災害時の開示

第11回 有価証券報告書での開示事例集

更新日 2011.04.05

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公認会計士 中田 清穂TKCシステム・コンサルタント
公認会計士 中田 清穂

災害による決算発表や報告書の期限延長に関する解説や、決算短信や有価証券報告書での記載事例を解説します。

 今回は2004年10月23日に発生した新潟県中越地震について、2004年の10月期決算から2005年の6月決算までの企業を対象にして、年度決算である有価証券報告書に記載されている内容を収集した結果を取りまとめました。
 なお、三洋電機株式会社については、第3回から第8回で取り上げたので含めていません。

 2004年年10月23日に発生した新潟県中越地震について有報で開示している企業は、106社であり、記載箇所は、189箇所でした。
 各企業の業種と決算月の一覧は、以下の通りです。

 地震に関して記載されている箇所はいずれも「第一部 企業情報」にあり、以下の19箇所です。

第1. 企業の概況
 2 【沿革】
 3 【事業の内容】
第2. 事業の状況
 1 【業績等の概要】
 3 【対処すべき課題】
 4 【事業等のリスク】
 7 【財政状態及び経営成績の分析】
第3. 設備の状況
 1【設備投資等の概要】
第4. 提出会社の状況
 2 【自己株式の取得等の状況】
 3 【配当政策】
 6【コーポレート・ガバナンスの状況】
第5. 経理の状況
 連結財務諸表等 連結損益計算書  Ⅶ特別損失
 連結財務諸表等 連結財務諸表作成の基本となる事項
 連結財務諸表等 注記事項(連結) 連結損益計算書関係
 連結財務諸表等 注記事項(連結) 連結キャッシュ・フロー計算書関係
 連結財務諸表等 注記事項(連結) 重要な後発事象
 財務諸表等   損益計算書    Ⅶ特別損失
 財務諸表等   重要な会計方針
 財務諸表等   注記事項(単体) 損益計算書関係
 財務諸表等   注記事項(単体) 重要な後発事象

 ここでは特に、連結キャッシュ・フロー計算書の記載について、原信ナルスホールディングス㈱の2006年3月期(地震が発生した翌年度)の有報での記載を例にして説明します。
 2006年3月期は、EDINETで閲覧できます。

 まず、災害に関連する損益項目を、営業活動に伴うキャッシュ・フロー(「小計」の上)から控除します。
 そして、次に、その他の営業活動に伴うキャッシュ・フロー(「小計」の下)に、実際の受取額や支払額を表示します。
 以下が実際の連結キャッシュ・フロー計算書です。

 新潟県中越地震は6年以上前なので、現在のEDINETでは閲覧できないようです。
 また、各企業のホームページでも閲覧できる企業は非常に少ないようです。

 開示している企業の一覧を参照されたい方は、こちらの資料をご参照ください。
【開示企業一覧】

 開示している実際の詳細な内容を参照されたい方は、こちらの資料をご参照ください。
【災害時の有価証券報告書の開示内容一覧】

本文は有限会社ナレッジネットワーク社ホームページの『カレントトピックス(災害時の開示)』に掲載された記事の転載となります。

筆者紹介

公認会計士 中田清穂 (なかた せいほ)
TKC全国会中堅・大企業支援研究会 顧問
TKC連結会計システム研究会・専門委員

著書
『内部統制のための連結決算業務プロセスの文書化』(中央経済社)
『連結経営管理の実務』(中央経済社)
『SE・営業担当者のための わかった気になるIFRS』(中央経済社)

ホームページURL
有限会社ナレッジネットワーク http://www.knowledge-nw.co.jp/

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