2015.10.20
傷害致死、死体遺棄被告事件(伊予市少女集団暴行死事件)
LEX/DB25540983/松山地方裁判所 平成27年 6月26日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第389号
愛媛県伊予市の市営住宅で、少女(当時17歳)が住人の女や部屋に出入りしていた少年ら計8人から集団暴行を受けて死亡し、遺体が遺棄された事件で、少年(当時16歳)が傷害致死と死体遺棄の罪に問われた事案において、少年法55条の「保護処分に付するのが相当であると認めるとき」として事件を家庭裁判所に移送するか否か、中でも、刑罰ではなく保護処分を選択することが被害感情、社会の不安・処罰感情・正義観念などに照らして社会的に受認・許容される「特段の事情」があるか否かについて、本件における被告人の行為責任は、共犯による被害者が知人・友人である傷害致死1件の量刑傾向の中で軽めの部類に属するものであり、その責任に対応する処遇を保護処分によって実質的に相当程度代替する余地がないではないが、本件における共犯全体の犯情の悪質性は顕著であって、被告人が、本件に、従属的ではない態様で関与している上、犯情以外の要素を考慮しても、被告人は他者に対する共感性が不足している面は見受けられるが、精神的な未熟さの程度が特に高いとはいえないことなどからすれば、裁量的に、刑罰でなく保護処分を選択することが社会的に受認・許容されるとは認められないとし、被告人に対しては、保護処分に付するのが相当であるとは認められず、刑事処分を科すべきであるとして、被告人を懲役3年以上5年6月以下に処した事例(裁判員裁判)。