2017.10.17
業務上過失致死被告事件
LEX/DB25448933/東京高等裁判所 平成29年 9月20日 判決 (控訴審)/平成29年(う)第344号
A社が運営していた天竜川の舟下り事業において、旅客船の運航中に、噴流の発生していた流域を通過する際、噴流等の影響により、舳先が180度右転回したため、船頭が旅客船を上流に遡らせようとしたところ、上流からの強い流れに押されて遡上できずに左岸方向に斜航し、左岸岸壁に旅客船を衝突させて転覆させ、乗船していた乗客4名及び船頭1名の計5名を溺死させたという業務上過失致死の罪で起訴され、原判決は、舟下り事業の安全統括管理者兼運行管理者であったBを禁錮2年6月に、船頭主任及び運航管理補助者であった被告人を禁錮2年6月に、舳乗り船頭であったDを禁錮3年にそれぞれ処し、それぞれに執行猶予4年を言い渡したため、被告人が控訴した事案において、二人の船頭の適切な状況判断や操船があったといえるかはさておき、被告人の立場からは、本件噴流等の影響によって旅客船の舳先が振られ、安全に操船することが困難な状態になったために転覆してしまうことについての現実的な危険性を認識し得なかったものと考えるのが相当であるとし、被告人には本件転覆事故について注意義務違反を認めることはできないとして、原判決を破棄し、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。




















