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2016.12.20
詐欺未遂被告事件(だまされたふり作戦 二審も「受け子」無罪) 
LEX/DB25544184/名古屋高等裁判所 平成28年 9月21日 判決 (控訴審)/平成28年(う)第161号
被告人が、氏名不詳者らと共謀の上、氏名不詳者がB方に電話をかけ、同人に対し、電話の相手が被害者の息子であり、同人が現金を至急必要としている旨のうそを言い、その旨誤信させて、被害者から現金の交付を受けようとしたが、同人が警察に相談したためその目的を遂げなかった事実につき、無罪が言い渡され、検察官が控訴した事案において、被告人が、警察官から令状を呈示され捜索等を受けている正にその最中に、Eからの電話に対し、荷物が届いているので取りに来るよう告げるなど、詐欺の被害品を受領したことを認識していたのであれば通常考え難い会話をしていることなどにも照らせば、被告人が、郵便物の中身が詐欺の被害金等であるかもしれないと認識していたと認めるには疑問がある等説示した原判決の判断に、誤りはないとし、控訴を棄却した事例。
2016.12.13
電磁的公正証書原本不実記録,同供用被告事件 
LEX/DB25448306/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月 5日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第1197号
被告人(A社代表取締役)が、指定暴力団総長Bが不動産の所有者等になることを隠蔽するため不実の登記をしようと企て、同人及び不動産仲介業者Cと共謀の上、市内の宅地、畑等4筆の土地の真実の買主はBであるのに、A社を名目上の買主として、売主Dとの間で上記各土地の売買契約を締結した上、法務局で、上記各土地のうち3筆につき、売買を原因として、所有権が売主DからA社に移転した旨の内容虚偽の登記申請をするとともに、残りの1筆につき、売買予約を原因として、権利者をA社とする内容虚偽の所有権移転請求権仮登記の申請をして、いずれも虚偽の申立てをし、登記官をして、公正証書の原本として用いられる電磁的記録である登記簿の磁気ディスクにそれぞれその旨不実の記録をさせ、公正証書の原本としての用に供した事案(公訴事実第1)、同市内の原野の真実の買主はBであるのに、A社を名目上の買主として、売主Eとの間で上記原野の売買契約を締結した上、法務局で、上記原野につき、売買を原因として、所有権が売主EからA社に移転した旨の内容虚偽の登記申請をして、虚偽の申立てをし、登記官をして、登記簿の磁気ディスクにその旨不実の記録をさせ、公正証書の原本としての用に供した事案(公訴事実第2)、各土地上に建築された建物につき、所有者を被告人とする表題登記及び所有権保存登記の各登記申請をしたことが虚偽の申立てをしたことに当たり、当該各登記が不実の記録であるなどとして、被告人に電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪が成立するとした事案(公訴事実第3及び第4)の上告審において、各土地の所有権が売主らからBに直接移転した旨の認定を前提に、各登記の申請を虚偽の申立てであるとし、また、各登記が不実の記録に当たるとして第1審判決を破棄し、公訴事実第1及び第2について被告人を有罪とした原判決には、事実を誤認して法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決を破棄し、公訴事実第3及び第4に係る建物に関する表題登記及び所有権保存登記についても、上記と同様の観点から検討すべきものであるところ、第1審判決の挙示する証拠によれば、建物の所有権の帰属に関する第1審判決の事実認定は相当であり、公訴事実第1及び第2について無罪とする一方で、公訴事実第3及び第4について有罪とした第1審判決は、被告人を懲役1年、執行猶予3年を言い渡した量刑判断を含め、これを維持するのが相当であるとした事例。
2016.12.13
損害賠償等、境界確定等請求事件 
LEX/DB25448300/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月 1日 判決 (上告審)/平成27年(受)第477号
地番が838番6の土地の所有者である被上告人が、これを占有する上告人に対し、所有権に基づき、上記土地の一部の明渡し及び上告人が占有を開始した日から上記明渡し済みまでの賃料相当損害金の支払等を求め、本件仮差押えがされた時点で、本件建物とその敷地の一部である838番6の土地が同一の所有者に属していたことにより、本件建物につき法定地上権が成立するか否かが争われ、原審は、本件建物につき法定地上権の成立を否定し、被上告人の土地明渡請求を認容し、賃料相当損害金の支払請求を一部認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件強制競売手続は本件仮差押えが本執行に移行してされたもので、仮差押えの時点では本件建物及び838番6の土地の所有権はいずれもAに属していたから、本件強制競売手続により上告人が本件建物の所有権を取得したことにより、本件建物につき法定地上権が成立したというべきであるとし、原判決中、被上告人の上告人に対する土地明渡請求を認容し、賃料相当損害金の支払請求を一部認容すべきものとした部分は破棄し、成立した法定地上権がその後消滅したか否か等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻しを命じた事例。
2016.12.13
労働契約上の地位確認等請求事件 
LEX/DB25448301/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月 1日 判決 (上告審)/平成27年(受)第589号
上告人(被告・控訴人)との間で有期労働契約を締結し、上告人の運営する短期大学の教員として勤務していた被上告人(原告・被控訴人)が、上告人による雇止めは許されないものであると主張して、上告人を相手に,労働契約上の地位の確認及び雇止め後の賃金の支払を求め、原審は、雇止めの前に行われた2度の雇止めの効力をいずれも否定して労働契約の1年ごとの更新を認めた上で、労働契約が平成26年4月1日から無期労働契約に移行したとして、被上告人の請求をいずれも認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、原判決中、被上告人の労働契約上の地位の確認請求及び平成26年4月1日以降の賃金の支払請求を認容した部分を破棄し、同部分に関する被上告人の請求につき、第1審判決を取り消し、同請求を棄却し、その余の請求に関する原審の判断は是認し、棄却した事例(補足意見がある)。
2016.12.13
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」H29.1月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25544238/大阪地方裁判所堺支部 平成28年11月15日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第1506号
原告が、被告の設置管理する公園を催しの会場として使用するために原告がした使用許可申請に対し、被告市長がした不許可決定は違法であり、これにより原告は、上記催しの実施のために支出した準備費用相当額等の財産的損害及び原告の信頼や名誉の低下等の非財産的損害等を被ったと主張して、被告(松原市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害金の支払等を求めた事案において、上記不許可決定時において、公園をまつりによる使用に供することによって、松原市都市公園条例3条3項3号に定める「公園の管理上支障がある」との事態が生ずることが、客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測されたものということはできないから、上記不許可決定は、上記条例の解釈適用を誤った違法なものというべきであり、このような不許可決定を漫然と行った被告市長には、故意又は過失が認められるというべきであるとして、一部認容した事例。
2016.12.13
保全異議申立決定に対する保全抗告事件 
LEX/DB25448273/知的財産高等裁判所 平成28年11月11日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第10009号
編集著作物たる判例解説雑誌[第4版](本件著作物)の共同著作者の一人である相手方(債権者)が、抗告人(債務者。出版社)が発行しようとしている判例解説雑誌[第5版](本件雑誌)は本件著作物を翻案したものであるから、本件著作物の著作権を侵害するなどと主張して、本件著作物の翻案権並びに二次的著作物の利用に関する原著作物の著作者の権利を介して有する複製権、譲渡権及び貸与権、又は著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)に基づく差止請求権を被保全権利として、抗告人による本件雑誌の複製・頒布等を差し止める旨の仮処分命令を求める申立てをしたところ、地方裁判所が,この申立てを認める仮処分決定をしたため、これを不服とした抗告人が保全異議を申し立てたが、原決定は、本件仮処分決定を認可し、この原決定を不服とした抗告人が、原決定及び本件仮処分決定の取消し並びに本件仮処分申立ての却下を求めた抗告審の事案において、相手方は、本件著作物の著作者でない以上、著作権及び著作者人格権を有しないから、抗告人に対する被保全権利である差止請求権を認められないとし、相手方による本件仮処分申立ては理由を欠き却下し,これを認めた本件仮処分決定及びこれを認可した原決定をいずれも取り消し、本件仮処分申立てを却下した事例。
2016.12.13
国家賠償請求控訴事件
「新・判例解説Watch」H28.12月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25544237/福岡高等裁判所 平成28年11月11日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第335号
死刑確定者として拘置所に拘置されている1審原告P1及び、同人による再審請求に係る弁護人として同人あてに冊子を郵送した弁護士である1審原告P2が、拘置所の職員において上記冊子の内容を検査した上、最終的に同拘置所長が1審原告P1に対し同冊子の閲覧を不許とする処分をしたことにより、1審原告ら相互間における秘密交通権等を侵害された旨主張して、1審被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償としてそれぞれ330万円(慰謝料300万円と弁護士費用30万円の合計)及びこれに対する延損害金の支払を求め、原判決は、それぞれ2万2000円(慰謝料2万円と弁護士費用2000円の合計)及びこれに係る遅延損害金の支払を求める限度において1審原告らの請求を認容し、その余の請求を棄却したところ、1審原告らと1審被告の双方が、上記各敗訴部分を不服として控訴した事案において、原判決は相当であるとして、本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2016.12.06
金融商品取引法違反被告事件 
LEX/DB25448282/最高裁判所第一小法廷 平成28年11月28日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第168号
経済産業省大臣官房審議官として、経済産業大臣の命を受けて、同省商務情報政策局情報通信機器課が所掌する半導体素子、集積回路その他情報通信機器等の部品等に関する事業の発達、改善及び調整等の事務の企画及び立案に参画し、関係事務を総括整理するなどの職務に従事していた被告人が、職務上知り得た情報を利用して、被告人の妻名義で、2社の株券合計8000株を代金合計795万6900円で買い付けたとする金融商品取引法違反被告事件で、原判決が、懲役1年6月(執行猶予3年)、罰金100万円の第1審判決を是認したため、被告人が上告した事案において、会社の意思決定に関する重要事実を内容とする報道がされたとしても、情報源が公にされない限り、金融商品取引法166条1項によるインサイダー取引規制の効力が失われることはないと解すべきであるとし、本件犯罪事実を認定した第1審判決を是認した原判断は正当であるとして、上告を棄却した事例。
2016.12.06
選挙無効請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.1月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543979/広島高等裁判所岡山支部 平成28年10月14日 判決 (第一審)/平成28年(行ケ)第1号
参議院議員通常選挙について、岡山県選挙区の選挙人である原告が、本件定数配分規定は、人口比例に基づいて定数配分をしていない点で、憲法に違反し無効であるから、これに基づき実施された本件選挙の上記選挙区における選挙も無効である旨主張して、選挙無効を求めた事案において、本件選挙は、違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態の下で実施されたものであるが、国会が平成27年改正法を制定するにとどめ、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態を解消しなかったことが、国会の裁量権の限界を超えるものということはできず、本件定数配分規定が、本件選挙の時点で憲法に違反するに至っていたということはできないとし、請求を棄却した事例。
2016.11.29
退職金請求事件(第一事件、第二事件) 
LEX/DB25544105/大阪地方裁判所 平成28年10月25日 判決 (第一審)/ 平成27年(ワ)第5287号 等
被告の教職員であった原告らが、新人事制度が施行され就業規則が変更されたことで退職金が減額となったが、同変更が原告らを拘束しないとして、変更前の規則に基づく退職金と既払退職金との差額及び遅延損害金の支払を求めた事案において、上記就業規則の変更により被る原告らの不利益は大きいものではあるが、他方で、変更を行うべき高度の必要性が認められ、変更後の内容も相当であり、組合等との交渉・説明も行われてきており、その態度も誠実なものであるといえ、上記就業規則の変更は合理的なものであるとして、原告らの請求を棄却した事例。
2016.11.29
決定取消請求事件 
LEX/DB25544104/東京地方裁判所 平成28年 9月 1日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第464号
原告(金融コンサルタント)が、電力会社が公表した公募増資を巡り、同社の増資に関する情報を証券会社営業員から事前に伝えられ、公表前に保有していた電力会社株計200株を約44万円で売却したとして、処分行政庁(金融庁)から、課徴金6万円を納付すべき旨の決定を受けたのに対し、原告は、被告(国)に対し、インサイダー取引には当たらないとして、同決定の取消しを求めた事案において、証券会社営業員がほかの顧客と交わしたメールの内容などから、証券会社営業員が公表前に電力会社の公募増資や公表日を知っていたとは認められないとして、原告の請求を認容した事例。
2016.11.29
固定資産税都市計画税賦課処分取消請求事件(ビル型納骨堂の課税は適法 東京地裁)
LEX/DB25535515/東京地方裁判所 平成28年 5月24日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第414号
曹洞宗を宗派とする宗教法人である原告が、処分行政庁(東京都港都税事務所長)から、原告所有の各土地及び建物に係る平成26年度の固定資産税及び都市計画税の各賦課処分を受けたことに関し、上記建物において納骨堂を運営しており、上記各土地はその敷地であることからすれば、地方税法348条2項3号所定の「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法3条に規定する境内建物及び境内地」に該当し、固定資産税及び都市計画税を賦課することはできないと主張して、被告(東京都)に対し、上記各賦課処分の取消しを求めた事案において、本件非課税対象外部分は、「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内建物及び境内地」に当たるということはできないとし、本件各賦課処分は適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。
2016.11.29
LEX/DB25544206/大阪地方裁判所 平成27年 1月14日 決定 /平成26年(た)第22号
強制わいせつ、強姦被告事件につき、地方裁判所の有罪確定判決に対し、再審の開始を始めた請求人の弁護人が、検察官に対して、本件捜査の開始から再審請求後の補充捜査に至るまでに収集された証拠の全てを開示する旨の証拠開示命令を発せられたいとの申立てをした事案において、本件は、当時中学生であったA及び高校生であったBが、養父である請求人を強姦等の犯人とする供述をし、その後一転してこれが虚偽の供述であったと述べたという特異な事件であり、このような中で弁護人が開示を求める証拠を具体的に特定することは、相当な困難が伴い、ひいては,本件再審請求事件の迅速な判断が阻害されるおそれがあるとし、本件の審理を円滑に進行させるため、訴訟指揮権に基づき、検察官に対し、弁護人に、捜査機関の保管する一切の証拠の一覧表を交付することを命じた事例。
2016.11.22
地位確認等請求控訴事件(定年後再雇用賃下げ「適法」 原告逆転敗訴)
LEX/DB25543977/東京高等裁判所 平成28年11月 2日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第2993号
被告(控訴人。一般貨物自動車運送事業等を目的した会社)を定年により退職した後に、被告との間で有期契約労働者である原告(被控訴人)らが、被告と無期契約労働者との間に不合理な労働条件の相違が存在すると主張して、〔1〕主位的に、当該不合理な労働条件の定めは労働契約法20条により無効であり、原告らには無期契約労働者に関する就業規則等の規定が適用されることになるとして、被告に対し、当該就業規則等の規定が適用される労働契約上の地位に在ることの確認を求めるとともに、その労働契約に基づき,当該就業規則等の規定により支給されるべき賃金と実際に支給された賃金との差額の支払等を求め、〔2〕予備的に、被告が上記労働条件の相違を生じるような嘱託社員就業規則を定め、原告らとの間で有期労働契約(嘱託社員労働契約)を締結し、当該就業規則の規定を適用して、本来支払うべき賃金を支払わなかったことは、労働契約法20条に違反するとともに公序良俗に反して違法であるとして、被告に対し、民法709条に基づき、その差額に相当する額の損害賠償金の支払等を求め、原判決は、原告らの各主位的請求をいずれも認容したので、これを不服とする被告が控訴した事案において、〔1〕原告らの主位的請求につき、原告ら有期労働契約者と無期契約労働者の間で労働条件に相違は、労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情に照らして不合理なものであるということはできず、労働契約法20条に違反するとは認められないとし、〔2〕原告らの予備的請求につき、被告が、原告らと有期労働契約を締結し、定年前と同一の職務に従事させながら、賃金額を20ないし24パーセント程度切り下げたことが社会的に相当性を欠くとはいえず、労働契約法又は公序(民法90条)に反し違法であるとは認められないとして、被告の本件控訴に基づき、原判決を取り消し、原告らの被告に対する各主位的請求及び各予備的請求をいずれも棄却した事例。
2016.11.22
損害賠償等請求本訴事件(第1事件)、損害賠償請求事件(第2事件)、不当利得返還請求事件(第3事件)、債務不存在確認請求反訴事件(第4事件) 
LEX/DB25544075/奈良地方裁判所 平成28年10月26日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第77号 等
原告aが、第1事故及び第2事故により受傷した上、これらの事故が相俟って後遺障害を生じ、かつ、精神障害の治療を要したと主張し、被告らに対し、共同不法行為責任に基づく損害賠償として、両事故が相俟って生じたと主張する損害から既払金を控除した残額818万5279円の連帯支払を求めるとともに、被告cに対し、不法行為責任に基づく損害賠償として、第2事故によって生じたと主張する損害から既払金を控除した残額624万4379円の支払を求めた事案(第1事件)、原告a及び被告bとそれぞれ自動車総合保険契約を締結していた原告fが、〔1〕原告aは、第1事件で虚偽の主張を繰り返し、被告bに対する多額の損害賠償請求を行ったものであり、これは被告b及び原告fに対する不法行為を構成すると主張して、原告aに対し、不法行為責任に基づく損害賠償として、原告aの行動調査に要した費用117万7000円の支払を求めるとともに、〔2〕原告fが原告aとの自動車総合保険契約に基づき支払った金員は原告aの不当利得に当たると主張し、原告aに対し、不当利得返還請求として、27万3750円の支払を求めた事案(第2事件)、被告cと自動車保険契約を締結していた原告dが、第2事故により原告aに人身損害が発生した事実はないから、原告dが上記保険契約に基づき対人賠償保険金として原告aに支払った金員は原告aの不当利得に当たると主張し、原告aに対し、悪意の受益者に対する不当利得返還請求として、322万5437円の支払を求めた事案(第3事件)、被告cが、第2事故により原告aに人身損害が発生した事実はないと主張し、第2事故に基づく被告cの原告aに対する損害賠償義務が存在しないことの確認を求めた事案(第4事件)において、原告aの本訴請求を棄却し、第2事件につき、原告aは、原告fに対し、不法行為責任に基づく損害賠償117万7000円及び不当利得返還請求27万3750円の支払を命じ、第3事件につき、原告aは、原告dに対し、不当利得返還請求として322万5437円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じた事例。
2016.11.22
氏名権侵害妨害排除等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.1月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25544090/東京地方裁判所 平成28年10月11日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第5802号
被告の設置する中高一貫校の教員である原告が、業務に当たり通称として婚姻前の氏を使用することを希望したにもかかわらず、被告により戸籍上の氏を使用することを強制されたと主張して、被告に対し、人格権に基づき、時間割表等において原告の氏名として婚姻前の氏名を使用することを求めるとともに、人格権侵害の不法行為又は労働契約法上の付随義務違反による損害賠償請求権に基づき、慰謝料の支払等を求めた事案において、職場という集団が関わる場面において職員を識別し、特定するものとして戸籍上の氏の使用を求めた行為をもって不法行為と認めることはできず、また、違法な人格権の侵害であると評価することもできないとし、仮に、被告の上記行為が業務命令に該当するとしても、原告が婚姻前の氏を使用することができないことの不利益を考慮してもなお、当該業務命令の適法性を基礎付けるに足りる合理性、必要性が存するというべきであるとし、被告が労働契約法上の付随義務に違反したとは認められないとして、原告の請求を棄却した事例。
2016.11.22
株式価格決定申立事件 
LEX/DB25544091/静岡地方裁判所沼津支部 平成28年10月 7日 決定 (第一審)/平成27年(ヒ)第4号 等
利害関係参加人が、対象会社の特別支配株主として、対象会社の株主(利害関係人及び対象会社を除く。)の全員に対して、会社法179条1項に基づく株式売渡請求を行ったところ、売渡株主である申立人らがその所有していた対象会社の普通株式について売買価格の決定の申立て(会社法179条の8第1項)を行った事案において、対象会社の普通株式の売買価格として決定すべき価格を公開買付けの価格と同額とするのが相当であるとし、申立人らが有する対象会社の普通株式の売買価格を1株あたり370円と定めた事例。
2016.11.15
間接強制の申立事件 
LEX/DB25543836/東京家庭裁判所 平成28年10月 4日 決定 (第一審)/平成28年(家ロ)第374号
債務者(夫・同居親)が、確定決定に従わず、長女である未成年者(12歳)との第1回面会交流に応じなかったため、債権者(妻・別居親)は、次回の面会につき履行勧告の申立てをしたが、債務者は確定決定に従わなかったため、債権者は本件申立てをした事案において、債務者は債権者に対し、速やかに未成年者との面会を認めるべき義務があることは明らかであるところ、もはや任意の履行を期待することは困難な状況にあることから、間接強制の方法によって実現を図る必要及び理由があり、債務者の資力その他を考慮し、民事執行法172条1項により、間接強制の方法として、未成年者と面会交流を命じ、債務者が面会を履行しないときは、債権者に対し、不履行1回につき100万円の割合による金員の支払を命じた事例。
2016.11.15
損害賠償請求事件 
LEX/DB25543851/宇都宮地方裁判所 平成28年 9月15日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第173号
被告(建設会社)のために施工図作成業務を行っていた亡Gが、被告が元請であった会社の技術研究所の現場事務所で倒れているのを発見され、脳幹出血で死亡し、亡Gの相続人である原告らは、亡Gは被告の労働者であり、被告は亡Gに対し安全配慮義務を負っているところ、これを怠ったため亡Gは死亡したとして、債務不履行に基づく損害賠償として、亡Gの妻である原告Aが1688万5680円及び遅延損害金の支払、亡Gの子である原告B、同C、同D及び同Eが、それぞれ1556万3518円及び遅延損害金の支払を求めた事案において、原告らの請求を一部認容した事例。
2016.11.15
面会交流審判に対する抗告事件 
LEX/DB25543835/東京高等裁判所 平成28年 4月14日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第142号
妻である原審申立人が、夫である原審相手方との間にもうけた長女である未成年者(12歳)について、その監護をしている原審相手方に対して面会交流を求めたところ、原審判が、未成年者の福祉に配慮し、月1回5時間の面会交流を実施し、手紙による通信及び贈り物を送ることを認めたことに対し、双方が抗告した事案において、原審判を一部変更し、(1)当事者や未成年者の病気や未成年者の学校行事等やむを得ない事情により、日程を変更する必要が生じたときは、上記事情が生じた当事者が、他方当事者に対し、速やかにその理由と共にその旨を電子メールによって通知し、原審申立人及び原審相手方は、未成年者の福祉を考慮して代替日を決める。(2)原審相手方は、原審申立人が、未成年者に対し、原審相手方の勤務する事務所を送付先とする方法によって、社会的に相当な範囲内の贈り物を送付することを妨げてはならず、原審申立人が未成年者宛てに送付した贈り物を受領した時は、速やかに当該贈り物を未成年者に交付しなければならないとした事例。