寄稿

共通ポイントの消費税における「値引き」処理

株式会社TKC 顧問

税理士朝長 英樹

株式会社TKC 顧問 税理士 朝長英樹

2021年10月に、筆者は、当コラムの「ポイント制度における消費税の取扱いの検証」において、共通ポイントの使用時の消費税の処理は「値引き」が行われたという処理に変更するのが正しいという見解を述べましたが、2022年9月25日に、朝日新聞に、国税当局が共通ポイントの使用時の消費税の処理について「値引き」とすることを認めたという記事が掲載されました。
この記事には、ポイントの消費税の処理と2023年10月のインボイス制度への移行との関係についてまでは記載されていませんが、共通ポイントの加盟店においては、顧客がポイントを使用する時の消費税の処理を現在のままとして「値引き」とはせずにインボイス制度に移行するということになると、消費税額が増加することにならざるを得ません。
このため、共通ポイントの加盟店が消費税額を増加させないようにするためには、現在のポイントの消費税の処理について、インボイス制度に移行する時まで(最も遅い場合には、インボイス制度に移行する時)に、「値引き」に変更する、ということが必要となります。
しかし、現状は、インボイス制度への移行のためのシステム変更等については、ある程度まで進んでいると思われるものの、共通ポイントの加盟店におけるポイントの消費税の処理の変更のためのシステム変更等については、そのようなことが必要となるという認識さえ殆どないという実情にあると考えられます。
このような現状を早急に改めなければ、数十万社も存在する共通ポイントの加盟店の多くがインボイス制度への移行と同時に消費税を多く納めるようにならざるを得ないと考えられます。
本コラムでは、このような現状を早急に改善するべく、共通ポイントの従前の処理の「値引き」処理への変更の仕方等について、筆者の意見を述べます。

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