左から武田衣加さん、押尾卓耶税理士、鈴木洋平社長、竹村紗衣さん

左から武田衣加さん、押尾卓耶税理士、
鈴木洋平社長、竹村紗衣さん

静岡県に拠点を置くブレイヴでは産業廃棄物の運搬処分、消防設備の販売、空調設備の工事など多岐にわたる事業を展開している。鈴木洋平社長、事務担当の竹村紗衣さん、武田衣加さんに押尾卓耶顧問税理士を加え、同社の経営戦略と業績管理体制について聞いた。

──1971年設立と長い業歴をお持ちですね。

鈴木 創業者は父(鈴木敏正会長)で設立当時の社名は「静岡スタンドサービス」でした。ガソリンスタンドから排出される産業廃棄物の収集・運搬・処分が祖業で、現在はガソリンスタンドのほか、乗用車やトラックのディーラー、自動車整備工場、燃料販売業者とも取引を行っています。このほか、火災報知機や消火器といった消防設備の販売・設置・点検、空調設備の設置工事も手がけています。

──アピールポイントは?

鈴木洋平社長

鈴木洋平社長

鈴木 汚泥の処理施設を所有しているところでしょうか。当社では汚泥の回収から処理まで自社で請け負う体制を確立するべく、2年前に静岡県内に汚泥の中間処理施設を建てました。これまで処理業者に卸していたところを、自前の施設で処理するようになったことで、年間約1,000万円にのぼる処理費用の圧縮を実現しています。

──環境に配慮した経営にも取り組んでいると聞きました。具体的な施策について教えてください。

鈴木 当社では2021年に「エコアクション21」の認証を取得し、CO2や廃棄物の削減、エコドライブの実践、節電や節水、ペーパーレス化の促進などの取り組みを行っています。なかでも、ペーパーレス化を強く進めており、後ほど詳しくお話しますが、TKCシステムの徹底活用でペーパーレス化がいっそう加速しました。

サッカー一筋の生活から事業を承継し経営者の道へ

──これまでの経歴を教えてください。

静岡県内にある自社処理施設

静岡県内にある自社処理施設

鈴木 幼いころからサッカー中心の生活を送っており、高校卒業後はJリーグの川崎フロンターレに入団しました。ちなみに、ポジションはゴールキーパーです。現役を引退して以降は日本体育大学サッカー部、女子プロサッカーリーグのINAC神戸レオネッサ、川崎フロンターレ(U-15)などで約15年間コーチを務めたのち、19年に地元静岡に戻り、自社に勤めるようになりました。

──入社後はどのような業務に従事していましたか。

鈴木 主に廃棄物の運搬業務を担当していました。サッカー一筋の生活を送っていた私にとって、現場での仕事は初めて経験することばかりで、戸惑う場面も多かったのですが、経験豊富な作業員から仕事を教わりながら、自社の商売について学んでいきました。20年の7月に社長に就任して以降も現場に出ることが多く、現在もマネジメント業務の傍ら、廃棄物の運搬や処理に携わっています。

TKCシステムの徹底活用で「安心感」が生まれる

──22年に『FX2』から『FX2クラウド』に移行されました。その狙いについて教えてください。

鈴木 先ほどお話ししたとおり、普段は社外にいることが多いので、出先からでも業績を確認できるところに引かれたのが一つ。もう一つは災害対策ですね。地震や火災などで事業所が被災しても、重要なデータが消失しないところに魅力を感じました。

押尾卓耶税理士

押尾卓耶税理士

押尾 『FX2クラウド』のデータはすべてTKCのデータセンター(TISC)で保管しています。TISCは東日本大震災の激しい揺れに耐えた堅牢な建物なので、私も安心して顧問先にクラウドシステムを提案できています。

──特に注目している帳表、指標や科目は?

鈴木 《365日変動損益計算書》は定期的にチェックするよう心がけています。なかでも注目しているのが限界利益率の動向ですね。前年同月や期首に立てた予算と比較してプラスなのかマイナスなのか、マイナスならばどこに原因があるのかを追究して改善策を組み立てています。私自身、経営者としてはもちろん自社での勤務経験も短いので、最新業績を頼りに会社全体や各事業の現状と実態を把握し、意思決定に役立てています。

──日常業務で重宝している機能はありますか。

竹村 仕訳のコピー機能や「支払管理機能」「銀行信販データ受信機能」など、仕訳入力を省力化できる機能が良いですね。特に、「支払管理機能」は支払予定日と金額を登録しておけば、支払いに関する仕訳が自動で生成され、インターネットバンキングの総合振込依頼データもあわせて作成できるので、とても重宝しています。
 このほか、「証憑保存機能」を使って請求書や領収書をデータ保存するようになったことで、書類の整理にかかる時間が短くなりました。

──竹村さんは給与計算業務も担当しているそうですね。

竹村 はい。『PX2』で従業員の給与計算を行っているほか、従業員の所得税や住民税を「電子納税かんたんキット」を用いて電子納税しています。「電子納税かんたんキット」では、『PX2』のデータをもとに納税データを簡単に作成できるので、金額を誤ることなく納税できるという安心感につながっています。

──請求業務では『SX2』を利用していると聞きました。とりわけ便利に感じている機能は?

武田 請求書のメール送信機能ですね。当社では10日、20日、月末の3回にわたって請求書を発行しているのですが、多いときで1日300枚程度印刷していました。これに社判を押して、封筒に詰めて、切手を貼り、発送する。この作業だけで半日以上の時間を費やしていたのですが、メール送信機能を活用することで、発送業務に費やす時間が1時間程度と大幅に短縮しました。空いた時間は別の業務に充てるなど、効率化を肌で感じています。

押尾 ちなみに、近々『FX2クラウド』の「販売管理機能」を利用する予定にしており、現在は移行の準備を進めているところです。

経営体質の強靭化を目指し経営計画を毎期策定

──「TKCモニタリング情報サービス」も利用しているそうですが、当サービスを利用しての感想は?

トラックを複数台所有していることも強み

トラックを複数台所有していることも強み

鈴木 メインバンクの静清信用金庫さんに決算書と月次試算表を提供しています。お互いに長い付き合いになるのですが、それでも試算表を毎月提供しておくことで、まとまった資金が必要なときに迅速な支援が受けられるという期待感と安心感につながっています。

押尾 このほか、ブレイヴさんでは『継続MASシステム(※)』で毎年の経営計画を策定しており、売上高や限界利益(率)などの目標値を『FX2クラウド』に落とし込んでいます。

──経営計画を策定することの狙いを教えてください。

鈴木 経営体質の強靭化を図るためです。かつて川崎フロンターレのU-15でコーチを務めていたときは、選手ごとに育成計画を策定し、これに沿って日々の練習プログラムを考案していました。こうすることで、個人の得意分野を伸ばしつつ課題を克服し、結果、個々の選手が実戦に堪えうる技術やスタミナ、精神力を習得しました。やみくもに負荷を与えるだけでは、選手の実力を引き出すことはできないのです。
 会社経営もこれと似たようなところがあると捉えています。場当たり的に戦略を講じるのではなく、年間の経営計画を策定し、予実比較をこまめに行うことで課題をあぶりだし、その上で最適な戦略を実行する。筋肉質な経営体質を目指すためにも、このサイクルを絶えず繰り返すことが大切ではないでしょうか。

TKC『継続MASシステム』…経営者のビジョンに基づいた「中期経営計画」と、次年度の業績管理のための「単年度予算」、「短期経営計画」の策定を支援するシステム

(取材協力・おすおたくや税理士事務所/本誌・中井修平)

会社概要
名称 ブレイヴ株式会社
業種 産業廃棄物処理、消防設備販売、
空調設備工事など
設立 1971年
所在地 静岡県静岡市葵区柚木105-6
売上高 1億9,000万円
社員数 14名(役員含む)
URL https://brave105.com
顧問税理士 おすおたくや税理士事務所
税理士 押尾卓耶
静岡県藤枝市岡部町内谷629-5
URL: https://osuokaikei.tkcnf.com

掲載:『戦略経営者』2024年6月号