掲載日:2020.08.03

電子申告義務化への実務対応

第1回 電子申告義務化への対応手順

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士 長谷川暢彦

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
税理士 長谷川 暢彦

当コラムでは電子申告義務化への実務対応をテーマに2回に分けて解説します。
第1回は「電子申告義務化への対応手順」として、新たに電子申告に取り組まれる企業の皆様に対し、主に事前準備を中心に解説します。
第2回では「添付書類の電子化対応と他社事例」として、他社の電子申告への取り組み状況、最大の難関である財務諸表等の添付書類の電子化対応、連結納税等のグループ企業において課題となる点などを解説します。

 令和2年4月1日以後に開始する事業年度から資本金等の額が1億円超の法人等について「電子申告の義務化」が開始しました。義務化の制度の内容そのものは割愛し、これから電子申告に取り組む際の事前準備について解説します。

1.電子申告(e-Tax・eLTAX)の概要

(1) 主な利用可能手続き

 国税、地方税ともに各種申告手続き及び申請・届出手続きが可能となっています。地方税については地方公共団体ごとに提供する手続きが少し異なります。なお、都道府県民税・市町村民税・事業税は全ての地方公共団体で受付可能ですので、国税・地方税とも法人が電子申告する環境は整っています。

(2) 電子申告の利用可能時間

 国税の電子申告は、平日24時間利用可能ですが地方税は平日8時30分から24時までとされています。なお、毎月の最終土曜日及び翌日の日曜日については国税、地方税ともに8時30分から24時まで利用可能です。深夜や土日にかかる可能性がある場合には確認しておきましょう。
 また、国税では所得税の確定申告期間、地方税では給与支払報告書や償却資産税の申告期間において、法人税等の税目も土日も受付可能ですので、e-Tax 、eLTAXの各ホームページで確認してください。

(3) 電子申告実施にあたり必要となるもの

 国税、地方税の電子申告実施にあたり必要となるものについて確認します。

国税の電子申告制度

  • 代表者の電子証明書
    最近では代表者から委任された役社員による署名が可能となっています。この場合には代表者の電子署名を付したPDF形式の「電子委任状」が必要となります。なお、経理責任者の電子証明書は法人税等の経理責任者の捺印欄のある税目に限り不要となりました。
  • 利用者識別番号/独自の暗証番号/納税用確認番号
    電子申告の開始手続きの際に発行されますので、大事に保管しましょう。
  • ICカードリーダライタ
    マイナンバーカードのようなカード形式の電子証明書を利用する際に限り必要となります。

地方税の電子申告制度

  • 代表者の電子証明書
    地方税においても代表者から委任された役社員による署名が可能となっています。この場合には任意のフォーマットに必要事項を記入し、代表者印を押印したものをPDF形式にします。委任状への電子署名の付与は必須ではありません。
  • 利用者ID/独自の暗証番号
    文言は異なりますが国税の利用者識別番号のように電子申告開始手続き時に取得できます。
  • ICカードリーダライタ
    国税と同様です。

 なお、顧問税理士が署名をしている場合には、企業側では電子署名を行わず、税理士のみの署名による代理送信ということになります。その場合には事前準備は顧問税理士が済ませていますので、確認するとよいかもしれません。

2.電子申告の準備から実践までの手続き

(1) 手続きの流れ

 国税、地方税で共通の実施事項とそれぞれの実施事項があります。
 具体的には以下の図のような流れになります。やらなければならないことが多く感じますが、一つ一つ行っていけばさほど難しくはありません。
 まずは、国税、地方税に共通することとして電子証明書の取得が必要となります。

(2) 電子証明書

 電子証明書とは電子申告を安全に行うために、本人確認や改ざんの防止等の目的で使用するもので、書面手続きでいう「印鑑」に相当するものです。
 よく使われている電子証明書には以下のようなものがあります。

  • 「商業登記に基づく電子認証制度」の電子証明書
    有効期間:3か月~27か月
  • 「個人番号カード(マイナンバーカード)」
    有効期間:発行の日後5回目の誕生日まで
  • TDB電子認証サービスTypeAに係る認証局が作成する電子証明書
    ICカード格納型
  • TOiNX電子入札対応認証サービスに係る認証局が作成する電子証明書
    ICカード格納型
  • AOSignサービスに係る認証局が作成する電子証明書
    ICカード格納型
  • 法人認証カードサービスに係る「商業登記に基づく電子認証制度」を運営する電子認証登記所が作成する電子証明書
    ICカード格納型
  • 「e-Probatio PS2サービスに係る認証局が」作成する電子証明書
    ICカード格納型

 これらの電子証明書は国税と地方税のどちらの電子申告の電子署名にも利用できます。
 新規に取得する場合には、どの電子証明書を取得するかを決定し、発行元のホームページ等で発行手続きを確認しましょう。
 タイプを大別すると、電子ファイル型、ICカード型になります。ICカード型の場合は、証明書を読み取るためのICカードリーダライタが必要になります。
 証明書の発行手続き・ICカードリーダライタの購入等、時間を要することがありますので、早めの準備が肝要です。
 なお、電子証明書には種類がいくつもありますが、法人が取得する電子証明書で一番主流なのは赤文字の「商業登記に基づく電子認証制度」の電子証明書です。
 電子入札などで既に電子証明書を取得している場合がありますので、自社で電子証明書を取得しているか、関連部署に確認しましょう。

(3) 電子証明書管理規定について

 電子証明書は代表印と同様に管理方法を検討する必要があります。保管する部署はどこか、利用する場合の社内手続きはどうするかについての管理規定を設ける必要があります。印章規定を改定するか、新たに管理規定を作成するか、対応は様々であると思われます。TKCのホームページでも電子証明書管理規定のサンプルを無料ダウンロードできますので、一度ご覧ください。
「電子申告義務化対応ガイドブック」

(4) e-Taxによる申告の特例に係る届出書

 この届出書は、電子申告義務化対象法人が提出するものです。令和2年4月1日以後に開始する事業年度で、資本金等の額が1億円を超えることとなった日から1月以内に所轄税務署に提出することとされています。次の(5)で解説する国税の電子申告のための届出とは別に提出します。電子申告義務化対象法人は提出漏れがないようご注意ください。提出は書面でも構わないことになっています。
 なお、TKCのホームページから入力フォームがダウンロードできるようになっていますので、ご活用ください。
「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」入力フォーム

(5) 国税の電子申告のための届出

 国税の電子申告の利用を開始する法人は開始届出が必要です。開始届出方法は以下の2つです。

  • 国税庁のホームページからオンライン届出 ※e-Taxソフト(WEB版)
  • 「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を税務署へ持参または送付

 ここではオンライン届出 e-Taxソフト(WEB版)利用の流れを見ていきます。

 e-taxホームページの「各ソフト・コーナー」からe-Taxソフト(WEB版)をクリックします。
 初めて利用する場合は「e-Taxソフト(WEB版)を利用するに当たって」の手順を実施してください。
 e-Taxソフト(WEB版)のトップメニュー ※初めてe-Taxを利用される方へ「開始届出書の作成・提出」ボタンから「法人の方」を選択します。

 次に法人名等の届出事項や暗証番号を入力します。
 ここでの留意事項は以下の通りです。

  • 暗証番号(必須)
    国税受付システムにログインするための「独自の暗証番号」を、8桁以上50桁以内で、半角の英小文字・数字を1文字以上使用して登録します。
  • 納税要確認番号(必須)
    任意の半角6桁の数字を登録します。電子納税を行う際の本院確認を行うのに必要となるものです。
  • 納税用カナ氏名・名称(必須)
    電子納税を行う際に、インターネットバンキング等の画面に表示される氏名・名を半角大文字24字以内で入力します。小文字「ッ」や全角文字「ツ」長音符号「-」は利用できません。

 入力確認後送信しますが、送信後すぐに、「利用者識別番号」及び「暗証番号」が画面に表示されます。必ず印刷または保存し、失念することがないようにしてください。
 その後電子申告データを送信するまでに、電子証明書をあらかじめ登録しておく必要があります。TKCシステムをご利用の場合はシステムに電子証明書を登録する機能がありますので、そちらをご利用ください。今後e-Taxソフトを利用する必要はありません。

(6) 地方税の電子申告のための届出

 地方税(eLTAX)の利用届は国税と異なりオンラインのみとなります。
 eLTAXのホームページから画面最上部にある「PCdesk(WEB版)」をクリックします。「事前セットアップが未完了です」とメッセージ表示されますが、閉じて画面左下の利用届出(新規)を選択します。

 利用規約を同意後、納税者(法人)を選択します。
 その後提出先を選びますが、提出先都道府県や市町村が複数ある場合でも、いずれか1つに利用届出を行います。通常は、主たる事務所の都道府県を選びます。
 ※東京都の場合は区を選択しないようにしてください。

 次に法人名等の届出事項や暗証番号を入力します。
 ここでの留意事項は以下の通りです。

  • 連絡先
    eLTAXからのお知らせを受信するe-Mailアドレスを入力します。「送信確認」ボタンを押してテストメールが受信できたら「テストメールの受信を確認しました」をチェックします。
  • 暗証番号
    eLTAXで利用する暗証番号(任意)を入力します。
  • 届出理由
    「eLTAXの利用を開始する」を選択します。
  • 提出先・手続情報
    「利用税目」「提出先事務所等」「事業所又は給与支払者の住所地若しくは課税地」を選択し、「追加ボタン」を押します。

 ※追加ボタンを押さないと「次へ」ボタンが表示されませんのでご留意ください。

 最後に使用する電子証明書を選択します。国税は後日登録可能ですが、地方税は届出時に電子証明書を登録します。
 入力確認後、送信します。送信後すぐに、「利用者ID」及び「暗証番号」が画面に表示されます。必ず印刷または保存し、失念することがないようにしてください。
 なお、国税は即日利用可能ですが地方税は審査完了のメールが届いてから、利用可能となります。早ければ翌日、遅くとも数日以内に審査完了のメールが届きます。

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プロフィール

税理士 長谷川 暢彦(はせがわ たつひこ)
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
電子申告義務化支援プロジェクトリーダー

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税理士法人長谷川&パートナーズ

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