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2016.09.20
損害賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」H28.9月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543234/金沢地方裁判所 平成28年 2月 5日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第276号
金沢市庁舎前広場を利用して軍事パレードの中止を求める集会を開催するべく行われた許可申請に対し、平成26年5月14日付けで金沢市長によってなされた不許可処分について、集会の参加予定者であった原告らが、本件不許可処分は金沢市長の職務上の義務に違反した違憲・違法な処分であるとして、国家賠償法1条1項に基づき、被告(金沢市)に対し、原告平和運動センターに対して1460円(他の集会開催場所を用意するために要した費用)及びこれに対する集会予定日である同月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うよう請求するとともに(請求1),原告ら各自に対して21万円(慰謝料ないし表現行為が制約されるという無形の損害)及び2万1000円(弁護士費用)並びにこれらに対する本件不許可処分の日である同月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金をそれぞれ支払うよう請求した(請求2及び3)事案において、原告らの請求はいずれも理由がないとして、棄却した事例。
2016.09.13
雇用契約上の地位の確認等請求事件 
LEX/DB25543281/富山地方裁判所 平成28年 6月29日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第12号
被告(国立大学法人)が運営する大学に任期を10年とする教授として勤務していた原告が、被告に対し、原告が再任を拒否されたことにつき、原告と被告との間の雇用契約は労働契約法19条により更新されたものとみなされる等と主張して、原告が被告に対して雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、同雇用契約による賃金及び遅延損害金、不法行為に基づく慰謝料等を求めた事案において、被告の裁量権を逸脱し又は濫用したものと認めることはできないとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2016.09.13
損害賠償請求事件(安愚楽牧場 元役員らに賠償命令) 
LEX/DB25543254/大阪地方裁判所 平成28年 5月30日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第11451号
原告らが、Aとの間で、Aが所有又は管理する黒毛和種の繁殖牛を購入すると同時にその飼養を委託するという黒毛和種牛・飼養委託契約を締結し、一定期間後にAが原告らから同繁殖牛を再売買するという合意のもと、購入及び委託代金を支払ったところ、Aが破綻したために再売買をして代金の支払を受けることができなかったことにつき、本件契約は特定商品預託法4条1項及び出資法2条1項に違反して違法である、又はAが原告らに対し、本件契約締結時にAが債務超過であることやAが所有又は管理する繁殖牛が本件契約頭数を大幅に下回ること等を説明しなかったことが説明義務違反に当たり、いずれも不法行為に該当するところ、被告らには、Aの経営に必要不可欠な関連会社として、又はA若しくはその関連会社の役員として、Aの前記不法行為に積極的に加担し、又は援助助長した点に注意義務違反及び任務懈怠があったとして、被告らに対し、共同不法行為(民法719条1項)及び会社法429条1項に基づき損害賠償金の支払を求めた事案において、Aの監査役及び取締役に対する請求を一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2016.09.06
投稿記事削除仮処分決定認可決定に対する保全抗告事件 
「新・判例解説Watch」H28.10月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543332/東京高等裁判所 平成28年 7月12日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第192号
インターネット上で抗告人(債務者。グーグル)が提供する検索サービスにおいて、検索語として相手方の住所の県名及び氏名を入力して検索すると、検索結果として、相手方(債権者)が平成23年7月に犯した児童買春行為に係る逮捕歴を含む内容のものが複数表示されることについて、相手方(債権者)が、人格権を被保全権利として、その侵害排除請求権に基づき、民事保全法23条2項の仮の地位を定める仮処分として、上記検索結果の削除を命じる仮処分命令の申立てをし、原審は、平成27年6月25日付けで、本件申立てを認容する仮処分決定を発令し、これに対して抗告人が申し立てた保全異議に対しても、同年12月22日付けで、仮処分決定を認可する原決定をしたため、これらを不服とする抗告人が、原決定及び仮処分決定をいずれも取消した上で本件申立てを却下することを求めて抗告した事案において、現時点において、上記検索結果の削除又は非表示措置を求める保全の必要性があるとは認められないとして、原決定及び仮処分決定をいずれも取消し、本件申立てを却下した事例。
2016.09.06
損害賠償請求控訴事件(オリンパス粉飾決算事件 2審も賠償命令) 
LEX/DB25543406/大阪高等裁判所 平成28年 6月29日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第2577号
一審原告らは、原審で、一審被告O社の株式を取得した一審原告らが、一審被告において提出し、公衆の縦覧に供された平成13年3月期~平成24年3月期第1四半期に係る各有価証券報告書及び四半期報告書に、連結純資産額について約500億円~約1200億円を嵩上げする等の虚偽記載があったことにより損害を被ったと主張して、民法709条又は一審原告P3及び一審原告P9が平成23年5月以降に取得したO社株式については、平成26年5月30日法律第44号附則2条による改正前の金融商品取引法21条の2による損害賠償請求権に基づき、原判決別紙損害等一覧表の「請求額」記載の各金員及び同各金員に対する遅延損害金の支払を求め、原判決が、一審原告P1につき100万6720円、一審原告P2につき153万8240円、一審原告P3に対し、732万6264円、一審原告P4につき268万9764円、一審原告P5につき363万2200円、一審原告O興業につき33万0220円,一審原告E社につき33万0220円、一審原告P7につき30万6625円、一審原告P8につき16万7103円、一審原告P9につき164万1772円、一審原告P10に対し、188万1440円、及びこれに対する各遅延損害金の各支払請求の限度で認容し、その余の請求を棄却したところ、一審原告らが、原判決の一審原告ら敗訴部分を不服とし、一審被告が、原判決の一審被告敗訴部分を不服として、控訴した事案において、原判決を変更し、一審原告らは、一審被告に対し、民法709条による損害賠償請求権に基づき、一審原告らの各請求を主文第1項の(1)~(11)の限度で認容し、その余の請求をいずれも棄却した事例。
2016.09.06
損害賠償請求事件(日本振興銀行元会長に5億円賠償命令) 
LEX/DB25543331/東京地方裁判所 平成28年 5月19日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第23844号
整理回収業務を行う原告が、破綻したN銀行の取締役であった被告に対しN銀行が平成22年3月に実行したSMEGへの融資について,被告がそれを承認し実行させたことには善管注意義務違反、忠実義務違反があり、当該義務違反行為にN銀行には10億5009万2056円の損害が発生したが、原告は、かかる損害賠償請求債権をN銀行から譲り受けたとして、会社法423条に基づき、上記損害金の一部である5億円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告は、SMEGの経営状況、資産状態等について十分な調査、検討を行うことなく、その安全性について十分な確認をしないまま本件融資を承認したものであり、この点からしても、被告には善管注意義務違反,忠実義務違反が認められるとして、原告の請求を認容した事例。
2016.08.30
給与減額処分取消等請求事件 
「新・判例解説Watch」H28.10中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543334/大阪地方裁判所 平成28年 7月 6日 判決 (第一審)/平成26年(行ウ)第7号
大阪府立高校の教員であった原告が、平成24年度同校卒業式で、同校校長から正門での警備業務を命じられていたにもかかわらず、この職務を無断で放棄した上、式場内に勝手に立入り、持参した丸椅子に座り,国歌斉唱時に起立して斉唱しなかったことを理由に大阪府教育委員会(府教委)から減給1か月の懲戒処分を受けた処分について、同処分が違法であると主張して、その取消しを求めるとともに、被告(大阪府)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、原告が被った精神的苦痛に相当する慰謝料として100万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、府教委の教育長が教職員宛に発出した「入学式及び卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について(通達)」及び同校長が卒業式当日に正門校内外警備・自転車整理の職務が原告に割り当てられた職務命令の違反を理由として原告に対して減給処分をした府教委の判断は、懲戒権者としての裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものとして違法であるいうことはできないなどとして、原告の請求を棄却した事例。
2016.08.30
(カンリ事件(上告審)) 
LEX/DB25543187/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月16日 決定 (上告審)/平成28年(オ)第140号 等
上告人兼申立人(被告、控訴人)の経営する会社で勤務していた被上告人兼相手方(原告、被控訴人)が、上告人兼申立人からその本名である韓国名を名乗るよう他の従業員の前で繰り返し求められ、本件訴えの提起後には勤務内容を不当に変更されるなどしたことにより、人格的利益を侵害され、精神的苦痛を被ったと主張して、上告人兼申立人に対し、不法行為による損害賠償金の支払いを求め、1審が請求を一部認容し、2審が控訴を棄却した事案において、上告を棄却し、上告審として受理しないことを決定した事例。
2016.08.30
営業秘密の使用差止等請求事件(配置薬業界の顧客情報 懸場帳(かけばちょう)訴訟) 
LEX/DB25543186/富山地方裁判所 平成28年 6月15日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第223号
訴外会社から、同社が所持していた医薬品配置販売業における顧客情報を記録した懸場帳と呼ばれる帳簿並びに同懸場帳記載の顧客に係る営業権、配置済医薬品及び使用分に係る売掛金債権等を譲り受けた原告甲社並びに原告甲社からの譲渡先から更に譲渡を受けた原告乙社及び原告丙社が、訴外会社の従業員であった被告に対し、同懸場帳に記録された顧客情報は、不正競争防止法2条6項所定の営業秘密に当たるところ、被告は同条1項4号所定の窃取行為又同条1項7号所定の営業秘密保有者からの提示により取得した同顧客情報を不正の利益を得る目的で又は原告らに損害を加える目的で使用し、原告らにこれがなかったならば得られたであろう利業利益相当の損害等を生じさせた旨主張し、原告乙社及び原告丙社が不正競争防止法3条に基づき営業行為の差止め及び記録媒体の破棄を求め、原告らが不正競争防止法4条及び民法709条に基づき損害金及び遅延損害金の支払いを求めた事案において、同顧客情報は営業秘密には当たらないなどとして、原告らの請求を棄却した事例。
2016.08.30
営業秘密の使用差止等請求事件(配置薬業界の顧客情報 懸場帳(かけばちょう)訴訟) 
LEX/DB25543186/富山地方裁判所 平成28年 6月15日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第223号
訴外会社から、同社が所持していた医薬品配置販売業における顧客情報を記録した懸場帳と呼ばれる帳簿並びに同懸場帳記載の顧客に係る営業権、配置済医薬品及び使用分に係る売掛金債権等を譲り受けた原告甲社並びに原告甲社からの譲渡先から更に譲渡を受けた原告乙社及び原告丙社が、訴外会社の従業員であった被告に対し、同懸場帳に記録された顧客情報は、不正競争防止法2条6項所定の営業秘密に当たるところ、被告は同条1項4号所定の窃取行為又同条1項7号所定の営業秘密保有者からの提示により取得した同顧客情報を不正の利益を得る目的で又は原告らに損害を加える目的で使用し、原告らにこれがなかったならば得られたであろう利業利益相当の損害等を生じさせた旨主張し、原告乙社及び原告丙社が不正競争防止法3条に基づき営業行為の差止め及び記録媒体の破棄を求め、原告らが不正競争防止法4条及び民法709条に基づき損害金及び遅延損害金の支払いを求めた事案において、同顧客情報は営業秘密には当たらないなどとして、原告らの請求を棄却した事例。
2016.08.23
地位確認等請求控訴事件(参院選差し止め訴えは不適法)
LEX/DB25543116/東京高等裁判所 平成28年 6月 2日 判決 (控訴審)/平成28年(行コ)第21号
参議院議員通常選挙の選挙人となることが予定されている原告ら(控訴人)が、参議院選挙区選出議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める公職選挙法の定めは、憲法の定める代議制民主制等に違反しているなどとして、原告らが人口に比例して配分された法律に基づいて投票をすることができる地位にあることの確認等を求めたところ、訴えが却下されたため、控訴した事案において、国会が具体的な選挙制度を決定する前に、裁判所が「平等に配分された状態」を示す具体的な選挙制度の内容等を定め、有権者がそれに基づく選挙権の行使をする権利を有することの確認をするようなことは、三権分立の趣旨に反するとし、控訴を棄却し、追加請求に係る訴えを却下した事例。
2016.08.23
水俣病認定申請棄却処分取消等請求事件(第1事件、第2事件、第3事件)
「新・判例解説Watch」H28.10中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543242/新潟地方裁判所 平成28年 5月30日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第26号 等
新潟市長が、原告q13の公害健康被害の補償等に関する法律5条、4条2項及び3項の規定に基づく水俣病認定申請並びに原告q13を除く原告らの公害健康被害の補償等に関する法律4条2項及び3項の規定に基づく水俣病認定申請をいずれも棄却した各処分に対し、原告らが、被告(新潟市)に対し、上記各処分の取消しを求めるとともに、原告q13が、同法5条,4条2項及び3項に基づき、亡q4が、かかっていた疾病が公害健康被害の補償等に関する法律施行令1条に基づく別表第2の1の新潟県の区域のうち、新潟市の区域に係る水質の汚濁の影響による水俣病である旨の認定を受けることができる者であった旨の決定をすることの義務付けを、原告q13を除く原告らが、同法4条2項及び3項に基づき、同原告らがかかっている疾病が上記区域に係る水質の汚濁の影響による水俣病である旨の認定をすることの義務付けを求めた事案において、〔1〕原告q5、原告q6、原告q7、原告q8、原告q10、原告q11及び原告q12の請求を認容し、〔2〕それ以外の原告らの訴えのうち、公健法上の水俣病認定の義務付け請求に係る部分はいずれも不適法であるとして却下し、その余の請求を棄却した事例。
2016.08.23
損害賠償請求事件(第1事件、第2事件)(野外ライブで落雷死亡 主催者に責任認めず) 
LEX/DB25543324/大阪地方裁判所 平成28年 5月16日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第7807号 等
原告らが、コンサートの企画等を業とする被告らに対し、実質的に被告らが主催する音楽イベントの会場付近で、原告らの娘であるP6が落雷により死亡した事故について、被告らには亡P6を落雷の危険から保護すべき義務の違反ないし債務の不履行等があったと主張して、共同不法行為又は債務不履行に基づき、原告らそれぞれにつき4089万1265円及びこれに対する遅延損害金の支払(被告らは連帯)を求めた事案において、被告らに、上記落雷事故につき亡P6に対する注意義務違反又は債務不履行があったとは認められないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2016.08.23
発信者情報開示請求事件(「他人に成り済まされない権利」 アイデンティティー権 認定) 
LEX/DB25543323/大阪地方裁判所 平成28年 2月 8日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第10086号
第三者が原告になりすましてインターネット上の掲示板に投稿したことによりアイデンティティ権、プライバシー権ないし肖像権を侵害され、又は、名誉を毀損されたとする原告が、上記投稿をした者(発信者)に対する損害賠償請求権の行使のために、発信者にインターネットサービスを提供した被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、発信者の氏名又は名称、住所及び電子メールアドレスの開示を求めた事案において、上記投稿により原告の権利が侵害されたことが明らかであると認めることはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2016.08.16
管轄移転の請求事件(沖縄の女性殺害 東京地裁への移管認めず) 
LEX/DB25448102/最高裁判所第二小法廷 平成28年 8月 1日 決定 /平成28年(す)第398号
米軍属である申立人が那覇地方裁判所に起訴されている強姦致死、殺人、死体遺棄被告事件について、沖縄県内で、米軍基地やいわゆる日米地位協定の問題と絡めて、大々的に報道され、また、広範な抗議活動が行われたことから、沖縄県民にあっては、被告人の自白内容、自白を補強する物証等の存在を知り、被告人が有罪との心証を有しているだけでなく、被告人を厳罰に処すべきとの予断を持つに至っているところ、そのような県民の中から裁判員を選任しなくてはならないことなどからすると、那覇地方裁判所において公平な裁判を行うことは不可能であるなどとして、東京地方裁判所への管轄の移転を請求した事案において、刑事訴訟法17条1項2号にいう「裁判の公平を維持することができない虞があるとき」に当たらないとし、本件請求を棄却した事例(補足意見がある)。
2016.08.16
ヘイトデモ禁止仮処分命令申立事件(川崎市ヘイトデモ禁止仮処分命令申立事件決定) 
「新・判例解説Watch」H28.9上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543108/横浜地方裁判所川崎支部 平成28年 6月 2日 決定 (第一審)/平成28年(ヨ)第42号
社会福祉法人の認可を受けた債権者が、債務者に対し、いわゆるヘイトデモ禁止仮処分命令を申し立てた事案において、専ら本邦外出身者に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で、公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し、又は本邦外出身者の名誉を毀損し、若しくは著しく侮辱するなどして、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由に本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する、差別的言動解消法2条に該当する差別的言動は、平穏に生活する人格権に対する違法な侵害行為に当たるものとして不法行為を構成すると解され、また、当該法人の事業所において平穏に事業を行う人格権を侵害する違法性が顕著な場合には、当該法人は、自然人の場合と同様に、人格権に基づく妨害予防請求権として、その差別的言動の事前の差止めを求める権利を有するとして、本件申立てを認容した事例。
2016.08.16
強制わいせつ物陳列、わいせつ電磁的記録等送信頒布、わいせつ電磁的記録媒体頒布被告事件
(ろくでなし子被告に罰金) 
「新・判例解説Watch」H28.9上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543071/東京地方裁判所 平成28年 5月 9日 判決 (第一審)/平成26年(刑わ)第3268号
漫画家兼芸術家である被告人が、アダルトショップにおいて、被告人ほか2名の女性器を象った石膏ようのもの3点を展示したほか、自己の女性器の三次元形状データファイルが保存されたURL情報等を送信し、同データファイルが記録されたCD-Rを発送したとして、わいせつ物陳列やわいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪に問われた事案において、「本件各造形物が、女性器であるとの印象を殊更強く与えるものでなく、それぞれの性的刺激も限定的であることに加えて、本件各造形物に表象された一定の芸術性や思想性による性的刺激の緩和も認められることからすれば、本件各造形物は、主として表現の受領者の好色的興味に訴えるものとは認められないから、刑法175条にいうわいせつ物には該当しない」として、わいせつ物陳列罪については無罪とする一方、「本件各データは、いずれも、女性器の形状を立体的かつ忠実に再現したものであり、それらの形状やその表象方法、データ全体に占める性的部位の割合に照らせば、それぞれの性的刺激の程度が強い上、表現された思想とその表象との関連性を一見して読み取ることは困難であって、芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度もさほど大きく評価できないことからすれば、本件各データは、主として受け手の好色的興味に訴えるものになっているといわざるを得ないから、刑法175条にいうわいせつな電磁的記録に該当する」として、わいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪については有罪とし、罰金40万円を言い渡した事例。
2016.08.16
(東住吉事件執行停止異議申立決定) 
LEX/DB25543253/大阪高等裁判所 平成27年10月26日 決定 (異議審)/平成27年(け)第35号
再審請求人両名からの各再審請求について大阪地方裁判所がした各再審開始決定に対する各即時抗告申立事件に関して、平成27年10月23日大阪高等裁判所がした各刑の執行停止決定に対し、検察官からそれぞれ異議の申立てがあった事案で、原決定の判断手法は、再審の裁判において無罪判決が言い渡される蓋然性に加え、特別抗告審での抗告理由の制限や、身柄保全の必要性、早期釈放の必要性等をも総合考慮した相当なものであり、各事情の評価にも誤りはなく、本件について各刑の執行を停止しないことが正義に反するとの判断も、即時抗告審を自ら担当した原裁判所による合理的な裁量の範囲内として、首肯することができ、さらに、原決定が、各刑の執行を停止するに当たり、各請求人について、指定された住居に居住し、住居変更時には裁判所の許可を受け、海外渡航はせず、逃亡や証拠隠滅はしないことを指定条件としたことも相当であるとして、検察官の各異議の申立てをいずれも棄却した事例。
2016.08.16
(東住吉事件刑の停止決定) 
LEX/DB25543252/大阪高等裁判所 平成27年10月23日 決定 (抗告審)/平成24年(く)第144号
受刑中両名からの各再審請求について、平成24年3月7日大阪地方裁判所がした各再審開始決定に対する各即時抗告申立事件につき、請求人B主任弁護人及び請求人C主任弁護人から、請求人両名についてそれぞれ刑の執行停止を求める申出があった事案において、刑事訴訟法435条6号該当事由があるとした地方裁判所の再審開始決定を高等裁判所が更に事実取調べをした上で維持しており、請求人両名に対して無罪を言い渡すべき蓋然性がより高くなっているといえること、高等裁判所の即時抗告棄却決定に対する不服申立の方法は特別抗告であって、抗告理由が限られていること、請求人らの逮捕以来の身柄拘束期間が約20年と非常に長期に及んでいることに照らすと、請求人両名に対する確定判決に基づく刑の執行を今後も継続することが正義に反する場合に当たるとして、請求人両名に刑の執行停止を決定した事例。
2016.08.16
(東住吉事件再審開始決定に対する即時抗告審) 
LEX/DB25543255/大阪高等裁判所 平成27年10月23日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成24年(く)第144号
各現住建造物放火、殺人、詐欺未遂被告事件につき大阪地方裁判所が請求人Z1に対し平成11年3月30日、請求人Z2に対し同年5月18日、それぞれ言い渡した有罪の確定判決に対する請求人両名からの各再審請求について、平成24年3月7日大阪地方裁判所がした各再審開始決定に対し、検察官が各即時抗告を申し立てた事案において、新証拠が確定審に提出されていれば、各確定判決においてなされたような事実認定には到達しなかったと考えられ、各確定判決の有罪認定には合理的な疑いが生じているというべきであり、原決定の検討判断に不十分な点はあるものの、請求人両名に対し、無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき(刑事訴訟法435条6号)に該当するとして、請求人両名について、それぞれ再審を開始した原決定の判断は、当審の事実取調べの結果により、正当として是認できることが明らかになったといえるとし、本件各即時抗告をいずれも棄却した事例。