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2016.05.10
株式取得価格決定に対する抗告、同附帯抗告事件 
LEX/DB25542515/東京高等裁判所 平成28年 3月28日 決定 (抗告審)/平成27年(ラ)第991号 等
東宝による利害関係参加人を完全子会社化する取引の一環として、利害関係参加人の株式の公開買付け後にされた利害関係参加人による全部取得条項付種類株式の全部の取得について、原審申立人らが、会社法172条1項に基づき、保有していた利害関係参加人の全部取得条項付普通株式の取得価格の決定を求め、原審は、上記株式の取得価格は、1株につき835円とすると決定し、原審申立人ら及び利害関係参加人が抗告し、附帯抗告人が附帯抗告した事案において、裁判所が裁量により取得価格を決定するに際し、公正な手続を実質的に履践して定められたと認められる公開買付価格に依拠せずに、新たに価格を決定し直すべき特段の事情はないものと思料されるとして、上記株式の取得価格は1株につき735円と定めるのが相当であるところ、これと異なり1株につき835円と定めた原決定は不当であるとし、原決定を変更した事例。
2016.05.10
立替金等請求控訴事件(安藤・間VS新潟大学) 
LEX/DB25542516/東京高等裁判所 平成28年 3月10日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第3355号
A建設の権利義務を包括的に承継した控訴人が、被控訴人に対し、主位的には、A建設において米国法人であるO社との間で、A建設を買主、O社を売主として、米国ロマリンダ大学の保有する特許技術に係る陽子線がん治療機器等について購入、導入、メンテナンス等を内容とする国立大学の陽子線がん治療センター 物品の購買・設置・メンテナンス及びライセンスに関する基本契約を締結することを前提に、被控訴人との間で、上記契約上のA建設の買主たる地位を被控訴人に譲渡すること、当該譲渡実行日までに上記契約に基づいてA建設が支払い又は負担した売買代金、費用等相当額を被控訴人がA建設に支払うことなどを内容とする合意をし、その後上記契約を締結してその地位を被控訴人に譲渡したと主張して、当該合意の補償請求権に基づき、〔1〕A建設が上記契約に基づいてO社に支払った代金(頭金)、立替金利及び送金等手数料の合計16億7932万6987円並びにこれに対する遅延損害金、〔2〕A建設が負担した費用である7493万5635円及びこれに対する遅延損害金、〔3〕本件訴訟に係る弁護士費用と訴訟提起手数料の合計額1億5442万3795円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、予備的には、被控訴人の副学長兼学長室長が被控訴人の事業の執行として被控訴人学長作成名義の本件合意に係る「損害等補償及び契約上の地位譲渡等に関する合意書」を偽造してこれをA建設に交付したことにより、A建設が上記契約を締結し、上記陽子線がん治療機器等の代金(頭金)を支払うなどの損害を被ったと主張して、不法行為の使用者責任に基づく損害賠償として上記と同額を求め、原審は、上記合意書の被控訴人学長名義部分が真正に成立したと認めることはできず、A建設と被控訴人との間で上記合意が成立したとは認められないから、控訴人の上記合意の補償請求権に基づく請求は理由がなく、また、副学長が上記合意書の被控訴人学長名義部分を偽造したという事情を知らずに上記合意書を締結し、その上で上記契約を締結するに至ったとしても、A建設代表者がそのことを知らなかったことにつき重大な過失があるから、控訴人が使用者責任に基づく損害賠償を請求することはできないなどとして、控訴人の請求をいずれも棄却し、これを不服とする控訴人が控訴した事案において、学長証明書の体裁及び内容が不自然であることに加え,学長証明書と合意書とに押印された印影が異なっているにもかかわらず、合意書の成立の真正に疑いを抱かずに何らの確認をもしなかったA建設の対応をもって、A建設には合意書の成立の真正を信じたことについて重過失があると評価する根拠とした原判決の認定は相当であり、これを不当とする控訴人の上記主張も採用できないとし、控訴人の被控訴人に対する請求はいずれも理由がなく、それらをいずれも棄却した原判決は相当であり、控訴を棄却した事例。
2016.05.10
損害賠償請求事件(勾留中「鼻から栄養剤」で負傷、男性逆転敗訴) 
LEX/DB25447917/最高裁判所第一小法廷 平成28年 4月21日 判決 (上告審)/平成26年(受)第755号
被告(被控訴人・上告人。国)が、原告(控訴人・被上告人)に対し、原告の当時の身体状態に照らして不必要であった鼻腔経管栄養補給処置を実施したことが、拘置所に収容された被勾留者に対する診療行為における安全配慮義務に違反し、債務不履行を構成するなどと主張して、損害賠償を求め、第1審は、原告の請求を棄却したため、原告が控訴し、控訴審は、第1審判決を変更し、原告の請求を一部認容したため、被告が上告した事案において、国は、拘置所に収容された被勾留者に対して、その不履行が損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の安全配慮義務を負わないというべきであるとし、これと異なる原審の判断は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中被告敗訴部分を破棄し、これを棄却した第1審判決は是認することができるから、上記部分に関する原告の控訴を棄却した事例。
2016.05.10
損失填補請求事件、独立当事者参加事件
(全九州電気工事業厚生年金基金VS日本トラステイ・サービス信託銀行ほか) 
LEX/DB25530845/東京地方裁判所 平成27年 7月 3日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第32336号 等
厚生年金基金である原告が、金融機関である被告らに対し、被告らの委託を受けた証券業者が偽装等の不正を行っていたのに、これに気付かずに運用を任せ原告が運用損を被ったのは、原告との間の年金特定信託契約及び三者間合意に基づく被告らの信託事務の処理に任務懈怠(監査報告書確認義務違反、報告説明義務違反、名義登録義務違反)があったことによるものであるとして損害賠償等を求めた事案につき、任務懈怠があるというには、証券業者の運用が明らかに不当で原告に重大な損失が生ずる危険性が高いことを被告らが認識していたか又は容易に認識し得た一方、委託者である原告においてはそれを認識し得なかったのに、被告らが原告にそのことを告げなかったなどの例外的な事情が認められる場合に限られ、本件においてそのような事情は認められず、また被告らがその任務を怠った事実を認めることもできないとして、請求を棄却した事例。
2016.04.26
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件(組合活動アンケート 二審も大阪市に賠償命令) 
LEX/DB25542305/大阪高等裁判所 平成28年 3月25日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第1608号 等
被告(大阪市。控訴人)の職員あるいは職員であった原告(被控訴人)らが、被告が第三者に委託して実施したアンケートは、原告らの思想・良心の自由、政治活動の自由、労働基本権、プライバシー権又は人格権を侵害するなど違憲・違法なものであるから、前市長が、原告らに対し、業務命令をもって上記アンケートに回答することを命令したことは、国家賠償法上違法であるとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、原告らに生じた精神的損害に対する賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、原告ら各自につき6000円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で原告らの請求を認容したため、被告が控訴し、原告らが附帯控訴した事案において、原告らの本件請求は、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ5000円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからそれぞれ認容し、その余の請求については、いずれも棄却すべきであるとし、よって、被告の控訴に基づき、上記と一部結論を異にする原判決を変更し、原告らの附帯控訴を棄却した事例。
2016.04.26
自動車運転過失傷害被告事件(無罪) 
LEX/DB25542447/大津地方裁判所彦根支部 平成28年 3月 8日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第45号
被告人は、早朝、普通乗用自動車を運転し、滋賀県近江八幡市路上で、信号機により交通整理の行われている交差点を直進するに当たり、同交差点の対面信号機の信号表示に留意し、これに従って進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、考え事に気を取られ、同信号表示に留意せず、同信号機が赤色の灯火信号を表示していたのを看過したまま漫然時速約60キロメートルで進行した過失により、折から右方道路から青色信号に従って同交差点に進入してきたW運転の普通乗用自動車に気付かないまま同車左側面部に自車前部を衝突させ、自車同乗者V(当時74歳)に加療約63日間を要する右股関節脱臼骨折の傷害を負わせた事案において、被告人の捜査段階における、上記事故当時の対面信号が赤色であった旨の供述には疑問を入れる余地があり、また、自己の対面信号が青色であった旨のWの供述についても、それと相反する被告人の公判における、自己の対面信号が青色であった旨の供述に信用性が認められること、それ以外にWの供述を裏付ける証拠が存在しないことからすれば、そのまま信用するには疑問が残るとし、上記各交差点の信号サイクルからすれば、被告人は対面信号が青色の状態で上記交差点に進入した可能性は大きく、本件公訴事実については、いまだ合理的な疑いを越えない程度の証明がないとして、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。
2016.04.26
損害賠償請求事件(日本生命への請求棄却 顧客から詐取 元外交員に賠償命令) 
LEX/DB25542103/静岡地方裁判所浜松支部 平成28年 2月 1日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第598号
被告P12に金銭を貸し付けた原告らが、本件各貸付は被告P12の詐欺により行われたものであると主張した上で、被告P12に対しては、不法行為に基づき、被告N生命に対しては、本件各貸付の際に被告N社から契約貸付を受けたと主張する原告らが、被告P12の不法行為は雇用主たる被告N社の事業の執行の範囲に含まれると主張して、使用者責任に基づく等して、それぞれ損害賠償を求めた等の事案において、被告P12は、原告らに対し、真実は借りた金銭を原告らに伝えた用途で使う意思も、約束通り返済する具体的見込みもその能力もないのに、嘘を述べ、原告らにその旨誤信させて本件各貸付を行わせたと認定する一方、被告N社が原告らに対し、被告P12の詐欺行為について使用者責任を負うことはないと示し、原告らが被告P12が被告P13に対して有する不法行為に基づく損害賠償請求権を代位行使することは認めた事例。
2016.04.26
詐欺被告事件(オレオレ詐欺の被告 逆転有罪)
LEX/DB25542022/大阪高等裁判所 平成28年 1月29日 判決 (控訴審)/平成27年(う)第639号
被告人は、共犯者らと共謀の上、被害者(当時70歳)に電話をかけてうそを言うなどして現金1000万円を交付させたとして、詐欺により起訴され、原審では故意及び共謀が認められないとして無罪を言い渡され、検察官が控訴をした事案において、被告人には詐欺の故意及び共謀が認められるとして、一審判決を破棄し、被告人に対し、懲役2年4月を言い渡した事例。
2016.04.26
各不正競争防止法違反被告事件(転職先に企業秘密漏洩で4人有罪判決) 
LEX/DB25542109/横浜地方裁判所 平成28年 1月29日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第628号 等
被告会社の従業員である被告人らが、被告会社の業務に関し、eが被害者会社から領得していた被害者会社の営業秘密である設計図面のファイルデータの開示を受け、そのファイルデータを複写して新たな図面に貼り付けるなどして、被告会社が受注した包装機械の設計図面を作成し、被害会社の営業秘密を使用したという被告人両名及び被告会社の各営業秘密侵害罪の事案において、本件各犯行において使用された各設計図は、被害者会社の技術面での優位性や高いオリジナリティーのある営業秘密であるとまでいうことはできないが、効率的な設計・製造を可能にするという点で有用性の認められるものであると示し、被告人らのみならず被告会社の刑事責任も相応に重いとして、被告人aを懲役1年6月及び罰金80万円に、被告人bを懲役1年2月及び罰金60万円に、被告会社を罰金1400万円に処した事例(a、bとも執行猶予3年)。
2016.04.19
損害賠償請求事件 
LEX/DB25447903/最高裁判所第三小法廷 平成28年 4月12日 判決 (上告審)/平成26年(受)第754号
死刑確定者として拘置所に収容されている原告(控訴人・被上告人)が、信書の発信を拘置所長が許さずこれを返戻した行為が違法であると主張して、被告(被控訴人・上告人。国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求め、原審は、本件各信書がA弁護士に対する信書であり、刑事収容施設法139条1項所定の信書には該当しないとした上で、原告の請求を一部認容すべきものとしたため、被告が上告した事案において、大阪拘置所長が、刑事収容施設法139条2項の規定により発信を許すことができないものとし、原告に対し本件各信書を返戻した行為は、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとし、原審の判断には法令の違反があるとして、原判決中被告敗訴部分を破棄し、原告の請求を棄却した第1審判決は正当であり、原告の控訴を棄却した事例。
2016.04.19
損失填補請求控訴事件 
LEX/DB25542150/東京高等裁判所 平成28年 1月21日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第4127号
厚生年金基金である原告(控訴人)が、原告との間で年金特定信託契約を締結したR信託銀行の承継人である被告(被控訴人)R銀行及び同契約に関する信託事務の処理につき被告R銀行と同一の責任を負うことを三者間で合意した被告(被控訴人)T信託銀行に対し、控訴人との間で年金投資一任契約を締結して被告らに信託財産の運用につき指示した投資一任業者であるAIJが運用実績の偽装等の不正を行っていたのに、これに気付かずにAIJに資産の運用を任せたことにより、原告が約28億6000万円の運用損を被ったのは、原告との間の年金特定信託契約及び三者間合意に基づく被告らの信託事務の処理に任務懈怠(監査報告書確認義務違反、報告説明義務違反、名義登録義務違反)があったことによるものであり、また、被告らの上記任務懈怠は、委託者である原告に対する債務不履行及び不法行為にも当たると主張して、被告らに対し、〔1〕主位的に、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として、連帯して21億円等の金員を控訴人に支払うことを求め、〔2〕予備的に、信託法40条に基づく損失填補として、上記と同額を原告の信託財産に支払うことを求めるとともに、〔3〕被告R銀行に対し、被告R銀行の信託事務の処理には重大な債務不履行があるので、原告は被告R銀行に対する信託報酬の支払義務を負わないと主張して、不当利得返還請求権に基づき、既に支払った信託報酬相当額である452万0764円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、被告らについて任務懈怠が認められないとして、各請求をいずれも棄却したため、原告が控訴した事案において、原告が当審において主張する監査報告書の確認義務違反及び口座管理に関する説明義務違反はいずれも認められないとし、本件請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、控訴を棄却した事例。
2016.04.19
損害賠償等請求事件 
LEX/DB25542149/東京地方裁判所 平成27年12月25日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第23164号
厚生年金基金である原告が、原告との間で年金特定信託契約を締結して信託事務の処理を受託した被告U信託銀行及び上記信託事務の処理を被告U信託銀行と共同受託した被告M信託銀行に対し、被告らが上記年金特定信託契約等に基づいて負う義務を怠ったために、原告が投資一任業者であるAIJによる運用成績の粉飾等の不正にも気付くことができないままに同社に資産の運用を任せたことにより、少なくとも32億9000万円の運用損を被ったと主張して、主位的に、信託法40条1項1号に基づき、連帯して、上記運用損の一部である30億円及びこれに対する遅延損害金を信託財産に損失填補することを求め、予備的に、債務不履行又は不法行為に基づき、連帯して、上記と同額の損害賠償金及び遅延損害金を原告に支払うことを求めた事案において、被告らが信託事務を処理するに当たりその任務を怠った事実を認めることはできないとし、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2016.04.19
根抵当権設定登記抹消登記手続等請求、 貸金請求控訴事件
(山陰合銀訴訟 山陰合同銀行が逆転勝訴) 
LEX/DB25542028/広島高等裁判所松江支部 平成28年 1月13日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第49号
本件各不動産を所有している控訴人会社らが、いずれも根抵当権者である控訴人銀行が本件各不動産について競売による差押えを申し立てた後に被担保債権である各債権を譲り受けた被控訴人会社に対し、主位的に、本件各根抵当権の設定契約の無効を主張した等の根抵当権設定登記抹消登記手続等請求、貸金請求控訴事件の控訴審において、既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには、受働債権につき、期限の利益を放棄することができるというだけでなく、期限の利益又は喪失等により、その弁済期が現実に到来していることを要し、また、時効により消滅した債権を自働債権とする相殺をするためには、消滅時効が援用された自働債権は、その消滅時効期間が経過する以前に自働債権と相殺適状にあったことを要すると示して、控訴人会社らによる相殺の主張を斥ける等して、原判決を取り消し控訴人会社らの請求を棄却した事例。
2016.04.12
詐欺,証拠隠滅被告事件 
LEX/DB25447891/最高裁判所第一小法廷 平成28年 3月31日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第1857号
被告人が、Aと共に警察署を訪れ、同署刑事課組織犯罪対策係所属のB警部補及びC巡査部長から,暴力団員である知人のDを被疑者とする覚せい剤取締法違反被疑事件について参考人として取り調べられた際、A、B警部補及びC巡査部長と共謀の上、C巡査部長において、「Aが、Dが覚せい剤を持っているのを見た。Dの見せてきたカバンの中身をAがのぞき込むと、中には、ティッシュにくるまれた白色の結晶粉末が入った透明のチャック付きポリ袋1袋とオレンジ色のキャップが付いた注射器1本があった」などの虚偽の内容が記載されたAを供述者とする供述調書1通を作成し、他人の刑事事件に関する証拠を偽造したという事案において、前記行為は、単に参考人として捜査官に対して虚偽の供述をし、それが供述調書に録取されたという事案とは異なり、作成名義人であるC巡査部長を含む被告人ら4名が共同して虚偽の内容が記載された証拠を新たに作り出したものといえ、刑法104条の証拠を偽造した罪に当たるとし、被告人について、A、B警部補及びC巡査部長との共同正犯が成立するとした原審の判断は正当であるとして、上告を棄却した事例。
2016.04.12
供託金払渡認可義務付等請求事件 
LEX/DB25542292/最高裁判所第一小法廷 平成28年 3月31日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第374号
宅地建物取引業の免許の有効期間が満了した原告(控訴人・上告人)が、宅地建物取引業法25条1項に基づき供託した営業保証金につき,宅地建物取引業法30条1項に基づき取戻請求をしたところ、東京法務局供託官から、本件保証金の取戻請求権の消滅時効が完成しているとして、上記取戻請求を却下する旨の決定を受けたため、被告(被控訴人・被上告人。国)を相手に、本件却下決定の取消し及び上記取戻請求に対する払渡認可決定の義務付けを求め、原審は、原告の本件却下決定の取消請求を棄却し、本件保証金の払渡認可決定の義務付けの訴えを却下すべきものとしたため、原告が上告した事案において、原告につき宅建業の免許の有効期間が満了し本件保証金の取戻事由が発生したのは平成10年4月1日であるところ、その後原告は取戻公告をしていないため、本件取戻請求権の消滅時効は同日から10年を経過した時から進行し、本件保証金の取戻請求がされたのはその約5年6か月後である同25年9月20日であるから、本件取戻請求権の消滅時効が完成していないことは明らかであるとし、原審の判断には法令違反があるため、原判決を破棄し、本件却下決定は取り消されるべきものであり、上記義務付けの訴えは適法であり、東京法務局供託官が本件保証金の払渡認可決定をすべきであることも明らかで、原告の請求はいずれも理由があるとし、上記取消請求を棄却し上記義務付けの訴えを却下した第1審判決を取消した上、その請求をいずれも認容することとした事例。
2016.04.12
地位確認等請求事件(野村證券の社員解雇無効)
LEX/DB25542267/東京地方裁判所 平成28年 2月26日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第29263号
被告(有価証券の売買の媒介、取次ぎ及び代理、有価証券の引受け及び売出し、有価証券の募集及び売出しの取扱い等を目的とする株式会社)との間で労働契約を締結していた原告が、被告に対し、被告による平成24年6月29日付け懲戒解雇は無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、労働契約に基づき、平成24年7月1日から同月31日までの間の月例賃金の残金、同年8月1日以降の月例賃金及び平成25年以降の賞与並びにこれらに対する遅延損害金の各支払を求め、また、上記懲戒解雇が原告に対する不法行為を構成すると主張して、民法709条に基づき、慰謝料1000万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件訴えのうち本判決確定後の月例賃金及び賞与の各請求に係る部分は不適法であるとして各支払請求に係る部分を却下し、原告が、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認し、原告の請求を一部認容した事例。
2016.04.12
現住建造物等放火,殺人,殺人未遂被告事件(大阪パチンコ店放火殺人事件) 
LEX/DB25447874/最高裁判所第三小法廷 平成28年 2月23日 判決 (上告審)/平成25年(あ)第1329号
勤務の内容や条件が期待どおりでなかったことから、仕事を辞め就職活動を続けていたものの、新たな仕事が見付からず、借金の申込みもままならず、生活に行き詰まりを感じていた被告人が、精神障害の症状により妄想上の人物らの声を聞くなどの体験があったことから、そのような状況に追い込まれたのはそうした人物らの嫌がらせのせいであると考えるようになり、これを黙認して放置している世間の人に対する仕返しとして、営業中のパチンコ店に放火して客や店員等を殺害しようと決意し、大阪市内のパチンコ店において、ガソリンスタンドで購入したガソリンをバケツに移し替えるなどの準備を整えた上で、これを店内に持ち込み床にまいて点火し、同店を全焼させるとともに、店内にいた客ら5名を焼死させるなどして殺害し、10名に熱傷等の重軽傷を負わせたという現住建造物等放火、殺人、殺人未遂の事件で、第1審及び第2審判決は、被告人に対し死刑を言い渡したため、被告人が上告した事案において、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑を是認せざるを得ないとして、上告を棄却した事例。
2016.04.12
法人税更正処分取消等請求控訴事件(株式会社デンソーVS国) 
LEX/DB25542132/名古屋高等裁判所 平成28年 2月10日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第91号
内国法人である一審原告が、平成20年3月期及び平成21年3月期各事業年度の法人税の各確定申告をしたところ、処分行政庁から、租税特別措置法66条の6第1項(タックスヘイブン対策税制)により、シンガポール共和国において設立された一審原告の子会社の課税対象留保金額に相当する金額が一審原告の上記各事業年度の所得金額の計算上益金の額に算入されるなどとして、平成22年6月28日付けで上記各事業年度の法人税の更正処分及び平成20年3月期の法人税に係る過少申告加算税賦課決定処分を受けた上、平成24年6月22日付け及び平成25年2月28日付けで平成21年3月期の法人税の各再更正処分を受けたため、一審被告(国)に対し、上記各更正ないし再更正処分のうち一審原告主張金額を超える部分及び上記賦課決定処分の取消しを求め、原審は、一部認容・一部却下したため、一審原告及び一審被告双方が控訴した事案において、原判決中一審原告の請求を認容した部分は不当であるとし、一審被告の控訴に基づき、原判決中、一審被告敗訴部分を取り消し、同部分に関する一審原告の請求を棄却し、一審原告の控訴は失当であるとし、棄却した事例。
2016.04.12
法人税更正処分取消等請求事件(株式会社デンソーVS国(平成28年2月10日名古屋高裁(平成26年(行コ)第91号)の原審))
LEX/DB25542131/名古屋地方裁判所 平成26年 9月 4日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第116号
内国法人である原告が、平成20年3月期及び平成21年3月期各事業年度の法人税の各確定申告をしたところ、処分行政庁から、租税特別措置法66条の6第1項(タックスヘイブン対策税制)により、シンガポール共和国において設立された原告の子会社の課税対象留保金額に相当する金額が原告の上記各事業年度の所得金額の計算上益金の額に算入されるなどとして、平成22年6月28日付けで上記各事業年度の法人税の更正処分及び平成20年3月期の法人税に係る過少申告加算税賦課決定処分を受けた上、平成24年6月22日付け及び平成25年2月28日付けで平成21年3月期の法人税の各再更正処分を受けたため、被告(国)に対し、上記各更正ないし再更正処分のうち原告主張金額を超える部分及び上記賦課決定処分の取消しを求めた事案において、本件訴えのうち、〔1〕平成21年3月期第1次更正処分について取消しを求める部分、〔2〕第2次更正処分について取消しを求める部分、〔3〕第4次更正処分のうち所得金額マイナス688億6903万1633円を超えない部分及び翌期へ繰り越す欠損金688億6903万1633円を超える部分の取消しを求める部分はいずれも不適法であるからこれを却下し、原告のその余の請求はいずれも理由があるとして、認容した事例。
2016.04.12
投稿記事削除仮処分保全異議申立事件
(逮捕歴「忘れられる権利」認定 検索結果の削除決定)
LEX/DB25542268/さいたま地方裁判所 平成27年12月22日 決定 (第一審)/平成27年(モ)第25159号
グーグル検索で債権者の住所の県名と氏名を入力して検索すると、3年余り前の児童買春の罪での逮捕歴に関する記事が検索結果の表示により、債権者は、「更生を妨げられない利益」が違法に侵害されているから、人格権に基づく妨害排除又は妨害予防の請求として検索結果の削除請求権を有すると主張し、民事保全法23条2項の仮の地位を定める仮処分として、検索結果の削除を求める仮処分の申立てをし、原決定が、債権者の主張を認め、人格権に基づき検索エンジンの管理者である債務者に対し検索結果の削除を求めることができ、検索結果が今後表示し続けられることにより回復困難な著しい損害を被るおそれがあるとして、検索結果を仮に削除することを債務者に命じたため、債務者が、原決定の取消しを求めて保全異議を申し立てた事案において、検索結果のリンク先ウェブサイトが3年以上前から発信されているものであり、検索結果としても相当長期間表示されてきたものであるからといって、保全処分による必要性や緊急性が否定されると考えるのは背理であり、債務者の主張はあたらないとし、債権者の検索結果の削除を求める仮処分の申立てを認可した事例。