更新日 2013.09.17
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
税理士 岡田 淳
法定調書等の電子提出の義務化にともない、これから電子申告に取り組む方々のために、事前準備から実務の流れまでをわかりやすく解説いたします。
このWEBコラム「電子申告」では、電子申告の"HOWTO"について計6回の連載で解説していきます。これから電子申告を検討されている方、取り組もうとされている方は、是非ご覧ください。
さて、第1回目の今回は、法定調書等の電子提出が義務化されたこと、全国の市区町村で電子申告受付体制が整うことを中心に、電子申告の現状について解説いたします。
1.法定調書等の電子提出が義務化!
平成23年の税制改正により、法定調書の種類ごとに、前々年の提出すべきであった当該法定調書の枚数が1,000枚以上である法定調書については、平成26年1月1日以降、光ディスク等又は国税電子申告・納税システム(以下、e-Tax)による法定調書の提出が義務化されました。まずは国税での義務化です。
これを受けて、平成24年の税制改正では、国税に提出する「給与所得の源泉徴収票」又は「公的年金等の源泉徴収票」について光ディスク等又はe-Taxによる提出が義務付けられる者については、平成26年1月1日以降に市区町村に提出する「給与支払報告書」又は「公的年金等支払報告書」の提出についても、光ディスク等又は地方税電子申告・納税システム(以下、eLTAX)により提出することが義務化されました。国税に続いて、地方税でも義務化されたということですね。
さて、電子での提出手段は、「光ディスク等又はe-Tax、eLTAX」とされていますが、どちらがよいのでしょうか?
光ディスク等では、電子ファイルのコピー誤り、漏れ等のリスクを排除することが難しく、提出先毎に光ディスク等を作成する手間がかかります。また、紙での提出と同様に誤発送、紛失等のリスクがあり、郵送コストがかかります。
一方、電子申告は、極力、人の手を介さず確実に提出業務を行うことができ、郵送コストを削減することができます。
リスク回避、コスト削減の側面から、電子申告を選択されるべきと考えられます。
2.全国どこへでも電子申告ができる!電子申告をはじめましょう。
電子申告は比較的新しい仕組みで、平成16年に国税、平成17年に地方税の電子申告がスタートしました。スタート当初は「法人税だけ電子申告しても、地方税提出先の地方公共団体が電子申告に対応してないからメリットがない。」という話しをよく聞いたものですが、その利便性が実感されるにつれて法人税のe-Tax利用件数は年々増加しています。また、地方税に関しては、電子申告の受付を開始する地方公共団体が年々増加し、平成26年1月時点までに、全国の市区町村で電子申告を受付できる環境が整う予定になっています。全国どこへでも電子申告ができるようになるのです!これは、私達、税理士にとっても喜ばしいことです。
これほど力を入れて、電子申告の環境を整備し普及を図る意義はなんでしょうか?私は次の2点だと考えています。
- 納税者の申告手続きの負担軽減による利便性の向上
- 税務当局の書面処理等の省力化による事務の効率化と高度化
"電子申告により納税者と税務当局双方のメリットを実現する"これが電子申告の意義であり、そのための取組みが継続して行われているということです。
前述の「法定調書等の電子提出義務化」の対象となる場合には当然ですが、対象にならない場合でも「全国どこへでも電子申告ができるようになる」ことは電子申告をはじめる絶好の機会です。
ぜひこの機会に電子申告をはじめましょう。
3.対象税目
(1)国税(平成25年9月現在)
- <申告>
- 所得税、法人税・連結法人税、消費税、印紙税等
- <申請・届出>
- 所得税、法人税・連結法人税等、消費税、法定調書関係、源泉所得税等
(2)地方税(平成25年9月現在)
- <申告、申請・届出等>
- 法人都道府県民税、法人事業税、地方法人特別税、法人市町村民税、固定資産税(償却資産)、個人住民税、事業所税
電子申告をはじめる機会に、どの税目を電子申告するか併せて検討しましょう。
第1回の電子申告の現状についてはここまでにします。次回は、電子申告の業務フローに基づきながら、「電子申告の事前準備」にフォーカスをあてて解説します。
プロフィール
税理士 岡田 淳(おかだ じゅん)
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