TKC全国会 中堅・大企業支援研究会(中大研)

掲載日:2010.11.08

連結納税制度への対応のポイント

第1回 連結納税制度を適用するメリット

税理士・公認会計士 中野伸也 TKC全国会中堅・大企業支援研究会 副代表幹事
税理士・公認会計士 中野伸也
連結納税制度適用の有利・不利判定や、連結納税の承認の申請書の書き方から、連結納税制度適用後の組織再編、子法人のフォローアップ、また、電子申告の実践、タックスプランニングの実行にいたるまで、連結納税制度への対応ポイントを解説します。

1.はじめに

平成22年度の法人税法改正で、連結納税制度が改正されるとともに、グループ法人税制が創設されました。これにより、税務においても単体からグループの視点が導入されたことになります。ご存じの通り、連結納税制度は企業グループを1つの法人とみなして課税する制度です。グループ法人税制とは異なり、100%資本関係にある内国法人のみが対象となります。(グループ法人税制は、トップが個人・外国法人であっても100%資本関係にある内国法人が対象となります。)

このコラムでは、主に連結納税制度を適用するにあたっての注意点を実務的な視点も含めて、以下の10回にわけてご紹介します。

  1. 連結納税制度を適用するメリット
  2. 連結納税制度の有利・不利判定の注意点とシステム化の検討
  3. 連結納税制度導入までのスケジュール(含、申請書の書き方)
  4. 連結納税制度に加入・離脱する法人の税務申告の注意点
  5. 組織再編と連結納税制度
  6. 申告スケジュールと子法人のフォローアップ
  7. 電子申告の実践
  8. 戦略的税務の必要性
  9. 税務ポジションの把握とタックスプランニングの実行
  10.  最後に

2.連結納税の主なメリット

連結納税制度には、以下の5つのメリットがあります。

(1) グループ間の損益の通算(各社の黒字・赤字の相殺)

連結納税制度を適用すると、100%資本会計にある内国法人のグループにおいて、各社の黒字と赤字を相殺できるようになります。例えば、持株会社や研究開発に特化した子会社を設立しており、これらの法人が赤字になりやすい場合、連結納税制度を適用すると、これらの赤字を他の法人の所得と通算できるため、節税効果が生まれます。

(2) 親法人の繰越欠損金の早期解消

平成22年度の税制改正において、一定の条件を満たす子法人の繰越欠損金は、連結納税グループに持ち込めることになりました(特定連結欠損金額)。この繰越欠損金は、連結納税制度においても、自社の所得を上限として控除できます。

これに対し、親法人の繰越欠損金は、連結納税グループ全体で利用できます。つまり、親会社に多額の繰越欠損金があり、黒字の子法人が存在している場合、親会社の繰越欠損金を黒字の子法人が利用できます。これにより、親会社は早期に繰越欠損金を解消し、黒字子法人は、親会社の繰越欠損金を利用することで、節税することができます。

(3) 試験研究費税額控除・外国税額控除の控除限度額の拡大

連結納税制度を適用すると、試験研究費や外国税額控除において控除限度額を拡大できることがあります。例えば、連結納税制度を適用した場合の試験研究費の税額控除限度額は、連結納税グループ全体の連結法人税額の30%(平成21年4月1日から平成23年3月31日までに開始する事業年度)となるため、控除税額の計算ベースである税額が大きくなる分、単体の申告と比較して一般に控除税額が増加すると言えます。そのため、研究開発型の製造業の企業グループでは、試験研究費の税額控除限度額の拡大を目的として、連結納税制度を採用する例が見られます。

(4) 子法人からの受取配当等の益金不算入

連結納税制度を適用した場合、連結子法人からの受取配当等は負債利子が控除不要であり、全額が益金不算入となります。そのため、特に、持株会社を設立している場合、持株会社の収入の大半は、子会社からの受取配当となるため、連結納税制度を適用した場合のメリットは、上記(1)に記載した損益通算と相まって非常に大きいものがあります。

(5) 繰延税金資産の計上

連結納税制度を適用すると、上記(1)、(2)にあるように、連結納税グループ内で所得と繰越欠損金を通算できます。そのため、繰延税金資産の回収可能性の判断においても、その法人の将来課税所得に加えて、他の連結法人の将来課税所得との通算も考慮する必要があります。親法人に巨額の欠損金がある場合、連結納税を選択していなければ欠損金に対する繰延税金資産を計上できない場合でも、グループ全体でその欠損金を早期解消できると判断できれば、欠損金に対する繰延税金資産を計上できます。単体では欠損となる連結子法人でも、他の法人の所得と相殺可能できる一時差異については、繰延税金資産を計上できます。

筆者紹介(中野伸也)

税理士・公認会計士 中野伸也(なかの しんや)

TKC全国会中堅・大企業支援研究会 副代表幹事
TKC連結納税システム推進プロジェクト会員
TKC企業グループ税務システム小委員会委員長

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中野会計事務所

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