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2015.12.22
ビットコイン引渡等請求事件
LEX/DB25541521/東京地方裁判所 平成27年8月5日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第33320号
破産手続開始決定を受けた本件破産会社が運営するインターネット上のビットコイン取引所を利用していた原告が、本件破産会社の破産管財人である被告に対し、原告が所有しており、したがって本件破産会社の破産財団を構成しないビットコイン458.8812618btcを被告が占有していると主張して、同ビットコインの所有権を基礎とする破産法62条の取戻権に基づき、その引渡しを求めるとともに、被告が原告に対し上記ビットコインの引渡しをしないことにより、ビットコインを自由に使用収益あるいは処分することを妨げられ、766万5580円の損害を被ったとして、不法行為に基づく損害賠償として上記損害額と同額の金員の支払を求めた事案において、原告の請求はいずれも理由がないとし、棄却した事例。
2015.12.15
寄附行為変更無効確認等請求事件
LEX/DB25447635/最高裁判所第三小法廷 平成27年12月 8日 判決 (上告審)/平成25年(受)第2307号
宗教法人である1審原告(控訴人・被控訴人、被上告人)が、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法)による改正前の旧民法の規定に基づく財団法人として設立され、平成20年に整備法40条1項により一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定による一般財団法人(特例財団法人)として存続することとなり、平成23年に整備法45条の認可を受けて通常の一般財団法人に移行した1審被告(被控訴人・控訴人、上告人)に対し、1審被告の寄附行為に加えられた1審判決別紙寄附行為変更目録記載1から4までの各変更は、設立者の意思に反し、根本的事項を変更するものであるから無効であるなどと主張して、その各変更の無効確認等を求め、第1審は、本件確認の訴えにつき、確認の利益及び1審原告の当事者適格を認めた上で、1審被告の目的とする事業に納骨堂の経営を追加する変更については、寄附行為の同一性を失わせる根本的事項の変更とはいえず無効ではないと判断し、その余の変更(1審判決別紙寄附行為変更目録2ないし4)については、当初の寄附行為との同一性を失わせる基本的事項の変更に当たり、無効であると判断したため、双方が控訴し、控訴審は、本件変更2から4までの無効確認を求める限度で1審原告の請求を認容すべきものとしたため、1審被告が上告した事案において、原判決中、本件各変更の無効確認請求に関する部分はいずれも破棄を免れず、同部分につき第1審判決を取消し、本件変更1及び3の無効確認請求に係る1審原告の訴えを却下し、本件変更2及び4の無効確認請求を棄却した事例。
2015.12.15
強盗殺人被告事件
「新・判例解説Watch」H28.2上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447623/最高裁判所第一小法廷 平成27年12月 3日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第749号
被告人(控訴人・上告人)が、競馬等に金銭を費消したことを理由に借金を抱え、その返済資金や遊興費等を得ようと元勤務先のビジネスホテルに潜み、夜勤の従業員が一人になる時間帯に売上金等を盗もうとしたが、同人に見つかり、同人ともみ合ううちに同人を殺害して現金を強取しようと決意し、持っていたナイフで同人を複数回突き刺して死亡させ、現金合計159万1000円を強取した強盗殺人事件で、第一審判決は無期懲役を言い渡したため、被告人が控訴した原判決では、公訴時効の完成を認めず、免訴の判決を言い渡さなかったことにつき法令適用の誤りはなく、量刑が重過ぎて不当であるとはいえないとし、控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、刑事訴訟法を改正して公訴時効を廃止又は公訴時効期間を延長した本法の適用範囲に関する経過措置として、平成16年改正法附則3条2項の規定にかかわらず、同法施行前に犯した人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもので、「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」(平成22年法律第26号)平成22年4月27日施行の際、その公訴時効が完成していないものについて、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律による改正後の刑事訴訟法250条1項を適用するとした本法附則3条2項は、憲法39条、憲法31条に違反しないとし、上告を棄却した事例。
2015.12.15
損害賠償等請求控訴事件(朝日新聞記事で名誉毀損 賠償請求棄却)
LEX/DB25541329/福岡高等裁判所 平成27年10月 7日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第855号
原告(控訴人)らが、被告(被控訴人)新聞社が発行する日刊新聞の朝刊第1面に掲載された記事により、名誉が毀損されたとして、不法行為による損害賠償請求権に基づいて損額賠償金の支払と、民法723条に基づき名誉を回復する処分として謝罪広告の掲載を求めるとともに、原告らが被告(被控訴人)福岡県に対し、本件記事は福岡県警察に所属する警察官が違法に提供した虚偽の情報に基づいているとして、国家賠償法1条に基づき損害賠償金の支払を求めたところ、原審は、請求をいずれも棄却したため、原告らが控訴した事案において、原判決は相当であるとして控訴をいずれも棄却した事例。
2015.12.15
強盗殺人、窃盗被告事件(祖父母殺害 母の殺害指示認定 少年懲役15年)
LEX/DB25541282/東京高等裁判所 平成27年 9月 4日 判決 (控訴審)/平成27年(う)第174号
少年である被告人が、祖父母方に赴き、祖父に対して借金を申し出たが、祖父がこれを断ったことから、被告人の母親から、祖父母を殺してでも借金をしてくるよう責め立てられていたこともあって、祖母、次いで祖父を殺害し、その後、母親と共謀して祖父母方にある現金等を強取するなどした事案の控訴審において、原審裁判所の訴訟手続には、母親が被告人に対して本件強盗殺人を指示したのに、これを認定しなかった誤りがあり、その結果、少年法55条の解釈、適用を誤り、本件を家庭裁判所に移送しなかった点で、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるという弁護人の主張に対し、被告人の心理傾向や母親の指示が本件強盗殺人を決意するのにかなり影響したことを犯情の評価において相当程度考慮すべきであるとしても、本件強盗殺人が極めて重大な犯行であることからすると、保護許容性は認められないとしてこれを斥け、控訴を棄却した事例。
2015.12.08
公職選挙法違反被告事件
LEX/DB25447617/最高裁判所第三小法廷 平成27年12月 1日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第1731号
平成25年10月6日施行の岡山市長選挙に立候補した被告人が、同選挙における被告人の選挙運動者と共謀の上、被告人の当選を得させる目的で、その選挙運動期間中に法定外選挙運動用文書を頒布したことにつき、第一審判決が被告人を有罪としたため、被告人が控訴し、公職選挙法142条1項は、公職の選挙について文書図画の無制限な頒布を許容するときは、選挙運動に不当な競争を招き、これがため、選挙の自由公正を害し、その適正公平を保障し難いこととなるので、かかる弊害を防止するため必要かつ合理的と認められる範囲において、文書図画の頒布等について一定の規制をしたものであるから、憲法21条に違反するものではないなどとし、控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、公職選挙法243条1項3号、平成27年法律第60号による改正前の公職選挙法142条1項の各規定が、憲法21条に違反しないとした事例。
2015.12.08
建物明渡請求事件
「新・判例解説Watch」H28.2上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447612/最高裁判所第一小法廷 平成27年11月30日 判決 (上告審)/平成26年(受)第2146号
被上告人は、上告人に対し、当該貸室の所有権に基づく明渡し及び賃料相当損害金の支払を求め提起したところ、上告人と被上告人との間には、平成25年5月8日、訴訟上の和解が成立したが、上告人は、同月22日、その和解の無効を主張して既に終了した訴訟手続の続行を求めて期日指定の申立てをした事案の上告審において、和解による訴訟終了判決である第1審判決に対しては、第1審被告である上告人のみが控訴しているのであるから、第1審判決を取消して第1審原告である被上告人の請求の一部を認容することは、不利益変更禁止の原則に違反して許されず、原審としては、仮に本件和解が無効であり、かつ、上告人の請求の一部に理由があると認めたとしても、第1審に差し戻すことなく自判する限りは、上告人の控訴の全部を棄却するほかなかったというべきであり、それにもかかわらず、原判決は、第1審判決を取り消し、上告人に対し、40万円の支払を受けるのと引換えに本件貸室を明け渡すべきこと及び賃料相当損害金を支払うべきことを命じた上で、被上告人のその余の請求をいずれも棄却した処理には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、上告人の控訴を棄却をした事例。
2015.12.08
選挙無効請求事件
LEX/DB25447603/最高裁判所大法廷 平成27年11月25日 判決 (上告審)/平成27年(行ツ)第253号
平成26年12月14日施行の衆議院議員総選挙について、東京都第2区、同第5区、同第6区、同第8区、同第9区及び同第18区並びに神奈川県第12区及び同第15区の選挙人である上告人らが、衆議院小選挙区選出議員の選挙の選挙区割りに関する公職選挙法の規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であるなどと主張して提起した選挙無効訴訟の上告審において、上記区割規定が選挙当時、憲法に違反するに至っていたということはできず、重複立候補制に関する公職選挙法の規定に所論の違憲はないとした原審の判断は、是認することができるとし、上告を棄却した事例(反対意見、補足意見、意見がある)。
2015.12.08
選挙無効請求事件
LEX/DB25447604/最高裁判所大法廷 平成27年11月25日 判決 (上告審)/平成27年(行ツ)第267号等
平成26年12月14日施行の衆議院議員総選挙について、福岡県第1区から同第11区まで、佐賀県第1区及び同第2区、長崎県第1区から同第4区まで、熊本県第1区から同第5区まで並びに大分県第1区から同第3区までの選挙人である原審原告らが、衆議院小選挙区選出議員の選挙の選挙区割りに関する公職選挙法の規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟の上告審において、原判決は、上記区割規定が選挙当時、憲法に違反するものであったとしつつ、行政事件訴訟法31条1項に示された一般的な法の基本原則に従い、原審原告らの請求をいずれも棄却した上で、当該選挙区における本件選挙が違法であることを主文において宣言したものであるが、原判決は、前記判示と抵触する限度において変更を免れないというべきであって、原審被告らの論旨は上記の趣旨をいうものとして理由がある。他方、上記区割規定が選挙当時、憲法に違反するものであったとした上で本件選挙を無効とすべき旨をいう原審原告らの論旨は、採用することができないとし、原審被告らの上告に基づき、原判決を変更して、原審原告らの請求をいずれも棄却するとともに、原審原告らの上告を棄却した事例(反対意見、補足意見、意見がある)。
2015.12.01
遺言無効確認請求事件
LEX/DB25447598/最高裁判所第二小法廷 平成27年11月20日 判決 (上告審)/平成26年(受)第1458号
原告(控訴人・上告人)と被告(被控訴人・被上告人)の父である亡Aが作成した自筆証書による遺言について、原告が、Aが故意に遺言書を破棄したことにより遺言を撤回したものとみなされると主張して、被告に対し、その遺言が無効であることの確認を求め、第1審及び原審は、民法1024条前段には該当しないとし、原告の請求を棄却したため、原告が上告した事案において、遺言書に故意に斜線を引く行為は、民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当するというべきであり、これによりAは遺言を撤回したものとみなされることになり、その遺言は効力を有しないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があり、原判決は破棄し、第1審判決を取消した上、原告の請求を認容した事例。
2015.12.01
選挙無効請求事件
LEX/DB25447587/最高裁判所第一小法廷 平成27年11月19日 判決 (上告審)/平成27年(行ツ)第254号
原告(上告人)が、被告(被上告人)に対し、平成26年12月14日に施行された衆議院議員総選挙のうち東京都選挙区及び南関東選挙区における比例代表選出議員の選挙で、比例代表選出議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めた公職選挙法13条2項及び別表第2の各規定(定数配分規定)は人口比例の原則に反しており、憲法14条1項等に違反しているから、これに基づいてされた上記各比例代表選出議員の選挙は無効を求め、原審は、原告の請求を棄却したため、原告が上告した事案において、原審の判断は、正当として是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2015.12.01
求償金等請求事件
「新・判例解説Watch」H28.1下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447588/最高裁判所第一小法廷 平成27年11月19日 判決 (上告審)/平成25年(受)第2001号
共同保証人の1人で、主たる債務者の借入金債務を代位弁済した上告人が、他の共同保証人である被上告人に対し、民法465条1項、民法442条に基づき、求償金残元金と遅延損害金の支払を求め、原審は、保証人が主たる債務者に対して取得した求償権と共同保証人間の求償権との間に主従の関係があるとはいえないから、Aに対する求償権の消滅時効の中断事由がある場合であっても、被上告人に対する求償権について消滅時効の中断の効力が生ずることはないなどとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合であっても、共同保証人間の求償権について消滅時効の中断の効力は生じないものと解するのが相当であり、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2015.12.01
提出命令に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25447600/最高裁判所第三小法廷 平成27年11月19日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第556号
強姦未遂,強姦,強制わいせつ被告事件の被告人によって選任された弁護人らに対し、検察官が、被告人の委託を受けて保管中の犯行状況とされるものを撮影録画したデジタルビデオカセットにつき、公判期日で、没収相当との求刑をし、裁判所の職権により差押えをするよう申し立てたが、弁護人らは、被告人が上記デジタルビデオカセットの所有権放棄、映像データの消去に応じる意向を示していないことを理由に、弁護人らが保管する上記デジタルビデオカセットの任意提出を拒否し、また、差押えの申立てに関して、主任弁護人は、捜査機関によって作成された複製DVDでは判明し得なかった会話が記録されている可能性があるから「秘密」に当たり、押収拒絶権を行使できるなどとして、反対する旨の意見を述べたところ、原々審では上記デジタルビデオカセットを裁判所に提出するよう命じ、弁護人らはこれに対し、抗告を申し立てたが棄却されたため、特別抗告した事案において、デジタルビデオカセットは、主任弁護人により警察官への任意提出や検察官への証拠開示、その一部についての証拠請求がされ、更にその全部の複製DVDが公判期日で被告人及び弁護人らの異議なく取り調べられているから、被告人の意思に基づく訴訟活動の結果、デジタルビデオカセットに記録された情報の全ては、もはや「秘密」でなくなったことが明らかであり、デジタルビデオカセットは、刑事訴訟法105条の「他人の秘密に関するもの」に当たらないとし、弁護人らに、デジタルビデオカセットにつき押収拒絶権がないとした原決定は正当であるとして、抗告を棄却した事例。
2015.12.01
放送受信料支払等請求事件(本訴)、放送送信行為差止等請求事件(反訴)
LEX/DB25541338/東京地方裁判所 平成27年10月29日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第21479号等
日本放送協会として放送事業を行う原告が、全国でホテルの経営を行い、客室等に受信設備を設置している被告に対し、(1)原告と被告との間で既に放送受信契約を締結している各ホテルの受信機について、放送受信契約に基づき、平成24年4月から同年7月分の受信料合計1330万8770円の支払を求めるとともに、(2)いまだ放送受信契約を締結していない各ホテルの受信機について、放送法64条1項に基づく放送受信契約締結の申込みを行ったと主張して、〔1〕主位的に、被告との間に放送受信契約が成立したことを前提として、受信機を設置したことが明らかな平成24年4月から同年7月分に係る受信料合計6200万1440円の支払を求め、〔2〕予備的に、放送法64条1項に基づく原告の申込みに対する承諾を求めるとともに、同承諾によって成立する被告との間の放送受信契約に基づき、平成24年4月から同年7月分に係る受信料合計6200万1440円の支払を求めた事案(本訴)、被告が、原告に対し、営業権、自己決定権等に基づく妨害排除請求として、(1)各ホテルの受信機に、原告の放送の受信を不能化する措置を施すことと、(2)本訴以外に、上記各受信機に対する上記不能化措置違反の放送の送信を行った期間についての放送受信料の支払請求の差止めを求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償請求として、(3)原告が上記(1)及び(2)項に違反した場合に、将来、被告が被る損害(相当な弁護士費用を含む。)のうち500万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案(反訴)において、本訴請求(1)及び、本訴請求(2)の主位的請求をいすれも棄却し、本訴請求(2)の予備的請求の受信料の額6178万1600円を認容し、被告の反訴請求を棄却した事例。
2015.12.01
各未成年者喫煙禁止法違反被告事件(未成年者喫煙禁止法 コンビニ店員無罪)
LEX/DB25541254/高松高等裁判所 平成27年 9月15日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第266号
被告人A及び被告会社Bに対する各未成年者喫煙禁止法違反被告事件の控訴審(一審の簡易裁判所が言い渡した判決に対し、被告人Aに関する有罪部分につき同被告人から、被告会社Bに関する無罪部分につき検察官から、それぞれ控訴の申立てがあった)において、原判決の事実認定には、2回の容貌確認を認めて被告人Aが未成年者であることを認識したと推認できるとした点、同認識の存在に疑問を抱かせる事情を考慮しなかった点、自白の信用性を肯定した点において誤りがあり、上記認識を肯定した原判決の認定は論理則、経験則等に照らし、不合理であって、事実を誤認したものであるとして、原判決中、被告人Aに関する部分を破棄して、被告人Aに対し無罪の言渡しをし、被告会社Bに関する検察官の控訴を棄却した事例。
2015.12.01
金融商品取引法違反被告事件(元日興執行役員インサイダー取引教唆)
「新・判例解説Watch」H28.1上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25541270/東京高等裁判所 平成27年 9月25日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第1830号
証券会社の元執行役員が、物流会社など3社の株式公開買い付け(TOB)の未公開情報を会社役員に漏らし、その会社役員に株券を買付けさせたして、金融商品取引法違反の罪に問われた事案の控訴審(原判決は、株券の公開買付けの実施に関する事実を会社役員に伝えるなどした被告人の行為には金融商品取引法167条3項違反の罪の教唆犯が成立すると判断した)において、原判決の認定した罪となるべき事実について事実誤認があるとは認められないとした上で、金融商品取引法は、公開買付者等関係者自身が公開買付け等に関する事実を知って自ら取引を行うことを規制しており、それに加えて第一次情報受領者による取引をも規制してインサイダー取引の規制の徹底をはかっているのであって、そのような金融商品取引法のインサイダー取引の規制のあり方に照らせば、同法167条3項違反の罪の教唆行為は十分に可罰的であると解すべきであって、その教唆行為に対して刑法総則の教唆犯の規定を適用することは、同条の立法趣旨に何ら反していないと解されるとして、被告人の控訴を棄却した事例。
2015.11.24
審決取消請求事件
LEX/DB25447583/最高裁判所第三小法廷 平成27年11月17日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第356号
発明の名称を「血管内皮細胞増殖因子アンタゴニスト」とする特許権者である原告(被上告人)が、被告(上告人。特許庁長官)に対し、その特許権の存続期間の延長登録出願に係る拒絶査定不服審判の請求を不成立とした特許庁の審決の取消しを求め、原審は、原告の当該出願が特許法67条の3第1項1号に該当するとして特許権の存続期間の延長登録を受けることができないとした審決の判断には誤りがあるなどとして、本件審決を取り消したため、被告が上告した事案において、特許権についての延長登録出願に係る特許発明の実施に当該処分を受けることが必要であったとは認められないとする本件審決を違法であるとした原審の判断は、正当として是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2015.11.24
 
LEX/DB25541336/最高裁判所第二小法廷 平成27年10月30日 決定 (上告審)/平成27年(オ)第1111号等
被告(被控訴人・申立人)国立大学の教授であった原告(控訴人・相手方)Xが、減給の懲戒処分を受けたところ、その過程で、原告の研究室に所属する学生であった被告(被控訴人)Y1が、原告からハラスメントを受けた旨の虚偽の内容を記載した研究室変更願を提出するなどし、学科長であった被告(被控訴人)Y2が、人事審査委員会に原告の処分を要請するなどし、人事審査委員会委員長であった被告(被控訴人)Y3が、原告にハラスメントを行い、杜撰な調査、審議により、人事調査委員会として、原告の懲戒処分の可能性があると報告するなどし、被告国立大学の学長である被告(被控訴人)Y4が、人事委員会の委員長代理を指名せず放置し、懲戒処分に至らせたことが、不法行為を構成するとして、各被告に対し、慰謝料等の支払いを求めたところ、第一審では原告の請求を棄却し、控訴審では原告の訴えの交換的変更による被告国立大学に対する懲戒処分無効確認請求及び未払賃金請求を一部認容したため、被告国立大学が上告申立てをした事案において、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとし、不受理決定した事例。
2015.11.24
損害賠償請求事件(爆発事故・遺影の無断放送で遺族の訴え棄却)
LEX/DB25541333/津地方裁判所四日市支部 平成27年10月28日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第178号
原告が、被告(テレビ放送会社)が原告の子であるcの遺影を撮影し、テレビ報道に使用したのは、情報プライバシー権としての原告の遺影を公表されない自由や、幸福追求権としての静穏に故人を悼む利益、敬愛追慕の情を侵害するもので違法であると主張し、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、100万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告が、遺族の同意を得ず、隣地敷地から塀越しに撮影したこと等を考慮しても、撮影及び報道により、社会生活上受忍すべき限度を超えて原告の静穏に故人を悼む利益や、敬愛追慕の情を侵害したということはできないとして、請求を棄却した事例。
2015.11.24
仮処分命令申立事件(著作権判例百選 出版差止仮処分)
LEX/DB25541332/東京地方裁判所 平成27年10月26日 決定 (第一審)/平成27年(ヨ)第22071号
債権者が、自らが編集著作物たる判例解説雑誌[第4版]の共同著作者の一人であることを前提に、債務者(出版社)が発行しようとしている判例解説雑誌雑誌[第5版]は、[第4版]を翻案したものであるなどと主張して、[第4版]の〔1〕翻案権並びに二次的著作物の利用に関する原著作物の著作者の権利(著作権法28条)を介して有する複製権、譲渡権及び貸与権又は〔2〕著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)に基づく差止請求権を被保全権利として、債務者による雑誌[第5版]の複製、頒布、頒布する目的をもってする所持又は頒布する旨の申出を差止める旨の仮処分命令を求めた事案において、債権者の申立ては理由があるとし、債務者は、[第5版]の複製、頒布、頒布する目的をもってする所持又は頒布する旨の申出をしてはならないとした事例。