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2015.10.20
納税告知処分等取消請求事件
LEX/DB25447491/最高裁判所第一小法廷 平成27年10月 8日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第167号
原告組合(被控訴人・被上告人)が、その理事長であったAに対し、同人の原告組合に対する借入金債務の免除をしたところ、所轄税務署長から、上記債務免除に係る経済的な利益がAに対する賞与に該当するとして、給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を受けたため、被告(控訴人・上告人)国を相手に上記各処分(ただし、上記納税告知処分については審査請求に対する裁決による一部取消し後のもの)の取消しを求めたところ、第一審は原告組合の請求を認容したため、被告が控訴し、控訴審は、原判決は相当であるとして控訴を棄却したため、被告が上告した事案において、本件債務免除益は、所得税法28条1項にいう賞与又は賞与の性質を有する給与に該当するものというべきであるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、本件債務免除当時にAが資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であったなど本件債務免除益を同人の給与所得における収入金額に算入しないものとすべき事情が認められるなど、本件各処分が取り消されるべきものであるか否かにつき更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻しを命じた事例。
2015.10.20
(県立竹田高剣道部 元顧問の賠償請求棄却)
LEX/DB25540999/最高裁判所第三小法廷 平成27年 7月28日 決定 (上告審)/平成26年(オ)第1335号等
原告(控訴人・上告人兼申立人)らの子である甲は、大分県立高校剣道部に所属していたが、いずれも同校の教員で剣道部の顧問を務めていた被告(被控訴人・被上告人兼相手方)乙及び同副顧問を務めていた被告(被控訴人・被上告人兼相手方)丙の監督・指導の下に、練習をしていたところ、熱中症又は熱射病を発症して倒れ、死亡したところ、被告らは、甲の死亡について過失があり、また、搬送先の病院の医師は適切な医療行為を尽くさなかった過失があり、これらの各過失によって甲が死亡するに至ったと主張して、被告(被控訴人・被上告人兼相手方)らに対しては不法行為(民法709条、民法710条、民法711条)に基づき、大分県(被告)に対しては、使用者責任(民法715条)又は国家賠償法1条1項に基づき、搬送先病院を設置した豊後大野市(被告)に対しては使用者責任に基づき、被告ら(乙・丙・大分県・豊後大野市)に対し、連帯して損害賠償金の支払を求めたところ、第1審は、大分県及び豊後大野市に対する請求を一部認容し、その余の請求を棄却し、第2審は、原告らが控訴したが棄却されたため、原告らが上告した事案において、上告を棄却し、また、上告審として受理しない旨を決定した事例。
2015.10.20
外国人漁業の規制に関する法律違反被告事件(サンゴ密漁事件 船員に有罪判決)
LEX/DB25540923/横浜地方裁判所 平成27年 7月22日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第28号
中華人民共和国に国籍を有し、同国船籍漁船の船員である被告人が、同漁船の船長と共謀の上、本邦の水域内において、同漁船及びさんご漁具を使用して漁業を行った事案において、懲役1年及び罰金200万円(執行猶予5年)を言い渡した事例。
2015.10.20
傷害致死、死体遺棄被告事件(伊予市少女集団暴行死事件)
LEX/DB25540983/松山地方裁判所 平成27年 6月26日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第389号
愛媛県伊予市の市営住宅で、少女(当時17歳)が住人の女や部屋に出入りしていた少年ら計8人から集団暴行を受けて死亡し、遺体が遺棄された事件で、少年(当時16歳)が傷害致死と死体遺棄の罪に問われた事案において、少年法55条の「保護処分に付するのが相当であると認めるとき」として事件を家庭裁判所に移送するか否か、中でも、刑罰ではなく保護処分を選択することが被害感情、社会の不安・処罰感情・正義観念などに照らして社会的に受認・許容される「特段の事情」があるか否かについて、本件における被告人の行為責任は、共犯による被害者が知人・友人である傷害致死1件の量刑傾向の中で軽めの部類に属するものであり、その責任に対応する処遇を保護処分によって実質的に相当程度代替する余地がないではないが、本件における共犯全体の犯情の悪質性は顕著であって、被告人が、本件に、従属的ではない態様で関与している上、犯情以外の要素を考慮しても、被告人は他者に対する共感性が不足している面は見受けられるが、精神的な未熟さの程度が特に高いとはいえないことなどからすれば、裁量的に、刑罰でなく保護処分を選択することが社会的に受認・許容されるとは認められないとし、被告人に対しては、保護処分に付するのが相当であるとは認められず、刑事処分を科すべきであるとして、被告人を懲役3年以上5年6月以下に処した事例(裁判員裁判)。
2015.10.20
災害弔慰金不支給決定処分取消請求控訴事件(震災弔慰金不支給 2審も不支給取消し)
LEX/DB25540950/仙台高等裁判所 平成27年 6月25日 判決 (控訴審)/平成27年(行コ)第4号
平成23年8月に死亡した甲の内縁の夫であった原告(被控訴人)が、甲は東北地方太平洋沖地震により、同震災発生後3日間自家用車内で過ごし、その後は全壊した自宅での生活を余儀なくされ、介護施設への通所もできなくなるなど、住環境及び生活環境の著しい悪化のため、心理的ストレス等から体調を崩して死亡したとして、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づいて災害弔慰金の支給等に関する条例を制定している被告(控訴人。仙台市)を代表する仙台市長に対し、災害弔慰金の受領を申し出たところ、震災と甲の死亡との間に因果関係は認められないとして、災害弔慰金を不支給とする決定をしたので、被告に対し、同処分の取消しを求めたところ、第1審が同処分を取り消したため、被告が控訴した事案において、本件請求を認容した原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2015.10.20
間接強制決定変更決定に対する執行抗告事件(諫早制裁金 国の抗告棄却)
LEX/DB25540981/福岡高等裁判所 平成27年 6月10日 決定 (抗告審(執行抗告)/平成27年(ラ)第149号
諫早湾干拓地潮受堤防の排水門の開門に係る間接強制について、佐賀地方裁判所が抗告人(原審債務者)国に命じた現行の間接強制金の額では心理的な強制を加えるには不十分だとして、45名の相手方(原審債権者)ら(佐賀、長崎両県の漁業者ら)が間接強制決定の変更(強制金の増額)を求める申立てをした事案(原審は、間接強制決定のうち、各相手方に対し、遅延の期間中1日につき抗告人が支払うべき金員(1万円)を、原決定送達の日の翌日以降はそれぞれ2万円の割合による金員と変更した)の抗告審において、民事執行法172条2項の「事情の変更」については、支払予告命令発令後に生じた事情の変更に限らず、既に発した支払予告命令の不奏効の場合も含まれ、本件開放義務の内容は、防災上やむを得ない場合を除き一定期間本件各排水門を開放することだけであるから、それ自体、性質上抗告人の意思のみで履行することができるものであり、抗告人の指摘する事情によって本件開放義務を履行することが不可能であるということはできず、本件開放義務を履行することができるにもかかわらず、これを履行しない事実をもって「事情の変更」に当たるといわざるを得ないとし、また、民事執行法172条所定の間接強制金の額は、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額であり、それは執行債権の性質、不履行により債権者が受けるべき不利益、債務者の資力、従前の履行の態様及び債務の性質に照らして、債務名義上の執行債権を実現させるため、執行裁判所が合理的裁量により決するものと解され、単に不履行によって債権者が受ける損害額のみによって決せられるものではないとして、抗告をいずれも棄却した事例。
2015.10.13
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」H27.11下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447456/最高裁判所第二小法廷 平成27年 9月18日 判決 (上告審)/平成25年(受)第2331号
死刑確定者として拘置所に収容されている被上告人が、夫の養子との外部交通の申出を拘置所長から不許可とされ、著しい精神的苦痛を被ったと主張して、上告人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めたところ、第一審は、本件訴状の請求の趣旨の「300万円」を「50万円」に訂正する旨の訴状訂正申立書による被上告人の請求の減縮によっては本件補正命令に応じた補正がされたものといえず、本件訴えは不適法であるなどとして、民事訴訟法140条により本件訴えを却下したため、被上告人が控訴し、本件訴えの提起と同時に訴訟上の救助の申立てをした被上告人の意思を合理的に解釈すれば、本件訴えの請求金額は、本件訴状が提出された時ではなく、本件訂正申立書が提出された時に50万円に確定したというべきであるから、本件補正命令は違法であり、これに応じた補正がされなかったことを理由に本件訴えを却下することは許されないとして、第1審判決を取消し、本件を第1審に差し戻しを命じたため、上告人が上告した事案において、被上告人は、金銭債権の支払を請求する本件訴えの提起時に訴訟上の救助を申し立てたところ、請求の数量的な一部である50万円については勝訴の見込みがないとはいえないことを理由として、これに対応する訴え提起の手数料5000円につき訴訟上の救助を付与する旨の本件救助決定が確定したのであり、被上告人は、本件訂正申立書により50万円に請求を減縮したと認められるのであるから、訴え提起の手数料が納付されていないことを理由に、本件訴えを却下することは許されないというべきであるとし、原審の判断は、結論において是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2015.10.13
不当利得返還請求事件
「新・判例解説Watch」H28.1下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447457/最高裁判所第二小法廷 平成27年 9月18日 判決 (上告審)/平成25年(受)第843号
マンションの区分所有者の1人である上告人が、同じく当該マンションの区分所有者である被上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、被上告人が当該マンションの共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち共用部分に係る上告人の持分割合相当額の金員及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案の上告審において、当該マンションの管理規約には、管理者が共用部分の管理を行い、共用部分を特定の区分所有者に無償で使用させることができる旨の定めがあり、この定めは、区分所有者の団体のみが不当利得返還請求権を行使することができる旨を含むものと解すべきであるから、上告人は、不当利得返還請求権を行使することができないとし、上告人の請求を棄却すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2015.10.13
業務上過失致死被告事件(ズンズン運動 幼児マッサージ死 元NPO法人理事長有罪)
LEX/DB25540884/大阪地方裁判所 平成27年 8月 4日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第1083号
被告人は、子育ての実践活動と情報提供に関する事業を行うことなどを目的とする特定非営利活動法人の理事長であるが、同法人の活動として、床に座った姿勢で乳児の身体を大腿部の上にうつ伏せにして乗せ、頸動脈の付近を指で繰り返しもむなどする施術(ズンズン運動)を業務として行っていたところ、前記施術は、乳児の胸腹部を圧迫し窒息状態にさせるおそれが大きく、また、頸動脈付近の迷走神経を刺激することで心拍の徐脈を引き起こすおそれが大きいことから、乳児の生命や身体を害する重大な危険性を有するものであり、被告人も、乳児の胸腹部が圧迫されると窒息状態になるおそれがあることや、乳児の頸動脈付近に力を入れて触ると乳児の体調に悪影響があることを認識していたのであるから、前記施術が乳児の生命や身体を害する重大な危険性を有することを認識した上で、前記施術を差し控えるべき業務上の注意義務があったのに、被告人は、前記施術を行っても乳児の生命や身体を害することがないと考え、業務として、被害児(当時生後4か月)に対し、同児の身体を床に座った自身の大腿部の上にうつ伏せにして乗せ、同児の頸動脈の付近を指で繰り返しもんだ過失により、同児を、胸腹部圧迫による窒息状態及び頸動脈洞圧迫が引き起こす迷走神経反射による徐脈に基づく心停止及び呼吸停止に陥らせ、よって、同児を低酸素脳症に基づく多臓器不全により死亡させたとして、被告人を禁錮1年(執行猶予3年)に処した事例。
2015.10.13
仮の差止め申立て事件(所沢育休退園訴訟)
「新・判例解説Watch」H27.11中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25540859/さいたま地方裁判所 平成27年 7月23日 決定 (第一審)/平成27年(行ク)第15号
埼玉県所沢市内の保育所等に通園している児童らの保護者である申立人らが、所沢市長において、当該児童らの保育の利用を解除する処分をしようとしているところ、同各処分は、児童福祉法24条1項等の解釈、適用を誤った違法があるなどとして、同各処分の差止めを求める訴え(本案事件)を提起するとともに、行政事件訴訟法37条の5第2項に基づき、同各処分の仮の差止めを求めた仮処分の事案において、申立人らが、同各処分を受け得る蓋然性が高いと認めることはできず、また、本案について、理由があると認め得る蓋然性があるということはできないとして、申立てを却下した事例。
2015.10.13
仮の差止め申立て事件(所沢育休退園訴訟)new
「新・判例解説Watch」H27.11中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25540860/さいたま地方裁判所 平成27年 7月23日 決定 (第一審)/平成27年(行ク)第12号
埼玉県所沢市内の保育所等に通園している児童らの保護者である申立人らが、所沢市長において、当該児童らの保育の利用を解除する処分をしようとしているところ、同各処分は、児童福祉法24条1項等の解釈、適用を誤った違法があるなどとして、同各処分の差止めを求める訴え(本案事件)を提起するとともに、行政事件訴訟法37条の5第2項に基づき、同各処分の仮の差止めを求めた仮処分の事案において、申立人らが、同各処分を受け得る蓋然性が高いと認めることはできず、また、本案について、理由があると認め得る蓋然性があるということはできないとして、申立てを却下した事例。
2015.10.13
業務停止処分取消請求事件(真正観光VS北海道 差し戻し審 請求棄却)
LEX/DB25540843/札幌地方裁判所 平成27年 6月18日 判決 (差戻第一審)/平成27年(行ウ)第9号
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の許可を受けて風俗営業(ぱちんこ店)を営んでいた原告が、北海道函館方面公安委員会から業務停止命令を受けたところ、同命令は、実体的な処分要件を欠き、また、聴聞に至る手続にも種々の瑕疵があるから違法であると主張して、同命令の取消しを求めた事案において、原告の請求を棄却した事例。
2015.10.13
医療費申請却下処分取消等請求事件(在米被爆者 医療費認めず 広島地裁)
LEX/DB25540932/広島地方裁判所 平成27年 6月17日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第7号
いずれも広島に投下された原子爆弾により被爆し、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づく被爆者健康手帳を取得した、同法に定める被爆者であり、アメリカ合衆国に居住して同国の医療機関から医療を受けた原告らが、上記の医療に関して負担した医療費について被爆者援護法18条の一般疾病医療費の支給を申請したところ、広島県知事が各原告に対して支給申請書を返戻するとともに申請を受理しない旨の通知をしたことから、原告らが、被告広島県に対して、原告らに対する不受理通知の取消しを求めた等の事案において、被爆者援護法18条1項は、国内の医療提供制度を前提として制度設計されたものであって、国外の医療提供者から受けた医療については適用を予定していない等として、本件各訴えのうち、被告広島県に対して一般疾病医療費支給申請を受理しない旨の通知を取り消すことを求める請求に係る訴えをいずれも却下した事例。
2015.09.29
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
(会員制温泉リゾートクラブのオーナの有罪確定)
LEX/DB25447452/最高裁判所第三小法廷 平成27年 9月15日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第177号
リゾート施設会員組織の運営、管理、会員権の管理、販売及び各種観光地の開発、企画などを業務目的とするA社の実質オーナーとして、業務全般を統括掌理していた被告人が、会員制リゾートクラブの施設利用預託金及び施設利用料名目で金銭を詐取することなどを共同の目的とする同社を率いて、同社の役員及び従業員らと共謀の上、のべ194名の被害者に対し、詐取した現金が総額約4億円に上る、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の組織的詐欺を敢行した事案の上告審において、本件各詐欺行為は、Aという団体の活動として,詐欺罪に当たる行為を実行するための組織により行われたと認めることができるとし、これと同旨の判断を示して組織的詐欺罪の成立を肯定した原判決は正当であるとして、上告を棄却した事例。
2015.09.29
国家賠償請求控訴事件(拘置所接見 撮影認めず 東京高裁)
LEX/DB25540787 平成27年 7月 9日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第6249号
原告(控訴人兼被控訴人)が、弁護人として東京拘置所に勾留中の被告人との接見中、被告人をデジタルカメラで写真撮影したところ、東京拘置所職員から、写真撮影・録画を禁止され、被告人との接見を終了させられたことについて、接見交通権や弁護活動の自由を侵害するもので違法であり、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事収容法)に違反し違法であると主張して、被告(控訴人兼被控訴人)国に対し、国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償金の支払を求めたところ、原審は、東京拘置所職員が原告と被告人との接見を終了させた措置について、刑事収容法117条が準用する刑事収容法113条1項及び2項の各要件をいずれも欠き、違法であるとして、原告の請求を一部認容、一部棄却したため、原告及び被告の双方が控訴した事案において、被告の本件控訴に基づき、原判決のうち、被告敗訴部分を取消し、同取消部分に係る原告の請求を棄却し、原告の控訴を棄却した事例。
2015.09.29
殺人被告事件(98歳 要介護の母殺害 息子に執行猶予判決)
LEX/DB25540844/岐阜地方裁判所 平成27年 6月25日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第30号
被告人が、うつ病の症状により実母である被害者(当時98歳)の介護を行うことを負担に感じ、被害者の首を両手で絞め続け、頸部圧迫による窒息により死亡させて殺害したが、被告人自身がした110番通報により臨場した警察官に対して自首した事案において、本件動機の形成にうつ病が相当程度影響していることを考慮すると、本件は、家族内における殺人(単独犯、被害者1名)の事案全体の中では軽い部類に属するといえ、被告人の年齢及び健康状態をも併せ考慮すると、被告人を実刑に処するのはいささか酷に過ぎるというべきであるとして、懲役3年、執行猶予5年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.09.29
各原爆症認定申請却下処分取消等請求事件(白内障 原爆症認定 広島地裁)
LEX/DB25540856/広島地方裁判所 平成27年 5月20日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第2号等
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律1条の被爆者である原告らが、それぞれ被爆者援護法11条1項の規定による認定(原爆症認定)の申請をしたところ、厚生労働大臣から各申請を却下する旨の処分を受けたことから、被告国に対し、各却下処分が違法であると主張して、その取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項の規定により、慰謝料各200万円及び弁護士費用各100万円並びにこれらに対する遅延損害金の各支払を求めた事案において、厚生労働大臣が本件各却下処分を行ったことが国家賠償法上違法であるとは認められないとして、本件Z1却下処分及び本件Z2却下処分の取消しと求める請求を認容し、原告らのその余の請求は棄却した事例。
2015.09.24
不当利得返還請求事件
「新・判例解説Watch」H27.11下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447450/最高裁判所第三小法廷 平成27年 9月15日 判決 (上告審)/平成25年(受)第1989号
被上告人が、貸金業者であるA社、外1社及び両社を吸収合併した上告人との間の継続的な各金銭消費貸借取引に係る各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の制限利率を超えて利息として支払われた部分を各元金に充当するといずれも過払金が発生していると主張して、上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、過払金合計354万4715円及び民法704条前段所定の法定利息の支払を求めたところ、原審は、本件調停の効力につき、被上告人の請求のうちAとの継続的な金銭消費貸借取引に係る過払金279万4081円及び法定利息の支払並びにB取引に係る過払金30万4217円及び法定利息の支払を求める限度で認容し、その余を棄却したため、上告人が上告した事案において、原審の判断には法令の違反があるとして 原判決を変更し、Aとの継続的な金銭消費貸借取引に係る被上告人の請求は、A取引に係る過払金234万9614円、平成24年5月31日までに発生した法定利息119万8107円及び上記過払金に対する同年6月1日から支払済みまで年5分の割合による法定利息の支払を求める限度で認容し、その余を棄却した事例。
2015.09.24
一般疾病医療費支給申請却下処分取消等請求事件
LEX/DB25447438/最高裁判所第三小法廷 平成27年 9月 8日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第406号
広島市に投下された原子爆弾により被爆し、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(被爆者援護法)に基づき被爆者健康手帳の交付を受けた被爆者ら3名につき、その居住国である大韓民国で受けた医療に関して被爆者援護法18条1項に定める一般疾病医療費の支給の申請がされたところ、大阪府知事により、在外被爆者に対して同項の規定を適用することができない旨の理由でそれぞれ却下処分がされたことから、上記の被爆者又はその相続人である原告(被控訴人兼控訴人・被上告人)らが、被告国、被告大阪府(控訴人兼被控訴人・上告人)を相手に、本件各却下処分の取消し等を求めたところ、第一審は請求を一部認容したため、被告大阪府と原告らが控訴し、控訴審は申請を却下した大阪府知事による同申請却下処分はいずれも違法であるとして原告らの取消請求を認容し、各控訴を棄却したため、被告大阪府がこれを不服として上告した事案において、被爆者援護法18条1項の規定は、在外被爆者が日本国外で医療を受けた場合にも適用されるものと解するのが相当であり、在外被爆者が日本国外で医療を受けた場合につき、同項所定の要件に該当するか否かについて判断することなく同項の規定を適用する余地がないことを理由としてされた本件各却下処分は、違法であるとして、原審の判断を是認し、上告を棄却した事例。
2015.09.24
難民認定等請求事件(第1事件)、訴えの追加的併合申立事件(第2事件)訴えの追加的併合申立事件(第3事件)
「新・判例解説Watch」H27.11下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
 LEX/DB25540979/東京地方裁判所  平成27年 8月28日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第237号等
コンゴ国籍を有する男性である原告が、自身は宗教的背景を有する同国の政党の党員として、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の保護を受けることができない難民であるとして、法務大臣に対し、難民の認定を申請したところ、法務大臣は原告が難民である旨の認定をしない旨の処分をし、法務大臣の権限の委任を受けた東京入国管理局長は、出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項の規定に基づいて原告の在留を特別に許可しない旨の処分をしたため、原告が、法務大臣及び東京入管局長の所属する被告国に対し、前記各処分の取消し及び原告が難民である旨の認定の義務付けを求めた事案(第1事件)、原告が出入国管理及び難民認定法24条1号(不法入国)の退去強制対象者に該当するとの東京入管入国審査官の認定が誤りがないとの東京入管特別審理官の判定に対し、原告が出入国管理及び難民認定法49条1項の規定による異議の申出をしたが、法務大臣の権限の委任を受けた東京入管局長が、その異議の申出が理由がないと裁決し、これを受けて東京入管主任審査官が原告に対し、退去強制令書を発付したため、原告が、東京入管局長及び東京入管主任審査官の所属する被告国に対し、難民である原告に対してした本件裁決は違法であり、本件退令発付処分も違法であるとして、これらの取消しを求めた事案(第2事件)、国の公権力の行使に当たる難民調査官が、原告の難民認定申請手続に係る審査に際し、難民審査における最低限度の注意義務を逸脱して、コンゴの情勢について容易に入手することのできる国際連合の特別調査報告書を参照するなどの調査を尽くさなかったのは国家賠償法上も違法であるとして、原告が、被告国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、その精神的苦痛に対する100万円の損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案(第3事件)において、第1事件は、原告の在特不許可処分取消請求に係る訴え部分は不適法であるからこれを却下し、第2事件は、原告の難民不認定処分取消請求,難民認定処分義務付け請求,裁決取消請求及び退令発付処分取消請求は理由があるからこれらを認容し、第3事件は、原告の国家賠償請求は理由がないから、棄却した事例。