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2015.07.28
固定資産税等賦課徴収懈怠違法確認等請求事件
LEX/DB25447356/最高裁判所第二小法廷 平成27年 7月17日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第190号
堺市の住民である被上告人が、登記簿の表題部の所有者欄に「大字西」などと記載されている同市内の土地につき、平成18年度から同20年度までについて当時の堺市長がその固定資産税及び都市計画税の賦課徴収を違法に怠ったため、地方税法18条1項の徴収権に係る消滅時効の完成により堺市に損害が生じたと主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、同市の執行機関である上告人を相手に、本件固定資産税等の徴収権に係る消滅時効が完成するまでの期間において堺市長の職にあった者及びその賦課徴収に係る専決権限を有する各市税事務所長の職にあった者に対して本件固定資産税等相当額の損害賠償請求をすること等を求めたところ、控訴審では、本件固定資産税等の納税義務者は本件各土地の所在する地区の住民により組織されている自治会又は町会であり、本件各専決権者の一部及び本件各市長は上記納税義務者を特定することができたなどとして、被上告人の請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、地方税法343条2項後段の類推適用により関係自治会等が本件固定資産税等の納税義務者に当たるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、本件各土地につき原審において判断されていない地方税法343条4項の適用の有無等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき原審に差し戻した事例。
2015.07.28
所得税更正処分取消等,所得税通知処分取消請求事件
LEX/DB25447357/最高裁判所第二小法廷 平成27年 7月17日 判決 (上告審)/平成25年(行ヒ)第166号
米国デラウェア州の法律に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップ(LPS)が行う米国所在の中古集合住宅の賃貸事業に係る投資事業に出資した亡A、亡B及び被上告人X1ら(原告・被控訴人)が、当該賃貸事業により生じた所得が同人らの不動産所得(所得税法26条1項)に該当するとして、その所得の金額の計算上生じた損失の金額を同人らの他の所得の金額から控除して所得税の申告又は更正の請求をしたところ、所轄税務署長から、当該賃貸事業により生じた所得は同人らの不動産所得に該当せず、上記のような損益通算(所得税法69条1項)をすることはできないとして,それぞれ所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分又は更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、被上告人らが上告人(被告・控訴人。国)を相手に上記各処分の取消しを求めたところ、控訴審は、本件各LPSが我が国の租税法上の法人には該当せず、我が国の租税法上の人格のない社団等にも該当しないとした上で、本件各LPSが行う本件各不動産賃貸事業により生じた所得は当該賃貸事業に係る投資事業に出資したAら及び被上告人X1の不動産所得に該当するものであるから、本件各建物の減価償却費等を必要経費として不動産所得の金額を計算し、その不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは損益通算をした上で総所得金額及び納付すべき税額を算定すべきところ、損益通算をすることはできないとしてされた本件各処分は違法であるとして、これらを取り消すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件出資者らは、本件各不動産賃貸事業による所得の金額の計算上生じた損失の金額を各自の所得の金額から控除することはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があり、原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、被上告人らの請求のうち、本件各更正処分及び本件各通知処分の取消請求は理由がないから、第1審判決のうちこれらの請求を認容した部分をいずれも取消し、これらの請求をいずれも棄却すべきであるとし、また、被上告人らの請求のうち、本件各賦課決定処分の取消請求については、本件が例外的に過少申告加算税の課されない場合として国税通則法65条4項に定める「正当な理由があると認められる」場合に当たるか否かが問題となるところ、この関係の諸事情につき更に審理を尽くさせるため、上記破棄部分のうち上記請求に係る部分につき、本件を原審に差し戻した事例。
2015.07.28
損害賠償請求事件(第1事件)、損害賠償請求事件(第2事件)
(武富士 利息過払い 創業者次男に返還命令 )
LEX/DB25540384/大阪地方裁判所 平成27年 5月 8日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第15422号等
貸金業者の株式会社A社と継続的な金銭消費貸借取引を行ってきた原告らが、A社の代表取締役であった亡B、取締役であった被告C及び代表取締役であった被告Dが、利息制限法1条1項所定の制限利率を超えて利息として支払われた部分を適法に収受できるための法令遵守体制を構築すべき職務上の義務等を怠って、原告らに対し制限超過部分の支払を続けさせ、また、被告らがその他多数の任務懈怠によりA社を倒産に至らせ、原告らに過払金元利金相当額の損害を負わせたと主張して、被告らに対し、会社法429条1項に基づき、亡Bの会社法429条1項に基づく損害賠償債務を被告らが相続したと主張して、被告らに対して損害賠償金の支払を求めた事案において、代表取締役であった被告Dに対して残高相違可能性を告知する体制を整備する義務について任務懈怠責任を認めて請求を一部認容した事例。
2015.07.28
損害賠償請求控訴事件(株式会社日本リート VS 日本ERI株式会社 控訴審判決)
LEX/DB25540383/大阪高等裁判所 平成26年 4月22日 判決 (控訴審)/平成24年(ネ)第1614号
分譲マンションの建築主及び事業主である原告(控訴人)が、被告Y1が設計・工事監理者となり、被告Y2が設計を担当し、被告Y3が構造設計の下請けをした同マンションの設計において、被告Y3が構造計算に用いたプログラムに数値の入力間違いをして不整合のみられる計算をし、これを前提に、被告Y2が建築基準法令に定める構造基準に適合しない設計を実施したこと及び建築基準法上の指定確認検査機関として同マンションの確認検査を実施した被告(被控訴人)Y4がそれを看過して確認済証を交付したことにより、建築基準法上必要な耐震強度を確保していないマンションが建築され、それにより是正工事費用や区分所有者に対する補償などの損害を被ったと主張して、被告Y1に対しては、第1次的に不法行為責任に基づき、第2次的に債務不履行責任に基づき、被告Y2、被告Y3及び被告Y3に対しては不法行為責任に基づいて損害損害金の連帯支払を求めた事案において、被告Y1、被告Y2及び被告Y3に対する請求を一部認容し、被告Y4に対する請求を棄却したため、原告がこれを不服として控訴して、被告Y4に対し、不法行為に基づく請求を交換的に変更し、主位的に債務不履行に基づき、予備的に国家賠償法1条1項に基づき損害賠償金の支払を求めた事案において、請求を一部認容した事例。
2015.07.28
詐欺、証券取引法違反、金融商品取引法違反被告事件(裁判所ウェブサイト掲載判決の原審)
LEX/DB25540388/大阪高等裁判所 平成25年10月25日 判決 (控訴審)/平成24年(う)第1077号
被告人が、共犯者らと共謀の上、〔1〕金融機関から預金通帳1通をだまし取ったという詐欺、〔2〕財産上の利益を得る目的で、相場操縦(変動操作・仮装売買)をして、その結果変動した相場により有価証券取引をしたという証券取引法違反、〔3〕上場会社の会社関係者としての職務に関し、業務執行決定機関が株式を引受ける者の募集を行うことについての決定をしたことを知り、その公表前に、当該上場会社の株式を買い付けたという金融商品取引法違反、〔4〕同様にその職務に関し、上場会社の第三者割当増資の払込総額の9割に相当する新株式の発行が失権することが確実になったなどの重要事実を知り、その公表前に、当該上場会社の株式を売り付けたという金融商品取引法違反から成る事案において、懲役3年及び罰金400万円、執行猶予5年を言い渡したため、被告人が、法令の適用の誤り及び事実誤認を理由に控訴した事案において、控訴を棄却した事例。
2015.07.21
立替金等請求事件((株)安藤・間 VS 新潟大学)
LEX/DB25540421/東京地方裁判所 平成27年 4月28日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第21186号
《1》主位的請求として、A建設の権利義務を包括承継した原告会社が、A建設が米国法人O社との間で、米国R大学の保有する特許技術に係る陽子線がん治療機器等の売買等に係る契約を締結することを前提に、A建設と被告新潟大学との間で、前記契約上のA建設の買主の地位を被告に譲渡すること、当該譲渡実行日までに上記契約に基づきA建設が支払い又は負担した売買代金、費用等相当額を被告大学がA建設に支払うこと等を内容とする本件合意をしたこと等を理由に、被告大学に対し、本件合意の約定に基づく補償請求権に基づき、(1)A建設が上記契約に基づきO社に支払った代金(頭金)、立替金利及び送金等手数料の合計16億7932万6987円並びに遅延損害金、(2)A建設が負担した費用である7493万5635円及び遅延損害金、及び(3)本件訴訟に係る弁護士費用と訴訟提起手数料の合計額1億5442万3795円及び遅延損害金の支払を求めた事案、《2》予備的請求として、A建設の権利義務を包括承継した原告会社が、被告大学の副学長兼学長室長が被告大学の事業の執行として被告大学の学長作成名義の本件合意に係る本件合意書を偽造してこれをA建設に交付するという不法行為をし、そのためA建設が上記契約を締結して上記陽子線がん治療機器等の代金(頭金)の支払等をした結果損害を受けたことを理由に、被告大学に対し、使用者責任に基づく損害賠償請求権に基づき、(1)A建設が上記契約に基づきO社に支払った代金(頭金)、立替金利及び送金等手数料の合計額相当損害金16億7932万6987円並びに遅延損害金、(2)A建設が上記契約に関して負担した費用相当損害金7493万5635円及び遅延損害金、及び(3)本件訴訟に係る弁護士費用と訴訟提起手数料の合計額相当損害金1億5442万3795円及び遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の請求はいずれも理由がないとし、請求を棄却した事例。
2015.07.21
損害賠償請求事件(刑務所の食事がカロリー不足 国に賠償命令)
LEX/DB25540413/甲府地方裁判所 平成27年 5月26日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第313号
甲府刑務所に収容されていた原告(懲役受刑者)が、甲府刑務所長の原告に対する行為が違法であるなどと主張し、被告(国)に対して、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払いを求めた事案において、刑務所長が、約2年2か月間にわたり熱量の不足した主食を原告に給与したことについては、注意義務を尽くすことなく漫然と行ったといわざるを得ないとして、同法上の違法性を認め、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2015.07.21
損害賠償請求控訴事件(君が代不起立の都教員再雇用拒否は違法)
「新・判例解説Watch」H27.8下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25540412/東京地方裁判所 平成27年 5月25日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第34395号
都立高校の教職員であった原告らが、東京都教育委員会が実施した東京都公立学校再雇用職員採用選考又は非常勤職員採用選考等において、式典会場で国旗に向かって起立して国家を斉唱することを命ずる旨の職務命令に違反したことを理由として、原告らを不合格とし、又は合格を取り消したのは、違憲、違法な措置であるとして、被告(東京都)に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めた事案において、東京都教育委員会の裁量権の範囲の逸脱又は濫用を認め、原告らの請求を一部認容、一部棄却した事例。
2015.07.21
損害賠償請求控訴事件、附帯控訴事件(証拠のビデオテープ紛失 受刑者逆転敗訴)
LEX/DB25540489/東京高等裁判所 平成27年 5月13日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第5018号等
裁判所が原告に対する刑事被告事件において、押収したビデオテープの保管機関である裁判所職員及び裁判所から同ビデオテープの保管を委託されていた警視庁公安総務課長の違法な職務行為によって本件紛失が生じ、その結果、原告(被控訴人・附帯控訴人)は精神的損害を受けたと主張し、原告が、被告(控訴人・附帯被控訴人。国、東京都)らに対し、国家賠償法1条1項に基づく損害の賠償として、各自1000万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたところ、原審が、本件紛失について、裁判所職員及び公安総務課長の違法な職務行為によるものであると認めて被告らの国賠法に基づく責任を肯定した上、本件紛失によって原告が被った精神的損害を20万円と評価し、被告らに対して各自20万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で原告の請求を認容し、その余の請求をいずれも棄却したため、被告らがそれぞれ敗訴部分の取消し及び同取消しに係る請求の棄却を求めて控訴した事案、また、原告が、原告敗訴部分を含めて請求全額の認容を求めて本件附帯控訴した事案において、原告の請求はいずれも理由がないから、原判決中、被告ら敗訴部分を取消し、同取消しに係る原告の請求及び本件附帯控訴をいずれも棄却した事例。
2015.07.21
損害賠償請求事件(NHK敗訴 小説ドラマ化を巡る訴訟)
LEX/DB25540488/東京地方裁判所 平成27年 4月28日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第17815号
原告(日本放送協会)が、q3が執筆し被告出版社が出版する小説を原作とした映像作品(テレビドラマ)を制作する過程において、〔1〕原作者から本件小説の著作権の管理委託を受けていた被告との間で、被告が原告による本件小説の映像化を許諾すること等を内容とする契約が成立したにもかかわらず、被告が一方的に上記契約を解除(白紙撤回)したと主張して、被告に対し、債務不履行に基づく損害賠償請求として、6059万3844円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、〔2〕被告が原告に対し、本件小説の映像化について原作者であるq3から許諾を確実に得ることができると信頼させたため、原告は映像化の準備行為をしたところ、被告が原告の映像化活動の遂行を不可能にしたと主張して、契約締結上の過失を理由とする不法行為に基づく損害賠償として、6059万3844円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告が原告の期待を不当に損なったとまではいえないから、原告と被告との間で本件映像化許諾契約が成立したものと認めることはできず、被告は、原告に対し、本件映像化許諾契約に基づく債務を負うものではないから,原告の被告に対する債務不履行に基づく損害賠償請求は理由がないとし、また、原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求は理由がないとし、請求を棄却した事例。
2015.07.21
行政事件訴訟法に基づく無効確認請求事件(裁判所ウェブサイト掲載判例の原審)
LEX/DB25540486/東京地方裁判所 平成26年10月23日 判決 (第一審)/平成26年(行ウ)第377号
放電焼結装置に係る発明について特許権の設定を受けた原告が、特許庁審判官がした同特許を取り消す旨の決定は違法であると主張して、被告国に対し、同決定が無効であることの確認を求めた事案において、本件訴えは不適法であるとし、却下した事例。
2015.07.21
損害賠償請求事件(裁判所ウェブサイト掲載判例の原審)
LEX/DB25540485/東京地方裁判所 平成26年10月 9日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第17432号
放電焼結装置に係る発明について特許権の設定登録を受けた原告が,特許庁審判官がした同特許を取り消す旨の決定は違法であって、これにより損害を受けたと主張して、被告国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害金200万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件訴えは不適法であるとし、却下した事例。
2015.07.21
特許権侵害差止等請求事件(裁判所ウェブサイト掲載判例の原審)
LEX/DB25540487/東京地方裁判所 平成26年 9月25日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第23584号
ネット広告システムについて特許権を有する原告が、被告が開設、運営をするインターネットショッピングサイトに係るネット広告システムが特許権を侵害する、又はこれを侵害するものとみなされると主張して、被告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する4億2680万円のうちの1億円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告システムを使用することが本件特許権を侵害するとは認められないし、これを生産することが本件特許権を侵害するものとみなすこともできないとし、原告の請求を棄却した事例。
2015.07.14
審決取消請求上告受理事件(真成開発(株)ほか1による審決取消請求上告受理事件)
LEX/DB25506292/最高裁判所第一小法廷 平成27年 4月16日 決定 (上告審)/平成26年(行ヒ)第316号
原告(申立人)らを含む24社が、市が発注する下水管きょ工事について、独占禁止法3条の規定に違反するとして、排除措置を命じられたため、被告(相手方)公正取引委員会に対し、本件排除措置命令等の取消しを求めて審判請求をしたが、審判請求を棄却する審判審決がされたため、本件審決の取消しを求めたところ、24社が受注調整を行うもととなった本件基本合意は、当事者である事業者らがその意思で当該入札市場における落札者及び落札価格をある程度自由に左右することができる状態をもたらしていたものと認められ、独占禁止法2条6項にいう「一定の取引制限」に該当するということができるとし、また、そのような合意が、一般競争入札による適正な価格形成を妨げる点が公共の利益に反することも明らかであるとし、原告の請求を棄却したため、原告が上告した事案において、上告審としては受理しないとした事例。
2015.07.14
じん肺管理区分決定処分取消等請求控訴事件
LEX/DB25540268/福岡高等裁判所 平成27年 4月16日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第4号
原告が、処分行政庁(福岡労働局長)に対し、じん肺法15条に基づき、じん肺管理区分の決定に関する申請をしたところ、処分行政庁から、じん肺管理区分の管理1(じん肺の所見がないと認められるもの)に該当する旨の決定を受け、これを不服として、裁決行政庁(厚生労働大臣)に対し審査請求を行ったが、裁決行政庁から審査請求を棄却する旨の裁決を受けたため、被告(控訴人)国に対し、(ア)前記処分及び裁決には、判断を誤った違法及び理由不備の違法があるとして、これらの取消しを求めるとともに、(イ)理由不備の違法によって精神的苦痛を受けたとして、国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償金の支払を求めたところ、原審は、請求を一部認容したが、原告が原審口頭弁論終結日後、原判決言渡期日前に一審原告Cが死亡したため、被告が、原告適格を基礎づける法律上の利益が一身専属的であることから訴訟は当然に終了する等と主張して、被告が控訴した事案において、控訴人の本件控訴は、本件各訴訟が一審原告亡Cの死亡により当然に終了しているから理由があり、原判決を取消して本件各訴訟について訴訟終了を宣言することとした事例。
2015.07.14
審決取消請求上告事件及び審決取消請求上告受理事件
((株)高光建設による審決取消請求上告事件及び審決取消請求上告受理事件)
LEX/DB25506106/最高裁判所第一小法廷 平成27年 3月12日 決定 (上告審)/ 平成26年(行ツ)第237号等
原告(上告人兼申立人)が、他の事業者と共同して、岩手県が行っていた入札等の方法により、同県が建築一式工事についてAの等級に格付けしている者のうち同県内に本店を置く者のみを入札参加者として発注する建築一式工事について、受注価格の低落防止及び受注機会の均等化を図るため、基本合意の下に、受注すべき者を決定し、同人が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、岩手県発注の特定建築工事の取引分野における競争を実質的に制限した等として、被告(被上告人兼相手方)公正取引委員会から原告に課徴金の納付を命ずる審決がなされたとして、同審決の取消しを求めたところ、原告の請求が棄却されたため、原告が上告した事案において、本件上告の理由は、違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであるとして上告を棄却し、また、本件申立ての理由によれば、本件は民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとした事例。
2015.07.07
請求異議等本訴事件、慰謝料等請求反訴事件
(米通信社ブルームバーグ元記者解雇事件 元記者勝訴)
LEX/DB25540339/東京地方裁判所 平成27年5月28日 判決 (第一審)/ 平成25年(ワ)第19263号等
本訴事件は、被告を雇用していた原告が、被告に対し、主位的に、被告の原告に対する平成22年9月1日以降の賃金請求等を認容した前訴判決について、同日から平成25年5月9日までの分の賃金請求に対しては、弁済による賃金請求権の消滅を、同月10日以降の分の賃金請求に対しては、解雇による雇用契約の終了を、それぞれ請求異議の事由として、前訴判決に基づく強制執行の不許を求める(主位的請求(1))とともに、雇用契約の不存在の確認を求め(主位的請求(2))、また、原告が上記解雇の後に被告に賃金として支払った金員について、法律上の原因を欠くものであり、被告は悪意の受益者であったと主張して、民法703条及び民法704条に基づき、不当利得の返還及び利息の支払を求め(主位的請求(3))、予備的に、被告に原告の支局の記者以外の職で勤務することを命じることができる雇用契約上の権利の確認を求めた(予備的請求)事案で、反訴事件は、被告が、原告による上記解雇及び本訴事件の訴え提起等が被告に対する不法行為に該当すると主張して、民法709条に基づき、慰謝料300万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める(反訴請求(1))とともに、平成22年9月支給分から平成25年4月支給分までの賃金に対する遅延損害金の支払を受けていないとして、雇用契約に基づき、未払の遅延損害金167万1725円の支払を求めた(反訴請求(2))事案において、原告の主位的請求(1)及び主位的請求(2)を一部認容し、主位的請求(3)を棄却し、原告の予備的請求に係る訴えを却下し、被告の反訴請求を棄却した事例。
2015.07.07
損害賠償請求事件(韓国名使用を強要 社長に賠償命令 在日男性訴え)
LEX/DB25540293/静岡地方裁判所 平成27年4月24日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第569号
韓国籍である原告が、就業先の代表取締役である被告から、他の従業員の前で韓国名を名乗るよう求められるなどしたことや、本件訴訟を提起したことなどを理由に被告から業務の変更を命じられたことにより精神的苦痛を受けたところ、被告の各行為は人格権侵害又はパワーハラスメント(パワハラ)に該当すると主張して、被告に対し、不法行為に基づき、損害賠償金の支払いを求めた事案において、被告は、原告に対する発言等について、不法行為責任を負うとして、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2015.07.07
業務上過失致死被告事件(山岳ガイドに有罪 北アルプス白馬岳四人遭難死)
LEX/DB25506312/長野地方裁判所松本支部 平成27年4月20日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第52号
個人で有料登山ツアーを企画、主催し、自ら登山客を引率するなどの山岳ガイド業務に従事していた被告人が、被告人が企画した有料登山ツアーの登山客である被害者らの生命及び身体の安全を確保し、遭難事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのにこの義務を怠り、漫然前記登山客を引率して本件登山を続行した過失により、被害者らを凍死させたとして起訴された事案において、被告人の軽率な判断により、被害者ら4名が凍死しており、被告人の刑事責任を軽視することは到底できないが、被告人の行為の客観的な悪質性の程度と主観面への刑罰的非難の度合い、更には同種事犯の量刑傾向をも考慮に入れると、被告人を直ちに服役させる必要があるとまではいえないとして、被告人に対して禁錮3年(執行猶予5年)を言い渡した事例。
2015.07.07
準強制わいせつ被告事件
((裁判所ウェブサイト掲載判例(平成27年4月15日最高裁判所第三小法廷決定(平成27年(し)第223号)の原審))
LEX/DB25540369/名古屋高等裁判所金沢支部 平成27年4月1日 決定 (抗告審)/平成27年(く)第18号
準強制わいせつ被告事件について、検察官が、被告人Xには刑事訴訟法89条4号に該当する事由があり、かつ、裁量により保釈を許可すべき特段の事情もないのに、保釈を許可した原決定は判断を誤ったものであるとし、その取消とを求めた事案において、被告人Xは罪証を隠滅する具体的危険性が高いと認められ、刑事訴訟法89条4号に該当する事由があり、さらに、証人尋問が終了していない現段階で、被告人Xを裁量により保釈することが相当であるとはいえないとし、被告人Xの保釈を許可した原決定を取り消し、保釈請求を却下した事例。