電子納税の最新事情

第1回 国税電子納税の仕組み

更新日 2019.06.17

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TKC全国会 中堅・大企業支援研究会 連結納税システム普及部会会員 税理士 宮﨑純子

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会
連結納税システム普及部会会員
税理士 宮﨑 純子

納税者の利便性向上及び地方税務行政の効率化を図るため、2019年10月より「地方税共通納税システム」による電子納税がスタートします。電子申告と合わせて、申告から納税まで一連の手続きで行い、一度の操作で複数の地方公共団体に対して電子納税が可能となる仕組みです。国税及び地方税の電子申告義務化・普及と共に、電子納税の利用も一層推進されています。当コラムでは国税及び地方税の電子納税に関する最新事情を掲載します。

※2019年6月10日現在の国税庁・地方税共同機構HPで公表されている情報をもとに記載しています。

 電子納税は、国税及び地方税の納付をインターネットで行う手続きです。金融機関の窓口まで出向く必要がないため便利です。ただし、電子納税では領収証書は発行されませんので、領収証書が必要な方は、窓口に納付書を持参して納付を行う必要があります。
 今回は、国税電子納税の仕組みについてご説明します。地方税の電子納税については「第2回いよいよ始まる地方税共通納税システム」でご説明します。

1.国税電子納税の方式

 国税電子納税の方式は、「ダイレクト納付」と「インターネットバンキング等による納付」があります。
 ここでは、「ダイレクト納付」と「インターネットバンキング等による納付」の手続きについてご説明します。

(1) ダイレクト納付

 ダイレクト納付とは、事前に税務署へ届出等(e-Taxの利用開始手続・ダイレクト納付利用届出書の提出)をしておき、e-Taxを利用して電子申告又は納付情報登録をした後に、簡単なクリック操作で即時又は期日を指定して納税を行う方法です。
 届出書の提出から約1か月後、e-Taxメッセージボックスに「ダイレクト納付口座の手続完了に関するお知らせ」が格納され、ダイレクト納付が利用可能となります。
 ダイレクト納付の対象税目及び電子納税の手順は、以下のとおりです。

対象税目

 ダイレクト納付による電子納税は、e-Taxを利用して送信するデータが、申告等データである場合と、納付情報データである場合で、対象税目が異なります。

送信データ 対象税目
申告等データ
(電子申告等)
源泉所得税、法人税、地方法人税、消費税及地方消費税、申告所得税、贈与税、酒税、印紙税、源泉所得税及復興特別所得税、申告所得税及復興特別所得税
納付情報データ
(納付情報登録)
全税目(延滞税、加算税などの附帯税を含む)
出典:国税庁「e-Taxホームページ」一部改変

電子納税の手順

1) 申告等データの作成・送信

 「申告等データ」又は「納付情報データ(※)」を作成し、e-Taxを利用して送信します。
(※)税目、課税期間、申告区分、納付金額等の納付情報データ(納付情報登録依頼)で、利用者識別番号・暗証番号のみで送信することができます。

2) ダイレクト納付の利用

 「申告等データ」又は「納付情報データ」の送信後、メッセージボックスに格納される受信通知を確認し、「今すぐに納付される方」又は「納付日を指定される方」のいずれかを選択します。

3) 納付状況の確認

 納付手続完了後、「ダイレクト納付完了通知」がメッセージボックスに格納されます。納付できなかった場合には、残高不足等の「ダイレクト納付エラー通知」が格納されますので、必ず納付状況(エラー情報)を確認しましょう。納付日を指定して納付する場合は、指定した期日の午前中にメッセージボックスをご確認ください。

(2) インターネットバンキングによる電子納税

 インターネットバンキングによる電子納税には、登録方式(納付情報を登録する方法)と入力方式(納付情報を入力する方法)の2つの方法があります。

登録方式(納付情報を登録する方法)

 e-Taxソフト等を利用して、税目、課税期間、申告区分、納付金額等の納付情報データ(納付情報登録依頼)を作成し、e-Taxに送信して事前に登録します。登録した納付内容に対応する「納付区分番号」がメッセージボックスに格納されますので、インターネットバンキングやATM等から納付する際に、国税庁を表す収納機関番号(00200)、利用者識別番号、納税用確認番号及び納付区分番号を入力して納付します。

入力方式(納付情報を入力する方法)

 入力方式では、事前に納付情報データの登録を行わないため、インターネットバンキングやATM等を利用して納付する際に、収納機関番号、利用者識別番号、納税用確認番号、納付金額及び納付目的コード(税目番号、申告区分コード、元号コード、課税期間を組み合わせた番号)を入力する必要があります。納付目的コードの具体的な作成方法は以下をご参照ください。

「e-Tax 電子納税 入力方式による納税手続」

 登録方式と入力方式の違いは次のとおりです。

  登録方式 入力方式
対象税目 全税目
※申告書等の提出後の受信通知から電子納税を行う場合は、電子申告等が可能な税目の納税に利用が可能です。
申告所得税、法人税、地方法人税、消費税及地方消費税、申告所得税及復興特別所得税
納付可能な税務署 開始届出書を提出した税務署以外の税務署へも納付可能 開始届出書を提出した税務署に限定
納付手段 インターネットバンキング・モバイルバンキング・ATM
出典:国税庁「e-Taxホームページ」一部改変

2.電子納税が可能な金融機関

 ダイレクト納付による電子納税が利用可能な金融機関については、国税庁ホームページ「利用可能金融機関一覧」をご確認ください。

 インターネットバンキング等による電子納税が利用可能な金融機関(インターネットバンキング及びATM等の利用の可否)については、Webサイト「ペイジー」の「どこで使えるの?」をご確認ください。

3.電子納税のサービス時間

 電子納税の利用可能時間は、e-Taxの利用可能時間内で、かつ、金融機関のオンラインサービス提供時間内となります。
 e-Taxの利用可能時間は、平日及び所得税等の確定申告時期は24時間、毎月の最終土日は8時30分から24時までです。

4.電子納税の手数料

 電子納税では、現在の納付書による納税と同様、振替のための手数料は必要ありません。ただし、インターネットバンキングやATM等の利用に当たり、利用のための手数料が必要となる場合もありますので、それぞれの金融機関でご確認ください(ダイレクト納付の利用においては、これらの手数料も必要ありません)。

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税理士 宮﨑 純子(みやざき じゅんこ)

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TKC企業グループ税務システム普及部会会員

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税理士法人土田会計事務所

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