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2017.02.28
立替金等請求本訴、不当利得返還請求反訴事件 
「新・判例解説Watch」H29.5月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448465/最高裁判所第三小法廷 平成29年 2月21日 判決 (上告審)/平成27年(受)第659号
被上告人(信販会社。原告・控訴人)が、上告人ら(被告・被控訴人)に対し、被上告人の加盟店であったA社との間で宝飾品等の売買契約を締結したとして、被上告人との間で購入代金に係る立替払契約に基づく未払金の支払等を求めた事案(本訴)、上告人Y2が、被上告人に対し、割賦販売法35条の3の13第1項により上記立替払契約の申込みの意思表示を取消したこと等を理由として、不当利得返還請求権に基づき、上記立替払契約に基づく既払金の返還等を求めた事案(反訴)した。(本件反訴は、原審で提起され、その後、上告人Y2に対する本訴は、取り下げられた。)上記立替払契約のうち、平成20年法律第74号の施行日である平成21年12月1日以降に締結されたものについては、割賦販売法35条の3の13第1項により立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことができるか否かが、同日より前に締結されたものについては、改正法による改正前の割賦販売法30条の4第1項により本件販売業者に対して生じている売買契約の無効等の事由をもって被上告人に対抗することが信義則に反するか否かが争われ、改正前契約に係る売買契約は民法93条ただし書又は民法94条1項により無効であるとし、被上告人の本訴請求を認容し、上告人Y2の反訴請求を棄却したため、上告人らが上告した事案において、個別信用購入あっせんで、販売業者が名義上の購入者となることを依頼する際にした上告人らに対する告知の内容は、割賦販売法35条の3の13第1項6号にいう「購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」に当たるとして、原判決を破棄し、高等裁判所に差し戻しを命じた事例(反対意見がある)。
2017.02.28
建築変更確認取消裁決取消請求事件(基本事件) 
LEX/DB25544864/東京地方裁判所 平成29年 2月 7日 決定 (第一審)/平成28年(行ウ)第192号
基本事件原告ら(被参加人及び異議申立人N社)が、東京都文京区の土地上に建築を計画しているマンションにつき、指定確認検査機関である株式会社都市居住評価センターが建築変更確認処分をしたのに対し、上記マンションの周辺住民らがその取消しを求めて審査請求をしたところ,東京都建築審査会が本件マンションの計画は東京都建築安全条例32条6号に違反するから本件処分は違法であるとして同処分を取り消す旨の裁決をしたため、基本事件被告(異議申立人東京都)に対し、本件裁決は適正手続に違反するとともに判断内容が建築基準法等の法令に違反するものであるとして、本件裁決の取消しを求めた基本事件につき、基本事件原告らとの間でマンションの一室を買い受ける旨の売買契約を締結した補助参加申出人が、基本事件について基本事件原告らを補助するために民事訴訟法42条に基づく補助参加の申出をした事案において、補助参加申出人は、民事訴訟法42条にいう「訴訟の結果について利害関係を有する第三者」に当たるものというべきであるとして、補助参加申出人が基本事件原告らを補助するために基本事件に参加することを許可した事例。
2017.02.28
訴訟参加申立事件 
LEX/DB25544865/東京地方裁判所 平成29年 2月 7日 決定 (第一審)/平成28年(行ク)第315号
本案事件原告ら(相手方N社及び同S社)が、東京都文京区の土地上に建築を計画しているマンションにつき、指定確認検査機関であるT社が建築変更確認処分をしたのに対し、マンションの周辺住民らがその取消しを求めて審査請求をしたところ、東京都建築審査会がマンションの計画は東京都建築安全条例32条6号に違反するから本件処分は違法であるとして同処分を取り消す旨の裁決をしたため、本案事件被告に対し、本件裁決は適正手続に違反するとともに判断内容が建築基準法等の法令に違反するものであるとして、本件裁決の取消しを求めた本案事件につき、上記マンションの周辺住民らの一人である参加申立人が、行政事件訴訟法22条1項に基づく訴訟参加を申し立てた事案において、参加申立人は、行政事件訴訟法22条1項にいう「訴訟の結果により権利を害される第三者」に当たるものというべきであるとして、参加申立人を被参加申立人のために訴訟に参加させることとした事例。
2017.02.28
各窃盗被告事件(令状なしのGPS捜査は違法 証拠採用は認める) 
LEX/DB25544851/東京地方裁判所立川支部 平成28年12月22日 決定 (第一審)/平成27年(わ)第470号 等
検察官請求証拠に関して、〔1〕本件各窃盗被告事件の捜査機関が、被告人らの使用車両にGPS端末を取り付け、その位置情報を取得する捜査を行っているところ、本件GPS捜査は、被告人らのプライバシー権等を侵害するから強制処分であるにもかかわらず無令状で行われていること、もしくは仮に強制処分ではないとしても任意捜査の限界を超えていることから違法であり、〔2〕犯罪予防のための警察官の権限や職責に関する警察法2条、警察官職務執行法2条、5条の規定等に照らすと、被告人らが犯行に着手する前に制止せずに泳がせていた捜査は、被告人らの弁解の機会を奪ったことや被害者救済の観点等から違法であるとして、いずれも令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、本件各証拠は,上記違法捜査によって得られた証拠及び派生的証拠であって、これらを証拠として許容することは将来における違法捜査抑制の見地からして相当でないから、証拠能力がなく、証拠として採用すべきではない旨を被告人両名の弁護人が主張した事案において、本件GPS捜査に令状主義の精神を没却するような重大な違法はないから、弁護人ら指摘の本件各証拠の証拠能力は否定されないとして、証拠の採用を決定した事例。
2017.02.28
損害賠償請求事件(「阪神Vで単位付与」虚偽の投稿で学生に賠償命令) 
LEX/DB25448453/大阪地方裁判所 平成28年11月30日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第4852号
大学教授である原告が、講義時に「阪神タイガースが優勝すれば無条件で単位を与える。」という発言をしていないのに、大学生である被告により、原告が本件発言をした旨をツイッターに投稿され、それがインターネット上で広く取り上げられたために精神的苦痛を被ったと主張して、被告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき,慰謝料の支払を求めた事案において、被告の本件投稿により、原告が本件発言をしたという虚偽の情報がインターネット上で広がり、原告に権利侵害及び損害が生じたことが認められるとして、原告の請求額を減額し、一部認容した事例。
2017.02.21
建築確認処分取消請求事件(横浜市「地下室マンション」建築確認取り消し判決) 
LEX/DB25544848/東京地方裁判所 平成28年11月29日 判決 (第一審)/平成26年(行ウ)第146号
参加人(建設会社)及び訴外甲社らが建築主となって建築する共同住宅(マンション)の建築計画について、被告(指定確認検査機関)が、建築基準法6条1項前段に定める建築確認処分を行ったところ、その近隣に居住する原告らが、本件建築計画は、建築物の高さ制限(建築基準法55条1項)や建築物の基礎の底部が良好な地盤に達することとしなければならない旨(建築基準法施行令38条3項)等を定める建築基準法等の規定に適合していないものであるから本件各建築確認処分は違法であるなどと主張して、その取消しを求めた事案において、原告らの本件変更確認処分の一部の取消請求を認容し、本件訴えのうち、本件各建築確認処分及び本件各変更確認処分1の各取消しを求める部分はいずれも却下し、原告らのその余の請求を棄却した事例。
2017.02.21
環境権等に基づく差止請求事件(第1事件、第2事件) 
「新・判例解説Watch」H29.4月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25544858/大分地方裁判所 平成28年11月11日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第29号 等
大分県由布市湯布院町の塚原地区に居住し又は旅館等の経営をする原告らが、被告会社らの太陽光発電事業計画の実施により、当該土地上にメガソーラー設備が設置されるなどすると、原告らの有する人格権(塚原地区の景観を含む自然環境を享受する権利)及び塚原地区の景観に対する景観利益並びに営業権が侵害されると主張して、被告会社らに対し、それらの権利に基づき、メガソーラー設備の設置等の開発行為等の差止めを求めた事案において、上記開発行為は景観利益を違法に侵害するもので、差止められるべき旨の原告らの主張は理由がないとし、また、原告らの営業権に基づく上記開発行為の差止請求には理由がないとし、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2017.02.21
当選無効請求事件(昨年7月参院選比例代表 「政党なし」は無効票) 
LEX/DB25544649/東京高等裁判所 平成28年11月16日 判決 (第一審)/平成28年(行ケ)第20号
平成28年7月10日施行の参議院議員通常選挙における比例代表選出議員選挙の名簿届出政党等である原告政治団体及び原告政治団体の代表かつ名簿登載者である原告Aが、原告政治団体の得票数は、無効投票として扱われた「なし」票などを有効投票とすれば、本件比例代表選挙において当選した政党のD議員の当選の基礎となった票数を上回るとして、D議員の当選を無効とすることを求めた事案において、なし票については、原告政治団体の有効投票と認めることができないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2017.02.21
不当利得返還等請求事件(TV付賃貸 入居者 受信料支払い義務なし) 
LEX/DB25536965/東京地方裁判所 平成28年10月27日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第36853号
被告(NHK)との間で放送の受信契約を締結して2か月分の受信料を支払った原告が、自分はL社が提供する被告の放送を受信することができる受信設備が設置された部屋に一時的に入居していたにすぎず、放送法64条1項所定の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に当たらず被告との受信契約を締結する義務を負わない者であったから、本件受信契約は公序に反して無効であると主張して、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、被告から未返還の1か月分の受信料相当額の支払を求めた事案において、本件受信契約は、放送法64条1項の要件を充足しない者との間で締結されたものであって同項に反するものであり、公序に反する法律行為として無効であるとし、原告の請求を認容した事例。
2017.02.14
投稿記事削除仮処分決定認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件 
「新・判例解説Watch」H29.7月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448434/最高裁判所第三小法廷 平成29年 1月31日 決定 (許可抗告審)/平成28年(許)第45号
インターネット上で抗告人が提供する検索サービスで、検索語として相手方の住所の県名及び氏名を入力して検索すると、検索結果として、相手方が犯した児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律4条(平成26年法律第79号による改正前)所定の児童買春行為に係る逮捕歴を含む内容のものが複数表示されることについて、相手方が、人格権を被保全権利として、その侵害排除請求権に基づき、民事保全法23条2項の仮の地位を定める仮処分として、上記検索結果の削除を命じる仮処分命令の申立てをしたところ、原審は、本件申立てを認容する本件仮処分決定を発令し、これに対し、抗告人が申し立てた保全異議に対しても、本件仮処分決定を認可する原決定をしたため、これらを不服とする抗告人が、原決定及び本件仮処分決定をいずれも取消した上で本件申立てを却下することを求め抗告した事案において、現時点で、本件検索結果の削除又は非表示措置を求める保全の必要性があるとは認められないとして、原決定及び本件仮処分決定をいずれも取消し、本件申立てを却下した事例。
2017.02.14
措置命令取消等請求事件(断熱フィルムメーカー敗訴 消費者庁の措置命令取消等請求事件) 
LEX/DB25544720/東京地方裁判所 平成28年11月10日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第161号
原告らが、窓ガラスに貼って使用する「シーグフィルム」という名称の商品の販売等を行い、そのリーフレットやウェブページで、本件商品を窓ガラスに貼付すると、夏季における遮熱効果及び冬季における断熱効果があり、冷暖房効率を向上させる旨を具体的な数値を挙げるなどして表示していたところ、消費者庁長官から、本件各表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出がされておらず、不当景品類及び不当表示防止法4条2項により同条1項1号に該当する優良誤認表示とみなされるとして、不当景品類及び不当表示防止法6条に基づき、本件各表示が法に違反するものであることを一般消費者に対して周知徹底すること等を命ずる各措置命令を受けたため、原告らは合理的根拠資料を提出しており、本件各措置命令は違法であるなどと主張して、本件各措置命令の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき、被告(国)に対し、原告らが本件各措置命令により受けたと主張する損害金の一部支払を求めた事案において、本件各措置命令に国家賠償法上の違法があるとはいえなどとして、請求を棄却した事例。
2017.02.14
損害賠償請求事件(受刑者に新聞閲覧禁止は違法) 
LEX/DB25530502/東京地方裁判所 平成27年 6月24日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第17759号
原告が、刑務所に収容されていた期間に同刑務所に備え付けられていた回覧用の日刊新聞紙(以下「備付回覧用新聞」という。)の閲覧を同刑務所職員により制限された行為は違法であると主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料及び遅延損害金の支払を求めた事案で、時事の報道に接する機会の重要性に鑑みれば、刑事施設の長が備付回覧用新聞の閲覧の方法等に関する定めを設けた場合には、当該刑事施設の被収容者はそれに定められたところに沿って備付回覧用新聞を閲覧する機会を与えられるべきであり、国家賠償法1条1項の適用上、法的保護に値する利益となり得るものと解され、法の定める懲罰手続を経ることなく、実質的な懲罰として本件閲覧制限を行うことは、刑務所職員が原告に対して負担する職務上の義務に違背したものとして、同項の適用上違法であることなどを理由に、原告の請求の一部を認容した事例。
2017.02.07
養子縁組無効確認請求事件 
LEX/DB25448430/最高裁判所第三小法廷 平成29年 1月31日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1255号
被上告人ら(亡Aの長女と二女)が、上告人(亡Aの長男であるBとその妻であるCとの間の長男で、亡Aと養子縁組をした)に対して、養子縁組は縁組をする意思を欠くものであると主張して、その無効確認を求め、原審は、養子縁組は専ら相続税の節税のためにされたものであるとした上で、かかる場合は民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとして、被上告人らの請求を認容したため、上告人が上告した事案において、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできないとし、被上告人らの請求を認容した原審の判断には、法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人らの請求を棄却した第1審判決は正当であるとして、被上告人らの控訴を棄却した事例。
2017.02.07
クロレラチラシ配布差止等請求事件 
LEX/DB25448403/最高裁判所第三小法廷 平成29年 1月24日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1050号
適格消費者団体である上告人(原告・被控訴人)が、健康食品の小売販売等を営む会社である被上告人(被告・控訴人)に対し,被上告人が自己の商品の原料の効用等を記載した新聞折込チラシを配布することが、消費者契約の締結について勧誘をするに際し消費者契約法4条1項1号に規定する行為を行うことに当たるとして、被上告人が自ら又は第三者に委託するなどして新聞折込チラシに上記の記載をすることの差止め等を求め、第一審は、上告人の請求を認容したが、控訴審は、消費者契約法12条1項及び2項にいう「勧誘」には不特定多数の消費者に向けて行う働きかけは含まれないところ、本件チラシの配布は新聞を購読する不特定多数の消費者に向けて行う働きかけであるから上記の「勧誘」に当たるとは認められないと判断して、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても、そのことから直ちにその働きかけが消費者契約法12条1項及び2項にいう「勧誘」に当たらないということはできないとした事例。
2017.02.07
特許権侵害差止請求控訴事件  
「新・判例解説Watch」H29.5月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448401/知的財産高等裁判所 平成29年 1月20日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第10046号
「オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤」と称する特許権者の一審原告が、一審被告の製造販売に係る一審被告各製品は、本件特許の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の技術的範囲に属し、かつ、存続期間の延長登録を受けた本件特許権の効力は、一審被告による一審被告各製品の生産、譲渡及び譲渡の申出(生産等)に及ぶ旨主張して、一審被告に対し、一審被告各製品の生産等の差止め及び廃棄を求め、本件特許権の効力が一審被告各製品の生産等に及ぶか否かが争われ、原判決は、その効力が一審被告各製品の生産等には及ばないとして一審原告の請求をいずれも棄却したため、一審原告がこれを不服として控訴した事案において、一審原告の請求を棄却した原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.02.07
損害賠償請求控訴事件(野外コンサート落雷死 原告控訴棄却)
LEX/DB25544618/大阪高等裁判所 平成28年11月10日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第1738号
原告ら(控訴人)が、被告ら(被控訴人)は、音楽イベントについての公演参加契約に付随する安全配慮義務を怠り、本件落雷事故により原告らの娘亡P5を死亡させたと主張して、損害賠償を求めたところ、請求が棄却されたため、控訴した事案において、被告らが亡P5に対して安全配慮義務又は条理上の保護義務を負っていたと認められるのは、当該場所についての利用・管理の状況、先行行為を含む被告らと亡P5との関係、予見可能性の有無やその具体性等の諸般の事情を総合考慮して、被告らに対し、亡P5を落雷の危険から保護する義務を負わせることが相当といえる客観的状況が存在する場合に限られると解させるところ、本件において、被告らが亡P5に対して安全配慮義務及び条理上の保護義務を負っていたとは認められないとし、控訴を棄却した事例。
2017.01.31
各刑の執行猶予の言渡し取消し決定に対する各即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件 
LEX/DB25448397/最高裁判所第二小法廷 平成29年 1月16日 決定 (特別抗告審)/平成29年(し)第8号
申立人(被請求人)が、(1)平成26年1月28日、窃盗罪により懲役2年・執行猶予3年を言い渡され、(2)平成27年5月14日、窃盗未遂罪により懲役1年・保護観察付き執行猶予4年を言い渡され、さらに、(3)平成28年6月から7月の間、3件の窃盗罪で、平成28年11月21日、懲役6月を言い渡された(控訴審係属中)中で、検察官が、前記(1)(2)の各刑の執行猶予の言渡し取消しを請求したところ、原々審は、前記(3)の窃盗3件と同一の事実を認定し、保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いと認め、前記(2)の刑の執行猶予の言渡しを取消し、前記(1)の刑の執行猶予の言渡しを取り消す各原々決定をしたが、各原々決定の謄本を、いずれも検察官と原々審で申立人が選任した弁護人2名のうち主任弁護人に対して送達したものの、申立人に対して送達しなかったことにより、申立人が、前記弁護人2名を原審の弁護人として改めて選任し、各原々決定に対してそれぞれ即時抗告を申し立てたが、原審が、本件各即時抗告をいずれも棄却したため、申立人が特別抗告した事案において、刑事訴訟規則34条は、「裁判の告知は、公判廷においては、宣告によつてこれをし、その他の場合には、裁判書の謄本を送達してこれをしなければならない。但し、特別の定のある場合は、この限りでない。」と規定しているところ、刑の執行猶予の言渡し取消し請求において、同条により刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達を受けるべき者は、検察官及び猶予の言渡しを受けた者(被請求人)であり、また、同謄本が、被請求人の選任した弁護人に対して送達されたからといって、被請求人に対する送達が行われたものと同じ法的な効果は生じないと解するのが相当であるとし、原決定を取り消し、各原々決定の謄本が申立人に対して送達された後、各即時抗告に対する判断が行われるのが相当であるから、各事件を原裁判所である高等裁判所に差し戻しを命じた事例。
2017.01.31
電子マネー不正使用金返還請求事件
(電子マネー不正利用被害 サービス提供会社に賠償命令 東京地裁(平成29年1月18日東京高裁判決の原審)) 
LEX/DB25536610/東京地方裁判所 平成28年 8月30日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第30818号
スマートフォンである携帯電話にインストールされたアプリケーションを用いて被告Y1の提供するプリペイド型電子マネーのサービスを利用し、電子マネーの発行を受けたときの決済方法として被告Y2発行するクレジットカードを利用していた原告が、当該携帯電話を紛失し又は何者かにより窃取されたところ、携帯電話の回線を停止したにもかかわらず、第三者が当該携帯電話を用いてクレジットカード決済により電子マネーを申し込んでその発行を受けたため、原告が当該電子マネーの発行対価を被告Y2に支払ったことについて、原告にはかかる支払義務がないとして、被告Y1がクレジットカード決済により被告Y2から上記発行対価と同額の支払を受けたこと及び被告Y2が原告から同額の支払を受けたことはいずれも法律上の原因のない利得であると主張し、被告らに対し、それぞれ不当利得金の返還を求めるとともに、予備的に、被告Y1がクレジットカードでの決済により電子マネーの発行を行うサービスを提供し、被告Y2が同サービスでクレジットカード決済を行うという役割を担うに当たり、被告らは、電子マネーの不正な発行申込み及び使用によりクレジットカードが不正使用されることを防止する注意義務を共同して負っていたところ、同注意義務に反した結果、原告が電子マネーの発行対価の支払を余儀なくされたと主張して、被告らに対し、それぞれ発行対価相当額の支払を求めた事案において、原告の被告らに対する主位的請求及び予備的請求は、理由がないとして棄却した事例。
2017.01.31
離婚等請求事件 
LEX/DB25544411/千葉家庭裁判所松戸支部 平成28年 3月29日 判決 (第一審)/平成24年(家ホ)第19号
離婚等請求事件の事案において、原告(妻)と被告(夫)の婚姻関係は、共にプライドの高い原告と被告が、事ごとに衝突を繰り返した結果、険悪な状態となって別居するに至り、その後、長女の監護者を巡る紛争を繰り広げるうちに相互不信が募り、遂に破綻するに至ったものと認められるから、婚姻破綻の原因は双方にあり、いずれか一方に特に非があるということはできないから、原告の離婚請求は理由があるが、慰謝料請求は理由がないというべきであると示したほか、長女の親権者については、被告と指定するのが相当であるとして、その理由として、今後、長女が身を置く新しい環境は、長女の健全な成長を願う実の父親が用意する整った環境であり、長女も現在に比べて劣悪な環境に置かれるわけではないことなどを挙げ、原告と長女との面会交流の要領を定め、原告と被告との間の年金分割についての按分割合を定めた事例。
2017.01.24
未払通勤手当請求控訴事件 
LEX/DB25544597/東京高等裁判所 平成28年12月21日 判決 (控訴審)/平成28年(行コ)第243号
控訴人(1審被告。東京都)の非常勤教員であった被控訴人(1審原告)が、2年間の通勤手当に未払分が発生したことにつき、〔1〕主位的に、被控訴人が勤務していた中学校の給与事務担当者等は、通勤手当の金額を適正かつ正確に算出する職務上の注意義務を負っているところ、これに違反し、バス運賃相当分の通勤手当の算出を行わず、その結果、控訴人から被控訴人に対してバス運賃相当分の支給がされず、バス運賃に相当する交通費及び慰謝料に相当する精神的損害を被ったとして、国家賠償法3条1項に基づき、費用負担者である控訴人に対し、相当額の支払を求め、〔2〕予備的に、通勤手当請求権に基づき、費用負担者である控訴人に対し、未払通勤手当の支払を求め、原判決が、主位的請求については、請求額を一部減額したうえで認容し、その余の主位的請求は棄却し、予備的請求については判断を要しないとしたため、控訴人が、敗訴部分を不服として控訴した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。