今年度(令和6年1月提出期限分) 法定調書の電子化の実務対応

第2回(最終回) 法定調書の電子申告の実務

更新日 2023.12.04

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TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士 宮﨑 純子

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
TKC企業グループ税務システム普及部会会員

税理士 宮﨑 純子

法定調書の提出については、令和3年1月より電子申告義務化の対象範囲が広がり、令和4年1月より従来の提出方法(e-Tax、光ディスク等、書面)に加え、クラウドサービス等を利用した提出が可能となっています。当コラムでは、法定調書の電子申告の概要及び手続方法について解説します。

当コラムのポイント

  • 電子申告義務の判定と電子的提出の一元化
  • e-Tax・eLTAXでの電子申告方法
  • TKCシステム「e-TAX法定調書」での電子申告方法
目次

前回の記事 : 第1回 法定調書の電子申告義務の概要

 法定調書の電子申告を行うには、国税e-Taxソフト又は国税e-Taxソフト(WEB版)(以下、e-Tax(WEB版))で法定調書を作成して送信します。また、地方税eLTAX(以下、eLTAX)の「電子的提出の一元化」の機能により、源泉徴収票データを税務署と各市区町村に一括送信することも可能です。ここでは、e-Tax(WEB版)及びeLTAXで電子申告する場合の実務と、TKCシステム「e-TAX法定調書」について解説します。

1.e-Tax(WEB版)・eLTAX(PCdesk)で電子申告する場合

(1) e-Tax(WEB版)で電子申告する場合
①事前準備

 電子申告を行うには、電子証明書の取得及び電子申告のための届出などの事前準備が必要です。初めてe-Tax(WEB版)を利用する場合は、「e-Taxソフト(WEB版)を利用するに当たって」の手順で事前準備を行ってください。

②法定調書の作成

1) e-Tax(WEB版)から、利用者識別番号・暗証番号を入力してログインします。

2) 「申告・申請・納税」をクリック → 「新規作成」 → 「給与所得の源泉徴収票等の法定調書(及び同合計表)の提出」を選択します。

3) 提出先税務署・年分などを入力し「次へ」 → 法定調書をe-Tax(WEB版)に入力して作成する場合は「作成」を、CSVファイルを読み込んで作成する場合は「読込」をクリックします。

【「作成」を選択した場合】
 表示された帳票作成画面で、必要事項を入力し「作成完了」をクリックします。
 (複数枚作成する場合は、「次ページ」をクリックして追加作成します。)

【「読込」を選択した場合】
 読込画面が表示されますので、「参照」をクリックしてCSVファイル読み込みます。CSVファイルは「法定調書CSVファイル作成用 標準フォーム」に従って作成してください。

「電子的提出の一元化」を利用して、源泉徴収票と給与支払報告書を一括送信する場合は、e-Taxホームページで公開されているCSVファイルを利用することはできません。「電子的提出の一元化」による一括送信の手順は、「(2) eLTAXの「電子的提出の一元化」の機能を利用した電子申告の場合」で解説します。

4) 入力データを法定調書合計表へ転記する確認メッセージが表示されますので、「はい」をクリック → 法定調書合計表の内容を確認の上、全ての入力が完了したら「作成完了」をクリックします。

5) 「電子署名を付与」をクリックし、電子署名を付与して、「送信」をクリックして電子申告します。送信結果を「受信通知の確認」又は「メッセージボックス一覧」より確認してください。

(2) eLTAXの「電子的提出の一元化」の機能を利用した電子申告の場合
①事前準備

 電子申告を行うには、電子証明書の取得、電子申告のための届出及びPCdesk(DL版)のインストールなどの事前準備が必要です。事前準備は、「給与支払報告書及び源泉徴収票 電子的提出一元化ガイドブック」の「3.eLTAXを利用するために」「4.利用届出の流れ」「6.PCdesk(DL版)の入手とインストール」の手順に従って実施してください。

②法定調書の作成

1) PCdesk(DL版)を起動し、ドロップダウンリストから納税者を選択、「利用者情報に関する手続き」をクリックします。

2)「提出先・手続き変更」→ 「提出先・手続き一覧」画面で、「提出先編集」ボタンをクリックし、給与支払報告書を提出する地方公共団体を追加します。

3)「提出先選択」から追加したい提出先・申告税目を選択し、「追加」をクリック → 「提出先一覧」に追加されますので、「課税地入力」をクリックし、 「事業所名」及び「課税地」を入力し、「設定」をクリック → 「提出先・手続き一覧」に提出先が反映されていることを確認し、「次へ」をクリックします。「利用届出送信結果一覧」が表示されますので、電子申告先の登録が完了したことを確認してください。

4) 源泉徴収票を税務署へ提出するための準備を行います。メインメニューから「利用者情報に関する手続き」 → 「e-Tax利用者情報登録・再登録」 → e-Taxの利用者識別番号・暗証番号を入力し、「登録」をクリックします。

5) 源泉徴収票データを作成します。メインメニューから「申告に関する手続き」を選択し、「申告データの作成」 → 「個人住民税」 →「申告区分の選択」画面で「給与支払報告書・源泉徴収票及び合計表」を選択し、源泉徴収義務者の情報を入力します。

6) 申告データの作成方法は、「手入力による作成」又は「CSV取込による作成」を選択します。(ここでは、CSV取込による作成方法を解説します。)
支払年分・提出年月日など必要項目を入力し、「次へ」 → CSVファイルを指定して「開く」をクリックします。取り込んだデータにエラーがある場合には、「エラー表示」がクリック可能になりますので、内容を確認してCSVファイルを修正し、再度取り込んでください。
 CSVファイルは「給与支払報告書・源泉徴収票の統一CSVレイアウト仕様書(令和5年分~)」に従って作成してください。なお、このコラム執筆時点では仕様書の確定版が公開されていませんので、ここでは「給与支払報告書-源泉徴収票の統一CSVレイアウト仕様書 令和05年分~」の暫定版を掲載いたします。仕様書の確定版及び新年度の様式による送信可能日などについては、eLTAXのお知らせで最新情報をご確認ください。

7)「合計表入力」をクリックし、「合計表(給与所得の源泉徴収票)」画面で、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を作成します。

8)「申告メニュー」の「申告データの電子署名」より、署名付与を行い電子申告します。送信結果をeLTAXの「メッセージ照会」及びe-Tax(WEB版)又は受付システムの「メッセージボックス一覧」で確認してください。

2.TKCシステム「e-TAX法定調書」で電子申告する場合

 「e-TAX法定調書」を使用する場合には、PCdeskのダウンロードは不要です。「e-TAX法定調書」では、メニューに沿って処理を進めるだけで、電子申告の事前準備から申告データ作成、電子申告まで完了します。

①「事前準備」タブ

 「事前準備」タブでは、電子証明書やICカードリーダライタの準備、ドライバの登録及び電子申告に必要な基本情報の入力を行います。電子証明書の取得方法など、各手続きのガイドも掲載されています。

②「電子申告の届出」タブ

 「電子申告の届出」タブでは、国税e-Taxホームページでの入力・届出及び地方税eLTAXでの入力・届出や、電子申告を行うための事前登録を行います。

③「法定調書・給与支払報告書等」タブ

 「法定調書・給与支払報告書等」タブでは、源泉徴収票(及び同合計表)・支払調書などの法定調書と給与支払報告書を作成して電子申告します。「e-TAX法定調書専用レイアウト」では、読込テンプレートファイルの設計により、給与計算システムから出力した法定調書データ(CSVファイル)をそのまま読み込めます。

 その他、給与所得者異動届出書の作成や特別徴収税額のデータ取得など、便利な機能が搭載されています。また、オプションシステム 「e-TAX法定調書(報酬・不動産マイナンバーオプション)」と一緒に活用いただくことで、マイナンバー収集・管理から支払調書の電子申告までスムーズに対応できます。
 TKCシステム「e-TAX法定調書」の詳細な資料や体験版をこちらからダウンロードいただけます。システムを無料で体験できますのでご利用ください。

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税理士法人土田会計事務所

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