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2016.04.12
法人税更正処分取消等請求控訴事件(株式会社デンソーVS国) 
LEX/DB25542132/名古屋高等裁判所 平成28年 2月10日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第91号
内国法人である一審原告が、平成20年3月期及び平成21年3月期各事業年度の法人税の各確定申告をしたところ、処分行政庁から、租税特別措置法66条の6第1項(タックスヘイブン対策税制)により、シンガポール共和国において設立された一審原告の子会社の課税対象留保金額に相当する金額が一審原告の上記各事業年度の所得金額の計算上益金の額に算入されるなどとして、平成22年6月28日付けで上記各事業年度の法人税の更正処分及び平成20年3月期の法人税に係る過少申告加算税賦課決定処分を受けた上、平成24年6月22日付け及び平成25年2月28日付けで平成21年3月期の法人税の各再更正処分を受けたため、一審被告(国)に対し、上記各更正ないし再更正処分のうち一審原告主張金額を超える部分及び上記賦課決定処分の取消しを求め、原審は、一部認容・一部却下したため、一審原告及び一審被告双方が控訴した事案において、原判決中一審原告の請求を認容した部分は不当であるとし、一審被告の控訴に基づき、原判決中、一審被告敗訴部分を取り消し、同部分に関する一審原告の請求を棄却し、一審原告の控訴は失当であるとし、棄却した事例。
2016.04.12
法人税更正処分取消等請求事件(株式会社デンソーVS国(平成28年2月10日名古屋高裁(平成26年(行コ)第91号)の原審))
LEX/DB25542131/名古屋地方裁判所 平成26年 9月 4日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第116号
内国法人である原告が、平成20年3月期及び平成21年3月期各事業年度の法人税の各確定申告をしたところ、処分行政庁から、租税特別措置法66条の6第1項(タックスヘイブン対策税制)により、シンガポール共和国において設立された原告の子会社の課税対象留保金額に相当する金額が原告の上記各事業年度の所得金額の計算上益金の額に算入されるなどとして、平成22年6月28日付けで上記各事業年度の法人税の更正処分及び平成20年3月期の法人税に係る過少申告加算税賦課決定処分を受けた上、平成24年6月22日付け及び平成25年2月28日付けで平成21年3月期の法人税の各再更正処分を受けたため、被告(国)に対し、上記各更正ないし再更正処分のうち原告主張金額を超える部分及び上記賦課決定処分の取消しを求めた事案において、本件訴えのうち、〔1〕平成21年3月期第1次更正処分について取消しを求める部分、〔2〕第2次更正処分について取消しを求める部分、〔3〕第4次更正処分のうち所得金額マイナス688億6903万1633円を超えない部分及び翌期へ繰り越す欠損金688億6903万1633円を超える部分の取消しを求める部分はいずれも不適法であるからこれを却下し、原告のその余の請求はいずれも理由があるとして、認容した事例。
2016.04.12
投稿記事削除仮処分保全異議申立事件
(逮捕歴「忘れられる権利」認定 検索結果の削除決定)
LEX/DB25542268/さいたま地方裁判所 平成27年12月22日 決定 (第一審)/平成27年(モ)第25159号
グーグル検索で債権者の住所の県名と氏名を入力して検索すると、3年余り前の児童買春の罪での逮捕歴に関する記事が検索結果の表示により、債権者は、「更生を妨げられない利益」が違法に侵害されているから、人格権に基づく妨害排除又は妨害予防の請求として検索結果の削除請求権を有すると主張し、民事保全法23条2項の仮の地位を定める仮処分として、検索結果の削除を求める仮処分の申立てをし、原決定が、債権者の主張を認め、人格権に基づき検索エンジンの管理者である債務者に対し検索結果の削除を求めることができ、検索結果が今後表示し続けられることにより回復困難な著しい損害を被るおそれがあるとして、検索結果を仮に削除することを債務者に命じたため、債務者が、原決定の取消しを求めて保全異議を申し立てた事案において、検索結果のリンク先ウェブサイトが3年以上前から発信されているものであり、検索結果としても相当長期間表示されてきたものであるからといって、保全処分による必要性や緊急性が否定されると考えるのは背理であり、債務者の主張はあたらないとし、債権者の検索結果の削除を求める仮処分の申立てを認可した事例。
2016.04.05
差押処分取消請求事件 
LEX/DB25447866/最高裁判所第三小法廷 平成28年 3月29日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第228号
彦根市長が、被上告人会社が彦根市内に所有する当該土地、当該家屋及びその他複数の土地の固定資産税等の滞納処分として、被上告人会社の訴外A社に対する当該土地及び当該家屋の賃貸借契約に基づく賃料債権の差押えをしたことから、被上告人らが、当該土地は、被上告人X2を委託者兼受益者、被上告人会社を受託者とする信託財産であって、上記賃料債権のうち当該土地の賃料相当額部分も信託財産であるから、滞納処分を行うことはできないなどとして、上告人を相手に、当該差押えの取消しを求め、原審は、当該差押えが全体として違法であるとして、これを取り消したため、上告人が上告した事案において、当該差押えを違法であるとした原審の判断は、法令違反があるとし、原判決を破棄し、当該差押えが適法であるとして被上告人らの請求を棄却した第1審判決は結論において是認することができるとし、被上告人らの控訴を棄却した事例。
2016.04.05
傷害,傷害致死被告事件 
LEX/DB25447859/最高裁判所第三小法廷 平成28年 3月24日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第703号
被告人A及び同Bが、共謀の上、被害者(当時39歳)に対して第1暴行を加え傷害を負わせ、さらに被告人Cが、被害者に対して第2暴行を加え、これらの一連の暴行により被害者を死亡させたが、被告人A及び同B並びに同Cのいずれの暴行に基づく傷害により被害者を死亡させたか知ることができないという公訴事実につき、第1審判決が、刑法207条の適用を否定し、被告人A及び同Bについては傷害罪の成立を、被告人Cについては傷害致死罪の成立を認めたところ、検察官及び弁護人の双方が控訴し、控訴審判決は、第1審判決を破棄し、地方裁判所に差し戻しを命じたため、被告人らが上告した事案において、共犯関係にない二人以上による暴行によって傷害が生じ更に同傷害から死亡の結果が発生したという傷害致死の事案で、同時傷害の特例である刑法207条適用の前提となる事実関係が証明された場合には、各行為者は、自己の関与した暴行が死因となった傷害を生じさせていないことを立証しない限り、当該傷害について責任を負い、更に同傷害を原因として発生した死亡の結果についても責任を負うというべきであるとし、第1暴行と第2暴行の機会の同一性に関し、その意義等についての適切な理解の下で更なる審理評議を尽くすことを求めて第1審判決を破棄し、当該事件を第1審に差し戻した控訴審判決は相当であるとして、各上告を棄却した事例。
2016.04.05
損害賠償等請求控訴事件(新聞の実名報道訴訟 東京高裁) 
LEX/DB25542147/東京高等裁判所 平成28年 3月 9日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第5700号
原告(控訴人)が、被告(被控訴人)らに対し、被告らがそれぞれ発行する日刊新聞の朝刊に掲載された実名による原告の逮捕事実等に関する記事によって名誉を毀損され、名誉感情及びプライバシーを侵害されたとして、共同不法行為に基づく損害賠償として、2200万円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求めるとともに、民法723条に基づき、謝罪広告をそれぞれ掲載することを求め、原判決は、原告の請求を一部認容、一部棄却したため、原告が控訴した事案において、原告の請求のうち、被告d新聞社に対する請求を110万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余の請求をいずれも棄却すべきところ、これと異なる原判決は一部失当であり、控訴の一部は理由があるから、原判決を変更した事例。
2016.04.05
強姦被告事件 
「新・判例解説Watch」H28.6中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25541932/福岡高等裁判所宮崎支部 平成28年 1月12日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第9号
被告人が、路上で被害女性を強姦したとして強姦罪により起訴され、原判決が、被害者供述の信用性を認め、被告人に懲役4年の有罪判決を言い渡し、被告人が控訴をした事案において、被告人は、合意の下、性的関係を持とうとして被害者と路上で一定の性的接触をしたが、何らかの被害者の感情を害するトラブルが生じたにすぎないという可能性が否定できないとして、原判決を破棄し、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。
2016.04.05
覚せい剤取締法違反、 関税法違反被告事件(覚醒剤密輸 スペイン人 逆転無罪) 
LEX/DB25541937/東京高等裁判所 平成27年12月22日 判決 (控訴審)/平成27年(う)第1565号
被告人が、氏名不詳者らと共謀の上、営利の目的で、覚せい剤の本邦への輸入を行うとともに、覚せい剤を携帯しているにもかかわらず、その事実を申告しないまま検査場を通過して輸入しようとしたが、税関職員に発見されたため、これを遂げることができなかった事案の控訴審につき、原判決が、ウガンダの防衛省上級理事の依頼を真正なものと信じていた合理的な疑いがあるとはいえないとした上、遅くともコーヒー豆袋を受領した時点では、その中に違法薬物が入っている可能性を認識していたものと推認でき、犯行に対する故意を認めることができると認定したことについては、その証拠の評価、推認過程に種々の論理則、経験則等に適わない不合理な点があり、是認することができないとし、懲役8年、罰金300万円を言い渡した原判決を破棄し、無罪を言い渡した事例。
2016.03.29
仮処分決定取消及び仮処分命令申立て却下決定に対する保全抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25447854/最高裁判所第二小法廷 平成28年 3月18日 決定 (許可抗告審)/平成27年(許)第15号
建物の区分所有等に関する法律59条1項に規定する競売を請求する権利を被保全権利として、民事保全法53条又は民事保全法55条に規定する方法により仮処分の執行を行う処分禁止の仮処分を申し立てることはできないものと解するのが相当であり、これと同旨の原審の判断は正当として是認できるとし、抗告を棄却した事例。
2016.03.29
自動車運転過失致死被告事件(交通事故死亡判決 高裁で差し戻し)
LEX/DB25447849/最高裁判所第三小法廷 平成28年 3月18日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第1844号
被告人が、平成24年1月1日午後6時9分頃、普通乗用自動車(被告人車)を運転し、栃木県小山市内の信号機により交通整理の行われている丁字路交差点の南方道路(片側3車線)の第2車線を、交差点に向かい、先行する大型貨物自動車(A車)に追従して時速約30kmで北方へ直進するに当たり、当時、交差点内には、約5分前に発生した交通事故(先行事故)の当事者である被害者(当時20歳)が転倒横臥していたところ、交差点の対面信号が青色であるにもかかわらず、先行するA車が、それまでの時速約60kmから交差点手前で相当減速したのを認めたのであるから、A車の前方で異常事態が発生している可能性があることを予測し、第1車線に移ってA車を追い抜いた後、再び第2車線に移りA車の前方に進出するに際しては、進路前方左右を注視し、適宜速度を調節し、進路の安全を確認しながら進行すべき自動車運転上の注意義務を怠り、第1車線に移り時速約40kmに加速してA車を追い越した後、第2車線に移ろうとした際、進路前方左右を十分注視することなく、進路の安全確認が不十分のまま進行した過失により、被害者が倒れていることに気付かずに進行して、自車右前輪で同人の頭顔部を轢過し、頭蓋骨粉砕骨折を伴う脳破裂の傷害を負わせ死亡させた事故で、原判決は、被告人車が被害者を轢過した事実、及び、被告人が進路の前方左右を注視し、安全を確認すべき注意義務を怠った過失を認め、無罪とした第1審判決を破棄し、被告人に禁錮2年、執行猶予4年を言い渡したため、被告人が上告した事案において、原判決には、被告人車の走行態様に関し、防犯カメラの映像内容及び相反する2つの証言の存在を踏まえた審理を十分に尽くさなかった結果、事実を誤認した疑いがあり、これらが被告人の有罪無罪の判断に直結し、原判決に影響を及ぼすことは明らかであるとし、原判決を破棄し、高等裁判所へ差し戻した事例。
2016.03.29
損害賠償請求事件(新入社員歓迎会の2次会でセクハラ 会社と連帯で賠償命令)
「新・判例解説Watch」H28.4下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25541909/福岡地方裁判所 平成27年12月22日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第3814号
被告会社に派遣社員として入社した原告が、同人らの新入社員歓迎会において、被告会社の従業員である被告甲と一緒にカラオケをしている際、同人から抱え上げられたことにつき不法行為が成立する旨主張し、被告甲に対しては不法行為に基づき、被告会社に対しては職場環境配慮義務違反の債務不履行又は使用者責任に基づき、慰謝料等を請求した事案において、被告甲の行為は、女性である原告の承諾なしに、突然その太腿に触れて持ち上げるというものであり、その結果、他の従業員がいる中で原告のスカートがずり上がる状態になったというのであるから、原告の性的羞恥心を害する行為であったことは明らかであり、故意に原告の人格的利益を侵害し、原告に精神的苦痛を被らせるものと評価できるから、不法行為を構成するとして、原告の請求を一部認容した事例。
2016.03.29
爆発物取締罰則違反幇助、殺人未遂幇助被告事件
(逆転無罪 元オウム信者 東京都庁小包爆弾事件) 
LEX/DB25541765/東京高等裁判所 平成27年11月27日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第1331号
オウム真理教による平成7年の東京都庁郵便小包爆破事件に関与したとして、元信徒の被告人が、殺人未遂と爆発物取締罰則違反の幇助罪に問われた事案(一審は、爆発物製造及び爆発物使用の罪については幇助の意思が認められないから、その幇助罪は成立せず、殺人未遂罪については、幇助の意思が認められ、同罪の幇助罪が成立するとして、被告人に懲役5年の判決を言い渡した)の控訴審において、被告人が本件当時、本件殺人未遂幇助の意思を有していたとの原判決の認定は、経験則、論理則に反する不合理な推論に基づくものであり、原判決の認定した幇助行為を被告人が行った際、正犯者らが人を殺傷するテロ行為を行うことを認識してこれを幇助したものと認めるにはなお合理的な疑いが残るといわざるを得ず、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとして、原判決を破棄し、被告人に対し無罪の言渡しをした事例。
2016.03.22
損害賠償請求事件 
LEX/DB25447842/最高裁判所第三小法廷 平成28年 3月15日 判決 (上告審)/平成26年(受)第2454号
更生会社であるA社の管財人である原告(控訴人・被上告人)が、A社において、被告(被控訴人・上告人)Y1により組成され被告(被控訴人・上告人)Y2の販売する仕組債を運用対象金融資産とする信託契約を含む一連の取引を行った際、被告らに説明義務違反等があったと主張して、被告らに対し、不法行為等に基づく損害賠償を求め、第1審では請求を棄却し、控訴審では、被告らが、原告に対し、共同不法行為に基づく損害賠償責任を負うべきとして一部認容したため、被告らが上告した事案において、原告の請求は理由がなく、これを棄却した第1審判決は正当であるとして、原判決中被告ら敗訴部分を破棄し、原告の控訴を棄却した事例。
2016.03.22
損害賠償請求事件 
LEX/DB25447828/最高裁判所第一小法廷 平成28年 3月10日 判決 (上告審)/平成26年(受)第1985号
上告人らが、被上告人がインターネット上のウェブサイトに掲載した記事によって名誉及び信用を毀損されたなどと主張して、被上告人に対し、不法行為に基づく損害賠償を請求した事案の上告審において、民事訴訟法3条の9にいう「日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し、又は適正かつ迅速な審理の実現を妨げることとなる特別の事情」があるとし、本件訴えを却下すべきものとした原審の判断は正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2016.03.22
個人情報一部不開示決定処分取消等請求事件 
「新・判例解説Watch」H28.5下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447829/最高裁判所第一小法廷 平成28年 3月10日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第221号
被上告人が、京都府個人情報保護条例に基づき、実施機関である京都府警察本部長(処分行政庁)に対し、被上告人の子が建物から転落して死亡した件について京都府警察田辺警察署において作成又は取得した書類等一式に記録されている自己の個人情報の開示請求をしたところ、処分行政庁から、その一部を開示する旨の決定を受けたため、上告人を相手に、当該処分のうち各不開示部分の取消しを求めるとともに、当該各不開示部分に係る個人情報の開示決定の義務付けを求めた事案の上告審において、本件取消しの訴えが出訴期間を経過した後に提起されたことにつき行政事件訴訟法14条1項ただし書の「正当な理由」があるということはできないとし、原判決を破棄し、本件取消しの訴え及び本件義務付けの訴えはいずれも不適法であって、これらを却下した第1審判決は正当であるから、被上告人の控訴を棄却した事例。
2016.03.15
株主総会決議取消請求事件 
「新・判例解説Watch」H28.5下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447820/最高裁判所第二小法廷 平成28年 3月 4日 判決 (上告審)/平成27年(受)第1431号
被上告人の株主である上告人らが、被上告人に対し、被上告人の臨時株主総会における上告人らを取締役から解任する旨の議案を否決する株主総会決議について、会社法831条1項1号に基づき、その取消しを求めた事案の上告審において、上記否決決議の取消しを請求する本件訴えは不適法であり、これを却下した原判決は、正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2016.03.15
保険金請求本訴,不当利得返還請求反訴事件 
LEX/DB25447821/最高裁判所第二小法廷 平成28年 3月 4日 判決 (上告審)/平成27年(受)第1384号
亡Aの子である上告人が,Aが老人デイサービスセンターの送迎車から降車した際に負った傷害により後遺障害が残ったと主張して、被上告人に対し、上記送迎車に係る自動車保険契約の搭乗者傷害特約に基づき、後遺障害保険金の支払を求め(本訴)、上記特約に基づきAに入通院保険金を支払った被上告人が、その金員の支払について法律上の原因がなかったと主張して,上告人に対し,不当利得返還請求権に基づき,上記金員の返還を求め(反訴)、原審は、上告人の本訴請求を棄却し、被上告人の反訴請求を認容したため、上告人が上告した事案において、Aは本件特約に基づく入通院保険金及び後遺障害保険金の各請求権を有しているとはいえないから、上告人の本訴請求を棄却し、被上告人の反訴請求を認容すべきものであるとし、原審は、上記事故が老人デイサービスセンターの職員が安全配慮義務を怠ったことから発生したものであるとして直ちに本件における運行起因性を否定しており、この点の説示に問題はあるが、結論自体は是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2016.03.15
損害賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」H28.5中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447798/最高裁判所第三小法廷 平成28年 3月 1日 判決 (上告審)/平成26年(受)第1434号
認知症に、り患したA(当時91歳)が旅客鉄道事業を営む会社である第1審原告の駅構内の線路に立ち入り第1審原告の運行する列車に衝突して死亡した事故に関し、第1審原告が、Aの妻である第1審被告Y1(当時85歳)及びAの長男である第1審被告Y2に対し、本件事故により列車に遅れが生ずるなどして損害を被ったと主張して、民法709条又は民法714条に基づき、損害賠償金719万7740円及び遅延損害金の連帯支払を求め、第一審では、第一審原告の請求に対し、第1審被告Y1及びY2に損害賠償責任を負うと判断しため、第一審被告らが控訴し、控訴審では、第1審被告Y1に損害賠償責任を負うと判断しため、第一審被告及び第一審原告の双方が上告した事案において、第1審被告Y1及びY2は、精神障害者であるAの法定の監督義務者に準ずべき者に当たるということはできないとし、民法714条1項に基づく損害賠償責任が否定された事例(意見及び補足意見がある)。
2016.03.15
法人税更正処分取消請求事件 
LEX/DB25447796/最高裁判所第一小法廷 平成28年 2月29日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第75号
平成21年2月24日にa社からb社の発行済株式全部を譲り受け、同年3月30日にb社を被合併会社とする吸収合併をした原告(控訴人・上告人)が、同20年4月1日から同21年3月31日までの事業年度に係る法人税の確定申告に当たり、法人税法2条12号の8の適格合併に適用される法人税法57条2項によりb社の未処理欠損金額を原告の欠損金額とみなして、これを損金の額に算入したところ、麻布税務署長が、組織再編成に係る行為又は計算の否認規定である法人税法132条の2を適用し、上記未処理欠損金額を原告の欠損金額とみなすことを認めず、上記事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたため、原告が、被告(被控訴人・被上告人)国を相手に、上記更正処分等の取消しを求め、原審は、原告の控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、本件副社長就任は、組織再編税制に係る上記各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものとして、法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるとし、原審の判断は是認することができるとし、また、本件副社長就任は、上記更正処分等を受けた原告の行為とは評価し得ないとしても、本件合併の被合併法人(同条1号)であるb社の行為である以上、同条による否認の対象となるものと解され、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2016.03.15
法人税更正処分等取消請求事件 
LEX/DB25447797/最高裁判所第二小法廷 平成28年 2月29日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第177号
平成21年2月2日にb社から新設分割により設立された原告(控訴人・上告人)が、当該分割は法人税法2条12号の11の適格分割に該当しない分割(非適格分割)であり、法人税法62条の8第1項の資産調整勘定の金額が生じたとして、同日から平成21年3月31日まで、同年4月1日から同22年3月31日まで、同年4月1日から同23年3月31日まで及び同年4月1日から同24年3月31日までの各事業年度に係る各法人税の確定申告に当たり、上記の資産調整勘定の金額からそれぞれ所定の金額を減額し損金の額に算入したところ、四谷税務署長が、組織再編成に係る行為又は計算の否認規定である法人税法132条の2を適用し、上記の資産調整勘定の金額は生じなかったものとして所得金額を計算した上で、上記各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をしたため、原告が、被告(被控訴人・被上告人)国を相手に、上記各更正処分等の取消しを求め、原審は、原告の控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、新設分割により設立された分割承継法人の発行済株式全部を分割法人が譲渡する計画を前提としてされた当該分割が、法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるとし、原審の判断は是認することができるとし、また、本件計画を前提とする当該分割が、各更正処分等を受けた原告の行為ではなく、当該分割の分割会社(同条1号)であるb社の行為であるからといって、同条による否認の対象とならないとはいえないとし、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。