対する各訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案において、原告らの請求を一部認容した事例。
2015.08.18
納付通知処分取消請求事件(ビジネス・ワンホールディングス株式会社 VS 国)
LEX/DB25540694/福岡地方裁判所 平成27年 6月16日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第60号
H社(本件滞納者)が、原告に対し、本件マンションの各区分建物の一部を譲渡したところ、処分行政庁である福岡国税局長が、原告に対し、本件譲渡は国税徴収法39条に定める「著しく低い額の対価による譲渡」に当たるとして,本件滞納者の滞納に係る国税につき第二次納税義務に基づく納付告知処分をしたため、原告が、被告国に対して、本件処分の取消しを求めた事案において、本件譲渡は、被告の依拠する基本通達にいう「おおむね2分の1」の要件をも満たさないし、国税徴収法39条にいう「著しく低い額の対価による譲渡」に当たるとはいえないとし、第二次納税義務の納付告知処分を取り消し、原告の請求を認容した事例。
2015.08.18
現住建造物等放火被告事件(寄居の住宅放火事件)
LEX/DB25540586/さいたま地方裁判所 平成27年 6月15日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第1208号
被告人が、ストレスを発散するため、2名が現にいる居宅(木造トタン葺平屋建、床面積約115.03平方メートル)に隣接した作業場建物の軒下に積み上げられていた段ボールにライターで着火して火を放ち、同作業場建物を介して前記居宅を全焼させて焼損した事案において、火災が発見されにくい夜明け前に、人が居住する民家の敷地内に大量に積み上げられて、燃え広がりやすい段ボールに放火したという犯行態様の危険性は高く、これにより居宅が焼け落ち、そこに居住していた2名が逃げ切れず一酸化炭素中毒により死亡したものであり、その危険性を正に現実化させているとし、被告人の犯行が、不特定又は多数の人の生命、身体、財産に脅威を及ぼした程度は極めて高いといえ、ストレスを発散するために火を放つという動機に酌量の余地は全くなく、被告人が居宅を燃焼させる積極的な意図を有していなかったことを考慮しても、本件は、同様の動機による現住建造物等放火の事案の中で特に重い部類に位置付けられるとして、懲役13年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.08.18
新文化複合施設工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件
(米沢市の新文化複合施設 公金支出差止請求)
LEX/DB25540589/仙台高等裁判所 平成27年 6月 5日 判決 (控訴審)/平成27年(行コ)第3号
米沢市の住民である控訴人らが、米沢市が計画を進める新文化複合施設整備事業につき、当該事業に関する公金支出は目的外支出として違法であり、当該事業のための公金支出等に係る議決は無効である等と主張して、被控訴人(米沢市長)に対し、当該事業に関する公金の支出、契約の締結、債務その他義務の負担をしないよう求めるとともに、当該事業に関して既に支出された公金の支払いを請求した事案の控訴審において、控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2015.08.18
損害賠償等請求控訴事件 (逮捕記事の検索結果表示差し止め 二審も棄却)
LEX/DB25540592/大阪高等裁判所 平成27年 6月 5日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第2838号
控訴人が、インターネット上の検索サイトである本件サイトにおいて、原告の氏名を検索語入力欄に入力して検索すると、控訴人の氏名を含む記事が記載されたインターネット上のサイトのアドレスが複数表示されるとともに当該サイトの一部がそれぞれ数行ずつ表示されるが、その約半数に控訴人の氏名と控訴人が京都府迷惑行為防止条例違反で逮捕された旨の記載が含まれており、上記の検索結果は、控訴人の社会的評価を低下させるものであると主張して、本件サイトを管理・運営する被告に対し、名誉毀損による損害賠償等を求めた事案の控訴審において、被控訴人に、本件サイトでの検索結果監督義務及び本件検索結果の表示阻止義務を生じさせる法律上の根拠を認めることはできないとした原判決を相当とし、本件控訴を棄却した事例。
2015.08.18
投稿動画削除等仮処分命令申立事件(発言動画削除命令)
LEX/DB25540593/大阪地方裁判所 平成27年 6月 1日 決定 (第一審)/平成27年(ヨ)第290号
大阪市の現市長である債務者Pが、公衆に対する演説の中で、平成23年に実施された大阪市長選挙の際、債権者が集票目的のために大阪市内の町内会に100万円を配布した旨の公職選挙法に違反する行為をしたかのような各発言を行い、債務者らが、当該各発言の様子が録画された複数の動画を動画投稿サイト等において公開し、債務者維新の会のホームページから前記動画の一部を閲覧できるように設定したことにより、債権者の名誉が毀損されたとして、大阪市の前市長である債権者が、前記各動画の動画サイトからの削除、閲覧措置及び頒布の禁止、公衆の面前等での前記発言の禁止並びに民法723条に基づく謝罪広告の掲載をそれぞれ求めた事案において、Pの3回の発言のうち2回は、公職選挙法で罰則をもって禁止されている買収行為を債権者が行ったかのような印象を抱かせるから債権者の社会的評価を低下させるものであるとして、前記各動画の動画サイトからの削除、閲覧措置及び頒布の禁止を命じた事例。
2015.08.18
損害賠償請求控訴事件(野球部員熱中症死 高松高裁 逆転判決)
LEX/DB25540569/高松高等裁判所 平成27年 5月29日 判定 (控訴審)/平成26年(ネ)第187号
徳島県立高校の硬式野球部に所属していた甲が、同部の練習中に熱中症に罹患し、その約1か月後に死亡した事故につき、甲の両親である控訴人(原告)らが、同高校の保健体育科教諭であり、また同部の監督である乙に部員に対する安全配慮義務を怠った過失があり、これにより甲は死亡したなどと主張して、被控訴人(被告。徳島県)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償の支払いを請求し、原審が請求を棄却した事案において、乙の注意義務違反を認め、原判決を変更し、控訴人らの請求を一部認容した事例。
2015.08.11
ホームページ情報削除等請求控訴事件 (食べログ 口コミ削除要求 控訴棄却)
LEX/DB25540704/札幌高等裁判所 平成27年 6月23日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第365号
飲食店である本件店舗を経営している原告(控訴人)が、インターネット上に公開されている「食べログ」サイトを運営管理している被告(被控訴人)に対し、本件ページに本件店舗に係る情報を掲載していることについて、不正競争防止法2条1項2号所定の不正競争に該当し、又は原告の人格権に由来する名称権を侵害するものであると主張して、不正競争防止法3条1項に基づく差止請求又は名称権に基づく妨害排除請求として本件ページの削除を求めるとともに、不正競争防止法4条又は民法709条に基づく損害賠償金220万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたところ、第一審が、原告の請求をいずれも棄却したため、本件ページの削除請求を棄却した部分を不服として、原告が控訴をした事案のほか、原告が名称権に基づく妨害排除請求について、本件ページ中本件店舗の情報(名称、店舗所在地、電話番号)を削除することを求める旨の予備的請求を控訴審で、追加した事案において、原告の請求を棄却した原判決は相当であるとして控訴を棄却し、また、原告が当審で追加した予備的請求も棄却した事例。
2015.08.11
殺人、詐欺被告事件(中2娘殺害 懲役7年)
LEX/DB25540580/千葉地方裁判所 平成27年 6月12日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第1734号等
県営住宅の家賃を滞納したため、県より入居許可を取り消された被告人が、被告人方の強制執行の当日に、娘Bを学校に送り出した後、強制執行が開始される前に自殺しようと考えていたところ、Bが学校を休んで自宅にいるつもりであることを知り、Bを殺害しようと考え、殺意をもって、うつ伏せに寝ていたBの頸部に布製のはちまきを二重に巻き付けて締め上げ、よって、その頃、同所において、同人を窒息死させて殺害した等として起訴された事案において、被告人の行為は「強く非難されるべきである」との検察官の主張に与することはできない一方で、弁護人が主張するように非難の程度を大きく減じることもできず、以上に加え、被害者が子である殺人事案におけるこれまでの量刑傾向も踏まえると、本件殺人の犯行は、他の同様の事案の中にあって、やや重い部類に位置付けられるべきであり、刑の執行猶予を考慮する余地のある事案とはいい難いとして、被告人に対し、懲役7年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.08.11
強盗致傷、強姦殺人、強盗、銃砲刀剣類所持等取締法違反、大麻取締法違反被告事件
(柏連続殺傷事件 無期懲役)
LEX/DB25540581/千葉地方裁判所 平成27年 6月12日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第1195号
被告人が、通行人から金品を強奪しようと考え、路上において、被害者Cに対し、殺意をもって、シースナイフで頸部及び背部を数回突き刺してその反抗を抑圧した上、同人所有又は管理の現金約1万数千円、財布等136点在中の手提げバッグ1個(時価合計約6000円相当)を強取し、よって、その頃、同所において、同人を頸部及び背部の刺切創による失血により死亡させて殺害した等として起訴された事案において、被告人にとって酌むことができる全ての事情を考慮しても、酌量減軽をするのが相当な事案とは到底いえないが、同種事案の中で際立って重い部類に入るとまで位置付けることはできず、被告人の成育歴に同情の余地が全くないとまではいい難いことなどから、これまでの同種事案の量刑傾向も参考にすると,検察官の求刑を超えて死刑を科すことはなお躊躇せざるを得ないとして、被告人に対して無期懲役を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.08.11
所得税決定処分取消等請求控訴事件(外れ馬券訴訟 大阪高裁 訴え却下)
LEX/DB25540594/大阪高等裁判所 平成27年 5月29日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第177号
所轄税務署長が、被控訴人の所得税について、競馬法に基づき勝馬投票の的中者として被控訴人が受けた払戻金は一時所得に該当するとした上、その総収入金額から的中した勝馬投票券の購入金額のみを控除することにより各決定処分及び各無申告加算税賦課決定処分を行ったのに対し、原告が、上記各処分の取消しを求めた等の事案の控訴審において、所轄税務署長が、被控訴人による本件訴え提起時からの主張及び原判決の判断、すなわち、被控訴人が得た馬券の払戻金は雑所得に該当し、外れ馬券を含む馬券の購入総額が必要経費となるとの解釈を結果として採用して、当審係属後に本件各減額更正等処分をしたことにより、その取り消した部分の取消しを求める訴えは不適法として却下すべきであるとして、原判決中、控訴人敗訴部分を取消した上、上記取消請求に係る訴えをいずれも却下した事例。
2015.08.11
損失補償請求事件(大阪城本丸売店 損失補償認めず)
LEX/DB25540595/大阪地方裁判所 平成27年 5月29日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第186号
都市公園である大阪城公園内に設置された公園施設について、大阪市長から都市計画法5条1項の規定による管理の許可を継続して取得し売店等を経営していた原告が、大阪市長に対し、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの1年間の管理許可を求める申請をしたところ、大阪市長から不許可処分を受けたが、当該不許可処分は、期間の定めなくされていた管理の許可の撤回と同視し得るから、被告大阪市は、都市公園法28条の適用若しくは類推適用又は国有財産法19条、国有財産法24条の類推適用により、その撤回に伴い原告が被った使用権喪失に係る損失や営業損失等の付随的損失を補償すべきである旨主張して、被告に対し、損失補償金のうち4035万円及びこれに対する請求の日(訴状送達の日)の翌日である平成25年9月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求めた事案において、原告に対する本件公園施設の管理許可は、仮に開始当初は実質的に期間の定めのないものと解する余地があったとしても、遅くとも、平成24年4月1日付けで本件公園施設の管理許可がされた時点では、実質的に期間の定めのなかったものということはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2015.08.11
各株主総会決議取消請求控訴事件(アムスク株主総会決議取消請求事件控訴審判決)
LEX/DB25540596/東京高等裁判所 平成27年 3月12日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第3215号
被告(控訴人兼被控訴人)の定時株主総会におけるAを取締役に選任する決議、剰余金処分の件を可決する旨の決議等について、原告ら(被控訴人兼控訴人)が、各決議の取消しを求めたところ、原告らの請求が一部認容、一部棄却されたため、双方が控訴した事案において、本件第2回種類株主総会決議に決議の取消事由たる瑕疵があることを理由に本件再株主総会の決議をもって本件第2回種類株主総会決議を追認するということは、平成26年7月4日にされた本件再株主総会の決議の効力を本件第2回種類株主総会決議の時点まで遡及させるということにほかならず、株主総会決議の効力を遡及させることによって、法令により保護されている関係者の手続上の権利利益が害されるときは、その遡及的効力を認めることはできないと解すべきであり、本件再株主総会決議によって本件全部取得議案の決議取消の訴えの利益が失われることにはならないとし、本件控訴をいずれも棄却した事例。
2015.08.04
損害賠償請求事件 ((株)ゲオホールディングス旧経営陣に賠償命令)
LEX/DB25540615/名古屋地方裁判所 平成27年 6月30日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1138号
原告の代表取締役会長であった被告Y1、同代表取締役社長であった被告Y2及び同取締役副社長であった被告Y3が、架空の業務委託契約等を複数締結し、それらの契約に基づき、原告の財産を不正に流出させた等と主張して、原告が被告らに対し、取締役の任務懈怠による損害賠償請求(会社法423条1項)又は不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)として、合計4億6539万3500円及びこれに対する各不法行為の日からいずれも支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の本件請求は、被告Y1について4億5265万5000円、被告Y3について3億3340万5000円、被告Y2について2億8415万5000円及び各支出日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で一部認容した事例。
2015.08.04
農地法20条1項による許可取消請求、土地明渡請求、建物収去土地明渡請求控訴事件
(成田空港用地訴訟 2審も明け渡し命じる)
LEX/DB25540562/東京高等裁判所 平成27年 6月12日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第326号
控訴人が、各土地を賃借して農地として耕作しているとして、処分行政庁が空港会社による賃貸借の解約申入れを許可した処分は違法であると主張して、被控訴人千葉県に対し、許可処分の取消しを求めた事案(第1事件)、また、被控訴人空港会社が、控訴人に対し、許可処分に基づき賃貸借契約を解約する旨申し入れたことにより、同契約は終了したとして、各土地上の建物及び工作物を収去し、同土地を明け渡すことを求めた事案(第2及び第3事件)において、第1事件につき取消請求を却下し、その余の請求を棄却した原判決を相当とし、本件控訴を棄却した事例。
2015.08.04
(令状ないGPS捜査は違法 証拠不採用)
「新・判例解説Watch」H27.9下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25540308/大阪地方裁判所 平成27年 6月 5日 決定 (第一審)/平成25年(わ)第5962号等
窃盗、建造物侵入、傷害被告事件について、〔1〕本件泳がせ捜査、〔2〕本件追尾監視型捜査、〔3〕本件GPS捜査はいずれも令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、本件各証拠はこれらの捜査によって得られた証拠及び派生的証拠であって、これを証拠として許容することが将来における違法捜査抑制の見地からして相当でないことから証拠能力がないものとして排除すべきであるとの弁護士の主張に対し、〔1〕本件泳がせ捜査については、捜査機関としての裁量を逸脱した著しく不合理な判断があったとはいえないとし、〔2〕本件追尾監視型捜査については、強制処分に当たらない上、捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ、相当な方法によって行われたものといえるから、任意捜査として適法であるが、ビデオ撮影のうち、郵便受け内部の郵便物を撮影した警察官の行為は、郵便物の差出人や受取人のプライバシー等を大きく侵害するものであるから、捜索又は検証としての性質を有する強制処分に該当し、無令状でこれを行った行為は違法であるとし、〔3〕本件GPS捜査については、検証許可状によることなく行われ、無令状検証の誹りを免れず、違法であるとして、証拠能力が否定される各証拠については、その証拠調べを却下し、他方、証拠能力が否定されない各証拠については、弁護人が伝聞法則との関係で同意していることから、証拠として採用することを決定した事例。
2015.08.04
行政財産使用不許可処分取消等、組合事務所使用不許可処分取消等請求控訴事件
(大阪市 市庁舎からの労組退去 一部「適法」(控訴審))
LEX/DB25540435/大阪高等裁判所 平成27年 6月 2日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第162号
控訴人(被告。大阪市)の職員が加入する労働組合等である被控訴人(原告)らが、控訴人の市長に対し、平成24年度から平成26年度の3回にわたって、市役所の本庁舎内の一部を組合の事務所として利用するため、その目的外使用許可を申請したところ、いずれも不許可処分を受けたことから、各処分は違法であるとして、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償の支払いを求めるとともに、各処分の取消しを求め、原審は、損害賠償請求を一部認容し、平成26年度の処分の取消請求を認容したため、控訴人が控訴をした事案において、平成24年度の処分が違法であるとして、原判決を変更し、損害賠償請求を一部認容し、取消請求を棄却した事例。
2015.07.28
固定資産税等賦課徴収懈怠違法確認等請求事件
LEX/DB25447356/最高裁判所第二小法廷 平成27年 7月17日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第190号
堺市の住民である被上告人が、登記簿の表題部の所有者欄に「大字西」などと記載されている同市内の土地につき、平成18年度から同20年度までについて当時の堺市長がその固定資産税及び都市計画税の賦課徴収を違法に怠ったため、地方税法18条1項の徴収権に係る消滅時効の完成により堺市に損害が生じたと主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、同市の執行機関である上告人を相手に、本件固定資産税等の徴収権に係る消滅時効が完成するまでの期間において堺市長の職にあった者及びその賦課徴収に係る専決権限を有する各市税事務所長の職にあった者に対して本件固定資産税等相当額の損害賠償請求をすること等を求めたところ、控訴審では、本件固定資産税等の納税義務者は本件各土地の所在する地区の住民により組織されている自治会又は町会であり、本件各専決権者の一部及び本件各市長は上記納税義務者を特定することができたなどとして、被上告人の請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、地方税法343条2項後段の類推適用により関係自治会等が本件固定資産税等の納税義務者に当たるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、本件各土地につき原審において判断されていない地方税法343条4項の適用の有無等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき原審に差し戻した事例。
2015.07.28
所得税更正処分取消等,所得税通知処分取消請求事件
LEX/DB25447357/最高裁判所第二小法廷 平成27年 7月17日 判決 (上告審)/平成25年(行ヒ)第166号
米国デラウェア州の法律に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップ(LPS)が行う米国所在の中古集合住宅の賃貸事業に係る投資事業に出資した亡A、亡B及び被上告人X1ら(原告・被控訴人)が、当該賃貸事業により生じた所得が同人らの不動産所得(所得税法26条1項)に該当するとして、その所得の金額の計算上生じた損失の金額を同人らの他の所得の金額から控除して所得税の申告又は更正の請求をしたところ、所轄税務署長から、当該賃貸事業により生じた所得は同人らの不動産所得に該当せず、上記のような損益通算(所得税法69条1項)をすることはできないとして,それぞれ所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分又は更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、被上告人らが上告人(被告・控訴人。国)を相手に上記各処分の取消しを求めたところ、控訴審は、本件各LPSが我が国の租税法上の法人には該当せず、我が国の租税法上の人格のない社団等にも該当しないとした上で、本件各LPSが行う本件各不動産賃貸事業により生じた所得は当該賃貸事業に係る投資事業に出資したAら及び被上告人X1の不動産所得に該当するものであるから、本件各建物の減価償却費等を必要経費として不動産所得の金額を計算し、その不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは損益通算をした上で総所得金額及び納付すべき税額を算定すべきところ、損益通算をすることはできないとしてされた本件各処分は違法であるとして、これらを取り消すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件出資者らは、本件各不動産賃貸事業による所得の金額の計算上生じた損失の金額を各自の所得の金額から控除することはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があり、原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、被上告人らの請求のうち、本件各更正処分及び本件各通知処分の取消請求は理由がないから、第1審判決のうちこれらの請求を認容した部分をいずれも取消し、これらの請求をいずれも棄却すべきであるとし、また、被上告人らの請求のうち、本件各賦課決定処分の取消請求については、本件が例外的に過少申告加算税の課されない場合として国税通則法65条4項に定める「正当な理由があると認められる」場合に当たるか否かが問題となるところ、この関係の諸事情につき更に審理を尽くさせるため、上記破棄部分のうち上記請求に係る部分につき、本件を原審に差し戻した事例。
2015.07.28
損害賠償請求事件(第1事件)、損害賠償請求事件(第2事件)
(武富士 利息過払い 創業者次男に返還命令 )
LEX/DB25540384/大阪地方裁判所 平成27年 5月 8日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第15422号等
貸金業者の株式会社A社と継続的な金銭消費貸借取引を行ってきた原告らが、A社の代表取締役であった亡B、取締役であった被告C及び代表取締役であった被告Dが、利息制限法1条1項所定の制限利率を超えて利息として支払われた部分を適法に収受できるための法令遵守体制を構築すべき職務上の義務等を怠って、原告らに対し制限超過部分の支払を続けさせ、また、被告らがその他多数の任務懈怠によりA社を倒産に至らせ、原告らに過払金元利金相当額の損害を負わせたと主張して、被告らに対し、会社法429条1項に基づき、亡Bの会社法429条1項に基づく損害賠償債務を被告らが相続したと主張して、被告らに対して損害賠償金の支払を求めた事案において、代表取締役であった被告Dに対して残高相違可能性を告知する体制を整備する義務について任務懈怠責任を認めて請求を一部認容した事例。